相場格言「頭と尻尾はくれてやれ」の意味とは?欲を捨てて着実に利益を残す投資術を徹底解説

頭と尻尾はくれてやれ

株式投資の世界には「安く買って、高く売る」という大原則があります。

しかし、いざ実践してみると「どこが最安値なのか」「どこが最高値なのか」を完璧に当てることは、プロの投資家であっても至難の業です。

多くの初心者が、底値で買おうと待ちすぎてチャンスを逃したり、天井で売ろうと欲張って利益を溶かしたりしています。

そんな迷いを断ち切り、着実に利益を積み上げるための智慧が相場格言「頭と尻尾はくれてやれ」です。

本記事では、この格言が教える真の意味や、現代のトレードで具体的にどう活かすべきかを詳しく解説します。

   
目次

相場格言「頭と尻尾はくれてやれ」の真意と本間宗久の教え

「頭と尻尾はくれてやれ」という言葉は、日本の相場の歴史において最も有名で、かつ本質を突いた格言の一つです。

この言葉のルーツは、江戸時代の米相場で「相場の神様」と称えられた本間宗久(ほんまそうきゅう)に遡るとされています。

彼は酒田五法を生み出し、圧倒的な洞察力で莫大な富を築いた人物ですが、その彼が説いたのは「完璧を求めないこと」の重要性でした。

魚の胴体だけを食べれば十分という考え方

この格言は、相場を「魚」に例えています。

魚を食べる際、頭と尻尾は骨が多くて食べにくく、最も美味しい身が詰まっているのは「胴体」の部分です。

これを投資に当てはめると、最高値(頭)と最安値(尻尾)という極端な価格帯は、リスクが高く不確実な領域であり、そこを狙うのではなく、最も確実なトレンドが出ている「胴体(中間部分)」だけで利益を得れば十分であるという意味になります。

欲張りが招く「投資の罠」を回避する

多くの投資家は、自分の買った株が1円でも安く、売った株が1円でも高いことを望みます。

しかし、その「1円」に執着するあまり、本来得られるはずだった利益を逃してしまうケースが後を絶ちません。

本間宗久が伝えたかったのは、相場の動きをすべて自分のものにしようとする「強欲」を戒めることです。

相場は常に変動しており、誰もコントロールできません。だからこそ、コントロール可能な「自分の欲」を制御することこそが、長期的な成功の鍵となるのです。

現代でも色褪せない江戸時代の知恵

本間宗久が活躍した江戸時代と現代では、取引のスピードやツールは劇的に変化しました。

しかし、人間の心理は数百年前から変わっていません。恐怖で投げ売りし、強欲で買い上がる。

そんな人間の本質を見抜いたこの格言は、AIやアルゴリズムが支配する現代の株式市場においても、個人のメンタルを支える最強の武器となります。

完璧主義を捨て、余裕を持って相場に臨む姿勢こそが、プロへの近道なのです。

なぜ投資家は「天井」と「底」に執着して失敗するのか

投資の世界で、なぜ多くの人が「頭と尻尾」を追い求めてしまうのでしょうか。

そこには、人間の脳に組み込まれた心理的なバイアスが深く関わっています。

この仕組みを理解することで、格言の重要性がより深く納得できるはずです。

損失回避性と最大利益への執着

人間には、利益を得ることよりも損失を避けることを重視する「プロスペクト理論」という心理傾向があります。

これが投資においては「もっと安く買えたはずだ」「もっと高く売れたはずだ」という、機会損失に対する強い後悔として現れます。

この後悔を避けたいという思いが、不可能な「底値買い・天井売り」への執着を生みます。しかし、実際にはこの執着こそが、判断を遅らせる最大の要因となります。

後から見れば「天井」も「底」も明白に見える

チャートを後から振り返れば、どこが底でどこが天井だったかは一目瞭然です。

これを「後知恵バイアス」と呼びます。このバイアスにより、投資家は「自分にも予測できたはずだ」と錯覚してしまいます。

しかし、リアルタイムで動いている相場の中では、その地点が底なのか、あるいはさらなる暴落の入り口なのかを判断することは不可能です。

確証がない中で極端なポイントを狙うのは、投資ではなくギャンブルに近い行為といえます。

資金効率と精神的コストの悪化

天井や底を狙いすぎると、エントリーや決済のタイミングを逃し、資金が長期間拘束されることになります。

また、思い通りの価格にならないストレスは、他のトレード判断にも悪影響を及ぼします。

  • 「底」を待っている間に株価が反転して上昇し、焦って高値で掴んでしまう。

  • 「天井」を待っている間に急落が始まり、利益が含み損に変わってしまう。 このような悪循環を断ち切るには、「頭と尻尾」という不確実な部分を最初から放棄するという決断が必要です。これができる投資家は、精神的な余裕を持ちながら、効率よく資産を回転させることができます。

尻尾を捨てて「底打ち」を確認してから買う具体的手法

「尻尾をくれてやる」とは、具体的にどのようなトレードを指すのでしょうか。

買いの局面においては、株価が下落している最中に買うのではなく、下げ止まって上昇に転じたことを確認してからエントリーすることを意味します。

下落局面での「落ちてくるナイフ」は掴まない

投資の格言には「落ちてくるナイフは掴むな」という言葉もあります。

株価が急落している最中に「そろそろ底だろう」と予測して買うことは、非常に危険です。そのまま下落が続けば、大きな含み損を抱えることになります。

ここで「頭と尻尾はくれてやれ」を実践するなら、下落が落ち着き、反転の兆しが見えるまでじっと待つのが正解です。

トレンド転換を見極めるサインを活用する

底値(尻尾)を捨てる代わりに、安全性を手に入れるための代表的なサインを紹介します。

  • ダブルボトムの形成:二度安値を試して、前回の安値を下回らなかった状態。

  • 移動平均線のゴールデンクロス:短期の移動平均線が長期を突き抜ける現象。

  • 陽線の出現と出来高の増加:売りの勢いが弱まり、買いの勢力が強まった証拠。 これらのサインを確認してから買うと、最安値からは少し高い価格での購入になります。しかし、すでに上昇トレンドが始まっている可能性が高いため、そのまま利益に繋がる確率が格段に上がります。

