「ROCとはどんな指標なのだろう」と疑問に思っていませんか?
価格の変化率を数値化するROCは、相場の勢いや転換点を把握するのに役立つ重要なテクニカル指標の一つですが、どのようなツールなのかあまり知られていません。
そこで今回は、ROCについて詳しく解説します。
本記事を読むと、初心者の方でもROCの基本的な仕組みから使い方まで理解できるようになります。
また、ROCを使う際の注意点についても解説しました。
ぜひこの記事の内容を参考に、ご自身の投資にROCを取り入れてみてください。
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ROCとは
ROCとは「Rate of Change」の略で、一定期間における価格の変化率を数値化したテクニカル指標です。
相場の勢いや転換点を把握するために利用され、チャートでは以下のように表示されます。
ROCでは中心にある基準値をみて、現在の価格が以前と比べて上昇したのか下落したのかを判断します。
たとえば、ROCが基準値を超えているなら現在の価格が一定期間前より上昇していることを意味し、基準値を切っているなら下落していることを表します。
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ROCの計算式
ROCの計算式は、以下のとおりです。
ROC = (現在の価格 − n期間前の価格)÷ n期間前の価格 × 100
たとえば、現在の株価が1,000円で10日前の株価が1,000円だった場合ROCは以下のようになります。
ROC = (1,000 – 1,000)÷ 1,000 × 100 = 0%
ちなみに、「n」は自分好みに設定可能です。
一般的には10日や25日などがよく使われており、期間設定によって指標の性質が変わります。
短期間の設定なら価格の変化への反応が速くなり取引機会も増えますが、誤ったシグナルも増加する傾向があります。
一方、長期の設定ならノイズは減るものの、売買シグナルの出現が遅れがちになるのが特徴です。
なお、ROCが0%では価格が以前と比べて変化していないことを示します。
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ROCの見方
基本的な見方として、ROCが基準値より上にあれば上昇トレンドと判断します。
数値が基準値を超えていれば、以前と比べて価格が上昇していることを意味するため、上昇トレンドの可能性が高いとわかるからです。
逆に、ROCが基準値より下にあれば下降トレンドだと見極められます。
数値がマイナスであれば、以前と比べて価格が下落していることを表すため、下降トレンドの可能性が高いと考えられるでしょう。
基準値を中心とした基本的な見方をマスターするだけで、投資家初心者の方でも相場の大まかな方向性を把握できるようになります。
※なお、一般的に基準値のラインは0%の水準となりますが、チャートツールによっては計算式が違い100%と表示される場合があります。
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ROCの使い方
ROCを実際の投資に活用する方法を2つご紹介します。
- トレンド転換のタイミングでエントリー
- ダイバージェンス(逆行現象)の確認
これらの手法を身につけると、ROCを使った投資判断ができるようになります。
トレンド転換のタイミングでエントリー
ROCの使い方として、トレンド転換のタイミングで取引する方法があります。
具体的には、ROCが基準値を上抜けしたタイミングが買いシグナルとなります。
ROCが基準値を上抜けする状況は、上昇トレンドへの転換を示すため価格上昇への期待が高まるタイミングです。
一方、ROCが基準値を下抜けしたタイミングは売りシグナルとして機能します。
基準値を下抜けするタイミングは、下降トレンドへの転換を示唆するため、利益確定や空売りのチャンスと考えられます。
ダイバージェンスの確認
ダイバージェンスとは、価格の動きとテクニカル指標の動きが逆行する現象で、相場の勢いを判断できます。
たとえば、価格が新高値を更新しているのにROCが価格の動きと逆方向に動いている状態は、相場の勢いが弱くなっていることを示します。
このような価格とROCの逆行が起こった場合、トレンド転換のサインとなる場合が多いです。
ダイバージェンスを見つけたら相場の転換点が近づいている可能性を疑い、慎重にチャートを観察するようにしましょう。
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ROCを使う時の3つの注意点
ROCは便利な指標ですが、使用する際は以下の3つの注意点を覚えておく必要があります。
- 価格が逆行したら必ず損切りをする
- レンジ相場では機能しにくい
- ほかの指標と組み合わせて使う
3つのポイントを押さえておくと、ROCによる失敗を避けられるようになるため、より安全で効果的な投資ができるようになります。
価格が逆行したら必ず損切りをする
ROCなどのテクニカル指標を使って取引する際は、必ず損切りすることを前提に取引するようにしましょう。
なぜなら、どんなテクニカル指標でもダマシが発生するからです。
ダマシとは、テクニカル指標が発する売買シグナルと逆方向に価格が動く現象のことを指します。
たとえば、「買いシグナル」が出た直後に価格が下落したり、「売りシグナル」が出たのに価格が上昇したりする場合などが該当します。
価格は需要と供給のバランスで決まるため、ダマシを完全に避けることはできません。
なので、ダマシに遭遇した場合は潔く損切りしてリスク管理を徹底するようにしましょう。
レンジ相場では機能しにくい
ROCは、レンジ相場では機能しにくい特徴があります。
レンジ相場では価格変動が小さく、ROCの値が基準値付近で推移しやすくなるため、トレンド転換を正確に捉えにくくなるからです。
価格が一定の範囲内で上下するだけで明確なトレンドが発生していない場合、ROCは売買シグナルが頻発しやすくなります。
結果として、ダマシが多くなり、思うような成果が得られない場合が多くなります。
そのため、ROCを使う際はまず相場がトレンド相場なのかレンジ相場なのかを判断してから活用することがおすすめです。
相場環境を正しく認識すると、ROCの効果を最大限に引き出せるでしょう。
ほかの指標と組み合わせて使う
ダマシにあう可能性を下げるためにも、ROCとほかの指標と組み合わせて使うのがおすすめです。
たとえば、ROCを使う際はRSI(相対力指数)と併用すればさらに効果を発揮します。
RSIとは、70%以上で「買われすぎ」30%以下で「売られすぎ」を判断する指標で、0%~100%の数値で相場の過熱感を示すツールです。
このように、複数の指標が同時に同じ方向のサインを示した場合、シグナルの精度が向上します。
ROC単独ではダマシが発生しやすい場面でも、ほかの指標と併用すると誤ったシグナルを減らせます。
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まとめ
今回は、ROC(Rate of Change)の基本的な見方から、使うときの注意点まで解説しました。
ROCは現在の価格と過去の価格を比較して変化率をみる指標で、トレンドの方向を判断できます。
また、トレンド転換のタイミングでのエントリーやダイバージェンスの確認など、実際の投資に活用できる手法も紹介しました。
ROCを使う際は、ダマシを避けるためにも損切りの徹底やほかの指標との組み合わせが重要になります。
ほかにも、レンジ相場では機能しにくいという特徴も理解しておく必要があります。
今回解説した知識を実際のチャート分析に活かし、ROCを使った投資スキルの向上に役立てていただければ幸いです。
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