チャートでよく見る「陽の陰はらみ」。
名前は知っていても、どの条件を満たすと判定できるのか、どの順番で何を確認すべきかが曖昧だと活用しづらいものです。
本記事では、定義をやさしく整理し、出現位置や翌日の足との組み合わせによる見え方や、初心者の方でも再現しやすい手順でまとめます。
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陽の陰はらみとは

陽の陰はらみとは、大陽線の翌日に、その大陽線の実体内に収まる形で陰線が出現するローソク足の組み合わせを指します。
つまり、2本目のローソク足(陰線)の値動きが、1本目のローソク足(大陽線)の範囲内にすっぽり収まっている状態です。
大陽線を“母”に見立て、その中に陰線という“子”がはらまれているように見えることから、この名称が付けられました。
同じ構造で、陰線を母線とする「陰の陽はらみ」や、陽線が連続する「陽の陽はらみ」といったパターンも存在します。
前日の大陽線の中に陰線が収まっている状態
陽の陰はらみで重要なのは、前日の大陽線の中に陰線が収まっているかどうかです。
実体部分の中に納まっている必要があるため、陰線は前日の大陽線の始値・終値の中で値動きしている必要があります。
実体をはみ出ていないかは注視すべきポイントです。
高値圏・上昇トレンドで出現すると反転のシグナル
高値圏かつ上昇トレンドで出現すると、トレンド反転のシグナルになります。
つまり、陽の陰はらみが出現した翌日に、下降トレンドが始まる可能性が高いということです。
もちろん、3日目にさらに陽線が出現し上昇するのであれば、高値を更新するほど強い上昇トレンドが続く可能性もあります。

上図はENEOSホールディングス(5020)の2018年のチャートです。
上昇トレンドが続き、高値圏で陽の陰はらみが出現。
その後下降トレンドへと切り替わっていることがわかります。
陽の陰はらみが出現した翌日の値動きで判断
陽の陰はらみで注目しておきたいのが、翌日の値動きです。
3日目に上昇するのか、下落するのかで今後どう動くかの予想も変わってきます。
3日目に上昇するなら、まだ上昇トレンドは継続中。
3日目に下落するなら、トレンド転換の可能性大と覚えておきましょう。
陽の陽はらみも似たシグナル
陽の陽はらみも似たシグナル
「陽の陰はらみ」とよく似たシグナルとして、「陽の陽はらみ」があります。
文字通り、大陽線の翌日に再び陽線が出現するパターンです。
意味合いとしては「陽の陰はらみ」と同様に、高値圏で出現した場合にトレンド転換のサインとして注目されやすいとされています。
つまり、高値圏(または天井圏)で「陽の陰はらみ」や「陽の陽はらみ」が確認された場合、上昇トレンドの勢いが弱まりつつある可能性があります。
そのため、空売りを検討する判断材料の一つとして参考にされることもあります。
ただし、実際の売買判断では他のテクニカル指標や出来高の動きも併せて確認することが重要です。
陽の陰はらみをチャート上で見つける方法
ここでは、チャート上で陽の陰はらみを見つける手順を整理します。
実際のトレードに活かすためにも、出現のサインを見逃さないようにしましょう。
上昇トレンドがあるか確認
まずは、上昇トレンドにある銘柄を探します。
上昇トレンドの判定方法はいくつかありますが、自分に合ったスタイルで構いません。
たとえば、移動平均線の向きや位置関係で判断する方法や、スクリーニング機能で上昇中の銘柄を抽出する方法などがあります。
重要なのは、「上昇傾向にあるチャートの中で探す」という前提を押さえることです。
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大陽線と陰線の組み合わせを確認
次に、大陽線のすぐ隣に陰線が出ているかを確認します。
大陽線の実体の中に、翌日の陰線がすっぽり収まっていれば、それが陽の陰はらみのサインです。
この組み合わせは、勢いの一服やトレンド転換の初動を示唆することが多いため、慎重に観察しましょう。
高値圏かどうか確認
陽の陰はらみを見つけたら、出現位置が高値圏かどうかを確認します。
直近の値動きを振り返り、過去の高値ライン付近で出ていれば、シグナルとしての信頼性が高まるとされています。
逆に、安値圏で出現している場合は、単なる一時的な押し目や調整局面である可能性もあるため、見極めが必要です。
3本目のローソク足を観察する
最後に、3本目(翌日の値動き)を注視しましょう。
ここで上昇に転じるのか、下落に向かうのかによって、シグナルの意味合いが大きく変わります。
もし下落方向へ転じた場合は、天井圏からのトレンド転換を示唆するケースもあります。
一方で上昇が続くようであれば、一時的な調整で再上昇に向かうパターンもあるため、慎重な判断が求められます。
日々チャートを確認し、こうしたローソク足の連なりを見極める習慣を持つことで、より精度の高いトレード判断につながります。
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陽の陰はらみが出現したときのトレード判断
陽の陰はらみが出現した際の基本的な見方と考え方を整理します。
焦らず、相場の流れを冷静に観察することが大切です。
3本目の動きに合わせて順張りの方向を確認
陽の陰はらみを確認したら、3本目(翌営業日)の値動きを観察し、その方向に沿って順張りの可能性を検討します。
たとえば、3日目が上昇すれば買い継続の流れ、下落すれば調整・反転の兆しと考えられます。
ただし、すでに長い上昇トレンドが続いている高値圏で出現した場合には、たとえ3日目が上昇しても慎重な判断が求められます。
上昇が一服したタイミングで急落に転じるケースもあり、ポジションを新規に取るよりも、しばらく様子を見る方が無難です。
高値圏での出現はトレンド転換の兆候に注意
陽の陰はらみが高値圏で出現している場合は、上昇トレンドの勢いが弱まりつつあるサインとして注目されます。
高値圏というのは、それまでに強い上昇が続いていた証拠でもありますが、同時に買いエネルギーの限界に近づいている局面でもあります。
このような場面では、トレンド転換や一時的な下落(押し)が発生する可能性が高まるため、空売りを検討する投資家も少なくありません。
ただし、実際に売買を行う場合は、出来高や上位足(週足など)のトレンド方向も合わせて確認し、総合的に判断することが重要です。
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陽の陰はらみだけで判断しないように注意
陽の陰はらみはトレードに役立つシグナルですが、それだけで判断しないように注意しましょう。
陽の陰はらみが出現したら100%トレンド転換するというわけではありません。
他の角度からも分析して、分析の精度をできるだけ上げてください。
また陽の陰はらみをすぐに使いこなそうとせず、しっかりと何回も使ってみて技術を磨くようにしましょう。
陽の陰はらみと合わせて使える指標・テクニック
陽の陰はらみと合わせて使える指標・テクニックをご紹介します。
数あるテクニックの中でも、特にオススメのものを厳選しました。
移動平均線
陽の陰はらみと合わせて使いたいのが、トレンドの方向性を探りやすい移動平均線です。

