アセンディングトライアングルとはなに?使い方や使用するときの注意点を解説

「アセンディングトライアングルとはなに?」と疑問に思っていませんか?

テクニカル分析をはじめたばかりの方にとって、アセンディングトライアングルは馴染みがなく、どんなものなのかわからないという人が多いようです。

そこで今回は、アセンディングトライアングルの概要から実際の使い方について詳しく解説します。

本記事を読むと、初心者の方でもアセンディングトライアングルとはどんなチャートパターンなのか理解できるようになります。

また、アセンディングトライアングルを使う際の注意点についても紹介しました。

ぜひ本記事の内容を参考に、ご自身でもアセンディングトライアングルを活用した投資戦略を検討してみてください。

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目次

アセンディングトライアングルとは

アセンディングトライアングルは、株やFXのチャートで現れるパターンの一つです。

このパターンは、価格が上昇トレンドを継続する可能性を示すシグナルとして、多くの投資家に注目されています。

アセンディングトライアングルは、水平な上値抵抗線と右上がりの下値支持線によって構成されているのが特徴です。

実際のチャートでは以下のように形成されます。


価格の安値が切り上がっているのは、パターン形成期間は売り手が買い手に吸収されて売り物が減っていることを表しています。

したがって、アセンディングトライアングルは上方向へ価格が上昇しやすいため、強気の継続パターンとして認識されています。

なお、一般的には日足や週足で使われる場合が多いです。

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アセンディングトライアングルの使い方

本章で紹介するアセンディングトライアングルの使い方は、以下のとおりです。

  • アセンディングトライアングルを使ってエントリーする方法
  • アセンディングトライアングルを使って利確する方法
  • アセンディングトライアングルを使って損切りする方法

