投資家心理はチャートに表れる?株式市場を動かす感情の仕組みを解説

投資家心理は95%チャートに表れる!

株式投資で実際にトレードをされている方であれば、株の値動きに翻弄された経験がある方も多いのではないでしょうか。

株価は企業業績だけで決まるものではありません。

市場を動かしているのは、投資家たちの「心理」です。

強気や恐怖、期待や焦りといった感情が売買に影響し、チャート上の値動きとなって現れます。

本記事では、株価に心理が反映される理由、ファンダメンタル分析の限界、そして投資家心理を読み取るために有効なテクニカル分析について解説します。

   
目次

株価に投資家心理が影響する仕組み

冒頭で「投資家心理が株価を動かす」ということをお伝えしましたが、そもそも投資家心理とは何でしょうか。

投資家心理とは、投資を行う際に出てくるトレーダーの欲望や願望、恐怖などの人間の心理のことです。

人は常に論理的かつ合理的に行動するのではなく、「感情」によって時には非合理的な行動をしてしまいます。

そのような人間の心理を軸に置いて人の投資行動を分析することは、行動ファイナンスと呼ばれる学問として体系的に研究が行われています。

行動ファイナンスは、草分けであるプリンストン大学のダニエル・カーネマン博士が2002年にノーベル経済学賞を受賞したことで、世界的にも注目を集めました。

行動ファイナンスとは

行動ファイナンスの理論の一つに、投資家によくみられる「追認バイアス」というものがあります。

これは自分にとって肯定的な情報ばかりを集めようとしてしまう行動です。

例えば、あるゲームが人気になったのを見て、そのゲームの開発会社の銘柄を買った人がいたとします。

その後ゲーム開発会社の株価が大きく値下がりしても、なぜかそのゲームについて肯定的な情報ばかりを集めてしまうのです。

このように人間の投資活動は、時には非合理な行動をする人間の心理に左右されます。

そのため株価の動きは理屈通りにはいかず、簡単には予想できない動きをするのです。

この投資家心理を理解できないまま、株価は理屈通り動くものと信じて投資をすると、損をしてしまうでしょう。

ファンダメンタルズ分析には限界がある理由

株式投資の手法として有名な「ファンダメンタルズ分析」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

ファンダメンタルズ分析とは企業の財務分析を行うことにより業績や健全性を分析し、株価の割高度や割安度を判断するものです。

「割高なら買わない」、「割安なら買い」といった具合です。

ファンダメンタルズ分析については、テクニカル分析とファンダメンタルズ分析とは?それぞれのメリット・デメリットを解説しますの記事も合わせてご覧になってみてください。

ファンダメンタルズ分析は一定の財務知識が必要になり、それぞれの企業の業績などを分析するのに多くの時間もかかります。

世の投資家が全員ファンダメンタルズ分析を行うわけではなく、多くの投資家はそれぞれの思惑で株の売買を判断します。

ファンダメンタルズ分析と投資家心理

例えば、業績が好調な高齢者介護事業を手掛ける企業があったとします。

ファンダメンタルズ分析を行った人が「割安」と判断し買ったとしましょう。

「高齢化社会に向けて高齢者向け事業はさらに伸びるだろう」と予想した人も買ったとします。

しかし「高齢化向け事業はすでに多くの企業が進出しているから頭打ちになりそうだ」と判断して売った人の方が多ければ、株価は下がってしまいます。

ファンダメンタルズ分析を行った人は「せっかく時間をかけて分析したのに外れた!」とがっかりし、嫌になって投資を辞めてしまうかもしれません。

ファンダメンタル分析が役に立たないというわけではありませんが、投資家心理が株価を動かすということを考えれば、ファンダメンタル分析には限界があるということを認識しておく必要があるでしょう。

