低金利時代が続く中、銀行預金よりも高い利回りを求めて「社債」に注目する方が増えています。
特にSBI証券が発行する「SBI債」は、募集開始から数分で完売することもあるほどの人気商品です。
しかし、高利回りという言葉だけで飛びつくのは非常に危険です。
「元本は保証されるの?」「もしSBIが倒産したらどうなる?」「途中で解約できるの?」といった不安を抱える方も多いはず。
結論からお伝えすると、社債は正しくリスクを理解して選べば、株式投資よりも安定した資産形成の強力なパートナーになります。
本記事では、投資初心者が損をしないために、SBI債を筆頭とする社債のデメリットやリスク回避の具体策を解説します。
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社債の仕組みと投資家が知っておくべき基本構造
社債とは、企業が事業拡大や運転資金を確保するために、投資家からお金を借りる際に発行する「借用証書」のようなものです。
私たちが銀行にお金を預けると利息がつくように、企業にお金を貸すことでその対価として利子を受け取り、満期(償還日)が来れば貸したお金(額面金額)が戻ってくるという仕組みです。
一口に社債と言っても、その種類は多岐にわたります。
一般的に私たちが目にするのは「普通社債(SB:ストレートボンド)」と呼ばれるもので、決まった期間に利息が支払われるシンプルなタイプです。
他にも、将来その企業の株式に転換できる権利がついた「転換社債型新株予約権付社債(CB)」や、万が一の際の支払い順位が低い代わりに利回りが高い「劣後債」などがあります。
投資家にとっての最大のポイントは、株式との違いです。
株式は企業への「出資」であり、返済義務はありませんが、社債は「貸付」であるため、企業には返済義務が生じます。
つまり、企業が健全である限り、投資したお金は守られ、約束された利息も受け取れるという極めて計画的な投資手法なのです。
ただし、個人向けに販売される社債は、最低投資金額が10万円から100万円単位になることが多く、国債のように1万円から気軽に始められるわけではありません。
そのため、投資先選びには慎重な判断が求められます。
SBI債に潜むデメリットと投資家が直面する3つのリスク
投資家の間で絶大な人気を誇るSBI債ですが、検索キーワードとして「sbi債 デメリット」が頻出するように、賢い投資家は表面上の利回りだけでなく、その裏側にあるリスクを注視しています。
SBI債を含む社債投資において、特に注意すべきデメリットは以下の3点に集約されます。
発行体の信用リスク(デフォルトリスク)
まず1つ目は「発行体の信用リスク(デフォルトリスク)」です。
これが最大のデメリットであり、万が一発行体であるSBIホールディングスなどが破綻した場合、投資した元本が1円も戻ってこない、あるいは大幅にカットされる可能性があります。
銀行預金には1000万円までの元本を保護するペイオフ制度がありますが、社債にはそのような保護は一切ありません。
流動性が極めて低い
2つ目は「流動性が極めて低いこと」です。
社債は基本的に満期まで保有することを前提とした商品です。
もし急に現金が必要になり、満期前に売却しようとしても、買い手が見つからなかったり、購入価格を大きく下回る価格でしか売れなかったりすることがあります。
株式のように「いつでもボタン一つで適正価格で現金化できる」わけではない点は、大きな落とし穴と言えます。
機会損失のリスク
3つ目は「機会損失のリスク」です。
社債の期間は数年から10年程度に及ぶことがありますが、その間に市場金利が上昇した場合、より高利回りの商品が登場しても乗り換えることが難しくなります。
固定金利の社債を保有し続けることは、金利上昇局面においては相対的に損をしている状態になりかねません。
格付けチェックで「損をしない」銘柄選定のポイント
社債のリスクを見極める上で、最も信頼できる指標が「格付け」です。
格付けとは、第三者機関である格付け会社(日本格付研究所(JCR)やR&Iなど)が、その企業の債務支払い能力をアルファベットで評価したものです。
「AAA」を最高位とし、一般的に「BBB」以上が「投資適格債」と呼ばれ、比較的安全性が高いと判断されます。
SBI債をはじめとする個人向け社債を検討する際は、必ずこの格付けを確認してください。
利回りが異常に高い社債は、格付けが低く、倒産リスクを金利で補っている場合があります。
これを「ハイイールド債(ジャンク債)」と呼びますが、初心者が手を出すには非常に危険な領域です。
また、格付けだけでなく「自己資本比率」にも注目しましょう。
企業の全資産のうち、返済不要な自分の資金がどれくらいあるかを示す指標です。この比率が高いほど、不況時でも倒産しにくいタフな企業であると言えます。
数字の目安としては、業種にもよりますが30%から50%程度あれば一つの安心材料になります。
投資初心者が陥りがちな失敗は、有名な企業だからという理由だけで判断してしまうことです。有名企業であっても、負債が膨らんで財務が火の車というケースは珍しくありません。
目先の金利に惑わされず、客観的なデータに基づいて「この企業は数年後も存在しているか」を冷静に判断する目を持つことが、損失を防ぐ唯一の手段です。
株式投資や投資信託と比較した社債の立ち位置
社債への投資を検討する際は、他の金融商品との「役割」の違いを明確にすることが大切です。
社債は、リスクとリターンのバランスにおいて、銀行預金や国債と、価格変動の激しい株式との中間に位置する資産です。
いわば、資産の守りを固めつつ、預金より少し多めの収益を目指す「ミドルリスク・ミドルリターン」の筆頭候補といえます。
株式投資との違いは予測可能性の高さ
株式投資は株価が数倍になる夢がある一方で、資産が半分になるリスクも隣り合わせです。
しかし社債は、購入した時点で将来受け取れる利息と、お金が戻ってくる時期が確定しています。
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将来の資金計画が立てやすい
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現役世代の教育資金準備や、シニア世代の資産維持に適している
このような「予測可能性」の高さが、将来を見据えて手堅く運用したい層に支持される理由です。
投資信託との違いは保有コストと分散性
投資信託は複数の資産に分散投資するためリスク管理に優れていますが、信託報酬などの管理費用が日々発生します。
これに対し、社債は購入時の手数料が無料(販売価格に含まれる)であることが多く、保有コストがかからない点が大きなメリットです。
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投資信託は「プロによる分散」だが継続的なコストがかかる
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社債は「特定企業への貸付」だが保有中のコストを抑えられる
