投資信託の人気ランキングの罠とは

今回は、投資信託の人気ランキングに潜むリスクについてご紹介します。

投資信託の人気ランキングを、購入時の参考にする人は少なくありません。

もちろん商品として優れているために人気の高い投資信託もありますが、必ずしもそうとは限りません。

「投資信託って種類が多くて選べない。とりあえず一番人気の商品を買えばオッケーだよね!」
「みんな買ってる商品なら間違いないはず」
「営業マンから人気商品って勧められたから、良さそう」

こんな風に考えたことがある人は、これからご説明する投資信託の人気ランキングのカラクリについて理解したうえで、再考されることをおすすめします。

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目次

(1)投信ランキングが人気の理由

投資信託のランキングは、証券会社や銀行などの投資信託販売機関や、格付け機関などによって作成されています。

投資信託ランキングには「積立設定金額」「資金連続流入」「トータルリターン」などさまざまな切り口がありますが、最も注目されるのは「販売金額」または「販売件数」です。

つまり「売れ筋ランキング」です。

ネット証券などの投資信託のページにアクセスすると、投資信託ランキングは目立つ場所に表示されており、需要の高さがうかがえます。

投資信託ランキングが人気の理由の1つは、投資信託商品を選ぶのが難しいと考える人が多いからです。

投資信託は数多くの商品が販売されており、インデックス型、アクティブ型、分配型、ファンド・オブ・ファンズなどその種類も多岐にわたっています。

どの投資信託を買えばよいかわからず、人気ランキングを参考にしたくなる人は少なくありません。

さらにもう1つの理由として、販売側が売りたい商品をアピールするという意図があるでしょう。

後ほど詳しくご説明しますが、販売側が売りたいと考える商品を積極的に投資家に勧めることで、結果的に販売件数が増加し、人気ランキングの上位にランクインすることがあります。

販売側が売りたい上位人気の商品が、ランキング効果でさらに売れることで、販売側にもメリットが生じます。

このように投資信託の人気ランキングは、投資家と販売側双方からのニーズがあるのです。

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(2)投信ランキングに潜む危険

投資信託を購入する際につい参考にしたくなってしまうランキングですが、その裏には危険が潜んでいます。

投資信託の人気ランキングで注意したい、2つの危険についてご紹介します。

①「売りたい」商品が上位の場合がある

まず、販売側が儲かるために「売りたい」と考えている商品が、人気ランキングの上位にランキングしているケースがあります。

実際に投資信託の販売窓口ごとに、販売金額ランキングを見比べてみると、一定の傾向が見えてきます。

大手ネット証券では、手数料が比較的安いインデックスファンドが上位にランクインしている傾向があります。

一方で店舗型の銀行など、対面販売が多い窓口では、手数料の高いアクティブファンドや、毎月分配型投資信託などがランクインしている傾向があります。

ネット証券ではネット上などで自ら情報収集し、手数料の安い商品などを自力で選択できる投資家が多い一方、郵便局や銀行などでは対面で販売員から勧められて購入する投資家が多いのです。

同じ銀行でも、例えばイオン銀行などは「ネット」と「対面」それぞれの販売ランキングを公開しています。

2020年2月の月間購入件数のランキングでは、ネット販売では販売手数料が無料の「ノーロード」商品がトップなのに対し、対面販売では毎月分配型のファンド・オブ・ファンズがトップとなっていました。

ファンド・オブ・ファンズの罠」でもご紹介した通り、ファンド・オブ・ファンズは特に手数料の高い商品です。

販売側は手数料収入で利益を得ているため、アクティブファンドなどの手数料の高い商品を勧めるケースが少なくありません。

アクティブファンドが上位に来ているランキングは、販売側が「売りたい」商品が上位にランキングしている可能性が高いといえるでしょう。

販売側が「売りたい」商品が、投資家にとってベストな商品とは限りません。

むしろ割高な手数料で投資家の利益が目減りしてしまうことが少なくないのです。

なすぁ特に対面販売で勧められるがままに購入してしまう投資家ほど、自力で判断できずランキングに頼ってしまいがちなので、注意が必要です。

②人気の影響で、運用成績が下がる場合がある

2つめの注意点として、投資信託の人気が高すぎると、運用成績に悪影響が生じることがあります。

特定の投資信託の人気が高まると、購入者が増えて運用資金が急増することがあります。

緩やかで継続的な安定した資金の増加は、投資信託の運用にプラスとなる場合が多いでしょう。

しかし一時的に資金が急増してしまうと、運用側は早急に投資先を検討しなければならないというプレッシャーに苦しむ場合が少なくありません。

焦ったり必要以上に急いだりすると、プロのファンドマネージャーでも投資判断が鈍ってしまうことがあるのです。

さらに運用資金が急増するということは、運用資金が急激に減るリスクもはらんでいます。

投資経験の浅い人ほど、人気ランキング上位の投資信託を購入する傾向があります。

そのような人は、マーケットが一時的に低迷するなどして価格が一時的に下がってしまうと、慌てて売却してしまうことが少なくありません。

すると解約が急増して運用資金が急激に減ってしまい、運用が不安定になって成績が下がってしまうことがあります。

またAIやフィンテックといった旬のテーマの業種に投資する「テーマ型」ファンドは、人気を集めやすいですが、ブームが過ぎると一気に解約が増えてしまうことがあります。

人気だからと安易に飛びついて、後から痛い目をみる投資家は少なくありません。

投資信託を売却するタイミングはいつがいい?

まとめ

投資信託にはたくさんの商品があるので、特に初心者は人気ランキングをつい参考にしたくなってしまいます。

投資信託の人気ランキングはさまざまな機関から公開されており、場合によっては販売側が儲かる手数料の高い商品ばかりがランクインしていることもあるので、初心者の方でも注意が必要です。

また人気の投資信託は、ブームが過ぎた後に解約が急増して運用成績が下がるなどのリスクもはらんでいます。

安易に人気ランキングを鵜呑みにして購入すると、思わぬ損失を抱えることもありますので注意しましょう。

初心者向けと言われることも多い投資信託ですが、注意しなくてはならない点が多いことをお分かりいただけたのではないでしょうか。

資産を長期的に形成していくためには、数ある投資商品の中から何がベストなのか、それぞれの商品の本質を理解したうえで、自分で判断することが大切です。

例えば株式投資は上級者向けといわれることもありますが、手数料や中身の分かりやすさなどで、初心者にとって投資信託よりも優れている点も少なくありません。

資産を安定的に増やすためのベストな選択ができるよう、投資商品の理解を深めていきましょう。

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この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

この記事を書いた人

著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。

地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。

その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。

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