株価の値動きを予測するために大切なこと

それでは、株価の値動きを予測するためにはどうすればよいのでしょうか。

そのためには株価のチャートを分析する「テクニカル分析」が有効です。

テクニカル分析は株価のチャートのみにフォーカスし、企業の業績などのファンダメンタルズ要素は考慮しません。

株価のチャートは投資行動によって形成されたもので、投資家心理が反映されています。

過去の値動きをチャートで見ることにより、トレンドやパターンを把握することができます。

過去に似たパターンがあれば、それが将来も同じ動きになる可能性が高いと予測できるのです。

チャートだけに集中すればよいので、ファンダメンタルズ分析のようにそれぞれの企業について時間をかけて財務分析を行う必要もありません。

いったんテクニカル分析を習得すれば、どの銘柄にも応用することができ、長くそのスキルを活かすことができるのです。

しかし、銘柄を選定する際には一定の注意も必要です。

銘柄選定については、初心者におすすめの株の買い方とは?プロも活用する3つの基本ポイントを押さえようの記事をご覧ください。

テクニカル分析の技術を磨いていくことができれば、トレードの精度を格段に高めることができるでしょう。

もちろんテクニカル分析を習得するのも簡単ではありません。

しかし技術者と同じと考えてみてはどうでしょうか。

一度、その技術を覚えられれば何度でも再現が可能なのです。

株価を予測するために重要なテクニカル分析

チャートは投資家心理の集合体

テクニカル分析は、株価チャートに表れた過去の値動きをもとに今後を予測する手法です。

チャート上の高値・安値・ローソク足の形状は、投資家たちの「期待」「恐怖」「焦り」といった感情の結果です。

たとえば急上昇は「強気の心理」、急落は「恐怖による投げ売り」を反映しています。

チャートを分析することで、相場全体の心理状態を視覚的に捉えることができるのです。

テクニカル分析の強みと習得の価値

ファンダメンタル分析のように企業情報を深掘りする必要がなく、どの銘柄にも応用可能なのがテクニカル分析の魅力です。

また、一度分析技術を身につければ、同じルールを繰り返し使うことができ、再現性が高い点も特徴です。

テクニカル分析を学び、チャートを通して市場の心理を読み取る力を養うことが、長期的に安定した投資判断につながります。

 

投資家心理を読み解くためのQ&A

Q1. 投資家心理をチャートから読み取るって、本当に可能なの?

A. 完全に「人の気持ち」を読むことはできませんが、チャートには投資家の行動パターンが明確に表れます。

たとえば株価が急上昇するときは「もっと上がるはず」と考える強気心理が、急落時には「もうダメだ」と売りが加速する恐怖心理が働いています。

これらの心理の連続がローソク足や移動平均線などの形となって現れるのです。

つまりチャートは“投資家心理の集合体”であり、その流れを読み取ることが予測力につながります。

Q2. 投資家心理を意識してトレードするには、何から始めればいい?

A. まずは「自分自身の心理」を理解することから始めましょう。

株価が下がったときに焦って売ってしまう、上がるとすぐに買ってしまう──こうした行動の癖を客観的に把握することが第一歩です。

そのうえで、チャートを使ったテクニカル分析を学ぶことで、市場全体の心理変化を視覚的に読み取れるようになります。

自分と市場、両方の心理を意識することで、より冷静で再現性の高いトレード判断が可能になります。

まとめ

    株価は企業の業績だけでなく、投資家の心理によって大きく動きます。

    人は常に合理的に行動できるわけではなく、恐怖や期待といった感情が相場の波を生み出します。

    そのため、ファンダメンタル分析だけでなく、チャートを通じて心理を読み取るテクニカル分析のスキルを磨くことが重要です。

    市場全体の心理を理解し、自分自身の感情をコントロールできる投資家こそ、長く生き残ることができるでしょう。

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    この記事の監修者

    監修者プロフィール

    トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
    20歳で株の売買を始めてから20年間、
    「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
    その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

    現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
    日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
    どの市場でも大きな利益を生み出している。

    ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
    東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

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    この記事を書いた人

    著者プロフィール
    根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
    1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。

    地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。

    その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。

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