理想的な使い方はポートフォリオの安定剤
分散投資の観点では、SBI債などの社債一点買いはリスクが集中するため注意が必要です。
賢いポートフォリオの作り方は、以下のような組み合わせが理想的です。
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資産の一部を世界分散型の投資信託で運用して成長を狙う
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残りの一部を比較的安全な社債で運用して全体の土台を固める
社債を「ポートフォリオの安定剤」として他の資産と組み合わせることで、リスクを抑えた資産形成が可能になります。
人気のSBI債を手に入れるための具体的な購入戦略
SBI債の利回りは非常に魅力的ですが、不定期募集かつ「早い者勝ち」という高いハードルがあります。
募集開始から数分で完売することも珍しくないため、確実に手に入れるためには事前の準備と戦略的な立ち回りが不可欠です。
情報収集の徹底と開始直後のスピード勝負
まず、SBI証券の口座開設を済ませ、メールマガジンやSNSでの公式情報を日常的にチェックすることが大前提です。
募集が発表されたら、開始日時をスケジュールに記録し、当日は開始数分前からログインして待機する気構えを持ちましょう。
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募集情報の通知設定を常にオンにしておく
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開始直後のアクセス集中を想定して通信環境を整える
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人気アーティストのチケットを確保するようなスピード感を意識する
SBI債だけに固執しない銘柄分散の考え方
特定の銘柄だけに固執しすぎると、かえって投資チャンスを狭めてしまいます。
ソフトバンクグループ債やマネックス債、楽天カード債など、個人向けに優良な条件で発行される社債は他にも多数存在します。
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複数の証券口座を使い分け、チャンスの分母を増やす
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他社の発行条件も比較対象に入れ、柔軟に投資先を選ぶ
余剰資金の徹底と流動性リスクへの備え
人気があるからといって、許容範囲を超えた金額を投じるのは非常に危険です。
社債は途中で現金化しにくい「流動性リスク」があるため、運用は以下のルールを守ることが鉄則です。
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3年から5年程度は使う予定のない完全な余剰資金で運用する
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無理な投資を避け、万が一の際も生活に影響が出ない範囲に留める
無理な投資は、市場が不安定になった際の冷静な判断を鈍らせる最大の要因になります。常に余裕を持った資金配分を心がけてください。
社債投資で後悔しないための最終チェックリスト
最後に、社債を購入する直前に必ず自分に問いかけてほしいチェックリストをまとめました。
これらすべてに「はい」と答えられるのであれば、その投資はあなたにとって健全なものといえるでしょう。
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その企業の「格付け」はBBB以上ですか?
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満期までそのお金を使わずに済みますか?
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その企業が万が一倒産して0円になっても、生活が破綻しませんか?
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利回りだけで選んでいませんか?(他社と比較しましたか?)
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市場金利が今後上がったとしても、後悔しませんか?
特に、今の日本は長らく続いたマイナス金利政策が解除され、金利が上昇する局面に入っています。
数年前に発行された低利回りの社債を保有している人は、今もっと条件の良い商品が出てきていることに歯がゆい思いをしているかもしれません。
今後の金利動向を予測するのはプロでも難しいですが「今提示されている利回りで自分は満足できるか」という納得感を大切にしてください。
社債投資に関するよくある質問(Q&A)
Q1. SBI債は「元本保証」ではないのですか?
A. はい、元本保証ではありません。
社債は企業への「貸付」であるため、発行体である企業が健全であれば元本と利息が戻ってきますが、倒産した場合には元本が毀損するリスクがあります。
銀行預金のような預金保険制度(ペイオフ)の対象外である点に注意が必要です。
Q2. 途中で解約して現金に戻すことはできますか?
A. 銀行預金のような「解約」という概念はありません。
保有している社債を証券会社を通じて市場で売却することになりますが、買い手がつかなかったり、購入価格を下回る価格でしか売れなかったりする「流動性リスク」があります。
基本的には満期まで保有できる資金で購入しましょう。
Q3. 社債の利息にかかる税金はどうなっていますか?
A. 社債の利息は「利子所得」として、原則20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)の税金が源泉徴収されます。
確定申告により、株式の譲渡損失などと損益通算することも可能です。
まとめ
社債投資、特に人気のSBI債は、銀行預金を大きく上回る利回りが期待できる非常に魅力的な選択肢です。
しかし、その裏側には「発行体の破綻リスク」や「低い流動性」といった、投資初心者が見落としがちなデメリットが確実に存在します。
特に初心者が陥りやすいミスは、利回りだけを見て、自分の全財産を一つの社債に集中させてしまうことです。
社債投資を成功させる鍵は、まず発行体の財務状況と格付けを客観的にチェックし、倒産リスクを最小限に抑えることです。
そして、万が一の際に備え、必ず余剰資金の範囲内で運用する「守りの姿勢」を忘れないでください。
市場の波に一喜一憂せず、満期まで安心して持ち続けられる銘柄選びができれば、あなたの資産形成はより盤石なものになるでしょう。
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著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。






