「お金にも働いてもらう」という言葉を耳にしたことはありませんか?その中核を担うのが「複利」の力です。
かつて物理学者のアインシュタインが「人類最大の発明」と評したこの仕組みを正しく理解し、活用できるかどうかで、数十年後の資産額には驚くほどの差が生まれます。
「投資は難しそう」「損をするのが怖い」と感じている初心者の方こそ、複利の仕組みを知ることで、長期投資の確実性と心強さを実感できるはずです。
本記事では、投資信託における複利の基礎から、効率的に資産を増やすための具体的な選び方まで、結論を明確にお伝えします。
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投資信託における「複利」とは何か?
投資信託における複利とは、「利益がさらに利益を生む効果」のことです。
具体的にいうと、投資で得た利益をそのまま投資し続けることで、次に得る利益が元本だけでなく、過去の利益にも基づいて計算される仕組みです。
これによって、長期間にわたって投資を続けると、最初の元本だけでなく利益そのものも大きく成長します。
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単利との違い
運用の利益の計算方法には、複利のほかに単利があります。
下記の図は、複利と単利の違いを表しています。

複利は元本と運用益に対して利益が発生するのに対し、単利は元本に対してのみ利益が発生する計算方法です。
複利と単利は下記の式で計算します。
複利:元利合計=元本×(1+年利回り)運用年数の累乗
単利:元利合計=元本×(1+年利回り)×運用年数
単利の場合、同じ利率で運用すると運用益は常時一定の金額となります。
一方、複利は元本が増えていくために、運用益も増えていきます。
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資産が2倍になる時期がわかる「72の法則」
複利の凄さを実感するための便利な道具として「72の法則」があります。
これは、複利運用をした時にお金が2倍になるまでの期間を、暗算で簡単に見積もることができる便利な数式です。
72の法則の活用方法
公式は非常にシンプルです。
「72 ÷ 年利(%) = 資産が2倍になるまでの年数」 例えば、年利3%で運用している場合、72 ÷ 3 = 24となり、約24年でお金が2倍になることが分かります。
もし年利6%であれば、72 ÷ 6 = 12となり、わずか12年で2倍に到達します。
目標設定の指針になる
この法則を知っておくと、自分の目標とする資産額に対して、どれくらいの利回りが必要か、あるいはどれくらいの期間待つべきかが即座に判断できるようになります。
現在の銀行預金の金利(例:0.02%など)で計算してみると、2倍になるまでに3,600年もかかることが分かります。
これでは複利の恩恵を生きている間に受けることはできません。
だからこそ、適切な利回りが期待できる投資信託での運用が不可欠なのです。
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複利と単利の資産推移シミュレーション
元本(初期投資額)100万円、年利5%、運用期間30年と仮定して、複利と単利でどのように資産が増えるか比較します。
| 年数 | 複利(万円) | 単利(年数) |
|---|---|---|
| 0 | 100.0 | 100.0 |
| 1 | 105.0 | 105.0 |
| 2 | 110.25 | 110.0 |
| 3 | 115.76 | 115.0 |
| 5 | 127.63 | 125.0 |
| 10 | 162.89 | 150.0 |
| 15 | 207.89 | 175.0 |
| 20 | 265.33 | 200.0 |
| 25 | 338.64 | 225.0 |
| 30 | 432.19 | 250.0 |
結果、単利では30年後に資産は250万円(元本の2.5倍)になる一方、複利では30年後に資産は約432万円(元本の約4.32倍)となりました。
単利では毎年一定額の利益しか得られませんが、複利では利益が再投資され、時間が経つほど加速度的に資産が増えていきます。
複利の効果により、長期運用するほど資産が大きく成長することが明確です。
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複利を活用する方法
投資信託でより大きな複利効果を享受するには、3つのポイントがあります。
- 長期で投資をする
- 分配金なしの銘柄を選ぶ
