為替ヘッジとは?初心者はあり・なしのどっちがいい?

為替ヘッジとは?初心者はあり・なしのどっちがいい?

初心者の方は、海外の投資信託やETFを選ぶ際、為替ヘッジありと為替ヘッジなしのどちらにするか迷うでしょう。

選択によって、安定的な利益を狙うか、リスクを取ってより大きな利益を狙うかが変わります。

今回は、為替ヘッジのありなしでどう違うのか、どのように活用すればよいかを解説します。

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目次

為替ヘッジとは

まずは、為替ヘッジの仕組みについて解説します。

為替ヘッジの仕組みと役割

為替リスクとは、為替相場が変動することで生まれるリスクです。

外貨建ての資産を保有している間、円と外貨は変動します。

例えば、1ドル100円の時に資産を購入し、1ドル80円になったタイミングで売却すると、20%の損失が発生します。

反対に、1ドル100円の時に資産を購入し、1ドル120円になったタイミングで売却すると、20%の利益が生まれます。

為替ヘッジとは?初心者はあり・なしのどっちがいい?

為替ヘッジとは、外国株式や外国債券など海外の資産に投資する時、為替変動リスクを回避・軽減するための仕組みです。

為替ヘッジは「為替予約取引」によって行われ、特定の期日に特定のレートで外貨と円を交換することを指し、あらかじめ約束します。

これにより、為替変動リスクをカバーします。

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「ヘッジあり」と「ヘッジなし」の違い

為替ヘッジありでは、コストがかかる代わりに、為替リスクの影響を小さくします。

為替ヘッジなしは、為替の影響をそのまま受ける仕組みです。

円安なら利益が増える一方、円高なら損失が生まれてしまいます。

例えば、1ドル=100円のときに1万ドル(100万円)分の米国株を購入したと考えてみましょう。

この投資家が為替ヘッジを行う場合、同時に「1年後に1万ドルを1ドル=100円で売る」という為替予約を結びます。

1年後、もし円高が進み1ドル=90円になっていても、為替予約によって1万ドルを100万円で円に交換できます。

これにより、為替変動による10万円の損失を回避できます。

為替ヘッジありのメリット

為替ヘッジありの場合、以下のようなメリットがあります。

為替変動リスクを避けやすい

為替ヘッジありの最大のメリットは、為替変動リスクを防げることです。

投資先の通貨が円に対しやすくなると、円換算した際の資産価値は目減りします。

しかし、円高に動くか円安に動くかの予測は難しく、思った通りの動きをしないことも多いです。

ヘッジがありならそういったリスクを抑え、投資対象そのものに対して集中して取引できるようになります。

為替の予測をしなくてよい

為替の動きは、日本の経済状況だけではどう動くかわかりません。

投資先の経済や政情、金利差、災害の発生など、多くの要素が複雑に絡み合い決まります。

ある程度の自信を持って「円安に動くだろう」などと考えても、すぐに真逆の動きをすることもあるでしょう。

為替ヘッジありを選択すれば、こういった予測をする必要がなくなり、企業やファンドの将来性だけで商品を評価できるようになります。

安定したリターンを狙いやすい

為替ヘッジには一定のコストがかかりますが、不確実な要素を排除できるため安定性が高まります。

特に、外国債券など値動きが小さいとされる資産に投資する場合、投資対象そのもののリスクより、為替リスクの方が大きいといった状況も珍しくありません。

ただし、ヘッジには「外貨の短期金利−円の短期金利±クロスカレンシー・ベーシス」というコストが継続的に発生します。

高金利通貨を円ヘッジする局面では、安定と引き換えにコスト負担が重くなる点に注意しましょう。

為替ヘッジなしのメリット

為替ヘッジなしの場合、以下のようなメリットがあります。

為替差益を狙える

為替差益とは、為替レートの変動によって生まれる利益です。

金融商品を購入するときより売却するときの方が円安であれば、その差分で利益を得ることができます。

為替ヘッジなしの最大のメリットは、投資対象のリターンだけでなく為替による利益を得られることです。

円安に動いた幅が大きければ大きいほど、利益も大きくなります。

日本と投資対象国の金利差が大きい時に有利

ヘッジなしはヘッジコストを支払わないため、金利差が大きい局面では相対的に有利に働くことがあります。

一方で、為替が金利差以上に円高へ振れると、その為替損がコスト節約分を上回ることもあります。

