SNSやニュースで他人の爆益報告を目にすると、焦りや嫉妬を感じてしまうのは投資家の性かもしれません。
しかし、相場の世界には古くから「人の商い、うらやむべからず」という格言があり、他人の成功を追いかける危うさを戒めています。
結論から言えば、投資で長期的に勝ち残るには「他人との比較」を捨て、自分自身のルールを完遂することが不可欠です。
本記事では、この格言の深い意味や、現代のSNS時代にどう活用すべきかを詳しく解説します。
「人の商い、うらやむべからず」の出典と歴史的背景
この格言のルーツは、江戸時代の伝説的な相場師、本間宗久(ほんまそうきゅう)が記した『相場三昧伝』にあります。
本間宗久は「相場の神様」と称され、現代のテクニカル分析の基礎である「ロウソク足」を考案した人物としても知られています。
原文では「人の商いうらやましく思うべからず。但し、うらやましく思う時は、その時の相場の位を弁えず、唯うらやましく思う心計りにてする故、手違いになるなり」と記されています。
これは、他人の利益をうらやむ心が生じると、現在の相場環境(位)を冷静に判断できなくなり、感情だけで動くため失敗を招くという意味です。
江戸時代の米相場も現代の株式市場も、人間の心理が価格を動かす本質は変わりません。
本間宗久が説いたのは、手法のテクニック以上に「規律を乱す心の動き」をどう制御するかという、投資家としてのメンタル管理の重要性でした。
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本間宗久: 酒田五法を考案した、山形県酒田市出身の相場師
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相場三昧伝: 彼の投資哲学が凝縮された秘伝の書
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教訓: 感情が理性を上回ったとき、投資家は「手違い(ミス)」を犯す
相場格言「もうはまだなり、まだはもうなり」とは?投資判断を誤らないためのヒント
格言が教える現代投資への深い教訓
現代において「人の商い」をうらやむ機会は、江戸時代よりも圧倒的に増えています。
SNSを開けば、数千万円の利益を公開するトレーダーや、特定の銘柄で資産を数倍にした「億り人」の投稿が溢れているからです。
しかし、ここで冷静になる必要があります。
他人の利益額は、その人のリスク許容度、資金量、そして投資期間に基づいた結果に過ぎません。
それに対して嫉妬し「自分もすぐに稼がなければ」と焦ると、本来の自分のルールを逸脱した無理なトレードに走ってしまいます。
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資金管理の崩壊
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他人に追いつこうとして、許容範囲を超えるポジションを持つ
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分析の欠如
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根拠のない「イナゴ投資(他人の推奨銘柄に乗ること)」をしてしまう
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出口戦略の喪失
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他人がまだ持っているからという理由だけで、利益確定や損切りが遅れる
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投資は「誰が一番早く稼ぐか」を競うレースではありません。
自分の資産を守り、着実に増やしていく自己完結的な営みです。
他人の収支に一喜一憂することは、自分の財布の鍵を他人に預けているのと同じくらい危険な行為と言えるでしょう。
格言を生かすべきシチュエーション
では、実際にこの相場格言を生かすべきシチュエーションを紹介します。
ある通貨の高騰
2017年は「仮想通貨元年」ともいわれる年で、ビットコインの価格が5月以降に60%以上も上昇し、ニュースなどでも大変話題になりました。
このときたまたまビットコインを保有していた人や事前に仕込んでいた人は大儲けで、SNSではビットコインによって大きな利益を得て資産が1億円を超えた人を示す「億り人」という言葉が飛び交ったほどです。
当時「ビットコインを買っておけばよかった……。」と、億り人をうらやましく思った方も多いのではないでしょうか?
ただし、そこでビットコインを保有していた人を羨んで、我先にと投資対象を探したり通貨を買ったりして自分のトレードスタイルを崩してはいけません。
仮想通貨は大きく話題になった後、一時価格が大きく下落するなど、予期せぬ動きをしていたため、損失を被ってしまった方もいるのではないでしょうか?
