FXでは利益を出すために様々な手法が確立されていますが、特に短期的に利益を出せると人気なのが「スキャルピング」です。
数秒から数分の取引を積み重ね、効率的に資産を増やすことができます。
そこで今回は、スキャルピングの具体的な方法と成功のコツについて解説します。
スキャルピングとは
スキャルピングとは何か、まずはその概要や手法について解説します。
スキャルピングの内容
スキャルピングとは、数秒から数分という非常に短い期間で完了させる取引手法です。
1回あたりで得られる利益は少額ですが、何度も繰り返すことで最終的にまとまった金額の利益を狙います。
資金効率がよく複利運用ができる点が人気ですが、取引回数が増えるためスプレッド負担が大きくなるという注意点もあります。
他のトレードとの違い
FXの取引手法は、スキャルピング以外にもいくつかあります。
具体的には、デイトレード、スイングトレード、ポジショントレードなどが挙げられるでしょう
スキャルピングは、数秒から数分といったごく短い時間で、小さな利益を積み重ねていくトレードスタイルです。
取引回数が非常に多く、1回の取引での利益は数pips程度と小さいですが、その小さな利益を1日に何十回、何百回と繰り返すことで、まとまった収益を狙います。
デイトレードは、1日のうちに取引を完結させるスタイルです。
スキャルピングよりは取引時間が長く、数十分から数時間で取引を行うことが一般的です。
スイングトレードは、数日から数週間かけてポジションを保有するトレードスタイルです。
日々の細かな値動きではなく、相場の大きな流れ(スイング)を捉えて利益を狙います。
ポジショントレードは、数週間から数ヶ月、時には数年といった長期間にわたってポジションを保有するトレードスタイルです。
ファンダメンタルズ分析(経済指標、企業の業績など)を重視し、相場の長期的なトレンドに乗って利益を追求します。
それぞれのスタイルを下図にまとめました。
ピンクがメリット、青がデメリットを表しています。
それぞれのメリット・デメリットの概要は、上記の通りです。
具体的なスキャルピングの方法
スキャルピングにはいくつかの方法があります。
トレンド相場での順張り
これは、おおむね上昇のトレンドの中で一時的に下落したタイミングで買ったり、おおむね下落のトレンドの中で、一時的に上昇したタイミングで売ったりする方法です。
上昇トレンドであればサポートライン、下落トレンドであればレジスタンスラインに触れたところで売買しましょう。
レンジ相場での逆張り
レンジ相場とは、一定の範囲の中で価格が上下する相場を指しています。
こういった相場では逆張りをし、上限近くで売り、下限近くで買いを勧めます。
レンジ相場でのレンジブレイク
レンジ相場は一定期間続いた後、上限もしくは下限を越えてしばらくその方向に相場が進みます。
そのポイントを押さえて、抜けた方向に順張りします。
ペナントのブレイクアウト
ペナントとは、先に進めば進むほど上下の幅が小さくなる相場のことで、ペナントの抜けた方向に順張りします。
ニューストレード
金利発表や政治ニュースなど、市場に大きな影響を与えると考えられるニュースが発表されたら、値動きを予測してトレードする手法です。
例えば、アメリカ大統領選においてドナルド・トランプが勝利したタイミングで、米ドルは高値を記録しています。
短期で起こる確実な場面だけ入って、そのトレンドが崩れる前に手仕舞うことが求められます。
スキャルピングのメリット
スキャルピングには、3つのメリットがあります。
それぞれについて具体的に解説します。
回転率が高い
スキャルピングは回転率が非常に高く、1日で何度も取引を実施できます。
設けた資金を寝かせることなく次の取引にどんどん活かせるため、資金効率が良い点は他の方法に比べて大きなメリットだと言えるでしょう。
複利の力で指数関数的に資産を増やせるため、短期的に利益を出したい方にぴったりです。
取引経験も短期間で詰めるため、トレーダーとして成長しやすいとも言えます。
大きな値動きに巻き込まれにくい
価格変動リスクは、ポジションを保有する期間が長いほど大きくなります。
スキャルピングは購入したものをすぐに売却するため、変動リスクを考える必要が小さいです。
また、長く保有するほど「もし含み損が大きくなったらどうしよう」といったメンタルの問題も生まれます。
そういった意味でも、長い間心配が続いて精神的に疲れてしまうことがありません。
就寝中に損失を出すリスクがない
企業の倒産や世界情勢の変化など、価格が大幅に変動する出来事が就寝中に起きてしまうと、一気に損益を出してしまうことがあります。
しかし、スキャルピングは翌日に取引を持ち越さないため、深夜・早朝に何か起きても価格の大変動に巻き込まれません。
落ち着いて就寝できるので、メンタル面においてメリットがあります。
スキャルピングのデメリット
スキャルピングには、メリットだけではなくデメリットもあります。
始める前にどんなリスクがあるかをしっかり理解した上で、挑戦してください。
経験と集中力が必要
スキャルピングは、難易度の高い手法です。
