株を持ったまま証券会社を変えたいと思ったとき、「いったん売るしかないの?」「税金がかかったり、手続きが難しかったりしない?」と不安になる方は多いです。
そこで知っておきたいのが、株を売却せずに別の証券会社へ移せる「預け替え(株式移管)」という手続きです。
本記事では、預け替えの意味やどんな場面で使われるのか、手続きの流れ、事前に確認したい注意点までを、初心者にもわかりやすく解説します。
預け替え(株式移管)って何?
まずは「預け替え(株式移管)」の意味についてご説明していきます。
預け替えとは、現在ある証券会社にて証券口座を開設し保有している株式を、ほかの証券会社の証券口座に移動させることをいいます。
近年は対面証券よりも、インターネット上で株式売買ができるネット証券を活用する人が増えてきています。
ネット証券は、対面証券のように数多くの営業店舗を構えていないことから人件費というコストを削減できるため、株式売買に関わる手数料を大幅に引き下げることが可能になっています。
そのため、最近では「○○証券が△△手数料を無料化へ」といったニュースを耳にすることも増えてきました。
株式売買におけるコストをできるだけ避けて利便性を上げたいトレーダーの方からすると、利用する証券会社を変更するメリットは大きいでしょう。
預け替え(株式移管)が必要になる事例を紹介
では、実際に預け替えはどのようなケースで必要になってくるのでしょうか?
上記でも少し触れましたが、手数料の削減を含む3つの事例についてご紹介していきます。
株式売買におけるコストを小さくしたい
1つめは、先ほどもご紹介しましたが株式売買におけるコスト(手数料)を抑えたい場合です。
従来では対面証券がメジャーとなっており、電話注文が必要なことや電話において株価情報を入手する必要があったことから、対面証券における株式売買の手数料は比較的高めに設定されています。
手数料が高いと、含み益が生じていたとしても手数料が発生することによって実質的にはマイナスになってしまう可能性があるので、株式を売りたいときになかなか売れないといった問題点もあります。
そこで、安価な手数料を実現しているネット証券に預け替えをすればインターネット上で株式売買が完結するだけではなく手数料も抑えることもできるため、多くの投資家に利用されている現状です。
そうしたコスト削減のため、預け替えをするケースも増えています。
親族が保有している株式を相続したい
2つめは、亡くなった親族が保有していた株式を相続したい場合です。
このとき預け替えが有効となるのは、自分(相続人)が亡くなった親族(被相続人)とは異なる証券会社で証券口座を開設して主に利用しているときのみになります。
預け替えをすれば、自分が保有している株式と相続した株式を同じ証券会社の同じ口座で管理することができるというメリットがあります。
信用取引に利用する証拠金を増やしたい
3つめは、信用取引・先物取引・CFD・FXなどの金融商品を取引する際に必要になる証拠金をさらに手元に準備したい場合です。
この証拠金には、証券口座の預り金・株式・投資信託などを充当することが可能なのですが、どうしても不足してしまうことがあるかもしれません。
このような場合にも預け替えをすることで、ほかの証券会社の証券口座で保有していた株式を証拠金に充当することが可能になります。
預け替え(株式移管)はどのような流れでおこなわれる?
では実際に預け替えをしたいと思った場合、どのような手続きが必要になるのでしょうか?
各証券会社で大きな違いはありませんので、以下でおおまかな流れをご説明していきます。
- 預け替え元(移動させる前)の証券会社で預け替えに必要な書類を取り寄せて、必要事項を記入し提出する
- 約1~3週間ほどで、預け替え手続き完了の連絡が来る
- 預け替え先(移動させた後)の証券会社で、必要な書類があれば記入し提出する
このように、預け替えの手続きは書類上でおこなわれ、最大3週間程度で完了する簡単なものとなっています。
詳しくは、預け替え元と預け替え後の証券会社に問い合わせをしてみてください。
預け替え(株式移管)をするときの3つの注意点
非常に便利な預け替えですが、実際におこなうにあたって知っておきたい注意点があります。
1つずつチェックしていきましょう。
預け替え元から移動させるときに手数料がかかることがある
預け替え元から株を出すことを「出庫」と呼ぶことがあります。
この出庫に、証券会社によっては手数料が設定されている場合があります。
たとえば、銘柄ごとに手数料がかかるケースだと、保有銘柄が多いほど負担が大きく感じられることもあります。
ここで重要なのは、預け替えをするかどうかを「手数料だけ」で決めるのではなく、移した後に得られる利便性(管理のしやすさ、サービス、手数料体系)と合わせて整理することです。
手数料の有無や金額は、預け替え元の案内で事前に確認できます。
外国株は預け替えをすることができないことがある
外国株は、国内株に比べて預け替えの制約が出やすい分野です。
同じ「外国株を扱う証券会社」同士でも、取り扱い銘柄や受け入れ方法が異なることがあります。
そのため、「外国株もまとめて移したい」と考えている場合は、預け替え先でその銘柄を受け入れられるかを先に確認することが大切です。
ここが曖昧なまま手続きを始めると、「国内株は移せたが、外国株は移せなかった」という状態になり、管理が余計に分散してしまうことがあります。
口座の種類が違うと預け替えをすることができない
証券口座には「一般口座」、「特定口座」の2種類があり、証券口座を開設するときにどちらかを選択したかと思います。
ですが預け替えは、“特定口座から特定口座“もしくは”一般口座から一般口座“といった同じ種類の口座間でしかおこなうことができません。
もし預け替え先の証券会社では異なる種類の口座を利用したいという方は、あらかじめ預け替え元の証券会社で口座の種類を切り替えておきましょう。
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よくある質問(Q&A)
Q1. 預け替えをすると、株は一度売られるのですか?
いいえ、預け替えは株を売却する手続きではありません。
保有している株式をそのままの状態で、別の証券会社の口座へ移す仕組みです。
そのため、売却による価格変動や、売却益に関する税金が発生するものではありません。
「管理している証券会社だけが変わる」と考えると理解しやすいでしょう。
Q2. 預け替えにはどれくらい時間がかかりますか?
一般的には、手続き開始から完了まで1〜3週間程度かかることが多いです。
ただし、移す銘柄の数や証券会社の事務状況によって前後することがあります。
また、手続き中は売買ができない期間が生じる場合があるため、急ぎの取引予定がないタイミングで進めると安心です。
Q3. 預け替えに手数料はかかりますか?
預け替え元の証券会社によっては、出庫手数料が設定されていることがあります。
すべての証券会社で必ずかかるわけではありませんが、銘柄ごとに費用が発生するケースもあるため、事前に確認しておくことが大切です。
預け替え後の利便性とあわせて、全体でどうなるかを整理すると判断しやすくなります。
まとめ
預け替え(株式移管)とは、保有している株式を売却せずに、別の証券会社の口座へ移す手続きです。
売却のように価格変動のタイミングを気にしたり、名義変更のように持ち主が変わったりするものではなく、あくまで「管理場所の移動」と捉えると整理しやすくなります。
実際には、証券会社の乗り換えや相続で管理をまとめたい場面などで使われます。
手続きを始める前は、出庫手数料の有無、外国株が移せるか、口座区分の条件の3点を確認しておくと安心です。
まずは自分の口座状況と移したい銘柄を確認し、必要な手続きを行っていきましょう。
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著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。







