ファンド・オブ・ファンズのデメリットとは?複雑な仕組みとリスクに要注意

ファンドオブファンズ

今回は、もう一歩踏み込んで投資信託商品のひとつである「ファンド・オブ・ファンズ」について見ていきます。

「ファンド・オブ・ファンズ」のことはご存知でしょうか?

「投資信託は、初心者でも簡単に分散投資できる」
「ファンド・オブ・ファンズは特に分散投資にぴったり」
「ファンド・オブ・ファンズはプロがファンドを選んでくれる」

そんな謳い文句を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

ファンド・オブ・ファンズとは、複数のファンドを組み入れて構成した商品のことです。

リスク分散効果が高いとして、確定拠出年金の運用などで注目されることも多い商品ですが、初心者が安易に手を出すと危険な特徴もあります。

今回はファンド・オブ・ファンズの罠について見ていきましょう。

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目次

(1)ファンド・オブ・ファンズと何か

ファンド・オブ・ファンズとは、複数の投資信託(ファンド)を組み合わせて、1つの投資信託(ファンド)にまとめたものです。

投資信託は複数の株式や債券に投資するため、もともとリスク分散効果が高いとされている商品です。

ファンド・オブ・ファンズは、複数の投資信託を複数まとめて運用するため、さらにリスク分散効果が高まると考えられています。

ファンド・オブ・ファンズの代表的な商品は「ライフスタイルファンド」と呼ばれるものです。

特に確定拠出年金の運用対象として注目が高い商品で、ライフプランに合ったパッケージを選べるとして人気があります。

ライフスタイルファンドは、リスクの度合いに応じたファンドを異なる比率で組み合わせ、時間の経過に応じてその比率を自動的に調整することも可能です。

若いうちは株式など高リスクな投資にチャレンジし、年齢を重ねるにつれて、債券など低リスクな投資にシフトしていきたいと考える人は少なくありません。

「自分で投資商品を買い換えるのは面倒だ」
「タイミングやどの商品を買えばいいのかわからない」

という人は、ライフスタイルファンドを購入することで、リスク比率の調整をプロに任せてしまうことができるのです。

確定拠出年金以外にも、投資家が適宜購入できるファンド・オブ・ファンズ商品も多数販売されています。

ファンド・オブ・ファンズは、リスク分散効果が高い点や、プロがファンドを選んでくれる点が魅力とされ、知識が足りず自分で商品を選ぶことが難しい投資初心者から支持されています。

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(2)ファンド・オブ・ファンズのデメリット

まずファンド・オブ・ファンズの特徴についてご紹介しました。

面倒なリスク分散やファンド選びをプロにお任せできるとあって、ファンド・オブ・ファンズは魅力的だと感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、ファンド・オブ・ファンズには重大なデメリットもあり、安易に初心者が手を出すと思わぬ損失を抱えてしまうこともあります。

ここからは、ファンド・オブ・ファンズのデメリットについてご紹介します。

①ファンドの中身が分かりにくい

まず1つ目の問題点は、ファンドの中身が分かりにくいということです。

ファンドの目論見書を見れば、どのようなファンドを組み入れているかは分かります。

しかしそれぞれのファンドがどのような株式・債券に投資しているかは、各ファンドの目論見書を確認しなければわかりません。

組み込まれているのが一般投資家の買うことができないファンドだと、内容の確認すらできない場合もあります。

ファンド・オブ・ファンズを購入する投資家で、組み込まれているファンドの詳しい投資内容まで確認する人はほとんどいないでしょう。

そこまでできる知識がある人は、そもそもファンド・オブ・ファンズなど購入せず、自分でファンドを組み合わせて買うのではないでしょうか。

ファンド・オブ・ファンズを購入する投資家は、

「色々選ぶのは面倒だから、とりえずファンド・オブ・ファンズを買っておこう」
「何が組み込まれているかは、見てもよく分からないからいいや」

と考えて購入してしまう人が少なくありません。

そして結果的に、まるでブラックボックスのように中身の分からない商品を買ってしまうことになるのです。

投資をする際、自分が何に投資しているかは常に把握しておきたいものですね。

例えば株式投資であれば、投資先の銘柄の株価やその値動きなど、投資判断に必要な情報にいつでもアクセスすることができます。

自分のお金で買っているのに、その中身がよく分からないという投資商品を本当に買うべきか、投資家はよく考える必要があるでしょう。

②手数料が高い

2つ目の問題点は、手数料が高いということです。

ファンド・オブ・ファンズが投資対象とするファンドには、それぞれ運用のための費用がかかっています。

そしてファンド・オブ・ファンズを運用するためにも、さらに費用がかかります。

つまり手数料が2重でかかってしまうのです。

本特集の第2回「手数料の罠」でもご説明した通り、投資信託は販売手数料や信託報酬など、様々な手数料がかかります。

ファンド・オブ・ファンズを購入するということは、自分でリスク分散を行う手間、ファンドを選ぶ手間を、高い手数料で買っているとも言えます。

手数料がかさむと、せっかく運用利益が出ていても、手数料で相殺されて損をしてしまう場合も少なくありません。

特に長期的に資産形成をしたいと考える場合、割高な手数料はジワジワと利益を奪っていきます。

投資信託は保有中ずっと、信託報酬という手数料がかかりますが、例えば株式投資であれば、主な手数料は売買時の取引手数料のみです。

長期投資をしたいなら、できるだけ手数料の安い商品を選ぶことが重要になります。

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まとめ

ファンド・オブ・ファンズは、複数の投資信託をまとめて運用する投資信託です。

リスク分散効果が高い、プロにファンド選びを任せられるといったメリットがあり、確定拠出年金の運用などでも注目されています。

しかしファンドの中身が分かりにくい、手数料が高いといった問題があり、初心者が安易に購入するのは危険です。

特に長期的に資産を増やしたいと考えるならば、投資対象の内容が分かりやすく、手数料の安い投資商品を選ぶことが欠かせません。

ファンド・オブ・ファンズの問題点をきちんと理解し、自分にとって最適な投資判断ができるようにしたいですね。

投資信託における分配型の罠

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この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

この記事を書いた人

著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。

地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。

その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。

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