高配当利回りには要注意?注意すべきタコ足配当について徹底解説します

みなさんは、「タコ足配当」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?

配当目的で株式投資をおこなっている方もいらっしゃるかと思いますが、そのような場合はできるだけ安定的かつ高配当を出している銘柄に投資をしたいものですよね。

しかし配当目的で投資をしている場合は、支払われる配当金の元手がどこになっているのかについてきちんと確認する必要があります。

本記事では配当目的で投資するうえで注意するべきタコ足配当について、解説していきます。

この記事でわかること

  • タコ足配当の意味
  • タコ足配当を出す企業
  • タコ足配当を出す理由

株式投資の平均利益率は5%!利益率を上げるには

目次

タコ足配当って何?

まずは「タコ足配当」の意味をご説明していきます。

すべての企業ではありませんが、株式を発行している多くの企業は、株主に配当金を支払います。

この配当金は、基本的にどこから捻出されているかご存知でしょうか?

答えは「企業の利益」です。

もちろん利益が出ている企業でも配当金を支払わないことがありますが、基本的に配当金を支払う場合はその利益が源泉となります。

これを知ったうえでさまざまな企業を見ていると「配当金を支払っている企業は業績がよいのでは?」と思ってしまいますよね。

しかし「配当金は利益から支払わなければならない」という絶対的なルールがあるわけではありません。

つまり利益が出ていなくても、配当金を支払う企業が存在します。

このような企業が支払う配当金を、タコ足配当といいます。

また、厳密なタコ足配当とは「企業が出した利益よりも高額な配当金」のことです。

つまり本来原資は利益であるはずの配当金が、企業の資産という大切な部分から捻出されているということになります。

これをなぜタコ足配当というのかというとタコが自分の足を食べる習性を、企業が利益以上の配当金を支払うために資産から捻出している(資産を食べている)ことにたとえているからです。

また、タコ足配当を出している企業は「配当利回り」が高くなります。

株式投資において配当金の受け取りを目的としている方は、配当利回りというのは投資判断をするうえで非常に重要な指標です。

ちなみに配当利回りは、「1株あたり配当÷株価×100」で算出します。

ただし高配当利回りの裏には、業績が悪化して利益が落ち込みかつ株価が下落したものの、毎年同じだけの配当金を捻出しているという事実があるかもしれません。

ここで、例を1つ出してみたいと思います。

A社の1株あたり配当は、1年間に20円でこれを継続するとします。株価が1,000円の場合と800円の場合の2パターンを考えてみたいと思います。

まず、株価が1,000円のときの配当利回りは0.02%(=20円÷1,000円)です。一方で、株価が800円に下落したときの配当利回りは0.025%(=20円÷800円)と、配当利回りは上昇しています。

このとき配当利回りだけを見て投資判断をするのではなく、企業の利益はどうなっているのか、そして配当金の原資など財務状況をしっかりと確認するようにしましょう。

タコ足配当を出す企業の状態

先ほど、企業が支払う配当金の源泉は利益であるとご紹介しました。

これは厳密には、企業が蓄積させてきた「利益剰余金」と資本金に組み入れなかった「資本剰余金」のことをいいます。

また、配当金を受け取ったことがある方はご存知かと思いますが、配当金は企業から現金で支払われます。もし利益以上の配当金を支払うとなると、現金預金はもちろん資産を売却したときの代金などのすぐに現金として利用できる資産で賄う必要があります。

また利益が出ていない赤字であるのにもかかわらず、配当金を支払う企業も存在するほどです。

これを配当金として支払うと企業の資産が社外の株主に流出してしまうため、結果として企業の資産が縮小し相対的に負債が大きくなり貸借対照表の状況が悪化します。

よってタコ足配当を出し続けている企業の資産状況は悪化する一方なので、いずれは事業に影響を与える可能性が高くるなるのです。

注意するようにしましょう。

タコ足配当を出す企業が存在する理由

では、なぜ利益が十分に出ていないにもかかわらず、無理をしてタコ足配当を出す企業が存在するのでしょうか?

その大きな理由は「株価の下落を防ぎたいから」です。

というのも、もし企業の業績が悪化すると利益が減少することはもちろん、株価の下落も懸念されます。

株主からの追及は免れないでしょう。

繰り返しになりますが、基本的に企業が支払う配当金の源泉は利益です。

つまり論理的には企業の利益が減少したら、その分支払う配当金も減少させることが正しいと考えられます。

しかし、もし支払い配当金を減少させる「減配」を発表してしまうと、それが株価下落をさらに加速する要因にもなりかねません。

こういった懸念から、企業は減配という処置をとることができず、タコ足配当を出して配当水準を維持するほかないということになります。

高配当株に投資をしてはいけない?高配当狙いでよくある失敗を紹介

まとめ

  • タコ足配当とは、利益が十分でなくても企業の資産などから配当金を支払うこと
  • タコ足配当を出すと企業の資産が減るため、財務状況が悪化する原因になる
  • 減配して株価が下落することを懸念して、赤字であってもタコ足配当をおこなう企業がある

いかがでしたでしょうか?

本記事では、タコ足配当について解説してきました。

ルールとしてタコ足配当が規制されているわけではないのですが、投資をするうえではその企業の財務状況や将来性はきちんと鑑みた方がよいでしょう。

株価を下落させたくないからといって資産を削って配当を継続させているということは、事業の成長や将来への投資を今は後回しにしているというイメージが感じられます。

とくに長期的に株式投資をしていきたい方は、透明性の高い配当をおこなう企業への投資が適切かもしれません。

株の長期保有を始める前に必ず押さえておきたい3つのデメリット

もう損しない!
企業の業績やニュースに惑わされない
相場師朗(あいばしろう)
株塾無料レッスン
mv

株トレードにおけるエントリーやエグジット、銘柄の選定方法などに悩んでいませんか?
本レッスンは、プロトレーダー相場先生による

  • なぜ、企業の業績やニュースをチェックせず利益を上げられるのか
  • 継続的に利益を上げるために必要なこととは
  • 現在3,500 名以上が通う 『 株塾 』 とはどんなところなのか

など、株トレードをする上で押さえておくべきポイントを、毎日メールにてお届けしている無料のレッスンです。
ぜひ、あなたの今後の株トレードにもお役立てください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

この記事を書いた人

著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。

地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。

その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。

目次