【初心者向け】両建てとは?仕組み・メリット・デメリットをやさしく解説|FXや株で使える戦略も紹介

【初心者向け】両建てとは?仕組み・メリット・デメリットをやさしく解説|FXや株で使える戦略も紹介

「相場がどちらに動くかわからない時、どうすればいい?」

そんな悩みを持つ投資初心者におすすめの手法のひとつが「両建て」です。

リスクヘッジの手段として使われることが多く、FXや先物、株式信用取引などさまざまな金融商品で活用されています。

一方で、仕組みを誤解したまま使うと損失が拡大するケースも。

この記事では、両建ての基本からメリット・デメリット、実践時の注意点までを初心者向けにわかりやすく解説します。

目次

両建てとは?基本の意味と仕組みをわかりやすく解説

両建てとは、同じ銘柄で「買いポジション」と「売りポジション」を同時に保有する取引手法のことです。

例えば、FXで1ドル=150円のときに1ロットを買い、同時に1ロットを売るといった形です。

これにより、相場がどちらに動いても、含み益と含み損が同時に発生するため、損益全体は一定になります。

主に、相場の先行きが不透明なときや、一時的にリスクを回避したいときに使われます。

適切に活用すれば、戦略的なトレードの幅が広がる手法です。

両建ての意味とは? 初心者の方にわかりやすく解説します | インテク Produced by 株塾

買いと売りのポジションを同時に持つ手法

両建ての基本は「買い」と「売り」を同時に建てることです。どちらか一方が利益になれば、もう一方は損失になりますが、損益が相殺されるため、トータルのリスクは一定に保たれます。

利益確定のタイミングを調整できる点も利点で、状況を見ながら片側だけを決済するなど、柔軟な対応が可能です。

値動きへの影響を抑えるロジック

両建ての魅力は、急な値動きに対して損益の変動を抑えられることにあります。

たとえば、買いポジションを保有しているときに相場が下落しても、売りポジションが損失を補うため、精神的なストレスも軽減されます。

相場の変動に敏感な場面で、リスクを管理する手段として有効です。

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両建てのメリット

両建ては一見複雑ですが、戦略的に活用すれば、損失リスクを最小限に抑えることができます。

ここでは3つの主なメリットを紹介します。

急な相場変動に対してリスクヘッジになる

両建ては、相場の急激な変動に対する保険的な役割を果たします。

市場が予想外の方向に動いても、買いポジションと売りポジションが互いに相殺し合うため、大きな損失を防ぐことができます。

特に、重要な経済指標の発表や、政治的イベント、金融政策の変更など、市場が大きく揺れる可能性が高い場面では、効果的なリスクヘッジ手法となります。

ただし、両建ては一時的な防御策として使うべきで、長期的な運用方針としては適していません。

含み損を確定せずに建玉をコントロールできる

含み損を抱えたポジションがあっても、両建てなら一時的にリスクを固定化できます。

例えば、相場が大きく動いて含み損が発生している買いポジションに対して売りポジションを建てることで、損失の拡大を防ぎながら、マーケットの様子を見ることができます。

これにより、焦って損失確定せずに済み、相場が好転するのを待って有利なタイミングで決済することが可能になります。

短期と長期の戦略を併用できる(片側だけの利益確定も可)

