「ADRとは何だろう?」と疑問に思っていませんか?
ADRという言葉は聞いたことがあるものの、具体的にどのような金融商品なのかわからないという方が多いようです。
そこで今回は、ADRの基本的な意味や仕組みについて解説します。
本記事を読むと、初心者の方でもADRとは何なのかについて理解したうえで投資先の幅を広げられるようになりますので、ぜひ最後までご覧ください。
ADRの株価はあてにならないのは本当?仕組み・ズレの原因・使い方を解説【日本株との関係】
ADRとは何?
本章では、ADRの概要について以下の内容に沿って解説します。
- ADRとは
- ADRの仕組み
- ADRの種類
それぞれみていきましょう。
ADRとは
ADR(American Depositary Receipt)は「米国預託証券」と訳される金融商品で、海外企業の株式を米国の証券取引所で売買できるようにした証券を指します。
米国にある預託銀行が海外企業の株式を現地で取得・保管し、保管した株式の所有権を示す証券を米ドル建てで発行する仕組みです。
ADRの保有者は原株(現地市場の株式)の経済的権利をすべて引き継ぐため配当金も受け取れます。
世界70か国以上の企業がADRを通じて米国市場に上場しており、日本の個人投資家も国内の証券会社経由で海外企業の株式の売買が可能です。
外国の証券口座を別途開く必要がなく、米国株と同じ感覚で海外企業へ手軽に投資できる点がADRの大きな魅力といえます。
ADRの仕組み
ADRは、預託銀行(米国銀行)が海外企業の株式を現地で買い付けて保管し、保管した株式を裏付けとする証券を米国市場で発行・流通させる仕組みです。

なお、預託銀行としてJPモルガンやシティバンクなどの大手銀行が一連の工程を行っています。
ADRの種類
ADRは「スポンサーなし」と「スポンサーあり」の2種類に大別されます。
本章では、それぞれの特徴について解説します。
スポンサーなし
スポンサーなしADRは、外国企業の関与なしに預託銀行が発行するタイプのADRです。
投資家側の需要に応じて既存の株式をもとに組成されるケースが多く、企業自身が発行されたことを知らない場合すらあります。
企業からの直接的な情報提供が得られないので開示内容が限定的で、取引はOTC(店頭)市場が中心となります。
そのため、流動性が低く情報収集に手間がかかるのが特徴です。
スポンサーあり
スポンサーありADRは、外国企業自身が預託銀行と預託契約を結んで発行するタイプのADRです。
スポンサーありADRにはレベル1〜3の段階があり、レベルが上がるほどSEC(米証券取引委員会=米国の金融市場を監督する政府機関)への報告義務が厳格になります。
各レベルの違いは、以下のとおりです。
| レベル | 取引市場 | 資金調達 | SEC報告義務の負担 |
| レベル1 | OTC(店頭)市場 | 不可 | ★ |
| レベル2 | NYSE・NASDAQなど主要取引所 | 不可 | ★★ |
| レベル3 | NYSE・NASDAQなど主要取引所 | 可 | ★★★ |
なお、基本的に日本の個人投資家が取引できるADRは、スポンサーありADRのレベル2以上の銘柄に限られます。
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ADRのメリット
ADRの主なメリットは、以下のとおりです。
- グローバル分散が手軽に可能
- 少額から投資できる
- 情報の透明性が比較的高い
それぞれ解説します。
グローバル分散が手軽に可能
ADRを活用すれば、米国の証券口座ひとつで世界各国の有力企業へ投資でき、ポートフォリオの地域分散を簡単に実現できます。
通常、海外の株式市場に直接投資するには現地の証券口座開設や現地通貨への両替など複雑な手続きが必要ですが、ADRであれば米国株の取引と同じ要領で完結します。
たとえば、英国のシェルなど異なる国籍の企業でも、米国市場の取引時間内にまとめて投資可能です。
したがって、特定の国や地域に資産が偏るリスクを抑えたい投資家にとって、ADRは有効な選択肢となるでしょう。
少額から投資できる
日本の株式市場では基本的に100株単位での購入を求められますが、ADRは1株単位で売買できるため、少ない資金からでも海外企業への投資をスタートできます。
そのため、投資にまわせる資金が限られている方でも、海外投資に挑戦するハードルが低い点がメリットです。
また、ブラジルやインドなど新興国の株式に直接投資する場合、現地通貨への両替にかかるコストが割高になりがちです。
しかし、ADRなら米ドル建てで取引できるため、マイナー通貨への両替にともなう割高な手数料を抑えやすくなるメリットもあります。
情報の透明性が比較的高い
ADRとして米国市場に上場する企業は、米国証券取引委員会(SEC)が定める規制に従い、財務報告や情報開示を行うことが求められます。
このことから、投資家は企業の業績や経営状況に関する情報を、米国の会計基準に沿った形で確認できます。
そのため、現地市場に上場している外国企業とADRを比較すると、情報の透明性が高く投資判断がしやすいです。
また、英語での情報提供が行われるので、言語の壁による情報格差も軽減されます。
こうした透明性の高さは、海外企業へ投資する際のリスクを低減できるため、ADRの大きな利点のひとつといえるでしょう。
