ナンピン買いを何かきちんと理解して、自分のトレードにも使えそうなら使いたい、そう思ってはいませんか?
「やってはダメ」ともいわれるナンピン買いですが、正しく使えばトレードの役に立ちます。
含み損を減らしたり、利益をより多く取りにいったりと、ナンピン買いはメリットのある手法なのです。
しかし、とりあえずでナンピン買いをすれば損をする結果になることもあります。
余計に損失を膨らませてしまえば、どんどん損切りがしづらくなってしまいますね。
そこで今回は、ナンピン買いの正しいやり方を徹底解説。
累計受講者数40万人を突破している投資塾「株塾」を運営している私たちが、投資のプロとしてナンピン買いのコツや注意点をお伝えします。
ナンピン買いでさらにトレードの技術を磨きたい方は、ぜひ参考にしてください。
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ナンピン買いとは
ナンピン買いとは、含み損を回収するための投資方法です。
具体的には、「投資している銘柄の株価が下落したときに、さらに追加で買いを入れる」という方法となります。
漢字にすると「難平買い」と表記し、難しい状況を平らにならすという意味があります。
損切りをすぐできればそれが一番ですが、なかなか思うように損切りはできないものです。
「もっと早く損切りしていれば…」「でもここで損切りして損失を確定させたくない」
そんな含み損を抱えている状況において、買いを追加することで含み損を回収しやすい状況に近づけるのです。
買い付け価格を平均化する手法
ナンピン買いをすることで、買い付け価格を平均化できます。
例えば株価200円のものを100株購入していたとしましょう。
200円を100株ですから、20,000円投資したことになりますね。
しかしその後、株価が100円まで下がってしまったとします。
ここでさらに買いを入れるのが、ナンピン買いです。
100円を100株追加購入したとすると、10,000円購入したことになります。
ここで買いの平均価格を見てみましょう。
合わせて30,000円購入していて、株数は200株です。
つまり「30,000円÷200株=150」となるため、1株150円で勝ったことになりますね。
1回ではなく複数回でもOK
ナンピン買いは、1回ではなく複数回でもOKです。
特に回数は決まっていません。
また100株買いでスタートしたからといって、ナンピン買いも100株にする必要はありません。
200株でナンピン買いをする手も、100株のナンピン買いを2回する手もあるのです。
重要なのは、回数ではなくタイミングであることを覚えておいてください。
初心者はナンピン買いすべき?
初心者はナンピン買いすべきなのでしょうか?
結論から言えば、初心者にはナンピン買いはオススメできません。
なぜなら、「株価が今後上がる」という予想をしなくてはならないからです。
ここでいう初心者は、「再現性のある勝ちをしたことがない人」です。
あいまいな予想でナンピン買いをすれば、損失を膨らませてしまうかもしれません。
初心者にはオススメしない
ナンピン買いは初心者にはオススメしません。
そもそもナンピン買いは、株価が上がることを見越して行うものです。
きちんと分析をした結果、「これから株価は上がる」と判断したうえでナンピン買いをするべきです。
運良く株価が上がった、という状態ではリスクが高いためやめておきましょう。
中上級者にはオススメ
中上級者であれば、ナンピン買いはオススメです。
株の技術が身についてきている段階ですから、根拠を持って株価上昇のタイミングを狙いに行けます。
ナンピン買いの強みを最大限活かせるテクニックが身についていれば、問題ないわけですね。
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ナンピン買いのメリット
ナンピン買いのメリットは2つあります。
- 含み損を回収しやすくなる
- 利益拡大を狙える
使いこなすためにも、メリットを把握しておきましょう。
含み損を回収しやすくなる
ナンピン買いをすることで、含み損を回収しやすくなります。
平均取得価格が下がることによって、回収できるラインが近づくのです。
利益拡大を狙える
ナンピン買いをすることで、利益の拡大も狙えます。
200円で買いを入れていた場合、株価が下がってしまえば、200円より上昇して初めて利益が発生します。
しかしナンピン買いによって平均取得価格を150円まで下げたとすれば、150円より上昇した分が利益となるのです。
