保有銘柄がストップ高なのに「売れない」場面は、特に初心者にとって不安を感じやすい瞬間です。
本記事では、取引所の仕組みに基づき、なぜ約定が止まるのか、いつ再開されるのかを整理します。
あわせて、注文方法の基本や当日・翌日に確認したいポイントを解説し、特別気配から取引再開までの一連の流れを画面上の見方とともに理解できる内容にまとめました。
ストップ高でも焦らず冷静に対応したい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
株価の決まり方がわかる!株価が変動する理由と実例も合わせて解説
ストップ高で売れないのは一時的に取引が止まるため
ストップ高とは、株価がその日の値幅制限の上限に達した状態を指します。
このとき、買いと売りの需給が大きく偏ると、過度な価格変動を防ぐために約定が一時的に停止します。
その際に関係するのが「特別気配」や「板寄せ」といった取引所の運用ルールです。
異常な値動きを避ける「特別気配」という状態

株価の異常な値動きを避けるために、「特別気配」というものがあります。
買い・売りどちらかに偏ってしまった場合に、取引所が「特別気配」だと表示します。
市場全体に、買い・売りが偏っているよと呼び掛けて、需給のバランスを取ろうとしているのです。
「特別気配」になっている間は、取引は成立しません。
売買のバランスが取れるまで売れない
急な株価の変動で取引が停止されると、売買のバランスが取れるまで売れなくなってしまいます。
もしバランスが崩れたまま取引を成立させてしまえば、大きな不利益を被る投資家が出てくるからです。
例えば先ほどの図のように、101円から急に150円に株価が急上昇したとしましょう。
「いくらでも買います」と成行注文を出していると、急上昇していたとしてもその価格で買うことになってしまいます。
「100円程度で買えると思っていたのに、実際には150円で約定してしまう」というような事態も起こり得ます。
およそ1.5倍の価格差となるため、取引規模によっては大きな損失につながる恐れがあります。
そういったことが起こらないよう、取引所が特別気配を出し、110円や120円で売ってくれる人が現れないかとバランスを取ろうとしているのです。
売買のバランスが取れれば、取引は再び再開されます。
その日最後の取引(大引け)まで売れない
売買のバランスがなかなか取れずに、その日の取引時間が終了することもあります。
そうなると、その日最後の取引(大引け)まで売れないことに。
ストップ高で売りたい場合は、市場が終わる時間まで待たなければならないのです。
ストップ高で売れるタイミングは?
買が再開して約定できるタイミングは、大きく2つに分けられます。
気配解除で取引が再開される場合と、引けの板寄せで約定が決まる場合です。
流れを知っておくと、当日の見通しが立てやすくなります。
バランスが取れたとき
売買のバランスが取れたとき、ストップ高でも売れるようになります。
そもそも株価が異常な値動きをしたときに「特別気配」が出て、取引ができなくなっていますよね。
その後3分ごとに価格が更新されていき、「注文する人はいませんか」と呼びかけが続きます。
その呼びかけに答えるように注文が集まれば、「特別気配」は解除されるのです。
「特別気配」が解除されれば、売買のバランスはとれている状態ですから、再び取引ができるようになります。
その日が終わるとき
いくら呼びかけても注文が集まらず、「特別気配」がずっと続いた場合は、その日が終わるタイミングで取引ができるようになります。
「比例配分方式」という方法で、抽選のように取引が成立していきます。
ストップ高の場合は、売り手が多く買い手が少ない状態ですから、買えるかどうかは抽選次第。
一方、売り手は「売る先が抽選で決まる」わけですね。
ストップ高が続きその日の終わりに売れる流れ
ストップ高が続き、その日が終わる場合はその最後のタイミングで比例配分方式によって取引が成立します。
比例配分方式とは、証券取引所が「注文量の多い取引所から株を1単位ごとに配っていく」方式のことです。

ストップ高になっている状態は、少しの売り注文とたくさんの買い注文がある状態です。
そのうえで、少しの売り注文を抽選で配っていくわけですね。
売りの注文より買いの注文が多い状況では、一般的に大引け(その日最後の取引)でストップ高の価格で約定するケースが多くなります。
ストップ高になった時の売り方