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ADRのデメリット
ADRにはメリットだけでなく、投資前に把握しておくべきリスクやデメリットも存在します。
本章では、以下の内容に沿ってADRのデメリットについて解説します。
- 原株との価格乖離が生じることがある
- 上場廃止リスクがある
- 銘柄数が限られている
それぞれみていきましょう。
原株との価格乖離が生じることがある
ADRの取引価格は原株の価格と常に一致するわけではなく、一時的に差が開くことがあります。
なぜなら、ADRと原株は異なる市場・異なる時間帯で取引されているからです。
そのため米国市場の取引時間中に大きなニュースが報じられた場合、ADRの価格だけが先行して動き、翌営業日の現地市場との間に差が生じるケースがあります。
したがって、ADRで取引を行う際は原株の値動きもあわせてチェックし、乖離幅を確認しておくことが大切です。
上場廃止リスクがある
ADRには、上場廃止リスクがある点を理解しておきましょう。
たとえば、ADRの発行元である海外企業が米国市場での上場維持コストや規制対応の負担を理由に、自主的にADRを終了し上場廃止となるケースがあります。
もし上場廃止が決定されると、流動性の低下により売却が困難になるおそれがある点に注意が必要です。
なお、地政学的リスクによって突然上場廃止が決まる場合もあるため、投資先企業の動向を常に把握しておくようにしましょう。
銘柄数が限られている
ADRとして米国市場で取引できる銘柄はあくまで一部であり、上場するすべての企業をカバーしているわけではありません。
そのため、新興国の中小型株などのADRは存在しないケースが多く、投資したい場合は現地の証券口座を開設する必要があります。
したがって、ADRだけで海外市場全体に投資するのが難しいことは理解しておきましょう。
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ADRの買い方
ADRは米国株を取り扱う証券会社の口座を通じて、通常の米国株売買とほぼ同じ手順で購入できます。
以下のステップに沿って進めれば、初心者でもスムーズに取引をはじめられます。
- STEP1:米国株対応の証券口座を開設する
- STEP2:投資したいADRを検索する
- STEP3:注文を出して購入する
それぞれ解説します。
STEP1:米国株対応の証券口座を開設する
まず、米国株の取引に対応した証券口座を準備します。
SBI証券・楽天証券・マネックス証券などがADRの取引に対応しており、オンラインでの口座開設も可能です。
STEP2:投資したいADRを検索する
口座開設が完了したら、証券会社の取引画面でティッカーシンボル(銘柄ごとに割り当てられたアルファベットの識別コード)を入力して検索します。
たとえばトヨタ自動車のADRであれば「TM」と入力すれば表示されます。
STEP3:注文を出して購入する
注文方法は成行注文(市場価格で即座に売買する注文)や指値注文(希望価格を指定して売買する注文)など、通常の米国株取引と同様です。
購入代金は米ドル建てとなるため、事前に円を米ドルへ両替しておくか、証券会社のリアルタイム為替取引を利用しましょう。
なお、ADRには管理手数料が別途発生します。
一般的には四半期〜1年ごとに1株あたり0.25〜5セント程度が預り金から差し引かれる形で徴収されるため、購入前にコスト面も確認しておくことが重要です。
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ADRについて知りたい人によくある質問
ADRについて知りたい人によくある質問は以下のとおりです。
- Q1.ADRはNISAで買えますか?
- Q2.ADRの管理手数料はどこから引かれますか?
それぞれ解説します。
Q1. ADRはNISAで買えますか?
A. はい、NISAの成長投資枠で購入できます。
ただし、つみたて投資枠では購入できない点にご注意ください。
Q2. ADRの管理手数料はどこから引かれますか?
A. 一定期間ごとに、米ドルの預り金から自動で引き落とされます。
一般的には四半期~1年ごとに、1株あたり0.25〜5セント程度が徴収されます。
米ドルの預り金が不足していると別途入金や為替取引が必要になる場合があるため、ADRを保有する際はあらかじめ口座残高を確認しておくと安心です。
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まとめ
今回は、ADRの仕組みやメリット・デメリット、具体的な買い方について解説しました。
ADRを活用すれば、米国株式が取引できる証券口座ひとつで、世界各国の企業に1株単位から投資できます。
ただし、投資をする際は原株との価格乖離や上場廃止リスクなどに注意が必要です。
ぜひ本記事を参考に、ADRを活用した海外投資を検討してみてください。
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株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。






