投資信託において、特に初心者が見過ごしてしまいがちな点が「手数料」です。
投資信託の手数料についてよく理解しないまま、営業マンなどにすすめられた投資信託を購入してしまい、知らないうちに割高な手数料を払っているケースが少なくありません。
今回は、投資信託の手数料とその注意点について、詳しく解説していきます。
(1) 投資信託の主な手数料は3つ
まず投資信託にかかる手数料を知っておきましょう。投資信託の手数料は主に3種類あります。
「3種類もあるの!?」と驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。
投資信託は「手軽にできる」「ほったらかしでOK」などと謳われることが多く、初心者は手数料を意識しないまま購入してしまうことも少なくありません。
①購入時手数料
まず1つ目の手数料が「購入時手数料」です。これは投資信託を購入する際にかかるもので、数%かかることが多いです。例えば購入時手数料が2%なら、100万円分の投資信託を購入すると2万円の購入時手数料を支払うことになります。
なお、ネット証券を中心に購入時手数料が無料の「ノーロード」と呼ばれる投資信託が増えてきています。ネット上で投資信託を販売することで、店頭販売にかかっていた人件費などを削減でき、購入時手数料なしで販売できるケースが増えてきているのです。
知識があれば、このようなノーロードの商品を選択してコストを抑えることもできるでしょう。しかし「とりあえずお店で相談しよう」と銀行や証券会社などの店頭へ行き、購入時手数料の高い商品をすすめられて買ってしまう人は少なくありません。
②信託報酬(運用管理費)
2つ目の手数料は「信託報酬」です。
投資信託は「運用をプロにお任せできる」のが魅力だと言われています。もちろん、タダで運用してくれるわけではありません。
投資信託を運用する費用として、しっかりと投資家から「信託報酬」という手数料を取っています。このため信託報酬は「運用管理費」とも呼ばれます。
運用にかかる費用としては、主に投資先を探すための調査費用や、調査を行うための人件費などがあげられます。
投資家から支払う信託報酬は、投資信託の運用会社、販売会社、信託銀行にそれぞれ配分されます。
信託報酬は投資信託を保有している間、毎日発生しています。
信託報酬は商品によって異なりますが、アクティブ型ファンドの場合で1~2%、インデックス型ファンドの場合で0.5%程度が標準的といえます。
③解約料
3つ目の手数料は、保有していた投資信託を売却する際に支払わなくてはならない解約料です。
この手数料は「信託財産留保額」という聞きなれない言葉が使われています。
投資になじみのない人はピンとこない場合も多く、申込書類などで目にしても見過ごしてしまいがちです。
投資信託を途中で解約する場合に、解約手続きにかかるコストを、解約する人に負担させるという仕組みです。
この解約料は設定されていない商品もありますが、解約時の基準価格の0.数%程度かかるのが標準的です。
④その他の手数料
主な手数料として3つの手数料をご紹介しました。
これ以外にも、投資信託が適切に運用しているか調査する監査法人への委託費用である「監査報酬」が、信託報酬と同様に毎日発生します。
また、商品によっては投資信託の売却時に、信託財産留保額とは別に換金手数料がかかる場合もあります。
「手数料の種類が多すぎて覚えられない」という人もいらっしゃると思います。
このように、投資信託の手数料はかなり複雑なのです。
(2) 投資信託の手数料に注意が必要な理由
ここまで投資信託の手数料についてご紹介しました。
すでに「手数料の種類が多くてウンザリ」、「商品ごとに手数料をチェックするのが面倒くさそう」と思われている方もいらっしゃると思います。
投資信託を売ろうとする営業マンなどは、手数料についてはあまり強調してこないものです。
実際に店頭などで営業トークをされると、手数料のことを忘れてしまうことがあるかもしれません。
そこで、勧められるがままに手数料の高い投資信託を売りつけられるようなことがないよう、手数料の注意点についてしっかりと頭に入れておきましょう。
投資信託の手数料に関して、気を付けていただきたい点は特に下記の3点です。
①積立のたびに手数料がかかる
投資信託はよく「積立ができる」「積立の手続きさえすれば、ほったらかしでOK」などと謳われます。
しかし購入時手数料がかかる商品の場合、積立のたびに購入時手数料が発生するので注意が必要です。
購入時手数料が無料の「ノーロード」の商品であれば問題ありませんが、購入時手数料が高い商品を毎日積立する場合などは、毎日高い手数料を取られることになってしまいます。
②手数料がかさみ、リターンが出ない場合がある
投資信託は、買った時の価格よりも高い価格で売ることで儲けを得ることができます。
しかし手数料がかさむと、価格が上がっても手数料で相殺されてしまい、せっかくの利益が消えてしまうことがあります。
信託報酬が高いアクティブ型ファンドの中には、信託報酬がなんと3%を超えるような商品もあります。
そのような商品の場合、1万円の投資信託を購入して1年後に2%値上がりし、10,200円になったとしても、信託報酬3%分に当たる300円を取られると、9,900円になってしまいます。
せっかく値上がりしたのに、手数料のせいで損をする「手数料負け」の状態になってしまうのです。
③手数料の高い商品をすすめられることがある
投資信託は非常に多数の商品が販売されています。例えばネット証券最大手のSBI証券で投資信託商品を検索すると、2,500件以上もの商品がヒットします。
特に初心者であれば、どの商品が良いのかサッパリ分からず「プロに相談したい」と思う人も多いでしょう。
しかし投資信託の販売窓口で相談すると、手数料収益を目的に、手数料の高いアクティブ型ファンドなどを勧められることが少なくありません。
過去の運用成績が好調なアクティブ型ファンドなどを勧められると、魅力的に感じてしまうこともあるでしょう。
しかし過去の運用成績が好調でも、それが将来にわたって持続するかは誰にも分からないのです。
知識の浅い初心者に、あの手この手で魅力的な言葉をささやき、手数料の高い商品を売りつけるのは簡単です。
十分な知識がなく自己防衛ができないうちは、安易に投資信託に手を出すのは危険といえるでしょう。
まとめ
今回は、投資信託の手数料についてご紹介しました。
初心者向けと謳われることも多く、手軽に見えがちな投資信託ですが、その手数料の仕組みは数ある投資商品の中でもかなり複雑です。
例えば株式投資は、ネット証券で国内株式を買う場合であれば、手数料は売買の際にかかる取引手数料のみです。
株式投資は投資信託よりも上級者向けだと思われることが少なくありません。
しかし手数料に関していえば、投資信託よりも格段にシンプルで分かりやすいといえるでしょう。
「プロにお任せ」「ほったらかしでOK」などといった謳い文句に乗せられ、投資信託で高い手数料を払い続けるようなことがないよう、投資信託の手数料についてしっかりと理解しておきましょう。
著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。