日本円以外で預金を行う外貨預金は、投資初心者の方にもおすすめの金融商品です。
今回は、外貨預金の仕組みとはどんなものか、どのようなリスクがあり、資産形成をするには何に気を付ければよいかなどを解説します。
これから外貨預金を始めたい方は、ぜひ参考にしてください。
外貨預金とは
外貨預金とは、日本円以外の通貨で預金することです。
外貨預金で利用される通貨としては、米ドルやユーロなどが代表的でしょう。
日本国内に居住している方が海外の銀行で口座を開くのは難しいため、国内銀行で外貨預金を始めるケースがほとんどです。
世界には日本よりも高金利の国が多いため、外貨預金をするだけで日本で預金をするよりも多くの利息を受け取れます。
外貨預金で資産形成をする際に気を付けるべきリスクと対処法
外貨預金には、いくつかの注意点があります。
何に注意し、リスクに対してどのように対処すればよいかを解説します。
為替変動リスクがある
為替変動リスクとは、為替レートが変わることで外貨建ての資産価値が変動するリスクです。
例えば、預入時のレートが1ドル100円で、10万円分をドルで預金したとします。
その後、円高が進み1ドル80円になると、預金を引き出す時には預け入れた分のお金は8万円の価値しかありません。
金利が高く利息がついていればトータルで利益が出ることもありますが、為替レートが大きく変動すると利息込で考えても損してしまう可能性があります。
為替変動リスクに対応するには、複数の通貨で預金することが大切です。
為替手数料がかかる
外貨預金では、預入時と引出時に手数料が発生します。
ネットバンキングでは0.5~2円程度、その他では2円~8円程度が目安となり、通貨によって金額は変わります。
対策は、預け入れや引き出しの回数を減らすことです。
また、金融機関によっては特定の通貨による預入・引出の手数料を無料にするキャンペーンを実施していることもあるので、そういったタイミングを見計らって取引を実行するのも一手でしょう。
元本割れすることがある
外貨預金は、元本割れの可能性があります。
主な要因は、上記で解説した為替変動リスクによるものです。
円高が進んだり、対象通貨の下落が進んだりすることで、実質的な財産が目減りすることがあります。
対策としては、金利の高い通貨を選ぶことです。
また、そもそも投資はほとんどすべての商品で少なからず元本割れの可能性があります。
元本割れしないことを最重要にするのであれば、低金利ではありますが、日本円でコツコツ預金していく方がおすすめです。
元本割れとは?リスクや新NISAで元本割れを回避する方法を解説
預金保険制度が適用されない
預金保険制度とは、金融機関が破綻した時に預金が保護される仕組みです。
当座預金や普通預金が対象となり、1人あたり元本1,000万円までと、破綻日までの利息が保証されます。
1,000万円を超える部分については、破綻した金融機関によって支払われるかどうかが変わります。
ただし、外貨預金は預金保険制度の対象外です。
いくら口座に入っていてもまったく戻ってこないため、大きな損失を生み出すリスクがあります。
対処法としては、一つの金融機関に投資するのではなく、複数に分散することです。
これにより、仮に一社が破綻してもすべての資産が失われるといった事態を防げます。
外貨預金を始めるべき理由
外貨預金には複数のメリットがあります。
日本円より高金利の通貨がある
日本の預金金利は非常に低く、大手銀行で0.2%程度、ネットバンキングでも0.2~1.2%程度です。
つまり、1,000万円を入れておいても1年でたった2万円しか利息がつきません。
海外ではもっと金利の高いケースは数多くあり、国によっては10倍以上になることもあります。
例えば、米ドルで外貨定期をした場合は3~5%、豪ドルの場合は4~6%程度となります。。
為替差益を得られる
円安が進むと、為替レートの差異によって利益を得ることができます。
例えば、1ドル100円の時に100万円預けたとして、円安が進み1ドル120円になったとすると、引き出す時には元本分が120万円になります。
金額によっては、為替手数料などを差し引いても為替差益を得られるでしょう。
資産を分散できる
投資を成功させるコツはいくつかありますが、中でも「分散投資」は重要です。
特定の国や商品に集中してしまうと、一つのきっかけで資産が大きく目減りしてしまいます。
外貨預金は、口座を作るだけで簡単に様々な国に分散投資できます。
日本円、米ドル、ユーロなどにわけることで、「日本経済が悪化しても、ヨーロッパは好景気だから資産全体に大きな影響はない」といったようなリスク回避ができます。
初心者も始めやすい
投資初心者の方は、投資に対して「事前の準備が大変そう」「ハードルが高い」と感じているかもしれません。
しかし、外貨預金はスタートしやすく初心者の方もすぐに始められます。
