株式投資でよく耳にする「ゴールデンクロス」。
短期線が長期線を上抜けるサインとして「買い時」とされることが多い一方で、「本当に勝てるのか?」と疑問を持つ投資家も少なくありません。
実際、ゴールデンクロスの勝率はどの程度なのか。
そして、どうすれば“だまし”を避けて再現性のあるトレードにつなげられるのか。
本記事では、過去20年の株価データをもとにゴールデンクロスの勝率を徹底検証。
その結果とともに、勝率を高めるための「見極め方」「活用のコツ」を株のプロ視点でわかりやすく解説します。
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ゴールデンクロスの勝率は35.71%
「株 ゴールデンクロス 勝率」はどれくらい?——結論から言うと、指標設定や相場の地合い、銘柄特性で大きく変わります。
私たちが独自に行ったバックテストでは、たとえば「5日移動平均線×25日移動平均線」のゴールデンクロスをシグナルに売買した場合、代表的ETF(NEXT FUNDS 日経225連動型・1321)での総合勝率は35.71%でした。
一方で設定を「25日×75日」に変えると勝率は28.77%まで低下。
つまり、同じ“ゴールデンクロス”でも設定ひとつで勝率は別物になる、というのが最初の押さえどころです。

グラフはトレードによる合計損益の推移を表しています。
買いと空売りそれぞれを、1取引当たり10万円で実施した場合、20年間で合計損益は+40,620円でした。
勝率は35.71%ですが、最終的に利益を出して終えられています。
実際のチャート画面は下記の図のようになっており、月に1回程度の頻度でゴールデンクロスもしくはデッドクロスが出現していることがわかります。

詳しいトレード結果は以下の表にまとめました。
| 名称 | 買い+空売り | 買いのみ(ロング) | 空売りのみ(ショート) |
|---|---|---|---|
| 勝率 | 35.71% | 42.86% | 28.57% |
| 合計損益 | 40,620円 | 97,740円 | -57,120円 |
| 総利益 | 446,370円 | 274,110円 | 172,260円 |
| 総損失 | -405,750円 | -176,370円 | -229,380円 |
| 平均損益 | 161.19円 | 775.71円 | -453.33円 |
| 平均利益 | 4,959.67円 | 5,076.11円 | 4,785円 |
| 平均損失 | -2,520.19円 | -2,484.08円 | -2,548.67円 |
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ゴールデンクロスの定義が変われば勝率も変わる
ゴールデンクロスは、短期移動平均線が長期移動平均線を下から上に突き抜けることを指します。
そのため、短期・長期の期間次第でゴールデンクロスの場所は変わってきます。
25日移動平均線と75日移動平均線のゴールデンクロスの場合、勝率は28.77%に変わるのです。

さらに20年間の合計損益は-3,600円であり、損失で終わってしまっています。
ゴールデンクロスの発生タイミングも、5日・25日の組み合わせよりも減っています。

詳しいトレード結果は以下の通り。
| 名称 | 買い+空売り | 買いのみ(ロング) | 空売りのみ(ショート) |
|---|---|---|---|
| 勝率 | 28.77% | 38.89% | 18.92% |
| 合計損益 | -3,600円 | 67,380円 | -70,980円 |
| 総利益 | 219,920円 | 175,910円 | 44,010円 |
| 総損失 | -223,520円 | -108,530円 | -114,990円 |
| 平均損益 | -49.32円 | 1,871.67円 | -1,918.38円 |
| 平均利益 | 10,472.38円 | 12,565円 | 6,287.14円 |
| 平均損失 | -4,298.46円 | -4,933.18円 | -3,833円 |
ゴールデンクロスの勝率は、移動平均線の設定次第で変わることを覚えておきましょう。
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銘柄別ゴールデンクロスの勝率一覧表
銘柄によっても、ゴールデンクロスの勝率は変わってきます。
日本の代表的な銘柄のゴールデンクロスの勝率を、2004年5月から2024年5月までの20年間でどうなるか、独自に徹底検証しました。
どれも1取引の投資金額は10万円、ゴールデンクロス・デッドクロスで売買した場合の結果です。
| 銘柄名 | 5日/25日移動平均線の場合 | 25日/75日移動平均線の場合 | ||
|---|---|---|---|---|
| 勝率 | 合計損益 | 勝率 | 合計損益 | |
| トヨタ(7203) | 27.48% | -280,309円 | 36.92% | 138,571円 |
| 三菱UFJ(8306) | 34.93% | -3,552.5円 | 35.8% | 18,549円 |
| キーエンス(6861) | 33.96% | -232,950円 | 31.43% | 17,530円 |
| 東京エレクトロン(8035) | 36.12% | -30円 | 35.14% | -20,750円 |
| ソニーグループ(6758) | 35.45% | 132,720円 | 45.45% | 277,210円 |
| NTT(9432) | 30.71% | -165,848.1円 | 23.33% | -239,610.8円 |
| 三菱商事(8058) | 36% | 148,185円 | 36.99% | 138,489円 |
| 日立(6501) | 39.68% | 24,995円 | 45.07% | 206,710円 |
| ファーストリテイリング(9983) | 32.79% | -25,310円 | 36.47% | -100,230円 |
| 三井住友FG(8316) | 29.21% | -88,811円 | 36.71% | 138,556円 |
銘柄が変われば、ゴールデンクロスの勝率も変わりますし、合計損益も変わってきます。
勝率が高くても、結果マイナスになっていては意味がありません。
ただゴールデンクロスだというだけで取引をしても、なかなか勝ちにくいことがわかりますね。
ゴールデンクロスで株の勝率は上がる?
ゴールデンクロスを意識することで、株の勝率は上がる可能性があります。
とはいえ、ゴールデンクロスの勝率は決して高いとは言えないでしょう。
トレードの内容によっては、損失を抱えてしまう可能性も十分あります。
ゴールデンクロスでも勝てない理由をまとめました。
ゴールデンクロスだから上がるとは限らない

