「配当と優待だけもらえればいいから、権利落ち日にいったん売ってしまおうかな?」
「でも、株価が大きく動くと聞くし、空売りで狙えるという話も見かけて不安……。」
初めて権利確定を迎えると、こうした迷いが生まれやすくなります。
本記事では、「権利落ち日に売ると配当や優待はどうなるのか」「なぜ株価が動きやすいのか」「空売りを考えるときに押さえておきたいコストやリスク」などを整理しながら、権利落ち日まわりの基礎知識から、下落リスクを回避して利益を出す実践的なトレード手法まで、順を追って解説します。
権利落ち日を迎えて売るかどうか決めかねている方は、ぜひ参考にしてください。
権利落ち日に売っても配当・優待はもらえる
結論、権利落ち日に売却しても、配当金や株主優待は受け取れます。
権利付き最終日(権利確定日の2営業日前)の引けまで株を保有していれば、翌営業日である権利落ち日に売却しても、その期の配当金・株主優待の権利は確定済みです。
配当・優待はもらえるとわかっても、「株価が大きく動くリスクはどう対応すればいいの?などの疑問もありますよね。本記事では、その実践的な対処法まで解説していきます。
権利落ち日に売ると配当金や優待はどうなる?
権利落ち日に売ると、配当金や優待は受け取れるのでしょうか?
結論から言えば、権利落ち日に売っても配当金・優待は受け取れます。

配当や優待が受け取れるかどうかは、上図を参考にしてください。
銘柄ごとに日付は違いますから、きちんと確認しておきましょう。
権利付き最終日と権利落ち日の違いをおさらい
「権利付き最終日」「権利落ち日」「権利確定日(基準日)」は混同されやすいポイントです。
以下のスケジュール例で確認しておきましょう。

※土日・祝日をはさむ場合は日程がずれます。必ず証券会社のIR情報・カレンダーでご確認ください。
配当金は受け取れる
権利落ち日に売っても、配当金は受け取れます。
そもそも配当金を出している銘柄かどうかは、事前にチェックしておいてくださいね。
また毎年必ず配当金を受け取れるとも限りません。
企業の利益の状況次第では、配当金がなくなることもあるため注意しましょう。
株主優待も受け取れる
権利落ち日に売っても、株主優待は受け取れます。
基本的に100株以上保有していることが条件というのは忘れないようにしておきましょう。
また銘柄によっては500株以上だったり、3年以上保有で優遇制度があったりと、さまざまなケースが存在します。
目的の優待を受け取るための条件を満たせているかは確認しておきたいですね。
株の正しい勉強方法は?優待・ファンダ・テクニカルそれぞれ完全ガイド
権利落ち日に売るべき?
基本的には、権利落ち日に売ることはオススメしません。
一般的には「長期保有なら慌てて売る必要はない」という意見もよく見られます。
ただし、資金効率を最大化したい場合や短期トレードを前提とした場合は、売ることを検討してもいいでしょう。
下落サインをいち早く読み取って手仕舞う、あるいは空売りを活用する、といったアクションが効果的になる場合もあります。
そもそも売るかどうかを判断するときは、あくまでもテクニカル分析をして、「チャートの形を見極める」必要があります。
権利落ち日だから売ろう、ではなく、「このチャートの形なら勝てる」「この形ならこう言った値動きをするからここで手仕舞う」などのストーリーがあるのです。
たとえば、5日移動平均線を割り込んだタイミング、または前日安値を更新する大陰線が出たタイミングなど、売りサインを根拠にして判断しましょう。
そういう意味では、権利落ち日にトレードすること自体避けたほうが安心できるでしょう。
権利落ち日に売るときの注意点
権利落ち日は、権利付最終日の次ということもあり通常と比べて注意すべき日といえます。
主な注意点は2つ。
- 値動きが大きい点に注意
- 権利落ち日を間違えないように注意
無駄な損失を抑えるためにも、注意点を押さえておきましょう。
値動きが大きい点に注意
権利落ち日は、値動きが大きくなりがちである点に注意しましょう。
なぜなら、配当金と優待を受け取れることが確定したことで「もう売ってしまおう」と考える投資家が多いためです。
値動きが大きくなりやすいからこそ、やみくもにトレードをするのは避けるべきです。
実際の例として、PHCホールディングス(6523)の株価推移を見てみましょう。