「コストを払わない代わりに為替リスクを引き受ける」という構図だと理解しましょう。

長期的な投資に向いている

為替レートは常に変動するもので、円高に動くことも円安に動くことも頻繁にあります。

また、長期投資をする際はヘッジコストが積み重なることで利益を圧迫するため、為替ヘッジなしの方がリターンが大きくなる傾向です。

初心者のための選び方と注意点

為替ヘッジについて、初心者の方が気を付けるべきポイントを解説します。

景気動向と為替の相関関係

為替レートは、各国の景気動向と相関関係となっています。

為替ヘッジとは?初心者はあり・なしのどっちがいい?

適切なポートフォリオの考え方

為替ヘッジは、ポートフォリオのリスク管理の観点から重要です。

海外資産に投資する場合、ポートフォリオは投資対象自体のリターンと為替変動によるリターンで構成されます。

為替ヘッジは、為替変動リスクをコントロールするために利用されます。

為替ヘッジありの場合は為替リスクを排除するため、ポートフォリオのリスクは投資対象そのものの値動きに限定されます。

これにより、為替変動に左右されず、安定したリターンを追求することが可能です。

為替ヘッジなしの場合は、為替リスクを積極的に取り入れることで、ポートフォリオのリスクとリターンの両方を高めます。

円安が進めば大きなリターンが期待できますが、円高が進めば損失リスクも増大します。

為替ヘッジの関係する金融商品

為替ヘッジが関係する主な金融商品は、外国株式投信、外国債券投信、海外ETFです。

外国株式投信は、為替ヘッジなしを選ぶケースがよくあります。

これは、株式はそもそも値動きが大きいため、為替変動リスクも含めて大きなリターンを狙う方が多いためです。

一方、長期的に投資する場合は、為替ヘッジなしを選びコストを抑えることでトータルリターンを引き上げるという考え方もあります。

外国債券投信は、為替ヘッジありが選ばれることが多いです。

債券はほかの金融商品に比べて安定性が高く、その分リターンは小さめであるという特徴があります。

そのため、為替変動による損失を抑えることで、安定した利回りを狙うという戦略がとられます。

海外資産に投資するETFは、為替ヘッジのあり・なしにそれほど偏りはありません。

重要な点は、ありにするかなしにするか、全体の傾向にとらわれすぎず自分で判断して選ぶことです。

まずは自分が投資を考えている金融商品の特徴について調べ、為替の影響をどのくらい受けるか、過去どのような変動をしているかなどをリサーチしましょう。

外貨投資ってリスクはある?為替変動リスクや関係の深い金融商品を解説

為替ヘッジに関するよくある質問

為替ヘッジに関するよくある質問に回答します。

Q.為替ヘッジはあり・なしどっちがいいですか?

一概にどちらがいいというものではなく、投資の目的次第で変わります。

短期的な投資や安定を重視したい方はヘッジあり、長期の投資や円安でのメリットを狙う方はヘッジなしの方が相性がよいでしょう。

Q.為替ヘッジのコストはどれくらいですか?

日本と投資対象国の短期金利の差で決まります。

実際のヘッジコストは、「通貨ペアごとの短期金利差」「ヘッジ期間(1か月、3か月、1年など)」市場での需給や流動性、信用スプレッド(フォワード市場のベーシス)」などによって変動します。

そのため、同じ外貨/円であっても時期や契約条件によって、年率 3% 程度のときもあれば 6% 近くになることもあります。

現在のヘッジコストがどの程度になるかは、最新の開示資料を確認してください。

まとめ

為替ヘッジは、つまるところ為替変動リスクを取るかどうかの選択です。

安定性を求めて投資対象そのものに集中するか、リスクを許容して為替差益も狙うか、それぞれにメリットとデメリットがあり一概にどちらがいいといえるものではありません。

自分は投資家としてどんな戦略を持っているかを今一度考え、自分にあった方を選びましょう。

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この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

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この記事を書いた人

株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。

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