ゴールデンクロスだからといって、株価がその後上がっていくとは限りません。
ゴールデンクロス直後は一瞬上がったとしても、そのまま下落し続けていってしまう可能性はあります。
特に注意しておきたいのが、長期移動平均線が下向きになっているときのゴールデンクロス。
全体の相場では下落方向に動いているため、ゴールデンクロスが発生しても一時的に上がるだけで終わってしまいます。
下落相場でも稼げる方法とは?空売りでトレードの機会を広げよう
正しい使い方をしなければ勝率は上がらない
ゴールデンクロスは、正しい使い方をしていなければ勝率は上がりません。
ただただゴールデンクロスだからと取引を続けていると、負けてしまう局面でもトレードをすることとなり、結果負けてしまいます。
勝率を上げるためにも、勝てるゴールデンクロスを覚えましょう。
正しい使い方をマスターして、勝率を上げられれば、利益も増えていきますよ。
株の勉強は絶対にやるべき!オススメ勉強ステップや失敗しないためのコツ
どうすれば「株 ゴールデンクロス 勝率」は上げられる?
結論は、形(クロス)だけでなく“文脈”を足すこと。
以下の4点をセットにして初めて、勝率と損益のプロファイルが安定します。
- 上昇トレンドでのゴールデンクロスを狙う
- 手仕舞うタイミングはトレンド転換点
- 交差の角度が急であるほど信頼度は高い
- 短期・長期移動平均線どちらも上向きなら信頼度は高い
一つずつ確認していきましょう。
一目均衡表の最強設定は「9・26・52」!利益を生む手法を徹底解説
上昇トレンドでのゴールデンクロスを狙う

上昇トレンドでのゴールデンクロスを狙いましょう。
相場自体が上昇トレンドにある中でのゴールデンクロスは、大きな株価上昇につながりやすいです。
上昇トレンドかどうか見極めるなら、トレンド系のテクニカル指標を使いましょう。
また相場流の技術であれば、下半身やN大などがオススメです。
トレンド系のテクニカル指標一例
- 移動平均線
- 一目均衡表
- フィボナッチ
- ボリンジャーバンド
- ピボット
手仕舞うタイミングはトレンド転換点

ゴールデンクロスで上昇トレンドに乗ったのであれば、トレンド転換点で手仕舞いましょう。
デッドクロスで手仕舞うのも一つの手ではありますが、ある程度下がってから手仕舞うことになるため、その分利益は小さくなってしまいます。
トレンド転換を見極める方法はたくさんありますから、いろいろ試してみましょう。
オススメはエリオット波動や首吊り線、相場流「逆下半身」です。
また、直近の高値・安値も意識しておくと、「高値に近いからそろそろ下落しそう」と、トレンド転換を見極めやすくなります。
エリオット波動とは?基本原則や利益を出すコツをプロが徹底解説
交差の角度が垂直に近いほど信頼度は高い

ゴールデンクロスの交差の角度が、垂直に近いほど、株価上昇の信頼度は高いといえます。
短期移動平均線が垂直になるということは、それだけ上昇の勢いが強い状況ということです。
買いが買いを呼ぶ展開にもなりやすいですから、買いを入れておけば大きな利益を狙えます。
長期移動平均線が下向き(下落トレンド)の場合は、垂直に交わっていたとしても一時的な上昇となる可能性が高いため注意してください。
短期・長期移動平均線どちらも上向きなら信頼度は高い

