相場格言「人の行く裏に道あり花の山」とは?逆張りの重要性と投資の考え方を丁寧に解説

人の行く裏に道あり花の山

「人の行く裏に道あり花の山」と聞くと、「みんなと逆をやれ」「逆張りで勝て」という意味だと思ってしまいがちです。

でも実際は、ただ反対をすればいい…という単純な話ではありません。むしろ、勢いで逆に動くほど不安が増え、判断もぶれやすくなります。

本記事では、この格言の由来と本来の意味を整理したうえで、投資でどう捉えると納得感が増すのかを、初心者にも分かる言葉と具体例で解説します。

   
目次

格言の出典

相場格言「人の行く裏に道あり花の山」の発言者は、残念ながらはっきりとは判明していません。

しかし一説では、「茶聖」と称されるあの千利休が詠んだ

「人の行く 裏に道あり 花の山 いずれを行くも 散らぬ間に行け」

という句の、上の句ではないかと言われています。

もし千利休が詠んだ句なのであれば、この句を後世に伝えたのは千利休と親交のあった博多商人の島井宗室、もしくは堺商人の今井宗久ではないかとも考えられています。

なぜ相場格言として使われるようになったのか

この言葉が相場格言として残った理由はシンプルで、「多数派の行動が必ずしも最適とは限らない」場面が市場に多いからです。

ただし、ここで“多数派の逆をする”に飛ぶと誤解が生まれます。相場格言は、勝ちパターンを保証する合図ではなく、判断が雑になる瞬間に立ち止まらせる役割を持つことが多いのです。

「みんながそう言っているから」という安心が、判断を置き換えてしまう場面でこそ、効いてきます。

格言の意味とその教訓

「裏に道がある」と言われると、つい“表の反対”を選びたくなるものです。

けれど、投資でも日常でも、反対を選ぶだけでは不安が増え、判断が荒れやすくなります。

ここからは、現代語訳で言葉の骨格をつかみつつ、「裏を行く」を“反対をする”から切り離して解説します。

そうすると、この格言が伝えているのが精神論ではなく、実はかなり実務的な視点だと気づけます。

現代語訳で分かる、言葉の骨格

「人の行く裏に道あり花の山 いずれを行くも散らぬ間に行け」を現代語訳すると、

“きれいな花を求めて山に行くのであれば、誰も行かない裏道を行った方がいい。 しかも、きれいな花が散らない間に行くのがいい。”

という意味になります。

この句を現代語訳の感覚で捉えると、「花を見に行くなら、混んだ表通りだけが道じゃない。

人が行かない道にも良い景色がある。しかも、花が散る前に行こう」という骨格になります。

ここでのポイントは、裏道そのものが正解という話ではなく、「選択肢を表だけに限定しない」ことです。投資に置き換えると、世間の見出しや周囲の雰囲気だけで判断せず、別の情報や見方を持つことに価値がある、という教訓になります。

「裏を行く」とは「反対をする」ことではない

たとえば、人気店の行列を見て「ここは絶対おいしい」と感じるのは自然です。

ただ、行列ができる理由は味だけではありません。SNSでバズった、場所が分かりやすい、回転が遅い、たまたま団体が入った——理由はいくつもあります。

ここで“裏を行く”とは、「反対側の店に入れ」という意味ではなく、「行列=正解という思い込みを外し、判断材料を増やす」ことです。

投資でも、上がっている銘柄=良い、下がっている銘柄=悪い、と短絡しやすい瞬間ほど、判断の根拠を一つ増やす価値があります。

日常の例で理解する「人に寄る安心」の正体

人は「自分で決めた」という感覚より、「みんながそうしている」という感覚の方が、短期的に安心します。

特にお金が絡むと、この安心に寄りかかりやすくなります。ところが、安心は“結果の良さ”とは別物です。

多数派の判断が正しいときもあれば、遅れて反映されるときもあります。

ここでつらいのは、みんなと同じ行動をしたのにうまくいかなかったとき、「自分の判断がない」ぶん反省の手がかりも薄くなることです。

だからこそ格言は、安心の罠に気づかせてくれます。

利益を得る第一条件

相場格言が教えてくれる大きな利益を得るための第一条件は、「ほかのトレーダーと真逆の行動をとる」ということです。

もちろんこういった行動をとることはすごく勇気が必要です。

というのも、自分の資金という大切なものが懸かっているからです。

たとえば、一般的なトレーダーの方は株価が下落傾向にあるときは慎重になり、これから上昇傾向に入りそうなときに株を買う傾向があります。

(図1 当サイトにて作成)

すると、それをずっと続けていると図1のように安いうちに買うことができずタイミングを逃し、高値で買うことになるので大きな利益を上げることはできません。

では、相場格言の教訓を知っているトレーダーの方ならどうするでしょうか?

株価が下落していてもうすぐ下げ止まりそう、ということをチャートの動きからしっかりと分析できていれば、あらかじめ買いを仕込んでおくことをは難しいことではありません。

(図2 当サイトにて作成)

図2のように、株価が下げ止まることを見越して買っておいたことで株が安値で手に入り、その後大きく上昇したことによって大きな利益を確定させることができました。

このように「人の行く裏に道あり花の山」という相場格言は、1人だけ勇気を持ってほかの人とは違う方法をとることで、花の山(大きな利益)を手に入れるができるという教訓を与えてくれています。

格言を生かすべきシチュエーション

では、実際にこの相場格言を生かすべきシチュエーションを紹介します。

  • 世界的にピンチの相場

2016年6月24日にイギリスが国民投票をしてEU離脱を決定したとき、市場ではEU残留が予想されていたのでそれに反した結果が下されたことから、日経平均株価を含む世界中の株価が急落したということがありました。

一般的なトレーダーの方であれば、この状況に陥ると保有している株を手放して損切りをしようとするのがほとんどではないでしょうか。

しかし、これらの急落した株価はその後すぐに回復しました。

つまり、このような世界的に相場が急落していて多くのトレーダーが株を手放しているこの「ピンチ」時に株を買うことこそが、相場格言でいう「裏に道あり」です。

一見ピンチに見える株価急落ですが、相場格言を知っている方からするとそれは「チャンス」でもあるのです。

一概に同じシチュエーションで同じことをすれば儲かるということを保証するものではありませんが、常に先の先を読んでトレードするというのはとても大事なことです。

そして、当然ながら先の先を読むために必要な知識と技術をしっかりと身に着ける、というのも大切ですね。

そうした技術を身につけるためには、プロの再現性の高い手法を身につけることが近道です。

当サイトの監修者である株歴37年以上のプロトレーダー「相場師朗(あいばしろう)」先生が主催の『株塾』では、実際に相場先生が利益を上げてきた手法を惜しげもなくご紹介しています。

相場先生の手法の最も初歩的なものの一つとして下半身・逆下半身というものがあります。

こちらについて知りたい方は、【相場流株技術用語】下半身・逆下半身とは?の記事をご覧ください。

まとめ

  • 「人の行く裏に道あり花の山」という相場格言は千利休が詠んだ上の句であるという一説がある
  • 「ほかの人と同じ行動をするのではなく裏をかいて違う行動をすることこそが、大きな利益に繋がる」という意味
  • ピンチをチャンスとして見れるかどうかが大切

ほかの人と違う行動をとるというのは不安でたいへん勇気が必要な行動ですが、株式投資ではそのような行動力こそが実を結びます。

大勢の人の動きの便乗するのではなく、いったん冷静に考えて事実を吟味することも大切です。

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この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

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この記事を書いた人

著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。

地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。

その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。

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