相場格言「噂で買って事実で売る」とは?ニュースと市場の関係を解説

噂で買って事実で売る

みなさんは相場格言「噂で買って事実で売る」をご存知でしょうか?

株式投資をしていると、嘘か事実かは関係なく銘柄に関するさまざまな情報が飛び交うものですよね。

とくに真面目で慎重派な方は「このニュースは本当なのか…?」、「まだ噂レベルだし…」と、情報の信ぴょう性を重視しすぎてはいませんか?信ぴょう性を疑うことは間違っていないのですが、実は株価は思ったよりも事実以上に噂レベルの情報を織り込むものです。

そういった株式市場のメカニズムを利用した教訓を持つ相場格言「噂で買って事実で売る」について、本記事ではご紹介していきます。

この記事でわかること

  • 「噂で買って事実で売る」の出典
  • 意味と教訓
  • 格言を生かすシチュエーション

相場格言「株を買うより時を買え」とは

目次

格言の出典

まずは相場格言「噂で買って事実で売る」の出典について、ご紹介します。

こちらの相場格言は初め、日本語ではなく英語の「Buy the rumor,sell the fact」としてアメリカのウォール街で、はるか昔に生まれたものだとされています。

この「株式は(買い材料となる)噂が出たら買って、事実が出たら売るものだ」という心構えは、株式投資において全世界共通で重要とされる概念であったため、日本でものちに広まりました。

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格言の意味とその教訓

次に相場格言「噂で買って事実で売る」の意味や教訓について、ご説明していきます。意味はそのままです。

株式を買うべき材料(噂レベルでOK)が出たらその時点で買っておき、その噂が事実としてきちんと判明した時点ですぐに売っておこうということになります。

たとえば日々のニュースなどで企業に関するよい材料があることが判明すると、「次に発表されるのは好決算だろう」と期待してしまうものです。

つまり、決算発表に伴って株価は上昇すると思いますよね。

それなのに、好決算が発表された直後株価が予想を反して下落してしまったという経験はありませんか?

普通なら「好決算が発表された直後に株価が上昇するはずなのに…」と思ってしまうものです。

ただし、株式投資においてはそう思うようにはいかないことがあります。

つまり“人間が思う常識のようには動かないこともある”と心得ておく必要があるということです。

そこで思い出すべきなのが相場格言「噂で買って事実で売る」です。

“好決算”という株価上昇の材料となる事実が発表された時点では、その情報はすでに株価にトレーダーの思惑が織り込まれている可能性があるため「好決算なのでは…?」という噂・憶測が生じた時点で買っておいた方がよいということになります。

というのも、株価は事実そのものよりも噂やトレーダーの思惑が生じた時点で先に変動する可能性が高いです。

そのため株価の変動材料が事実かどうかを確認している間にも噂レベルでの材料が株価に織り込まれるので、事実確認をしていては買いタイミングを逃してしまいます。

もちろん悪材料の場合も同様です。

では次に、なぜ事実が発表された時点ですぐに売る必要があるのでしょうか?というのも、株価は噂レベルの材料によって買ったり売ったりされればされるほど反発するときのエネルギーが大きくなるとされています。

つまり「好決算なのでは…?」という期待が高まれば高まるほど、株価変動のパワーが大きくなるということです。

その後決算発表によって期待されていた“好決算”という噂が事実だった(実現した)と判明することで、あらかじめ噂時点で買ったり売ったりしていたトレーダーの多くが反対売買に転じると考えられます。