短期・長期移動平均線がどちらも上向きでのゴールデンクロスは、株価上昇の可能性が高いです。
長期的に見て上昇トレンド中、そのうえで更に短期でも上昇している状態ですから、利益を狙いやすい状況だといえます。
逆に下向きの場合は、ゴールデンクロスでもだましとなる可能性が高いため、トレードは避けておきましょう。
200日移動平均線とは?利益を生み出すための設定・コツをプロ目線で徹底解説
実際のトレードで使うミニ戦略
ゴールデンクロスを“感覚”ではなく“手順”で使いこなすために、再現性の高い2つのミニ戦略を紹介します。
いずれもMA(移動平均線)をベースにした王道パターンです。
戦略A:順張り押し目型(5日×25日ベース)
-
条件:日足で25MA・75MAともに上向き、価格が25MAの上にある。
-
タイミング:一度調整し、5MAが25MAを下抜いてから再び上抜く(=再GC)。
-
エントリー:再GC当日または翌日の高値ブレイクでIN。
-
ストップ:直近安値の少し下。
-
利確:直近高値の1.5〜2倍のリスクリワード、または上位足が陰転した時に分割決済。
この戦略は、上昇トレンドの「押し目」で再エントリーする形。
再GCを狙うことで、だましを避けつつトレンドに順張りで乗れます。
戦略B:ブレイク同調型(25日×75日ベース)
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条件:25MAが75MAを上抜く直前(接近中)、価格が直近レンジ上限に到達。
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エントリー:レンジ上抜け+出来高増を確認してIN。
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利確:25×75のGCが“確定”した時点で半分利確、半分は継続。
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撤退:デッドクロス待ちではなく、25MA割れで撤退。
この戦略はGCを待たずに先回りするブレイク型。
出来高の増加を条件にすることで、フェイク抜けを防げます。
よくある落とし穴
ゴールデンクロス(GC)は、シンプルでわかりやすい売買サインのひとつです。
ただし、「出たから買い」と短絡的に判断してしまうと、思わぬ損失につながることがあります。
とくに上昇相場の終盤やトレンドが弱い場面では、“だまし”の発生率が高まり、勝率を下げる要因にもなります。
たとえば次のようなケースには注意が必要です。
-
GC直後の高値追い:直近高値や出来高の多い価格帯が上にあると、上値が重くなりやすく反落リスクが高まります。
-
長期線が下向きのGC:一時的な反発が起きることもありますが、基本的には戻り売りが優勢。短期の利確を前提に考えましょう。
-
勝率だけを重視する最適化:エントリーを引きつけすぎると、チャンスを逃したり、ドローダウン(損失の振れ幅)が大きくなったりします。勝率だけでなく「損益率(PF)」や「再現性」も合わせて見ることが大切です。
どれも一見“正しそう”に見えますが、ゴールデンクロスはあくまで相場の一瞬を切り取ったサインにすぎません。
大切なのは、トレンドの向き・出来高の厚み・リスクとリターンのバランスを総合的に判断することです。
「勝率」だけにとらわれず、どんな条件でうまくいくのかを少しずつ検証していく。
その積み重ねこそが、ゴールデンクロスを“信じる側”ではなく、“使いこなす側”に回るための第一歩になります。
よくある質問(Q&A)|勝率を上げるためのポイントと注意点
Q1. ゴールデンクロスの勝率が35.71%って、低くないですか?
A. 一見すると低く感じますが、「勝率=すべて」ではありません。
ゴールデンクロスはトレンドの“初動”をつかむサインであり、損益率(RR=リスクリワード比)を組み合わせることでトータルではプラスを狙えます。
実際のトレードでは、勝率×損益率×再現性の3つのバランスで判断するのが基本です。
1回の大きな上昇を取るだけでも、数回の小さな損失を補えるケースは多いといえます。
Q2. どの移動平均線の組み合わせで見るのがいいですか?
A. 目的によって使い分けましょう。
-
5日×25日:短期売買向け。デイトレやスイングでの押し目・戻りの判断に最適。
-
25日×75日:中期トレンドの確認に。地合いの方向性を見るのに使えます。
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75日×200日:長期投資や指数分析向け。トレンドの“地盤”を把握する目的です。
まずは、自分の保有期間(どのくらいのスパンで取引するか)に合わせて選ぶのがおすすめです。
Q3. ゴールデンクロスでだまされないコツはありますか?
A. 3つのポイントを意識しましょう。
-
長期線の向きを確認する(下向きなら上昇の“フリ”で終わる可能性大)
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出来高の増加を伴うクロスを狙う(買いが本格化している証拠)
-
直近の高値や節目を抜ける動きを確認してからエントリーする
また、「クロスが出たら即買い」ではなく、「条件が揃ったら参入」という考え方に変えると精度が上がります。
まとめ
ゴールデンクロスの勝率は、いつも同じではありません。
移動平均線の設定や銘柄の特徴、市場全体の流れ(地合い)によって結果は変わります。
たとえば、5日×25日の組み合わせでは勝率35.71%、25日×75日では28.77%という検証結果もあります。
つまり、「ゴールデンクロス=勝てる」とは限らず、“どんな場面で使うか”が勝率を左右するのです。
勝率を上げるコツは、
-
上位足(週足・月足)のトレンドを確認する
-
クロスの角度や出来高の増減を見る
-
そして、どこで利益を確定するか(出口)を決めておくこと
ゴールデンクロスは“スタートの合図”にすぎません。
設定の見直し、トレンドの文脈理解、出口戦略の3つをそろえることで、同じサインでも結果がまったく違うものになります。

著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。