それぞれ解説します。

アセンディングトライアングルを使ってエントリーする方法

アセンディングトライアングルのエントリーポイントは、価格が上値抵抗線を明確に上抜けしたときです。

この上抜けは「ブレイクアウト」と呼ばれ、価格が大きく上昇する可能性が高いタイミングとされています。


瞬間的な値動きではなく、取引時間終了時の価格で抵抗線を超えていることを確認してから購入すると、冷静な売買判断ができるでしょう。

コツとしては、なるべく上値抵抗線付近の価格帯でエントリーするのがポイントとなります。

もし、取引時間終了時点で上値抵抗線から価格が上がりすぎてしまった場合は、エントリーを見送って次の機会に備えるという選択肢も大切です。

アセンディングトライアングルを使って利確する方法

利益確定の目標価格は、三角形パターンの最大幅を基準に設定します。

三角形の高さ(上値抵抗線から最も低い下値支持線までの距離)を測定し、その距離をブレイクアウト価格に加えた水準が目標です。


また、目標価格の50%到達時に保有株の半分を利確し、残りの半分を最終目標価格まで保有する方法もあります。

この手法により、利益を素早く確保しリスクを抑えながら、さらなる上昇の恩恵も受けられます。

アセンディングトライアングルを使って損切りする方法

損切りポイントは、価格が上値抵抗線を下抜けした価格帯に設定します。


ブレイクアウト後の上値抵抗線は、価格が支えられる可能性が高い重要な価格帯であり、このラインを下回るのは相場が異常な動きをしていることを意味するからです。

そのため、上値抵抗線を数%下回ると強制的に損切りするといったルールを設けるのが効果的だといえます。

どこまで下げると損切りした方がいいのかは銘柄によって変わるため、過去の値動きを観察したりご自身のリスク許容度に合わせたりして損切りラインを決めましょう。

事前に決めた基準を厳格に守ることで、感情的な判断を排除した機械的な損切りが可能となります。

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アセンディングトライアングルを使うときの注意点

アセンディングトライアングルを活用した投資をする際に、注意すべき点は以下のとおりです。

  • 価格が逆行したら迷わず損切りする
  • 1回の取引で全財産を投資しない
  • ほかの指標と併用する

それぞれ解説します。

価格が逆行したら迷わず損切りする

価格が想定していない方向に動いた場合は、機械的に損切りを実行する必要があります。

アセンディングトライアングルは統計的に有効性が高いパターンですが、必ず成功するわけではないからです。

そのため、予想以上に価格が逆行したら感情を排除して素早く損切りをするようにしましょう。

損切りの具体的なタイミングは、前の章で説明したように、上値抵抗線を下抜けしたあたりに損切りラインを設けるのが効果的です。

損切りを躊躇すると、小さなマイナスが大きな損失に膨らんでしまい致命的な打撃を受けかねません。

ですが、損切りルールを徹底すると、1回の失敗で大きな損失を被ることを防ぎ、次の投資機会に備えられます。

1回の取引で全財産を投資しない

アセンディングトライアングルを活用した取引では、1回の投資額を総資産の一定割合以下に制限するのが極めて重要です。

どんなに確実に見えるパターンでも、市場には予測不可能な変動があり、全財産を投入すると1回の失敗で資産の大半を失うリスクがあるためです。

具体的な割合は、1回の取引で投資する金額は総資産の10%以下に抑えるのが好ましいといえます。

この基準を守ることで、仮に予想が外れて損失が発生しても、投資活動を継続できる資金を確保できます。

分散投資を行うことにより、仮に一つの取引で損失が出ても他の取引で補完でき、資産全体の安定性を保つことが可能です。

ほかの指標と併用する

アセンディングトライアングルを活用する際は、他のテクニカル指標と組み合わせるようにしましょう。

一つの指標のみに依存すると、偽のシグナルに引っかかりやすくなり、損失リスクが高まるためです。

たとえば、アセンディングトライアングルのパターンは出来高との併用でより効果を発揮します。


このように、ブレイクアウト時に出来高が大幅に増加していることを確認できれば、需要が増大しているとわかるため信頼性の高いシグナルと判断できます。

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アセンディングトライアングルについて知りたい人によくある質問

アセンディングトライアングルについて知りたい人によくある質問は、以下のとおりです。

  • アセンディングトライアングルとディセンディングトライアングルの違いは?
  • アセンディングトライアングルとシンメトリカルトライアングルの違いは?

それぞれ解説します。

アセンディングトライアングルとディセンディングトライアングルの違いは?

アセンディングトライアングルとディセンディングトライアングルは、形状と予測される価格動向が正反対のパターンです。

それぞれの違いを正確に理解すると、相場の方向性を的確に判断できるようになります。

アセンディングトライアングルは、水平な上値抵抗線と右上がりの下値支持線で構成され、価格の上昇継続を示唆します。


一方で、ディセンディングトライアングルは水平に引かれた下値支持線と右下がりの上値抵抗線で形成され、価格が下落トレンドを継続する可能性を示すチャートパターンです。

アセンディングは売り圧力が、ディセンディングは買い圧力が徐々に減っている状況を表しています。

利確目標の計算方法は基本的に同じですが、アセンディングは上方向、ディセンディングは下方向にブレイクアウトを予測する点が異なります。

アセンディングトライアングルとシンメトリカルトライアングルの違いは?

アセンディングトライアングルは水平な抵抗線と右上がりの支持線で構成され、価格の上昇継続を強く示唆するパターンです。


シンメトリカルトライアングルは右上がりと右下がりの線が交差する形で、価格がどちらの方向に動くか不明確なパターンとなります。


エントリー戦略では、アセンディングは上方向のブレイクアウトを前提に戦略を立てられます。

シンメトリカルトライアングルの場合は、どちらの方向にもブレイクアウトする可能性があるため、より慎重なアプローチが必要です。

ブレイクアウトの方向を確認してからエントリーするのが、シンメトリカルトライアングルでは特に重要になります。

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まとめ

今回は、アセンディングトライアングルの基本的な概要から実際の活用方法まで詳しく解説しました。

アセンディングトライアングルは株やFXの価格チャートで現れる代表的なパターンで、上昇トレンドの継続を示唆する強力なシグナルです。

水平な上値抵抗線と右上がりの下値支持線で形成されるこのパターンを正しく理解すると、精度の高い投資判断が可能になります。

ただし、どんなに有効性の高いパターンでも100%成功するわけではありません。

価格が想定と逆行した場合は迷わず損切りし、1回の取引で全財産を投入することは避けるなどリスクを最小限に抑えるのが重要です。

ぜひ本記事を参考に、アセンディングトライアングルを活用した投資を行ってみてください。

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この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

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この記事を書いた人

株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。

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