株の長期保有にはデメリットがある?始める前に知っておきたい3つの注意点

株の長期保有には デメリットがある?

長期保有は実はあまり知られていないデメリットが3つ存在します。

3つのデメリットとは

  1. 運用中は自分の資産が固定されてしまう・資金効率が悪くなる
  2. 売買のタイミングが難しい
  3. 失敗した場合時間とお金のロスが大きい

以降の記事で3つのデメリットを詳しく紹介させていただきますのでこれから投資を始めようと思っている人は、ぜひ参考にしてください。

長期投資が儲からないと言われている2つの理由

目次

1.株を長期保有する3つのデメリット

株の投資では銘柄を保有する期間によってスタイルが変わってきます。

短期トレードであるデイトレ、数週間程度銘柄を保有するスイングトレード、数ヵ月から1年程度銘柄を保有する中期投資、そして数年から数十年銘柄を保有する長期投資があります。

そのため、一般的には長期投資はチャート分析をするテクニカルよりも、企業の成長を予測するファンダメンタルズ要因を使って投資を行っています。

では、株を長期で保有する上でどのようなデメリットがあるでしょうか。
3つのデメリットを短期投資を行った場合と比較してご紹介していきたいと思います。

運用中は自分の資産が固定されてしまう・資金効率が悪くなる

長期保有は1銘柄を数年~数十年運用し、利益を狙うスタイルなので、運用中は資産が固定されてしまいます。
その間、他の銘柄に投資したくても投資できない状況が続いてしまう場合も考えられます。

多くの場合は、利益が出るまでに数年以上かかるので、短期投資のように早ければ数分後に利益が得られ、資金効率よく回せることはないでしょう。

特に手元資金が限られている場合は、せっかくの資金を寝かせることになってしまい、短期売買なら得られたかもしれない利益を失っていると考えることもできるのです。

売買のタイミングが難しい

長期保有はどこで買ってどこで売るか、売買のタイミングが難しいとされています。
数カ月先までの予測はつけられるかと思いますが、長期投資は5年や10年など長期にわたることも珍しくありません。

保有している銘柄の5年先を予想することは難しく、期間が長ければ長いほど、予測は難しくなるでしょう。

 

一方、短期売買は売買の判断をチャートや移動平均線の形で判断することが多く、勝ちやすい形さえ分かれば、同じ方法で売買することが可能です。

※チャート3参照

失敗した場合時間とお金のロスが大きい

長期保有をしていれば、株価はいい時も悪い時もあります。
株価が下落し始めるといつ回復するか分からない事例として、下の画像をご覧ください。

自動車メーカーSUBARUの実際の長期チャートです。

2016年以降下落を始め、一時的に戻しはしましたが、大きく見ると7年間下落し続けています。

2016年の高値付近で保有していた利益はみるみるうちに減少。
利益が減少、もしくは含み損を抱えたままになり、いつ回復するか、それともまだ下落するのか先が見えない状況です。

全部の銘柄に当てはまるわけではありませんが、SUBARUを例にしますと、7年間も下落したまま、回復していません。7年資産が固定し、下落すると、資金ロスだけではなく、時間のロスも大きな打撃となります。

その点、短期投資は時間効率もよく、損失も少なくすむ可能性があります。

下の画像をご覧ください。

同じスバルのチャート20167月~拡大したものになります。

前述した通り、長期保有の場合は株価が長期間下がり続けた場合、損切のタイミング、回復のタイミングも不透明ですが、短期の場合、下落途中の上げ場面や、下落を取ることができるので、効率よく利益を取ることができます。

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2.長期保有のメリットとは

では、長期保有のメリットはどのようなものがあるのでしょうか。

タイミング次第で大きなリターンを得られる可能性がある

1日や1週間など短期間であまり値動きしない銘柄でも、1年以上保有すれば株価が大きく上昇する場合があります。
また、不況や会社の業績、マイナスな出来事により株価が暴落することもあります。

株価が暴落した場合、回復した際には大きな利益を得られる可能性があることも長期投資のメリットと言えます。

一方短期売買は短い期間で取引を行うので、長期投資のような大きな利益を得ることはできません。
下の画像をご覧ください。

短期保有していた場合と、長期保有していた場合の利益の差です。

うまく長期上昇する銘柄に投資できると、同じ1,000株でも短期売買より大きな利益を得られることが分かります。

長期保有株のオススメは?勝率が上がる選び方を徹底解説

複利で大きな利益を得られる

長期保有の大きなメリットとして、複利効果を得られるという点があげられます。

「複利」とは運用で得た利益をそのまま元本にし、投資に回して利益をあげていくことを指します。

例えば年間10%の利回りで100万円投資した場合を例にあげてみますと、

100万円×10%=100,000円」の利益となります。

100,000円の利益を元本として投資に回した場合、翌年の利益は「110万円×10%=110,000円」の利益となります。

長期投資で運用した利益を元本に加えるとどんどん雪だるま式に増えていくというのが「複利」です。
複利は時間をかけるほど増えていくため、じっくりと資産を増やしていくことができます。

年利10%で5年間運用した場合、複利と単利では110,400円の差が出てくることが分かります。

配当金や株主優待を受け取れる

株は保有し続けるだけで、報酬が発生する配当金や、株主優待を受け取ることができるのも長期投資のメリットです。

保有期間に条件がありますが、選択する銘柄によっては、配当利回りが5%以上の銘柄もありますので、株で利益を得られて、さらに配当を受け取ることができればボーナス的な楽しみも味わえます。

