株式投資を始めるにあたって、「長期と短期、どっちがいいの?」と悩んでいませんか?
長期投資は安定的なリターンを狙える反面、短期投資は素早く利益を得るチャンスがあると言われています。
それぞれにメリット・デメリットがあり、投資スタイルや目的によって向き不向きが変わってきますよね。
しかし、どちらがあなたに適しているのかを知らずに始めてしまうと、思うように成果が出ないことも。
そこで今回は、株式投資の長期と短期、どちらを選ぶべきかを徹底解説。
「株塾」を運営している私たちが、それぞれの特徴や戦略についてプロ目線でお伝えします。
長期か短期かで悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
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長期投資・短期投資の違いは?
株式投資には、運用期間に応じて「長期投資」「短期投資」に分けられます。
何年以上なら長期投資という明確な定義はなく、数年単位なら長期投資、1日から数週間・数か月であれば短期投資と呼ばれることが多いです。
長期投資では価格が緩やかに上昇することが多く、世界経済や企業の成長によって値動きします。
一方短期投資では価格が頻繁に上下し、市場心理によって値動きするのが特徴。
どちらのほうが優れているということではなく、目的や自身への適性を踏まえて、長期か短期か選ぶことが重要です。
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長期投資・短期投資を12項目で徹底比較
長期投資と短期投資、それぞれを12の項目で徹底比較してみました。
長期投資 | 短期投資 | |
---|---|---|
運用期間 | 数年~数十年 | 1年未満 |
売買回数 | 少 | 多 |
売買タイミング | 関係無 | 重要 |
利益の種類 | 売却益 配当金 株主優待 |
売却益 |
利益の大きさ | 小 | 大 |
リスクの高さ | 低 | 高 |
投資の対象 | 成長株 割安株 株主優待株 高配当株 |
成長株 割安株 すぐ売買できる株 |
取引コスト | 安め | 高め |
日々取り組む時間 | 少なめ | 多め |
資金の流動性 | 低い | 高い |
必要な勉強量 | 並 | 多め |
メンタルへの影響 | 小 | 大 |
それぞれにメリットデメリットがありますから、自分が投資で実現したいことは何かを踏まえて、どちらのスタイルを選ぶか考えてみましょう。
運用期間
長期投資と短期投資とでは、運用期間が大きく異なります。
長期投資では数年から数十年単位で運用しますが、短期投資では1年未満とかなり短いです。
短期投資の中にはさらに、数日から数週間の取引をする「スイングトレード」やその日のうちに取引する「デイトレード」、数分数秒の取引をする「スキャルピング」といったものもあります。
長距離走が得意な人もいれば短距離走が得意だという人がいるように、投資にも長期・短期それぞれに向き不向きはあります。
自分がどちら向きなのかを考えつつ、比較検討しましょう。
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売買回数
長期投資は売買回数が少なめですが、短期投資は売買回数が多めです。
例えば1か月に1回積み立てていく長期投資をしていた場合、年間12回購入することになりますね。
一方で短期投資は購入だけでなく売って利益を狙ったりもしますから、1ヶ月だけで12回取引するなんてこともありえます。
売買回数が多い分、短期投資では経験や知識が身につきやすいともいえますね。
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売買タイミング
売買タイミングの重要性も、長期投資と短期投資で大きく異なります。
長期投資は長い目で見るため、購入するのが今日でも明日でもそこまで差はありません。
しかし短期投資の場合、今日購入するのか明日購入するのかで、利益に大きな差がでる可能性があるのです。
そのため短期投資では売買タイミングがとても重要であり、値動きに注意する必要があります。
売買タイミングは考えずに、貯金のように毎月積み立てていきたいのであれば、長期投資を検討してみましょう。
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利益の種類
株式投資で得られる利益には、大きく分けてインカムゲインとキャピタルゲインがあります。
配当金や株主優待など継続的に受け取れる利益がインカムゲインであり、売却することで得られる利益がキャピタルゲインです。
配当金や株主優待を受け取るためには、年単位で株を保有する必要があったり、3年以上といった条件があるものもあるため、長期投資で狙う利益といえます。
売却益については、長期でも短期でも狙える利益です。
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利益の大きさ
利益がより大きくなりやすいのは、短期投資だといえます。
初期資金100万円でスタートした場合、2倍になるまでに長期投資であれば数年以上かかるでしょう。
しかし短期投資であれば、1年以内に2倍にすることも可能です。
短期投資で利益が膨らみやすいのは、それだけ利益を狙えるチャンスが多いから。
売買を繰り返すことで、短期間でも利益を積み重ねていけるわけですね。
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リスクの高さ
リスクをとにかく抑えたいのであれば、長期投資がオススメです。
基本的に経済は長い目でみると成長しており、右肩上がりになっていますから、上昇の可能性が高く、リスクは低いといえます。
一方短期的に考えると、一時的でも大きく下落することは珍しくなく、得たはずの利益が一瞬でなくなってしまう危険もあります。