こうした事態に陥らないためには、自身のトレードスタイルをしっかりと確立し、様々な情報に惑わされないことが重要です。
上記は仮想通貨の話になりますが、たとえば株式投資においてもストップ高などで株価が急騰したような銘柄を保有していた人だけが大きな利益を得られ、それを羨んで後乗りしたらその後株価が急下落して損失を被るというよう出来事が起こる可能性もあるでしょう。
そのようなとき自分が当事者でなかったとしても割り切って、「人は人、自分は自分」として自身のトレードに集中できるといいですね。
株式投資初心者
株式投資初心者の方にも、ぜひ相場格言「人の商い、うらやむべからず」を意識しておくとよいでしょう。
投資を始めたばかりだととくに他人の状況が気になってしまいますし、早く利益を出して自分に自信を持ちたいと思ってしまうものですよね。
ただし、だからといってトレードスタイルが確立する前に他人を真似たり、ハイレバレッジな取引で無茶をしたりしてしまってはたいへん危険です。
一気に投資資金を失って、株式投資を諦めることになりかねません。
初心者の方は無茶なトレードをしなくても、コツコツと経験を積んでいけばたくさんの知識を得ることができます。まずは自分で考えて投資する力というのを身に付けて、他人のことを気にしないで済むほどに経験値を高めていきましょう。
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投資初心者が「自分軸」を確立するためのステップ
初心者が他人の商いをうらやましく思わなくなるためには、「自分の型」を作ることが唯一の解決策です。
判断基準が曖昧だからこそ、他人の声が大きく聞こえてしまうのです。
まずは、小さな金額で「なぜ買ったのか」「いつ売るのか」を明確にしたトレードを繰り返しましょう。
自分の根拠に基づいて利益が出た経験は、他人の偶然の爆益よりも何倍も価値があります。
その積み重ねが「自分は自分のやり方で勝てる」という自信に繋がり、他人のノイズを遮断するフィルターになります。
また、あえて「情報を遮断する」時間を作ることも有効です。相場が荒れているときや、自分の調子が悪いときほど、スマートフォンの電源を切り、チャートやSNSから離れる勇気を持ってください。
よくある質問(Q&A)
Q1. 他人の爆益ツイートを見ると、どうしても焦ってしまいます。どうすればいいですか?
A. まずは「SNSのミュート機能」を活用しましょう。投資はメンタルゲームです。
自分の心を乱す情報は、たとえ有益であっても自分にとっては「毒」になります。
まずは自分の精神状態を安定させることが最優先です。
Q2. 成功している人の真似をするのは悪いことですか?
A. 手法の勉強として真似をするのは良いことですが、銘柄だけを真似するのは危険です。
その人がなぜその銘柄を選び、どこでリスクを取っているのかという「思考プロセス」を吸収することに主眼を置いてください。
Q3. 自分のスタイルがまだ決まっていない場合はどうすべきですか?
A. 無理に売買せず、まずは少額投資やデモトレードで「自分が許容できる損失額」を知ることから始めてください。
他人の商いをうらやむ前に、自分の「負けパターン」を知ることが、自立した投資家への第一歩です。
まとめ
相場格言「人の商い、うらやむべからず」を実践するためのポイントは以下の3点です。
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比較を捨てる: 他人の利益は、その人のリスクと運の結果であり、自分とは無関係と心得る
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感情の制御: 「うらやましい」と思った瞬間に、冷静な判断力が失われていると自覚する
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自分軸の構築: 他人の声に惑わされないよう、独自の投資ルールと根拠を磨き続ける
株式投資は、一生続く長い旅のようなものです。隣を走る車がどれだけ速くても、自分のガソリン残量やエンジンの状態を無視して加速すれば、いつか必ず事故を起こします。
初心者が最も損をしやすいポイントは、「自分の実力以上のリスクを、他人の成功に触発されて取ってしまうこと」です。
他人の商いをうらやむ心を捨て、本間宗久が説いたように「相場の位」を冷静に見極める目を持つこと。
それこそが、荒波の相場で生き残り、最後に笑うための唯一の道なのです。

著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。