権利付最終日が近づくにつれて株価が上昇し、権利落ち日になったタイミングで一気に株価が下落していることがわかりますね。
売りが多くなれば、それだけ株価は下落していきます。
売りたい場合は、できるだけ早く売るようにしましょう。
権利落ち日に株価が大幅に下落するケースは多いですから、巻き込まれないように早め早めの行動が重要です。
具体的には、直近安値などのサポートラインを割り込んだ時点でポジションを手仕舞うなどの判断をしていきましょう。
なんとなく不安だから売るのではなく、明確な根拠を持った出口戦略を事前に決めておくことをおすすめします。
権利落ち日を間違えないように注意
権利落ち日を間違えないように注意しましょう。
ほとんどの企業が、権利落ち日はいつですよと教えてくれるわけではありません。
基準日(権利確定日)が記載されており、そこから権利落ち日がいつなのか自分で確認する必要があります。
土日を挟むなどすると分かりづらくなりますから、権利落ち日がいつなのかは入念に確認しておきましょう。
株式投資の失敗でやりがちなことは?株初心者が失敗しないためのポイントも紹介
権利落ち前後のスケジュール管理
権利落ち日前後は、日程を取り違えてしまうと想定と違う結果になりやすいポイントです。
たとえば、
- 権利付き最終日を勘違いして、権利を取れなかった
- 基準日だと思っていた日が、実は権利落ち日だった
- 決算発表や重要なニュースと日程が重なっていた
といったことが起こると、想定と現実のギャップが大きくなってしまいます。
対策としては、あらかじめ以下のような項目をメモしておくと、スケジュール管理がしやすくなります。
- 基準日(権利確定日)
- 権利付き最終日
- 権利落ち日
- 決算発表予定日や、その他の重要イベント
手帳やカレンダーアプリ、証券会社のツールなどを活用しながら、「いつどんなイベントがあるのか」を一目で確認できるようにしておくと、落ち着いて判断しやすくなります。
権利落ち日に空売りするのはオススメしない
「権利落ち日に売る人が多いのであれば、空売りをして利益を狙えるのでは?」
その考えは、残念ながらオススメできません。
権利落ち日に空売りするのをオススメしない理由は3つあります。
- 必ず株価が下がるとは限らない
- 配当落調整金を支払わなければならない
- 逆日歩にも要注意
空売りによってむしろ損をしかねないのです。
必ず株価が下がるとは限らない
まず大前提として、権利落ち日に必ず株価が下がるとは限りません。
むしろ株価が上昇していくこともありえます。
そんなタイミングで空売りをしてしまえば、どんどん損失が膨らんでしまうことになります。
株価上昇の材料があるかどうか、ファンダメンタルズ分析・テクニカル分析でチェックしておきましょう。
配当落調整金を支払わなければならない

落とし穴ともいえるのが、権利落ち日に空売りすることで「配当落調整金を支払わなければならない」という点です。
配当落調整金とは、信用取引の際に発生してくる金額のことです。
信用取引の買い方は配当落調整金を受け取り、逆に売り方は配当落調整金を支払う仕組みになっています。
名前の通り、配当落の際の株価下落分の調整であり、配当金ではありません。
信用取引の場合は、配当金がない代わりに「配当落調整金」があるわけですね。
空売りをして利益が発生したとしても、配当落調整金を支払うことで結果的に損失になる可能性が高いのです。
逆日歩にも要注意
信用取引で売りを入れる場合、逆日歩が発生する点についても注意しましょう。
逆日歩は、信用売りの量が信用買いの量を上回った場合に発生してきます。
貸し手である証券会社が、貸し出す株の不足を補うための調達費用となるものです。
つまり、権利落ち日に空売りをしようとする投資家が殺到し、信用買いの量を上回れば、逆日歩という追加コストを支払わなくてはならなくなってしまうわけですね。
株の空売りに隠れるリスクとは?初心者が注意すべき3つのポイント
よくある質問
権利落ち日に売っても、本当に配当金や株主優待はもらえますか?
権利付き最終日の引けまで株を保有していれば、翌営業日の権利落ち日に売却しても、その期の配当金や株主優待の権利は基本的に残ります。
配当・優待が決まるのは「基準日(権利確定日)」時点の株主名簿に載っているかどうかで、権利落ち日はそれ以降に売買が行われる日という位置づけです。
ただし、優待には「何株以上」「○年以上保有」など個別の条件があるため、各企業のIR情報や証券会社のページで詳細を確認しておくと安心です。
権利落ち日は必ず株価が下がると考えていいのでしょうか?
権利落ち日は、配当分を織り込むことや、権利取りをした投資家の売りが出やすいことから、株価が下方向に動く場面が目立つことがあります。
一方で、業績の上方修正や好材料の発表、市場全体の上昇トレンドなどが重なれば、下げ幅が小さかったり、むしろ上昇に転じることもあります。
「下がりやすい傾向はあるものの、必ずそうなるわけではない」という前提で、個別銘柄の状況や地合いもあわせて確認することが大切です。
まとめ
権利落ち日だからといって、保有している銘柄を売るべきではありません。
また空売りをすれば儲かるかといえば、そうとも限りません。
権利落ち日にとらわれず、チャートの形を分析し、「どこで買いを入れて手仕舞うか」を考えておきましょう。
「権利落ち日になってから売るかどうか考えよう」では出遅れてしまいます。
計画的にトレードを行うようにしてくださいね。
両建ての手法を徹底解説!リスクを減らしつつ利益を増やすための極意

著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。