1単位(米ドルであれば、1ドル)から始められるため元手を貯める必要もなく、金融機関によっては電話や窓口で運用について相談することも可能です。
口座開設はネットで済むケースも多いので、自宅にいながら簡単に準備ができます。
外貨預金で資産形成するためのポイント
外貨預金を通じて資産形成を成功させるには、いくつかのポイントがあります。
以下の5つのポイントを徹底していきましょう。
複数の外貨にわける
すべての資金を一つの通貨で預金するのはやめましょう。
日本円も残しつつ、米ドルや英ポンドなど複数にわけることで、全体的なバランスを調整します。
初心者の方はあまり分散させすぎると管理が大変になるため、まずは2~3種類から始めてみてください。
また、新興国の外貨預金は金利が高い分、破綻のリスクもあります。
すべて新興国にするのではなく、先進国と新興国の両方を選ぶやり方がおすすめです。
預金タイミングをわける
為替相場は世界的な政情や経済状況によって、大きく変化します。
そのため、一度にすべての資産を預金するのはやめましょう。
タイミングを分散させることで、為替変動リスクを減らせます。
また、毎月定額を預金し続けていくと、円安の時は少なく、円高の時は多くの外貨を預金でき、平均購入単価を平準化することが可能です。
また、毎回「今、預金すべきか」「すべて引き出した方がいいか」といった決断をする必要がなくなり、目の前の相場の動きに惑わされしまうリスクも減らせます。
余裕資金を使う
外貨預金に限らず、投資には余裕資金を使いましょう。
生活に必要なお金を使うと、「これを失ったら家賃が払えない」「利益が出なければ来月の生活ができない」といった事態になり、冷静さを欠いて誤った判断をしがちです。
また、外貨預金から頻繁にお金を引き出していると、何度も手数料が発生します。
為替レートなどで利益が出ていても、手数料がかさむことで実質的に目減りしてしまうこともあるので、しばらく寝かせておける余裕資金の利用をおすすめします。
情報収集を心掛ける
一つの国で経済が悪化して他国に連鎖したり、戦争や災害により急にある通貨の価値が暴落したりと、為替レートは常に多くの要素によって変動しています。
だからこそ、常に情報収集を心がけ、自分が預けている通貨に関連する大きなニュースがないかを確認することが大切です。
ニュースサイトは役立ちますが、ほかにも金融期間が市場に関するニュースをまとめて発信していることもあります。
さまざまなサイトやアプリを活用し、効率的に情報収集・分析しましょう。
長期運用する
外貨預金は基本的に、期間が長いほど高い金利が適用されます。
そのため、同じ金額を投資するにしても、長期運用するだけで最終的に得られる利益が大きくなるのです。
また、一度得た利息が元本となり、次に受け取れる利息が多くなるといった複利効果も得られます。
例えば金利10%の金融機関に100万を預けると、1年後に10万円を受け取れます。
2年目は110万に対して10%の利息がつくので、受け取れる利息は11万円です。
このように、長期で運用すればするほど一度に受け取れる利息の金額が大きくなります。
代表的な外貨
外貨預金で利用が多い代表的な通貨には、下記の3つがあります。
米ドル
米ドルは基軸通貨として世界的に利用されており、貿易や金融取引で使われています。
信用力が非常に高く流通量が多いため、極端な値動きは起こりにくいです。
また、経済指標や金利政策、市場動向といった多くの情報が流れていて予測しやすいでしょう。
ユーロ
ユーロはヨーロッパ圏で使われている通貨で、フランスやドイツ、イタリア、スペインなどで利用されています。
米ドルに次ぐ流通量で、信用力があり十分な流動性も確保されています。
ユーロの金利政策は欧州中央銀行で定められ、金利・為替の変動が予測しやすい点はメリットでしょう。
日本とユーロ圏の経済関係は深いため、ある程度は動向を読みやすいといえます。
豪ドル
オーストラリアの通貨である豪ドルは、高い金利政策が続いている点が魅力です。
政治的に安定しており、経済も大きく下落するリスクは小さいといえます。
鉄鉱石や石炭といった資源の輸出量も多く、コモディティ価格と連動しやすいでしょう。
また、日本と経済関係も強いため、為替変動の要因も特定しやすいです。
まとめ
今回は、外貨預金について解説しました。
日本円で預金をしていても、金利が低すぎてほとんど利息はつきません。
単に寝かせているだけだともったいないので、預金のうち一部をぜひ外貨預金に回しましょう。
いくつかのリスクはありますが、長期運用や分散投資などをすることで安全に投資することができます。
外貨投資ってリスクはある?為替変動リスクや関係の深い金融商品を解説

株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。