- 分配金再投資型の投資信託を選ぶ
詳しく解説していきます。
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長期で投資をする
投資信託を始めて間もないうちは、複利と単利の運用益に大差はありません。
しかし、シミュレーションのように運用期間が長くなるにつれて差はどんどん大きくなります。
複利効果を享受するには、10年・20年単位と長期的に腰を据えて運用することが大切です。
つまり、できるだけ早く投資を始めた方がより長い期間運用することができ、効率的な資産の成長を見込むことができます。
新NISAやiDeCoなどの制度を活用して、10年・20年単位で長期投資を行いましょう。
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分配金なしの銘柄を選ぶ
投資信託は、分配金ありと分配金なしの2タイプです。
複利効果を得たい場合は、基本的に分配金なしを選ぶ必要があります。
分配金なしタイプは分配金が支払われませんが、その分の運用利益が自動的に再投資され、複利効果を得ることができます。
ただし、解約するまで投資信託の運用利益は受け取れませんので、この点は注意してください。
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分配金再投資型の投資信託を選ぶ
複利の恩恵を受けるには、得た利益をすぐに使わずに再投資することが大切です。
投資信託には、大きく分けて一定期間の運用益の一部を分配して投資家に払い出す分配金受取型と、運用益を分配せず再投資する分配金再投資型の2種類があります。
分配金再投資型は運用益を自動的に再投資するため、利益が利益を生む複利効果を狙うことができます。
運用中に分配金を受け取ることはできませんが、元本が増えるため、より効率的な運用を実現することが可能です。
また、分配金再投資型は分配金支払いによる基準価額の下落がないため、より高い運用効果を期待できます。
分配型受取型の詳細については、下記の記事で詳しく解説しています。
投資信託の複利に関するよくあるQ&A
Q1. 分配金を受け取っても、あとで自分で再投資すれば複利になりますか?
A. 理論上は可能ですが、効率が大幅に落ちます。
分配金を受け取る際、通常は約20%の税金が差し引かれます。
手元に残った80%の金額を再投資しても、最初から税金を引かれずに内部で再投資される「再投資型」に比べると、将来の資産額は少なくなってしまいます。
手間と税金面の両方から、自動再投資設定にしておくのが最も賢明です。
Q2. 複利運用でも元本割れするリスクはありますか?
A. はい、あります。複利はあくまで「利益が出た場合に、それをどう運用するか」という計算上の仕組みです。
投資信託自体の価値(基準価額)が下がれば、元本を割り込む可能性は当然あります。
しかし、長期で複利運用を続けることで、一時的な下落を乗り越えて平均利回りを安定させやすくなるため、長期的にはリスクを抑えながらリターンを目指すことができます。
Q3. 「72の法則」以外に役立つ法則はありますか?
A. 積立投資の複利計算に役立つ「126の法則」というものがあります。
これは、毎月一定額を積み立てながら複利運用した場合に、資産が2倍になる期間を計算するものです。
「126 ÷ 利回り」で算出できます。
例えば、積立投資で年利5%を目指すなら、126 ÷ 5 = 25.2となり、約25年で積立総額の2倍の資産が築ける目安になります。
Q4. 複利効果を実感するのに最低何年くらい必要ですか?
A. 一般的には、少なくとも10年以上の継続が推奨されます。
シミュレーションを見ても分かる通り、複利のカーブが急上昇し始めるのは10年目以降です。
最初の数年は、手数料や市場の変動により増えている実感が湧きにくいかもしれませんが、そこで諦めずに「複利の種」を育て続けることが、将来の大きな成功に繋がります。
まとめ
元本に運用益を加えて再投資する複利は、元本のみを運用する単利に比べてより大きな運用成果を期待できる運用方法です。
投資信託においては、分配金再投資型を選ぶことで複利効果を狙いやすくなります。
複利効果の恩恵を受けるには、長期投資が向いています。
新NISAやiDeCoを利用して、毎月少額でもできるだけはやく投資信託を始めて、将来に向けた資産形成を行うことをおすすめします。
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株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。






