日々公表銘柄とは?指定基準や株価に与える影響を解説します

みなさんは「日々公表銘柄」という株用語をご存知でしょうか?

これは、信用取引における株用語の1つです。

日々公表銘柄への指定は株価に影響を与えることもあるので、トレーダーの方にはぜひ知っておいていただきたい言葉となっています。

本記事では、日々公表銘柄とは何かについてはもちろん、指定される基準や株価に与える影響について、わかりやすく解説していきます。

この記事でわかること

  • 日々公表銘柄とは
  • 日々公表銘柄に指定される基準
  • 日々公表銘柄に指定されると株価はどうなるのか

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目次

日々公表銘柄とは?

日々公表銘柄とは、ある基準により信用取引における空売りや信用買いなどによって、大きな損失が発生する可能性があると判断された銘柄のことをいいます。

「注意銘柄」ということもあるので、覚えておきましょう。

日々公表銘柄に指定された銘柄については、毎日信用取引の残高が公表されることになります。

証券取引所は、ギャンブル要素が強く投機的な取引に流れやすい信用取引を、多くのトレーダーに安全におこなってもらうために、一定の基準を設けて信用取引の過度な売買を未然に防止するという姿勢をとっています。

のちほど日々公表銘柄に指定される基準についてはご紹介しますが、簡単にいうと株価が急騰もしくは急落を繰り返している不安定な銘柄に関して、トレーダーに向けて注意喚起をおこないます。

あくまでも、信用取引でその銘柄が売買できないというわけではありません。

今後の値動きによって警鐘を鳴らすとともに、規制(増担保規制)の可能性も促しています。

ちなみに信用取引において安全を期すために、日々公表銘柄ではない銘柄であっても週に1回は信用取引の残高が公表されています。

日々公表銘柄に指定されると、これが毎日になるということですね。

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日々公表銘柄に指定される基準

日々公表銘柄について、お分かりいただけたでしょうか?

次は、日々公表銘柄に指定される基準についてご説明していきます。

この基準を定めているのは東京証券取引所で、下記の4つのうち1つでも当てはまると、日々公表銘柄となります。

残高基準

1つめは、残高基準です。

ここでの「残高」とは、信用取引の売りもしくは買いの残高のことです。

下記いずれかに該当すると、残高基準に抵触したものとして、日々公表銘柄に指定されます。

・上場株式数に対する信用取引の売り残高の比率が10%以上で、かつ、信用取引の買い残高に対する売り残高の比率が60%以上であるとき
・上場株式数に対する信用取引の買い残高の比率が20%以上であるとき

信用取引売買比率基準

2つめは、信用取引売買比率基準です。

3営業日連続して、各営業日の株価と各営業日における25日移動平均株価との乖離が30%以上であり、かつ、下記のいずれかに該当すると信用取引売買比率基準に抵触したものとして、日々公表銘柄に指定されます。

・3営業日連続して、信用取引の新規売付比率が20%以上であるとき
※各営業日の株価が各営業日における25日移動平均株価未満であるときに限ります

・3営業日連続して、信用取引の買付比率が40%以上であるとき
※各営業日の株価が各営業日における25日移動平均株価を超えているときに限ります

売買回転率基準

3つめは、売買回転率基準です。

1営業日の株価と当該営業日における25日移動平均株価との乖離が40%以上であり、かつ、下記のいずれかに該当すると売買回転率基準に抵触したものとして、日々公表銘柄に指定されます。

・ 当該営業日の売買高が上場株式数以上であり、かつ、同日の信用取引の新規売付比率が30%以上であるとき
※当該営業日の株価が同日時点における25日移動平均株価未満であるときに限ります。

・当該営業日の売買高が上場株式数以上であり、かつ、同日の信用取引の新規買付比率が60%以上であるとき
※当該営業日の株価が同日時点における25日移動平均株価を超えているときに限ります。

特例基準

最後の4つめは、特例基準です。

上記でご紹介した残高基準・信用取引売買比率基準・売買回転率基準のいずれにも該当しなかった場合で、東京証券取引所が信用取引の利用状況や銘柄の特性などを考慮したうえで必要であれば日々公表銘柄に指定されます。

このように、特例は設けられているものの日々公表銘柄は上記のような基準によって指定されます。

保有株が日々公表銘柄に指定されたらどうなる?

もしかしたら、自分が持っている株が日々公表銘柄に指定されるなんてことがあるかもしれません。

こういった場合に備えて、日々公表銘柄に指定された銘柄の株価がどのように動く可能性があるのか知っておきましょう。

考えられる株価の動きは、その銘柄の信用取引の買い残高が多いのか売り残高が多いのかで変わります。

日々公表銘柄に指定されると、その銘柄の信用取引残高は毎日公開されるので、株価変動を予測するカギとなります。それぞれ、下記で確認していきましょう。

信用取引の買い残高が多いとき

信用取引の買い残高が売り残高と比べて多いときは、機関投資家などが利益を確定させる売りに入ることが多く、株価が下落しやすいとされています。

しかし場合によっては、そうとも限りません。

その銘柄が株価上昇する要素を持ち合わせていると、買い圧力が強くなり株価が下落しないこともあります。簡単には判断せず、その銘柄の性質をしっかりと見極める必要がありそうですね。

信用取引の売り残高が多いとき

信用取引の売り残高が買い残高と比べて多いときは、多くのトレーダーによる損失覚悟の買い戻しによって株価が上昇する可能性があります。

しかし、このような状況が継続すると、日々公表銘柄指定の次の段階である増担保規制がおこなわれやすくなります。この規制は株価下落の要因となることもあるので、ご注意ください。

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まとめ

  • 日々公表銘柄とは、売買が過熱していて大きな損失を発生しかねないため、毎日信用取引残高を公表される銘柄のこと
  • 東京証券取引所が定めた残高基準・信用取引売買比率基準・売買回転率基準・特例基準のいずれかに該当すると、日々公表銘柄に指定される
  • 信用取引の買い残高が多いと株価下落、売り残高が多いと株価上昇となりやすい

いかがでしょうか?本記事では日々公表銘柄について、指定基準や株価に与える影響などを解説してきました。

とくに信用取引をおこなう方には知っておいていただきたい重要な知識です。

損失を負うリスクがある銘柄なので、その銘柄に興味を持っていた場合でも信用取引初心者の方はしばらくその銘柄には投資をしない方がよいかもしれません。

また、こうした状況でもトレードをしたいという場合は、しっかりと株のトレード技術を磨いた上で、自分自身で判断できるようになることが必要です。

株の技術を磨くためには、テクニカル分析による分析スキルを高めることが必要です。

テクニカル分析については株価チャートはどうやって見ればいい?テクニカル分析の基本とはの記事をご覧になってみてください。

株価に与える影響をしっかり理解して、安全な信用取引をおこなっていきましょう。

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この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

この記事を書いた人

著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。

地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。

その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。

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