国債と並んで知られている債券として「社債」がありますが、同じ債券でありながらその性質は国債とは大きく異なります。
「社債ってどんな債券?」
「社債は株式投資とはどう違うの?」
「社債にはどんなリスクがあるの?」
今回の記事では、社債について詳しく解説します。
社債とは
社債とは、企業が必要となる資金を調達するために発行する債券のことです。
社債には様々な種類がありますが、一般的に社債というと「普通社債(SB:ストレートボンド)」のことを指します。
普通社債には満期が設定されており、満期までの一定期間ごとに利息が支払われます。
この他にも、社債を購入した企業の株式に転換できる「転換社債(CB:チェンジャブルボンド)」や、株式を一定の価格で購入できる権利が付いている「ワラント債(新株予約権付き社債)」、金利が比較的高くリスクも高い「劣後債」、電力会社が発行する「電力債」などです。
社債の多くは金融機関などの機関投資家向けに億単位で発行されますが、50万円や100万円などの単位で個人向けにも売り出されます。
個人向け社債は証券会社が不定期に購入を募集しており、期間内に応募して購入する必要があります。
企業が資金を調達する手段として「株式」の発行もありますが、社債との大きな違いは発行した企業に返済義務があるかどうかという点です。
株式の場合、投資家は企業へ出資し株式会社の一部を保有することになり、企業は投資家に資産の返済義務はなく配当金を必ず出す必要もありません。
一方で社債の場合、投資家が企業にお金を貸すことになるため、利子の支払いや償還日に額面が戻ってくることが約束されています。
ただし企業が破綻すると返済されないリスクがあるので注意が必要です。
社債のメリット
まず社債の主なメリットを2つご紹介します。
1.定期預金や国債より金利が高い
社債は銀行の定期預金や個人向け国債よりも、金利が高い傾向があります。
2021年3月現在、銀行の定期預金の金利は0.002%程度となっており、個人向け国債の金利の下限は0.05%に設定されています。
一方社債には金利が1%を超えるものも多く、金利の高さに魅力を感じ購入する投資家が少なくありません。
2.選択肢が多い
発行体が国に限られている国債に対し、社債は様々な企業が発行するため、投資家は複数の選択肢の中から投資する社債を選ぶことができます。
これまで発行された人気の個人向け社債には、SBIホールディングスが発行した「SBI債」や、マネックスホールディングスによる「マネックス債」、ソフトバンクグループによる「ソフトバンク債」などが挙げられます。
証券会社によって扱う社債が異なる場合があるため、複数の証券会社のウェブサイトをこまめにチェックする投資家も少なくありません。
社債のデメリット
社債のメリットについてご紹介してきましたが、社債にはデメリットもあるので注意が必要です。
社債の主なデメリットを2つご紹介します。
1.債務不履行のリスクがある
企業が破綻したり財政が苦しくなった場合、利子や償還金が約束通り支払われない、債務不履行のリスクがあります。
債務不履行のリスクを避けるためには、社債を発行する企業の信用力をよく確認することが重要です。
信用力をチェックするためには、企業が保有する総資産に対して返済不要な自己資本を保有している割合を示す「自己資本比率」を確認するほか、格付け情報を確認することも欠かせません。
企業の格付けはムーディーズやスタンダード&プアーズ、日本格付研究所などが算出しています。
格付け会社によって多少異なりますが、一般的に「AAA(トリプルA)」から最下位の「D」まで10段階で格付けが行われます。
格付けが低いほど利率は高い傾向がありますが、債務不履行のリスクも高まるため注意が必要です。
2.まとまった資金が必要
社債によって具体的な金額は異なりますが、社債の購入には50万円や100万円などまとまった資金が必要となります。
個人向け国債が最低1万円から購入可能であることを考えると、社債の購入単価は比較的高額であるといえるでしょう。
さらに人気がある社債はすぐに売り切れてしまうこともあるため、あらかじめ資金を用意しておき、募集が始まったらすぐ購入できるようにしておく必要があります。
まとめ
社債のメリットとデメリットについてご紹介しました。
社債は定期預金や国債よりも高い金利が魅力ですが、その分リスクも高く、まとまった資金も必要になります。
一方で株式投資と比較すると投機性が低く、利回りが低い傾向にあります。
著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。