株式投資を学び始めると、必ず出てくるのが「順張り」と「逆張り」という2つの考え方です。
同じチャートを見ていても、どちらの手法を意識するかによって取る行動やリスクの感じ方は大きく変わります。
本記事では、順張りと逆張りの基本的な仕組みから、それぞれの特徴・リスク・つまずきやすいポイントまでを整理し、どのような場面でどちらを選択しやすいかを解説します。
手法を覚えることよりも、「判断基準を持つこと」に重心を置いて説明していきます。
順張りとは?
順張りは、すでに動き始めているトレンドの方向に合わせて売買を行う考え方です。
「流れに乗る」というイメージがしやすいため、まずは順張りから学ぶ人も少なくありません。
ここでは、順張りの基本的な仕組みと、実際のチャートでよく確認される判断材料を整理し、何を見ながらエントリーの検討を行うのかを具体的に見ていきます。
順張りの基本的な考え方と仕組み
順張りは、価格の流れが一定方向に続いていると考え、その流れに合わせて取引を行う方法です。
上昇トレンドであれば買いから、下降トレンドであれば売り(または保有株の売却)から入る形をイメージすると理解しやすいでしょう。
ポイントは「トレンドが続く可能性に着目する」という点であり、天井やどん底を正確に当てることを目的としないところに特徴があります。
たとえば、ある銘柄の株価が段階的に高値と安値を切り上げている場面では、上昇トレンドが意識されやすくなります。
その流れがしばらく続く前提で、一定のタイミングで買いを検討し、トレンドが弱まったと感じる局面で手仕舞いを検討するのが順張りの基本的なイメージです。
もちろん、トレンドが必ず継続するわけではありませんが、チャートのパターンや指標を組み合わせることで、「今どのあたりの局面なのか」を整理しやすくなります。
順張りでよく使われる判断材料
順張りでは、トレンドの方向と強さを把握するために、いくつかの代表的な判断材料が用いられます。
たとえば、移動平均線が右肩上がりで推移しており、株価がその上で推移している場合は、上昇トレンドが意識されやすい状態と言えます。
また、高値・安値の切り上げ/切り下げの流れ、直近の高値を更新したかどうかといった値動きの節目も手がかりになります。
出来高が増加しているかどうかも、トレンドに参加している投資家の多さを推測する材料になります。
価格が上昇しながら出来高も増えている局面は、多くの投資家がその動きに注目している状態と考えられます。
こうした複数の要素を合わせて観察することで、「単なる一時的な値動きなのか、トレンドとして意識されているのか」を比較的整理しやすくなります。
逆張りのリスク・注意点
逆張りは、うまく反転局面をとらえられれば効率的に値動きを捉えられる可能性がありますが、その一方で、トレンドが想定よりも長く続いた場合には損失が積み重なりやすい手法でもあります。
ここでは、逆張りが初心者に難しいと言われる理由や、価格が動き続ける局面での注意点について整理し、どのような点に気をつけるべきかを見ていきます。
逆張りが初心者に難しいと言われる理由
逆張りが難しいとされる理由の一つは、「反転のタイミングを見極めるための情報が不足しやすい」ことです。
価格が大きく下がっている銘柄を見ると、「そろそろ安いはずだ」と感じやすくなりますが、その下落には業績の悪化や市場環境の変化など、長期的な要因が関係している場合もあります。
外部から見える情報だけでは、その背景をすべて把握することはできません。
また、人の心理として「今が底かもしれない」「もう少しで戻るかもしれない」と期待しやすいことも影響します。
この心理が働くと、想定が外れてもポジションを手放しづらくなり、結果的に下落が続く中で保有期間だけが長くなることがあります。
逆張りを検討する場合は、「どの条件を満たしたら反転の可能性を検討するのか」「どのラインを割り込んだら一度撤退するのか」を事前に定めておくことが重要なポイントになります。
価格が動き続ける局面での注意点
逆張りを検討する局面では、「まだ続くかもしれない」という視点を残しておくことも大切です。
強いトレンドが発生しているときは、価格が一方向に動き続けることがあり、「そろそろ」と感じるタイミングが何度も訪れます。
そのたびに逆張りを繰り返すと、反転までの間に小さな損失が重なり、トータルでは大きな負担になる可能性があります。
このような局面では、単純に価格だけを見るのではなく、出来高の変化や、日足と週足など複数の時間軸での動きを確認することが有効です。