高配当利回りランキングも簡単に検索できますし、株主優待専門の書籍も多数発売されています。

ぜひチェックしてみてください。

一方、短期で売買の場合は配当金や株主優待を受け取れない可能性が高いです。

配当金は、株式を保有している企業に利益が出た際に、利益の一部を株主に還元するために支払われる分配金のことです。

利益が出たから必ず支払われるものではなく、また、配当金の金額も銘柄ごとによって異なります。

なお、配当金が支払われる時期も、銘柄によって異なり、年に1回のみ配当が支払われる企業から半期毎、四半期毎など様々です。

配当金を受取る権利を得るためには、一定の期日までに株を保有している必要があるため、短期保有では権利を得ることができないと言えます。

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頻繁にトレードを行わなくてもいい

短期トレードと違って短期での予測ではないため、デイトレのようにチャートを頻繁に見る必要はありません。昼間仕事で忙しい人でも売買しやすいことがメリットです。

投資期間にもとりますが、長期保有の方は決算のタイミング、または株価に影響するニュースが出たタイミングなどで十分とされています。

多くて年に45回のタイミングでチャートを確認するだけですみますので、株価の上げ下げに反応し、一喜一憂することがないため、精神的な負担は少ないと言えます。

一方、短期投資はデイトレの場合、1日何度もチャートを確認しなければならない場合があり、チャートをチェックする時間、精神的負担も多いと言えます。

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3.長期保有に向いていない人3

①資金効率よく回したい人(今すぐお金が欲しい人)

長期投資は長期で保有するため、数年~資産が固定されてしまいます。

他に買いたい銘柄が出てきた場合、投資する余裕がなく、チャンスを逃してしまう場合もあります。

数年間他のトレードができない場合、数年間の機会損失になりますので、効率よく回していきたい人には向いていません。

②貯金が170万円以上ない人

長期保有は利益が出るまでに数年以上かかる場合があります。

先ほどご紹介したとおり、一般的には投資は貯金の30%が目安とされています。

私が考えるオススメの最低投資金額は50万円です。

理由としては、信用取引ができる金額が30万円からとなり、30万円ギリギリで運用を行うと、一時的に株価が下がり運用額が30万円を切ってしまった場合、追加で入金が必要となるからです。

前述した通り、貯金の30%が投資金額の目安とした場合、50万円の運用をするためには170万円必要です。

170万円の貯金が無い場合は投資をやめた方がいいでしょう。

③株価の変動に敏感に反応してしまう

株価変動があった場合、すぐに利益を確定しようと売却を急いでしまう人がいます。

株価変動に耐えきれない場合は、長期に関わらず、短期投資にも向いていません。

株価は上げ下げを繰り返しています。

今日プラスだった資産が明日にはマイナスになることもあります。

そんな時、明確な判断ができないまま利益確定したり、エントリーをしてしまうと、結果損失につながってしまいます。

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4.長期保有に向いている人3つの特徴

長期保有に向いている人の3つ特徴として下記3つが挙げられます。

①精神的な余裕を持ち、ニュースやチャートなど様々な要因に惑わされない人

長期保有は半年以上保有し続けるので、たまに出る大きなニュース、また、別の株のいいニュースなどを耳にすると、「隣の芝生は青い」ように感じてしまいます。

そのため、ニュースやチャートなど、様々な要因に振り回されず、運用できる人が長期投資に向いている人 と言えます。

②貯金が170万円以上ある人

長期保有は長い場合、数年~数十年と資産が固定されてしまうので、ある程度資金に余裕がある人が向いています。

資金計画を立てられ、余裕があると慌てることもありません。

投資の金額や、ライフスタイルによって違ってきますが、一般的に預貯金の30%までで投資をするのがオススメとされているようです。

前述しましたが、私としては運用資金として最低50万円~運用することをオススメとしており、貯金が170万円以上ある方が長期保有に向いていると考えます。

③年齢が若い人

長期投資は年齢が若いほど、長い時間を味方に付けられるので有利です。

若ければ若いにこしたことはありませんが、50歳くらいまでにスタートできるといいでしょう。

理由としては、もし、20年以上同じ銘柄を保有することがあった場合、60歳で始めると80歳まで、70歳で始めると90歳となります。年齢を重ねるつれ、何が起こるか分かりませんし、例え資産が増えていたとしても使い切れるか分かりません。

アメリカのインデックスファンドを例にすると、下の画像をご覧ください。

投資元本240万円が20年間のつみたて投資で3.8倍の924万円になっていることが分かります。

もう少し長い年月で見ると、

もっと長い期間を見てみると120年でおよそ860倍と、驚異的な数字が出ています。

インデックス投資は投資期間が長いほど、複利効果も味方につけ、利益を出していくことができます。
では、投資期間によって一体どれくらいの差がでるのでしょうか。

20歳から50年間運用した場合と、60歳から10年間運用した場合を比べてみました。

リーマンショック、コロナショックなど世界情勢に応じて上がったり下がったりを繰り返すので、一概に上がり続けるとは言い切れませんが、同じ積み立て金額でも10年と50年では増え方が違うことが分かります。

もちろん、10年間でも利益は出ますが、長期で保有することができればその分有利なことが分かります。
年齢が若い方は長期投資に非常に有利です。

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まとめ

長期保有のデメリットは3つありました。

  1. 運用中は自分の資産が固定されてしまう・資金効率が悪くなる
  2. 売買のタイミングが難しい
  3. 失敗した場合時間とお金のロスが大きい

このデメリットをふまえて、長期保有を始めるべきか判断しましょう。

次の段階として、ご自身の資金状況なども踏まえ、いくら投資するべきか判断してみましょう。

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この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

この記事を書いた人

著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。

地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。

その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。

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