ストップ高になった場合、どういう売り方をすればいいのでしょうか。
売り方は主に4つあります。
利益優先で売りたいならストップ高の価格で指値注文がオススメです。
とにかく売ること優先なら成行注文、リスク回避優先なら逆指値注文がオススメ。
翌日さらに上昇しそうであれば、翌日の寄付きで売ることも一つの手でしょう。
初心者にオススメなのは、逆指値注文です。
ストップ高の価格で指値注文
ストップ高の価格で指値注文を出しておけば、その日の利益としては最大限を狙いに行けます。
一方で、結局売れなかったというリスクも覚えておきましょう。
ストップ高で指定したとしても、その日のうちにストップ高よりも低い価格になってしまえば、取引が成立することはありません。
どうしても売りたいなら成行注文
ストップ高になって、多少低い価格であっても十分な利益が見込めるのであれば、成行注文がオススメです。
とにかく売ることを最優先で進めるわけですね。
ただし、急にストップ高から大幅に株価が下落してしまえば、下がった価格で取引が成立してしまうことも。
思ったよりも利益が少なくなってしまう可能性には注意しましょう。
ストップ高の価格よりやや下で逆指値注文
少しくらい低い価格でもいいから、今日中に利益を確保しておきたいなら「ストップ高の価格よりやや下で逆指値注文」がオススメ。
逆指値注文とは、「○○円以上になったら買い、○○円以下になったら売り」という注文方法です。
「○○円以下になったら買い、○○円以上になったら売り」という指値注文の逆といえます。
ストップ高よりやや下の価格に逆指値を設定しておけば、株価が下がり始めた際でも早めに売却でき、利益を確保しやすくなります。
大引けまでストップ高が続きそうなら、大引けになる直前に成行注文に切り替えておくことで、少しでも利益を増やしていけますよ。
翌日の寄付きで売る
翌日も株価が上昇し続けそうなのであれば、翌日の寄付きで売ることも考えておきましょう。
ストップ高になったからといって、翌日それ以上上がらないとは限りません。
さらに利益を狙いにいけそうなのであれば、そもそも本日売らなくてもいいかもしれないのです。
とはいえ、翌日いきなり株価が下がることもあるため注意しておきましょう。
条件付き注文「寄付、引け、指成」とは?指値や成行以外の株の注文方法を解説
そもそもストップ高になったら売るべきかは要検討
そもそもストップ高になったら売るべきかは、よく考える必要があります。
翌日にさらに上昇する可能性もあれば、焦って売ることで想定より低い価格で手放してしまうリスクもあります。
本当に今売るべきかを、きちんと分析する必要があるのです。
チャートから分析して売るべきか判断
チャートから売るべきかどうか分析しましょう。
テクニカル分析を駆使して、売り時を見極めるのです。
売るタイミングについては、下記記事を参考にしてください。
【相場流株技術用語】9の法則とは?忘れがちな株技術をあらためてチェック
【相場式株技術用語】下半身・逆下半身とは?株初心者にもわかりやすく解説します
天井で売ろうと意気込まない
もっとも株価が高くなる価格、天井で売ろうとは意気込まないようにしましょう。
利益を追いすぎて、結局損失を抱えてしまうのは初心者にありがちなミスです。
目先の欲に惑わされず、冷静に判断できるようにしておくことが大切。
ストップ高になったとしても喜びすぎず、いつもの取引を心がけましょう。
一部だけ売りにするという手も
保有している株すべてを売る必要はありません。
400株保有しているのなら、そのうち200株を売るという選択肢もあります。
その割合をどうするかは、よく検討する必要があるでしょう。
いわゆる建玉の操作というものですが、よくわからない方は下記記事を参考にしてください。
【株技術】建玉の操作って何?株初心者にもわかりやすく解説します
中長期運用なら売らないのが吉
デイトレード・スイングトレードではなく、中長期で運用するスタイルであれば、売らないほうが最終的に利益を大きくできる可能性があります。
中長期運用をするのであれば、「日々の値動きに一喜一憂しない」ほうが良いのです。
ストップ高だとしても、長い目で見ればそこまで大きな値動きではないかもしれません。
その日1日での上昇よりも、1年かけた上昇のほうが上り幅は大きくなりやすいですよね。
株価に振り回されないようにしましょう。
よくある疑問Q&A
投資家が戸惑いやすいポイントを、短問短答形式で整理しました。
Q1. ストップ高なら必ずすぐ売れますか?
A. 需給が釣り合うまで約定が止まる時間帯があり得ます。特別気配の間は売買は成立しません。
Q2. 比例配分は抽選ですか?
A. 引けの板寄せで清算価格・配分が決まり、買い注文が売り数量を上回ると、買い側が割当の対象になりやすい構図が見られます。
配分の可否は需給状況に依存します。
Q3. 成行は安全ですか?
A. 価格を指定しないため約定はされやすい一方、成立価格は板寄せ時点の清算価格に依存します。
価格の不確実性には留意が必要です。
Q4. 指値はいくらでも出せますか?
A. 一般的に、当日の値幅制限内の価格で受付されます。
範囲外の価格は受付対象外となるのが通常です。
まとめ
ストップ高で「売れない」と感じるのは、需給の偏りを調整するために約定が一時停止される仕組みが働くためです。
特別気配→気配更新→板寄せという流れや、当日/引け/翌日の確認ポイントを押さえておくと、状況を落ち着いて判断しやすくなります。
基礎を理解したうえで、自分の取引ツールの表示と一次情報を照らし合わせながら、落ち着いて判断を積み重ねていきましょう。
小さな成功体験を積むことが、冷静な投資判断力の向上につながります。
両建ての手法を徹底解説!リスクを減らしつつ利益を増やすための極意

著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。