通貨ペアの特徴や時間による値動きなど、意識しなくてはならない指標が非常に多くあります。
一瞬の勝負をすることになるので、少しでも集中力が切れるとその時点で損益を出してしまうという点も大きなリスクです。
常に正しい判断をし続け、取引ツールの操作を間違えずにスピーディに操作し続けられるよう、経験を積み集中力を高めることが重要となります。
環境を整える必要がある
FXの注文は、0.001秒単位の通信スピードに影響を受けます。
そのため、回線が重かったり端末が固まったりしてしまうと、それだけで利益を取り損ねることも起こります。
せっかく正しい判断ができても取り引きを実行できなければ、意味がありません。
ネット回線と端末は万全の準備を整えましょう。
また、取引業者ごとに約定力の強さに差があります。
スプレッドが開いて約定しないといった問題が発生しないよう、業者選びは慎重にしましょう。
取引コストがかさむ
スキャルピングでは取引回数が多くなりますが、繰り返すたびにスプレッドが積みあがるというデメリットがあります。
スプレッドとは売値と買値の価格差のことで、例えば米ドルを売る価格が168.555で米ドルを買う価格が168.550だったとすると、差額の0.5銭がスプレッドになります。
ドル円はスプレッドが小さい傾向ですが、積み重なると大きな金額になるため注意しましょう。
株とFX、どっちがリスクが高い?安全な資産形成を目指すためのヒント
スキャルピングを成功させるコツ
スキャルピングに成功して資産を形成できる人もいれば、失敗して大損をしてしまう方もいます。
その差はどこにあるのか、4つのポイントを解説します。
チャートのごとの適切な取引時間を知る
FXではスキャルピング以外にも、様々な取引スタイルがあります。
上記を参考に、スキャルピングを含め4つの取引スタイルの適切な時間を知りましょう
なお、スキャルピングやデイトレードは、日中の値動きを利用して利益を狙うため、市場の活発な時間帯の取引を狙う投資家が多いです。
東京時間の午前9時~11時頃、ロンドン時間の午後4時~午前2時頃、ニューヨーク時間: 午後9時~午前6時頃に値動きが活発になる傾向です。
それぞれメリットデメリットが異なるため、自分がどのような投資スタイルを実践したいのかを考え、もっともマッチした方法を選んでください。
なお、それぞれに向いているタイミングは以下の通りです。
スキャルピング | デイトレード | スイングトレード | ポジショントレード |
21:00~2:00
欧米市場が活発に 21:00~23:00 要人発言や経済指標が 発表される 9:30~10:30 日本の為替市場で仲値が発表される |
8:00~16:00
東京市場が動く 16:00~24:00 ロンドン市場が動く 22:00~6:00 ニューヨーク市場が動く |
8:00~16:00
東京市場が動く 16:00~24:00 ロンドン市場が動く 22:00~6:00 ニューヨーク市場が動く |
特になし
(数週間~数ヶ月保有するトレードのため) |
デイトレードで手数料負けしないためには?勝つための対策とコツを解説
利確と損切のルールを設ける
利確とは、トレードの利益を確定させるために売却することです。
損切とは、トレードの損失を抑えるために売却することです。
スキャルピングをしていると「もう少し待ったらもっと利益が出るかも」「もう少し待ったら損失を抑えられるかも」と思う瞬間が多々ありますが、無為に時間が過ぎて結局は損になってしまうことが非常によくあります。
だからこそ、事前に「どうしたら利確・損切する」とルールを定めておきましょう。
そうすることで、無秩序にトレードを重ねることなく、トータルの利益を積み重ねていきやすくなります。
メンタルをコントロールする
FXは、慣れないうちは非常にメンタルがブレる投資です。
特にスキャルピングは一回の取引が短く、長々と迷っているとどんどん利益を出すチャンスを逃してしまいます。
だからこそ、メンタルコントロールが非常に重要です。
まずは余剰資金だけを使うことを徹底し、「このお金がなくなっても生活はできる」という状態を守りましょう。
また、前述の通り利確と損切のルールを設け、機械的に取引していくこともメンタルを守りながら取引するポイントとなります。
実践前に練習を重ねる
FXは実際の相場に連動した練習のためのアプリがあります。
まずは練習を続けて、値動きの感覚をつかみ取引に慣れましょう。
いきなり本番から始めてしまうと、ちょっとしたミスで思わぬ損失を出してしまうこともあります。
まとめ
今回は、スキャルピングのコツについて解説しました。
非常に短い時間で取引を行うスキャルピングは、難易度が高いです。
しかし、大きな値動きに巻き込まれにくく回転率が高いというメリットもあります。
これからFXを始める方は、ぜひチャレンジしてみてください。
株とFX、どっちがリスクが高い?安全な資産形成を目指すためのヒント

株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。