最小単元からの打診買いを検討する

一気に大きな資金を投入するのではなく、まずは少額でエントリーする「打診買い」も有効な戦略です。

もし予測が外れて再び下落しても、ダメージを最小限に抑えられます。 「あと数円安ければ買えたのに」という後悔は不要です。

その数円という「尻尾」を市場に譲ることで、あなたは「反転上昇」という確実性の高い果実を手にすることができるのです。

安全性を買うための手数料だと考えれば、少し高い株価で買うことも納得できるはずです。

頭を捨てて「腹八分目」で利益を確定させる売り時の極意

利益が出ている局面では、人間は「もっと上がるのではないか」という期待に支配されやすくなります。

しかし、相場の天井をピタリと当てるのは至難の業です。ここで「頭をくれてやる」精神が重要になります。

利益を確定させる勇気が資産を守る

含み益は、確定させるまでは単なる「数字」に過ぎません。

多くの投資家が、天井付近で売ろうと粘った結果、急落に巻き込まれて利益の大部分を失う、あるいは「あの時売っておけばよかった」という後悔から損切りすらできなくなるという失敗を経験します。

「腹八分目」で利益を確定させることは、単に欲を抑えるだけでなく、リスク管理そのものなのです。

利食いの基準をあらかじめ決めておく

感情に左右されないためには、エントリーする前に「どこで売るか」を決めておくことが不可欠です。

  • 目標株価に達したら半分売却する:利益を確保しつつ、残りでさらなる上昇を狙う。

  • 移動平均線を割り込んだら手仕舞う:トレンドの終了を機械的に判断する。

  • オシレーター系指標の過熱感を見る:RSIなどの指標が70〜80%を超えたら警戒する。 これらのルールに従うと、売った後にさらに株価が上がることも多々あります。しかし、それは「頭」の部分であり、他人に譲って良い領域です。

売り逃しを防ぐ「トレイリングストップ」の活用

株価の上昇に合わせて、逆指値(損切りライン)を切り上げていく「トレイリングストップ」という手法も有効です。

これを使えば、天井を当てる必要はありません。

株価がピークをつけて反転し、設定したラインを割り込んだ時点で自動的に決済されます。

結果として最高値で売ることはできませんが、上昇トレンドの大部分を確実に利益に変えることができます。

「頭」を他人にくれてやる覚悟を持つことで、あなたは「急落による利益の消失」という最悪のシナリオから解放されるのです。

現代のテクニカル指標で「魚の胴体」を見極めるコツ

江戸時代の格言を現代のトレードに落とし込む際、非常に役立つのがテクニカル指標です。

これらを使うことで、客観的に「今は魚のどの部分なのか」を推測できるようになります。

移動平均線でトレンドの方向性を確認する

最もシンプルかつ強力なツールが移動平均線です。

株価が25日移動平均線の上にあり、かつ移動平均線自体が上向きであれば、それは「上昇トレンドの胴体部分」にいる可能性が高いと言えます。

逆に、移動平均線が横ばいから下向きに変わったら、それは「魚の頭」を過ぎたサインかもしれません。

移動平均線から大きく乖離しているときは、頭や尻尾の危険ゾーンにいると判断し、手出しを控えるのが賢明です。

ボリンジャーバンドで「行き過ぎ」を察知する

ボリンジャーバンドは、株価が統計的に収まりやすい範囲を示す指標です。

バンドの±2σや±3σに達したときは、相場が「行き過ぎ」の状態にあります。

ここが頭や尻尾になることが多いため、無理に追従するのではなく、バンドの内側に回帰するのを待つ、あるいは利益確定の準備をする目安になります。

胴体部分とは、バンドの中でトレンドが安定して継続している状態を指します。

RSIやMACDで売買の勢いを測定する

RSI(相対力指数)は、買われすぎ・売られすぎを判断するのに役立ちます。

30%以下なら尻尾の可能性を探り、70%以上なら頭を警戒します。

また、MACDのシグナルが交差するタイミングは、トレンドの転換点、つまり「胴体が始まる合図」として非常に重宝されます。

これらの指標を組み合わせることで、「根拠のない予測」ではなく「データに基づいた判断」が可能になります。

ただし、指標も完璧ではありません。常に「少し遅れて反応する」という特性を理解し、その遅れこそが「頭と尻尾を捨てる」ための安全マージンであると捉えることが大切です。

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まとめ

  • 相場格言「頭と尻尾はくれてやれ」は相場の神様と称される本間宗久氏の言葉
  • 株を底値で買って天井で売ることは理想であって現実では難しいので、上下にゆとりを持って利益を確保した方がいい
  • トレードの精度を上げるには、売買シグナルを確認してからエントリーをする

本記事では相場格言「頭と尻尾はくれてやれ」の意味と教訓、生かすべきシチュエーションを紹介しました。

株式投資をしていると「1円でも多く利益を得たい」と思ってしまいがちですが、八分目まで得られれば十分という気持ちで余裕を持ってトレードをするようにしましょう。

継続して利益を上げ続けていくことが大切です。

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この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

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この記事を書いた人

著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。

地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。

その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。

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