大きな利益を狙えるということは、大きな損失を抱える可能性もあるということなのです。
短期投資をやる場合は、いかにしてリスクを最小限にするかがカギを握りますよ。
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投資の対象
長期投資では、主に成長株・割安株・株主優待株・高配当株に投資します。
大きく業績を伸ばしそうな成長株や、本来の価値よりも低い価格となっている割安株に投資しておけば、10年後には倍以上の株価になっているかもしれません。
また配当・優待目的であれば、その点で優れている銘柄に投資するのがオススメです。
短期投資では、主に成長株・割安株・すぐ売買できる株に投資します。
共通して言えるのは「直近株価が変動しそうな銘柄」です。
短期投資では売買タイミングが重要ですから、買いたいときに買えて、売りたいときに売れなければ利益を狙いにくくなってしまいます。
すぐ売買できるかという意味で、出来高の多い銘柄かどうかは、短期投資でチェックしておきたいポイントですよ。
取引コスト
株式投資では、取引の際に手数料が発生してきます。
そのため、取引の回数が多くなればなるほど、手数料はかさんでしまうことに。
つまり、取引回数が多い短期投資では、手数料が長期投資よりも大きくなりがちなのです。
せっかく利益を得たとしても、手数料で差し引かれてしまうのは嫌ですよね。
とはいえ、手数料が0円の証券会社も多いですから、工夫によって出費は抑えられます。
手数料がいくらなのか、事前にチェックしておくと安心ですよ。
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日々取り組む時間
日々株式投資と向き合う時間は、長期投資か短期投資かで大きく異なります。
長期投資の場合、日々の値動きがあまり関係ないため、そこまで毎日向き合う必要はありません。
しかし短期投資の場合、日々の値動きが利益に直結してくるため、できる限り定期的にチェックする必要があります。
もちろん、短期投資だからといってチャートに張り付いていなければいけないわけではなく、朝の10分間だけなど、さまざまな向き合い方がありますよ。
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資金の流動性
資金の流動性についても、長期と短期で大きく異なります。
10年単位で運用するのであれば、実際に現金として手に入るのは10年以上あとですから、かなり時間がかかってしまいますよね。
長期投資は売却や現金化に時間がかかるため、流動性が低いといえます。
一方で、短期投資は流動性が高いです。
すぐに売買ができますし、現金化も数日で出来るため、コントロールはしやすいでしょう。
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必要な勉強量
大前提として、長期投資でも短期投資でも勉強は必須です。
どの銘柄を選ぶべきか、どのタイミングで売買すべきかなど、学んでおくべきことはたくさんあります。
しかし、情報の更新頻度が高いのは短期投資です。
今日は○○があったから株価が下がるかも、こういうチャートの形だから次はこうなるかも、もうこの考え方は古くなってきた…など、日々の勉強は多めだといえるでしょう。
とはいえ、「このやり方だけを極める!」など的を絞って投資をする場合は、ある程度勉強量を抑えられるかもしれません。
メンタルへの影響
株式投資において、覚えておきたいのがメンタルコントロールの重要性です。
メンタルに左右されてしまうと、本来売るべきでないときに売ってしまったり、買ってしまったりしてしまいます。
長期投資であれば、日々の値動きを気にしなくて済むため、メンタルは左右されにくいでしょう。
メンタルコントロールが重要なのは短期投資であり、日々の値動きに一喜一憂しすぎないようにする必要があります。
あくまでも冷静に判断できるよう、その場の勢いでトレードしないようにしましょう。
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長期投資・短期投資に向いている人の特徴
長期投資か短期投資、どちらにするのか悩む方のために、それぞれに向いている人の特徴をまとめました。
当てはまる要素が多ければ多いほど、そのスタイルが向いているといえます。
自分はどちらにより向いているのか、チェックしてみましょう。
長期投資に向いている人の特徴
長期投資に向いている人の特徴は以下の通りです。
- とにかくリスクを抑えたい人
- 利益を得られるのが遅くてもいい人
- 株式投資初心者で勉強する時間がない人
- 毎日チャートをチェックできない人
- 企業の業績など成長面を重視したい人
じっくりコツコツ取り組むことになるため、老後の資金など将来のための資産形成をしたい方は長期投資がオススメです。
また仕事が忙しくて投資をやる暇がないという人にも、日々の値動きを気にせずに済む長期投資はピッタリといえるでしょう。
短期投資に向いている人の特徴
短期投資に向いている人の特徴は以下の通りです。
- 短期間で大きな利益を得たい人
- 勉強する時間がある人
- こまめにチャートをチェックできる人
- メンタルに左右されにくい人
- しっかりトレード結果を振り返り改善していける人
短期投資では、売買タイミングを逃さず、日々株の技術を磨いていくことが重要です。
そのため、こまめにチャートをチェックしつつ、日々勉強できる時間が確保できる人に向いているといえます。
また何回もトレードを重ねて技術を磨いていくため、勉強の時間を取れる人にオススメです。
あまり投資と向き合う時間がない、やったらやりっぱなしという人には向いていません。
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長期投資と短期投資に関してよくある質問
長期投資と短期投資に関してよくある質問をまとめました。
- 結局どちらがオススメ?