短期トレードと長期保有を同時に行える点も両建ての大きな特徴です。

例えば、長期の買いポジションを保有しながら、短期の売りポジションで相場の下落局面での利益を狙うことができます。

状況に応じて片方のポジションだけを利確することで、相場の変動を活かした柔軟な運用が可能になります。

また、値動きの方向性が不透明な場合でも、リスクを抑えながら収益機会を探ることができるのが特長です。

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両建てのデメリット

メリットの多い両建てですが、当然デメリットも存在します。

コストや運用効率の面で注意が必要です。

売りスワップ・買いスワップに差があり、コスト負担が大きくなる

両建ての運用では、買いと売りの両ポジションにスワップポイントが発生します。

スワップポイントは通貨間の金利差から生じる日々の金利収支のことで、取引対象となる通貨ペアによって異なります。

買いポジションと売りポジションで発生するスワップポイントには通常差額があり、この差が大きい場合、ポジションを保有し続けるだけでコストが積み重なっていきます。

特に長期保有の場合は、このスワップポイントの差額が無視できないレベルとなり、最終的な収益を圧迫する要因となることがあるため、注意が必要です。

「ヘッジ貧乏」になりやすい=利益が出にくくなる構造

両建ては損失リスクを抑制できる一方で、利益機会も制限されてしまう特徴があります。

買いと売りのポジションを同時に持つため、相場が上昇しても下落しても、必ず片方のポジションは損失となります。

そのため「損失は抑えられるが大きな利益も得られにくい」という状況に陥りやすく、投資資金の効率的な運用という観点からは不利な面があります。

特に、両建てを長期間継続すると、スワップポイントの差額などのコストが積み重なり、実質的な損失につながるケースもあるため注意が必要です。

両建てが禁止・制限されている証券会社もある

両建ては証券会社によって対応が異なります。多くの証券会社では取り扱いがありますが、一部では規制や制限が設けられています。

特に株式信用取引や先物取引では、ポジションの重複が禁止されているケースがあり、証券会社によっては両建てがルール違反とみなされることも。

そのため、取引を始める前に、利用する証券会社の規約や方針をしっかりと確認することが重要です。

また、複数の口座や証券会社を使い分けることで、両建ての制限を回避できる場合もありますが、その際は各社のルールを遵守しながら、適切に運用することが大切です。

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両建てを使うときの具体的な注意点

両建ては便利な手法ですが、正しく使わなければ思わぬ損失を招くこともあります。

以下の注意点を押さえて、安全に運用しましょう。

スワップポイントの差を把握しておく

FXやCFDでは、買いと売りそれぞれにスワップポイントが発生します。

このスワップはプラスにもマイナスにもなる可能性があり、両建てでは基本的にコストとして積み上がります。

特に長期でポジションを持ち続けると、毎日スワップの差額が発生し、知らず知らずのうちに利益を削っていきます。

取引前にスワップ差を確認し、保有期間に応じてコストを見積もることが大切です。

片側決済後の判断ミスに注意する

両建ては、どちらか一方を決済して片側のポジションだけを残すケースもありますが、このときの判断を誤るとリスクが一気に高まります。

残ったポジションが急変動した場合、ヘッジがなくなっているため、損失がそのまま自分の負担になります。

相場の方向性が見えていない段階では、焦って決済せず、冷静な判断を心がけましょう。

短期トレード目的か長期のヘッジか、戦略を明確に

両建ては使い方によって、短期トレードの利益確保にも、長期ポジションのリスクヘッジにも使えます。

しかし、目的が曖昧なまま両建てを行うと、出口戦略を見失いがちです。

スワップコストや決済タイミングに迷うことにもなるため、事前に「なぜ両建てするのか」「いつ、どのように解消するか」という戦略を明確に立てておくことが重要です。

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両建てが使える代表的な金融商品

両建てはさまざまな金融商品で利用可能ですが、商品ごとに特徴や制限があります。

それぞれの違いを理解したうえで活用しましょう。

 FX(外国為替証拠金取引)|スワップ差の影響に要注意

両建てがもっとも活用されているのがFXです。

為替の売買を通じて、異なる通貨ペアで両建てすることが可能ですが、スワップポイントの差が大きく、長期保有にはコストがかさみます。

また、海外FX業者ではスワップ差が極端になるケースもあるため注意が必要です。

短期的な値動きを読む目的で活用すると効果的です。

CFD・先物取引|時間軸と限月に気をつける

CFD(差金決済取引)や先物取引でも両建ては有効ですが、先物には「限月(満期日)」が存在するため、保有期間には制限があります。

限月が異なる建玉を使っての両建ても可能ですが、価格差が生じることもあるため、建玉の期限や価格調整に注意する必要があります。

CFDはスプレッドや手数料が低いものも多く、デイトレードにも向いています。

株式信用取引|証券会社によっては不可な場合もある

株式の信用取引でも両建ては理論上可能ですが、多くの証券会社では同一銘柄の買建・売建を同時に保有することを禁止、もしくは制限しています。

誤って建てると強制決済されるケースもあるため、事前に証券会社の規約を確認することが必須です。

両建て可能な証券会社を利用するか、別口座・別証券会社を使い分けることで回避できます。

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まとめ

両建ては、市場の予測が困難な状況下でリスクを効果的に管理するための手法として広く認められています。

この手法では、同一銘柄の買いポジションと売りポジションを同時に保有することにより、相場の急激な変動による損失を最小限に抑制することができます。

また、市場の動向を見極めながら、より有利なタイミングで利益を確定させることも可能となり、柔軟な運用戦略を実現できます。

しかしながら、この手法にも留意すべき課題があります。

特に注目すべきは、買いポジションと売りポジションのスワップポイントの差額が累積的に発生することと、証拠金が両ポジションに必要となるため資金の運用効率が低下するという点です。

両建てを効果的に活用するためには、綿密な計画が必要不可欠です。

具体的には、「どのような市場状況で両建てを採用するのか」という明確な目的設定と、「どのような条件が整った時点でポジションを解消するのか」という具体的な出口戦略を事前に策定しておく必要があります。

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この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

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この記事を書いた人

株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。

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