上図は良品計画(7453)のチャートです。
まず大きなトレンドとして、100日移動平均線の向きを見てみましょう。
陽の陰はらみがでるまでは右肩上がりですが、出現後は横ばいになり右下下がりになっていることがわかります。
また陽の陰はらみが出たタイミングは、移動平均線が上から順に短い日数のものから並んでいます。
相場流であればPPP(パンパカパン)になっている状況です。
強い上昇トレンドであることを示しており、そんな状況で陽の陰はらみが出てトレンド転換しているわけですね。
移動平均線を合わせて使うことで、よりトレンドを掴みやすくなり、陽の陰はらみの信ぴょう度を確認できるのです。
【相場流株技術用語】PPP(パンパカパン)・逆PPPとは?移動平均線でトレンドの波をとらえよう
RSI
RSIは買われすぎ・売られすぎを確認できるテクニカル指標です。

上図は良品計画(7453)のチャートです。
下半分がRSIであり、70%以上が買われすぎ・30%以下が売られすぎのラインとなっています。
つまり70%以上になっている場合は、買われすぎているのでそろそろ売りの勢いが強まって、株価が下がる可能性が高いということです。
陽の陰はらみが出現しているポイントと、RSI70%以上のタイミングが重なったら要注意。
トレンド転換で、株価が下がる可能性を考えておきましょう。
【相場流】逆下半身
逆下半身とは、5日移動平均線を陰線で大きく下回り、実体の半分以上が下に突き出ている状態を指します。
実際に良品計画(7453)のチャートで確認してみましょう。

陽の陰はらみが出現した後に、逆下半身も出現しています。
逆下半身は下落トレンドのシグナルですから、よりトレンド転換の信ぴょう性が高くなったといえますね。
陽の陰はらみ+逆下半身で、上昇トレンドから下降トレンドへ切り替わる根拠が強まったため、空売りをして利益を狙いたい場面です。
逆下半身については、下記記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
【相場式株技術用語】下半身・逆下半身とは?株初心者にもわかりやすく解説します
まとめ
「陽の陰はらみ」は、高値圏で出現した場合にトレンド転換を示唆しやすいとされる足型です。
上昇基調からの失速や反転の可能性を示すサインになり得るため、売り方向(ショート)の検討材料として注目する価値があります。
ただし、単一の足型だけで判断しないことが重要です。
移動平均線(MA)の傾き・位置関係、RSIなどのモメンタム指標、逆下半身などの関連パターン、出来高の平常比も合わせて確認し、複数条件の合致で精度を高めましょう。
また、高値圏での陽の陰はらみは出現頻度が高くないため、あらかじめスクリーニングや監視リストを整え、待ちの姿勢で再現性ある手順(事前条件→トリガー→無効化条件→事後記録)
を運用することが大切です。
エントリーの際は、ポジションサイズと損切り基準(例:直近高値/ATR倍率)を先に定め、リスクを定量化して臨みましょう。
三空踏み上げには売り向かうべからず?過去のデータ4,000銘柄を徹底検証

これまで10以上のメディア運営に従事。現在は自身も株塾で学びつつ、毎日コンテンツ作成をし続ける。
あらゆるジャンルで編集者として活動してきた経験を活かし、初心者から上級者まで役立つ記事を作成。