というのは、たとえば好材料の場合だと決算発表がなされる直前がトレーダーの期待によって最も株価が高値にあると考えられるからです。

まとめとして、株価は噂レベルの材料でさえも先に織り込んでしまうものなので「事前に動いておく」という心構えが大切になります。

しかし、噂だけで判断してしまうのは危険があります。

しっかりと株価チャートを分析して、根拠を持ったエントリーができるようになるとよいでしょう。

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格言を生かすべきシチュエーション

では、実際にこの相場格言を生かすべきシチュエーションを紹介します。

  • G20前後の日経平均株価

2018年11月30日~12月1日に、アルゼンチンのブエノスアイレスでG20が開催されていました。

2018年初め頃から米中貿易戦争がニュースとなっていただけではなくアメリカのトランプ大統領、中国の習近平国家主席両者が出席していたため、世界は「米中貿易戦争について何か語られるのか…?」という姿勢で見ていたことでしょう。

注目すべきなのが日経平均株価で、その当時12月1日まで株価は6日連続で上昇していました。G20が平穏に進んでいたということもあり、この株価上昇は妥当だと考えられていたでしょう。

結末としてG20では、アメリカが予定していた関税発動を90日延期することが同意されたことを受け12月3日には日経平均株価は8日連続で上昇となりました。

ただしその翌日には何が起こったかというと、とくに大きな悪材料が出たというわけでもないのに、日経平均株価は500円以上も下落しました。

どうしてこのようなことが起きたのかを考えるにあたって、相場格言「噂で買って事実で売る」を思い出してみましょう。

おそらくG20が開催されているなかで「米中貿易戦争は激化しないだろう」、「G20は平穏に終わるだろう」という噂が感じ取れたことで、株価上昇を見越して先に株式を買っておくトレーダーが多く存在したのだと考えられます。

ファンダメンタルズの要因で考えると、このようにああでもないこうでもないといろいろと理由を後付けできますが、実際にトレードをする際には一般トレーダーには判断が難しいでしょう。

では、どのようにトレードの判断をすればよいでしょうか?

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株価チャートを元に売買をする

噂で買って事実で売るという格言について見てきていますが、実際に売買する際は株価チャートの売買シグナルを元に建玉をする方が精度の高いトレードを実現することができます。

上記で説明したG20の時の株価チャートを実際に見てみましょう。

このようにチャートを見ると、青い線(60日移動平均線)と紫の線(100日移動平均線)がローソク足の上にあるのがわかるかと思います。

この長期の移動平均線の位置とローソク足を比較すると、ローソク足の方が下に位置しているということは、基本的には株価の動きは弱い状況であると考えられるのです。

もちろん、下落が終わって上昇に向かう可能性もありますが、移動平均線とローソク足のチャートで株価の動きを捉える株の技術を磨いていけば、そろそろ下落するかもしれないと予測を立てることも可能なのです。

株初心者の方は、チャートを見ただけですぐに上昇局面か下落局面かを捉えるのは難しいかもしれませんが、チャートを研究して将来の株価が予測できるようになればこういった場面でも上手くトレードができるようになるでしょう。

実際に、どのような噂が上昇・下落に繋がるかは事前にはわからないことが多いですが、株価チャートには既に上昇や下落の兆候が出ている可能性があります。

なぜなら、噂の真偽は一般トレーダーにはわかりませんが、株価チャートはすべてのトレーダーが見ることができるものだからです。

こうしたツールを最大限に活用することで、トレードで利益を上げられるようになるでしょう。

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まとめ

  • 相場格言「噂で買って事実で売る」とは、買い材料が出たら噂レベルであってもその時点で買っておき、事実が明るみになった時点で売っておこうという意味
  • ウォール街で生まれた「Buy the rumor,sell the fact」の和訳
  • 実際には、株価チャートを分析してトレードをした方が精度が上がる

いかがでしたでしょうか?

本記事では相場格言「噂で買って事実で売る」の出典や意味、生かすべきシチュエーションをご紹介しました。

噂が現実だとわかったタイミングは、往々にして時すでに遅しで、予期せぬ株価の動きをする可能性もあります。

株価チャートを分析するテクニカル分析をしっかりと覚えて、より精度の高いトレードができるように練習していきましょう。

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この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

この記事を書いた人

著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。

地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。

その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。

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