たとえば、短期的には大きく動いていても、長期のチャートではまだトレンド途中に見える場合もあります。
値動きが落ち着き始めているのか、勢いが続いているのかを見極めることが、逆張りを検討するうえでの前提になります。
順張りと逆張り、どちらを選ぶべきか
順張りと逆張りは、どちらが優れているというよりも、「どのような相場環境で、どのような考え方を採用するか」が異なる手法です。
ここでは、両者の比較ポイントを整理したうえで、自分の経験や性格、取れる時間量などを踏まえて、どのようにスタイルを選んでいくかの視点をお伝えします。
順張りと逆張りの比較ポイント
順張りは、すでに発生しているトレンドに注目する手法であり、価格の方向性が比較的はっきりしている局面で検討されることが多くなります。
一方、逆張りは、トレンドの転換点に着目するため、静かな値動きや、行き過ぎた動きの後に現れるパターンに目を向けます。
比較のポイントとしては、リスクの出方と、判断に必要な情報量の違いが挙げられます。
順張りでは、「トレンドが続かないリスク」が中心になり、逆張りでは「トレンドがまだ続いているリスク」が中心になります。
また、順張りはチャートパターンや移動平均線など比較的シンプルな情報からスタートしやすいのに対し、逆張りは「なぜこの水準まで下がっているのか」「材料は出ているのか」といった背景情報も合わせて確認する場面が増えます。
このような違いを理解したうえで、自分がどこまで情報収集に時間を使えるかを考えると、どちらを中心に学び始めるかのヒントになります。
自分に合う投資スタイルを判断する視点
手法を選ぶ際には、「自分がどのような値動きにストレスを感じにくいか」という視点も役立ちます。
たとえば、急落している銘柄を保有することに強い不安を感じる場合、下落中に買い向かう逆張りは心理的な負担が大きくなりやすいでしょう。
逆に、すでに大きく上昇した銘柄に新規で参加することに抵抗を感じる場合は、順張りのエントリータイミングを工夫する必要があります。
また、日中にチャートを頻繁に確認できるかどうかも、スタイル選びに影響します。
短期の値動きを追いやすい環境であれば、細かくエントリーと手仕舞いを調整することも可能ですが、日中はほとんど相場を見られない場合は、より長い時間軸でのトレンドを中心に考える方が性格や生活リズムに合うこともあります。
順張りと逆張りのどちらか一方に固定するのではなく、「今の自分の状況では、どちらの考え方が取り入れやすいか」を基準に選んでいくことが、長く学び続けるうえでのポイントになります。
【相場先生株用語】下半身・逆下半身とは?株初心者向けに徹底解説します
よくある質問:順張り・逆張りの実践でつまずきやすいポイント
Q1. 順張りと逆張りは、どちらか一方に絞るべき?
A. 初心者のうちは「順張り」に絞る方が安全です。
順張りはトレンドに沿って売買するため、判断基準が明確で失敗しにくいのが特徴です。
慣れてきたら、「上昇トレンド中の押し目買い」や「下降トレンド中の戻り売り」など、順張りの中に部分的に逆張り要素を取り入れる形でステップアップすると良いでしょう。
Q2. 逆張りを成功させるコツはありますか?
A. 最も重要なのは「トレンド転換の初動」を見極めることです。
そのためには、移動平均線の傾きやローソク足の形、出来高の変化など複数の要素を組み合わせて確認しましょう。
また、逆張りでは“リスクを限定する”ことが必須です。
損切りラインをあらかじめ設定し、小さな損失で撤退できるようにしておくことで、リスクを最小限に抑えることができます。
まとめ
順張りと逆張りは、株式投資における代表的な二つの考え方ですが、その本質は「流れに沿うのか」「転換点を意識するのか」という違いにあります。
それぞれに特徴やリスクがあり、どちらか一方だけが優れているわけではありません。
本記事では、順張り・逆張りの仕組みと、判断に使われる主な材料、つまずきやすいポイントを整理しました。
大切なのは、手法そのものよりも、「どの視点でチャートを見ているのか」を自覚し、自分の経験や性格、取れる時間に合ったスタイルを選んでいくことです。
まずは小さな金額や過去チャートの検証など、学びを深める練習から始め、自分なりの判断基準を少しずつ育てていくことで、順張り・逆張りの理解がより実践的なものになっていきます。
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著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。







