相場格言「行き過ぎもまた相場」をご存知でしょうか?
株価の行き過ぎた変動のことで、「オーバーシュート」と呼ばれることもあります。
株価は日々小刻みに変動を繰り返していますが、まれに急上昇したり大暴落したりすることがあります。
こんなとき、この大きな株価変動だけに惑わされて売買をしていては、知らない間に損をしてしまう可能性があるので要注意です。
本記事では株価が大きく変動している「行き過ぎ相場」における心構えについて、相場格言「行き過ぎもまた相場」を用いながらご説明していきます。
この記事でわかること
- 「行き過ぎもまた相場」の意味と教訓
- 格言を活かすシチュエーション
格言の出典
相場格言「行き過ぎもまた相場」の出典は、残念ながら判明していません。
ちなみに相場格言は日本の江戸時代における米相場で生まれたものと、世界の金融センターとして有名なアメリカのウォール街で生まれたものの大きく2つにわけることができます。
本記事で紹介する相場格言「行き過ぎもまた相場」は、日本で生まれた相場格言ではないかと考えられています。
格言の意味とその教訓
次に、相場格言「行き過ぎもまた相場」の気になる意味とその教訓について見ていきましょう。
「行き過ぎもまた相場」とは、株式市場において株価が予測できないぐらい大きく上昇したり、その反対にパニックレベルで暴落が起こったりすることをいいます。
「オーバーシュート(株価の行き過ぎた変動)」と呼ばれることもあるので、知っておきましょう。
ちなみに、このような事象は株だけにかかわらず金利や為替においても発生しうるものなので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
株価は日々小刻みに上下動を繰り返していきますが、最終的にはファンダメンタルズに沿った株価の水準(企業の本質的な価値)に落ち着くと考えられています。
参考としてファンダメンタルズとは、たとえば以下のようなものが当てはまります。
- 経済成長率
- インフレ率
- 財政収支
- 業績
- 財務状況
株価を大きく過熱させる原因となるニュースなどが発表されると、落ち着いている株価の変動要因となることがあります。
株価が大きく変動すると、チャートを見ているトレーダーはどんどん買い入れて市場に参加をすると考えられますよね。
こうなると、今までファンダメンタルズに沿って定着していたのに出来高が急激に増加するため、需要と供給のバランスが崩れてしまいます。
これでは株価の急上昇や大暴落(相場の行き過ぎ)を、避けることはできないでしょう。
一時的に株価は上昇しますが、しばらくすると適切な株価の水準に戻ろうと株価は下落するということがよく起こります。
また、株価の急上昇についていうと、株価が上昇するときのパワーが強いほどその後の下落のパワーも強いということを示す相場格言「山高ければ谷深し」も存在しています。
つまり行き過ぎ相場の直後の反動には注意しておくべきだ、というのが相場格言「行き過ぎもまた相場」の教訓だといえるでしょう。
格言を活かすべきシチュエーション
では、実際にこの相場格言を活かすべきシチュエーションを紹介します。
日本市場のバブルとその崩壊
日本の株式市場における株価急上昇、大暴落と聞くとすぐに思い浮かぶのが1986年~1991年頃にかけて発生した「バブル景気」ではないでしょうか?
とくに崩壊直前のバブル末期の段階での株価はファンダメンタルズの適正水準をとうに超えており「株価が上がるから買おう」、「買えばまだすぐ上がるだろう」といったハチャメチャな取引がおこなわれていました。
このマーケットの行き過ぎが激しい分、バブル崩壊による株価大暴落もたいへん深刻でしたよね。
なんと日経平均株価はわずか1年あまりで、半値近くにまで下落しました。
いかに行き過ぎ相場の反動が大きいかが、お分かりいただけるかと思います。
ある銘柄に関する好材料が発表されたとき
もしあなたが持っている銘柄に関する、大きな好材料が出たとするとどうでしょうか?
市場参加者が反応を示した場合には、期待買いによって株価が大きく上昇することが考えられますよね。
さらにこの株価上昇を利用した仕手筋(悪質な株価操縦の一種)による大規模な買いも発生し、これがさらなる株価上昇を招く可能性もあります。
こうなると、この銘柄の株価はファンダメンタルズに沿った株価水準にあるとは言えませんよね。
つまり上記でご説明したように、1度好材料の出現や仕手筋による大規模買いによって予測できないくらい株価が上昇したとしても、いつかはファンダメンタルズに沿った適切な株価まで株価が下落する日が来ます。
相場格言「行き過ぎもまた相場」を意識しておかないと、安易な売買判断で損失を負ってしまう可能性がありますので要注意です。
暴落相場に遭遇したとき
株価が何らかの理由によって大暴落したタイミングを買いのチャンスとする相場格言「ショック安こそ最大の買い場」という言葉があります。
株式投資において株を安く買おうとする姿勢は間違いではないのですが、ただ単純に株価が下落しているからといってその時点で買ってしまうと、二番底(1度底値を打ったと思いきや、さらに下落して底値を打つこと)に対応できない可能性があります。
安く買えたと思っていたのに、含み損を抱えてしまう原因になります。
このように、株価が予測できないほど急上昇したり大暴落したりする「行き過ぎ相場」が起こっているときは、慌てて売買判断をとろうとするのは危険です。
まとめ
- 相場格言「行き過ぎもまた相場」の出典は不明
- 行き過ぎ相場はそのパワーが大きいほど反動も大きいため、要注意
- 典型的な例としては、日本のバブル景気~崩壊が挙げられる
本記事では相場格言「行き過ぎもまた相場」の意味や教訓、活かすべきシチュエーションについてご説明してきました。
株価が上昇・下落するパワーが大きいほど、その後の反動が大きいということがお分かりいただけたかと思います。
株価はたいていの場合ファンダメンタルズに沿った適正株価に収束するので、いつまでの株価が高値・安値のまま停滞することは考えにくいです。
常に株価変動の反動に警戒して、売買判断をしていくように気を付けましょう。
株価の決まり方がわかる!株価が変動する理由と実例も合わせて解説
著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。