含み損を回収しやすくなると同時に、利益もそれだけ発生しやすくなるわけですね。
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ナンピン買いのデメリット
ナンピン買いのデメリットは2つです。
- 損失が膨らむ可能性がある
- 資金が必要になる
状況を悪化させてしまわないためにも、ナンピン買いのデメリットを把握して避けていきましょう。
損失が膨らむ可能性がある
ナンピン買いをすることで、損失がより膨らんでしまう可能性があります。
買った時よりも株価が下がっている状況でナンピン買いをするわけですから、そこからさらに株価が下がれば、損失はさらに増えてしまいます。
株価が上昇しなければ、ナンピン買いは損を発生させるだけになってしまうのです。
きちんと株価上昇のタイミングを見極めてナンピン買いをしなくてはなりません。
資金が必要になる
ナンピン買いには、ある程度の資金が必要となります。
追加で買いを入れていくわけですから、それだけ資金を投資に回さなくてはならないわけです。
資金に余裕がない場合は、そもそもナンピン買いはできません。
また資金が少ないにもかかわらずナンピン買いをして使い果たし、結果損失を膨らませるという最悪な結果にもなりかねないため注意が必要です。
ナンピン買いを使いこなすコツ
ナンピン買いのメリットを活かしつつ、デメリットを避けていくためにも、使いこなすためのコツを押さえておきましょう。
ナンピン買いを使いこなすコツは以下の通りです。
- 資金上限を決めておく
- 損切りラインを決めておく
- 一時的な下落かどうか見極める
- 株価上昇のタイミングを見極める
- 細かく買いすぎない
自分のトレードに落とし込んでいきましょう。
資金上限を決めておく
無理なナンピン買いを避けるためにも、資金上限はあらかじめ決めておきましょう。
残りの資金次第では、ナンピン買いではなく損切りをすべきかもしれません。
ナンピン買いをするにしても、どれくらいするかは事前に決めておき、後から追加を重ねすぎないようにしてください。
損切りラインを決めておく
ナンピン買いをする際に、損切りラインを決めておきましょう。
損切りラインを事前に決めておくことで、できる限り損失が小さい状態で押さえられます。
いざトレードしているときは、株価が思ったより下がっても「もう少し待てば上がるかも」と思ってずるずると引きずってしまうもの。
結果どんどん株価が下がり、損失はみるみるうちに膨らんでしまいます。
ナンピン買いをするときは、損切りラインをどこにするか決めておいてくださいね。
一時的な下落かどうか見極める
ナンピン買いをするときは、一時的な下落かどうかを見極めておきましょう。
下降トレンドが続いている中でナンピン買いをすれば、株価は下がり続け損失が膨らんでしまいます。
下降トレンドではなく、あくまでも一時的に下落しているかどうかが重要なのです。
トレンドを見極めるために、ダウ理論やさまざまなチャートパターンを活用していきましょう。
株価上昇のタイミングを見極める
ナンピン買いをするなら、株価上昇のタイミングを見極めて行いましょう。
そろそろ上がる、というタイミングでナンピン買いができれば、含み損の回収はしやすくなります。
株価上昇のタイミングを見極めるために、テクニカル分析を活用しましょう。
ナンピン買いと合わせて使いたい具体的なテクニックについては、後述しているので参考にしてくださいね。
細かく買いすぎない
ナンピン買いをするときは、細かく買いすぎないようにしましょう。
200円から少し下がって199円でナンピン買い、さらに198円でナンピン買いというのは細かすぎます。
細かすぎると、ナンピン買いのメリットである「平均取得単価を下げる」ところが活きてきません。
またそれだけ市場に張り付く必要があり、メンタルにも悪影響を及ぼします。
事前に「10%下がったらナンピン買いする」など、条件を決めて守るようにしておくと良いでしょう。
ナンピン買いと合わせて使いたいパターン・テクニック
ナンピン買いと合わせて使いたいパターン・テクニックをまとめました。
チャートの形を分析せずに、ナンピン買いはするべきではありません。
分析するための手法を押さえておきましょう。
ヘッド・アンド・ショルダーズ・ボトム
ヘッド・アンド・ショルダーズ・ボトムは、株価の底を示すチャートのパターンです。
下降から上昇へとトレンドが切り替わることを示して入れるため、ナンピン買いと合わせて使えば、プラスを狙いやすくなります。
最初に谷となる安値が形成され、そこからさらに安い価格へ下落、その後下落分を取り戻したうえで、前回の安値を更新することなく価格が上昇していけば、パターンの完成です。