- 両方やるのはダメ?
- NISAならどっち?
- 初期資金が少ないならどっち?
気になる疑問は解決しておきましょう。
結局どちらがオススメ?
投資の目的によって、長期・短期どちらがオススメかは異なります。
また「長期投資がやりたいけれど、実際にやってみたら短期投資のほうが自分に向いている」なんてこともあり得ます。
まずは少額で、長期・短期投資両方を経験してみてもいいでしょう。
実際にやってみないと、自分に向いているかどうかはわかりません。
見聞きした情報だけで判断せず、実際に投資をして経験したうえで判断するようにしてくださいね。
両方やるのはダメ?
長期と短期、両方やるのはOKです。
それぞれ違う手法ですから、どちらか片方しかやっていけないわけではありません。
むしろリスクの分散という意味で、長期・短期投資両方やるのはオススメだといえます。
とはいえ、両方いっぺんに始めるのではなく、片方ずつ順番に取り組みましょう。
どちらか片方に集中して取り組まなければ、両方とも中途半端な結果に終わってしまう可能性がありますよ。
NISAならどっち?
NISAを活用したいのであれば、相性が良いのは長期投資です。
そもそもNISAが中長期の投資を目的とした制度であるため、対象の商品も長期向きのものが多くなっています。
また年間投資枠の上限が決まっているため、短期で大きな利益を出そうとすると、枠をはみ出てしまうことも。
とはいえ、短期投資でもNISAは活用できますから、枠内に収まるのであれば活用はしておきましょう。
投資での利益が非課税になる制度ですから、少しでも利益を増やすためにも、使える制度は使っておきたいですね。
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初期資金が少ないならどっち?
初期資金が少ないのであれば、リスクの低い長期投資がオススメです。
少しずつ資金を積み立てて利益を増やしていけますから、じっくり時間をかけて資金を投入していけます。
1年で100万円投資するのは難しくても、10年かけて100万円投資するのはできそうな方にオススメというわけです。
少ない資金で大きな利益を狙いたいのであれば、しっかり勉強したうえで短期投資に取り組みましょう。
トレードに自信を持てるようになってから、初めてお金を使うくらいで安心です。
いきなり勉強もせずに少ない資金で短期投資を始めるのは危険ですから、そういう場合は長期投資から始めるようにしてくださいね。
長期で積み上げつつ短期で技術を磨いていこう
長期投資と短期投資、両方の良いとこどりをして投資をするのもオススメです。
リスクを抑えて長期で積み上げつつ、短期でトレードを重ねて技術を磨いていくのです。
時間は有限ですから、投資に取り組む意欲があるのであれば、両方についての知識をつけてみましょう。
両方取り組むことで、長期のデメリットを短期のメリットで打ち消しつつ、短期のデメリットは長期のメリットで補完していけます。
どちらにどれくらいの時間を割くのかは、いろいろ試しながらバランス配分を考えてみてください。
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まとめ
長期投資と短期投資には、それぞれメリット・デメリットがあります。
自分にはどちらが向いているのか知るためにも、まずは今回の情報を自分と照らし合わせてみてください。
そのうえで実際に取り組んでみて、違うなと思ったらもう片方を試してみましょう。
長期・短期はそれぞれ別の手法です。
どちらが絶対に優れているということではないですから、自分に合った手法を探してみてくださいね。
株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。