ダブルボトム
ダブルボトムは、下降トレンドが終わるタイミングで出現するチャートパターンです。
下降トレンドから上昇トレンドに切り替わっていくため、ナンピン買いをするチャンスだといえます。
重要なポイントは、1番底よりも2番底の方が高いという点。
2回目の下落で「直近安値を割り込まず、再び上昇して直近高値を超える」とダブルボトムの完成です。
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ソーサーボトム
ソーサーボトムも、株価の底値圏に出現するチャートパターンです。
下落後に横ばいを続け、その後出来高を伴って上昇、プラットフォームを形成した後に上昇トレンドが発生していきます。
プラットフォームは、投資家たちが「ソーサーボトム完成かどうか」を見極めているポイントともいえる局面です。
そこで形成される高値のラインを抜けたときに、ナンピン買いをしましょう。
【相場流】下半身
下半身は、相場流の技術の一つで、株価上昇を示すシグナルです。
5日移動平均線を、陽線のローソク足が半分以上飛び出ている状態を「下半身」と呼びます。
5日移動平均線が横ばいか上昇している状態で、それを上回るように陽線が出ているタイミングで、ナンピン買いをすれば株価上昇を狙えるわけですね。
【相場式株技術用語】下半身・逆下半身とは?株初心者にもわかりやすく解説します
両建て
両建てとは、買いも売りも行うトレード手法のことです。
リスクヘッジとして使われることが多く、ナンピン買いと合わせて考えるのもオススメ。
株価が上昇するのではなく下落し続けそうなら、ナンピン買いではなく空売りをすることで損失を減らせます。
ナンピン買いだけでなく空売りも選択肢の一つとして持っておけば、トレードの幅も広がりますよ。
詳しくは下記の記事を参考にしてください。
両建ての手法を徹底解説!リスクを減らしつつ利益を増やすための極意
ナンピン買いに関してよくある質問
ナンピン買いに関してよくある質問をまとめました。
他の手法と混同されることが多いため、きちんと使い分けられるようにしておきましょう。
ナンピン買いの計算方法は?
ナンピン買いをすると、平均取得価格が下がります。
つまり「損失が0になるライン」も下がるわけですが、そこがどこになるかは計算しておかなければなりません。
平均取得価格の計算式は以下の通り。
平均取得価格=総購入額÷保有株数
例えば、株価1,000円で100株購入した後に、株価800円で100株ナンピン買いした場合で考えてみましょう。
総購入額は180,000円、保有株数は200株ですから「180,000÷200=900」となり、平均取得価格は900円ですね。
ドルコスト平均法との違いは?
ドルコスト平均法は、平均取得価格を下げるために「常に一定額を定期的に購入する」方法です。
平均取得単価を下げるという部分はナンピン買いと同じですが、手法としては別物である点に注意しましょう。
ナンピン買いとの違いは、「自分で購入タイミングを決めるかどうか」です。
ドルコスト平均法では、定期的に購入するためタイミングは特に株価上昇・下落に左右されません。
一方ナンピン買いは、株価が下げ止まった・上昇し始めたタイミングで行うものです。
チャートの形がまだ読めないという、より初心者向けの手法がドルコスト平均法であるといえます。
押し目買いとの違いは?
押し目買いは、上昇トレンド中の一時的な株価下落の際に行う手法です。
一時的に下がったところで買いを入れ、上昇した分だけ利益を狙えます。
ナンピン買いは平均取得単価を下げるために行うのに対し、押し目買いは利益を積み重ねていくために行います。
目的は違うものの、下落から上昇へと切り替わるタイミングを狙うところはよく似ていますね。
押し目買い・戻り売りの意味とは?株初心者にもわかりやすく解説します
まとめ
ナンピン買いは、初心者にはオススメできないものの、将来的には使いこなす価値のある手法です。
含み損の回収をしたいときには、ナンピン買いを選択肢の一つに入れておきましょう。
保有している銘柄の株価が下がってしまったものの、今後の株価が予想できないという時は、損切りも検討してください。
下手なナンピンはすかんぴん(素寒貧)といわれていますから、きちんと技術を身につけておくことが重要です。
株に関する技術を学びたい方は、ぜひアジア最大の投資塾である株塾をのぞいてみてくださいね。
著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。