テクニカル分析の王道とも言える移動平均線、必ずチャートに表示させているという方も多くいるでしょう。
しかし移動平均線には、3種類の移動平均線が存在していることをご存知でしょうか。
それぞれを単純移動平均線・加重移動平均線・指数平滑移動平均線と呼び、普段使われている移動平均線は単純移動平均線を指すことが多いのです。
単純移動平均線を使い続けても基本的には問題ありませんが、人によっては加重や指数の方が使いやすいという場合もあります。
また、投資判断をするにあたり、他のトレーダーがどのような移動平均線の種類を使っているのかということを把握しておくことも大切です。
そこで今回は、3種類の移動平均線の違いや特徴について詳しく解説していきます。
この記事でわかること
- 単純・加重・指数平滑移動平均線について
- 初心者は3種類の移動平均線のうちどれを使えば良いのか
- 自分に合った移動平均線の見つけ方
移動平均線には3つの種類が存在する
移動平均線には以下の3つの種類が存在します。
- 単純移動平均線(SMA)
- 加重移動平均線(WMA)
- 指数平滑移動平均線(EMA)
基本的にどのチャートでも、まず表示されているのは単純移動平均線だと思います。
そのまま単純移動平均線を使い続けても問題ありませんが、加重および指数平滑移動平均線を知っておくことでテクニカル分析の幅を広げたり、自分に合った移動平均線を見つけて使うことができます。
そこでまずは、3種類の移動平均線についてその特徴を紹介していきます。
単純・加重・指数移動平均線の特徴
単純・加重・指数平滑移動平均線の順番で紹介をしていきます。
単純移動平均線(SMA)
単純移動平均線(SMA)は対象期間中の株価の終値の平均を算出したものとなります。
5日単純移動平均線であれば5日間の株価の終値を合計したものを平均したものが6日目に算出されるのです。
過去の株価をもとに線が形成されていくので、上昇や下落、もみ合いなどの大きなトレンドを教えてくれます。
移動平均線の中で最もシンプルであり期間中全ての株価が同等に計算されているという特徴があります。
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加重移動平均線(WMA)
加重移動平均線(WMA)は最新の株価に重きを置いており、過去の株価ほど比重が小さくなるように算出されます。
5日加重移動平均線であれば1日前の株価の比重が大きく、5日前の株価の比重は小さいため動きが早い移動平均線となります。
指数平滑移動平均線(EMA)
指数平滑移動平均線(EMA)は最新の株価に重きを置いており、過去の株価ほど比重が小さくなるよう平滑化係数を利用して算出されます。
指数平滑移動平均線は加重移動平均線と似ていますが、指数平滑移動平均線は過去の価格を無視しないため累積していくことで平均を計算しています。
簡単な特徴をまとめると、以下のようになります。
・単純移動平均線が最もシンプルな移動平均線
・加重移動平均線が株価変動に対して反応が早く追従性も高い
・指数平滑移動平均線は反応が最も早い移動平均線
加重移動平均線と指数平滑移動平均線
単純移動平均線を一般的な移動平均線とすると、なぜ少し変わった算出をする加重移動平均線と指数平滑移動平均線が生まれたのでしょうか。
それは、単純移動平均線は全ての株価が平均に計算されているためです。
平均に計算されているということは、5日前と1日前の株価の影響が同じレベルで計算されるということになります。
つまり、本来であれば前日の株価が一番影響を与えているのに、それが反映されていないということになるのです。
そこで、直近の株価に重きを置いた加重移動平均線と指数平滑移動平均線が生み出されました。
そのため両方の移動平均線は直近の株価に重きを置いており、単純移動平均線よりも株価の変動に対して反応が良いのです。
さらに指数平滑移動平均線は計算上過去の株価も累積されているため、反応が最もよく出やすい移動平均線となります。
3種類の移動平均線の中でどれを使うのがおすすめ?
3つの移動平均線を紹介してきましたが、結局のところどの移動平均線を使えば良いのかわからないという人もいるかもしれません。
全ての移動平均線をチャートに表示させてしまうとチャートが見にくくなってしまい上手くテクニカル分析を行えなくなります。
初心者であれば性能の良い移動平均線を使って最高のテクニカル分析を行えるようになりたいと考える人もいるはずです。
そこでここからは、初心者の方がどの移動平均線を使っていけば良いのかを紹介していきます。
どの移動平均線が良い悪いということはない
基本的に単純・加重・指数平滑移動平均線において、どれが良い悪いという事はありません。
それぞれの移動平均線で特徴があり、それを理解した上で使っていくことが重要となります。
先ほど単純移動平均線が持つ問題を解決するために、加重および指数平滑移動平均線が開発されたと紹介しました。
それであれば単純移動平均線は他2つの移動平均線よりも劣ると考えてしまいがちですが、決してそのようなことはありません。
単純移動平均線は直近の株価に重きを置いていないので株価の値動きへの反応は遅れてしまいますが、シンプルな移動平均線でありわかりやすく使いやすいといった特徴があります。
逆に加重および指数平滑移動平均線の場合は、株価に対して反応が良すぎてトレードシグナル通りにトレードを行ったら株価が逆行したというダマシが発生しやすいので注意も必要です。
そして、自分の使っているチャートの時間足やトレードスタイル、トレードの手法などによって合っている移動平均線は変わってきます。
中長期のトレードを行っている人であれば即座に判断をする必要が無く、ダマシが少ない単純移動平均線が使いやすかったり、デイトレードであれば即座にトレンド転換を知るために指数平滑移動平均線が向いているでしょう。
結局はどの移動平均線を使えばいいのかというよりも、自分に合った移動平均線を見つけて使いこなしていくことが大切と言えます。
迷った時は単純移動平均線から使ってみる
どの移動平均線を使うか迷っている初心者の方は、単純移動平均線から使ってみて全ての移動平均線を試してみてください。
各移動平均線の計算式や効果を確認しただけでは、自分のトレードに合っているのかを見極めることは難しいでしょう。
実際に各移動平均線を使ってみて、一番使いやすかった移動平均線を選ぶべきです。
その際は、期間を決めて使ってみるのがおすすめです。
同時に移動平均線の使い方についても学ぶようにしましょう。
また、移動平均線の期間設定は、変更することが可能です。
設定変更の方法については、【プロ直伝】移動平均線の最適な設定値とは。設定変更の方法についても解説しますの中で詳しく解説しているので、合わせてご覧になってみてください。
5日移動平均線を活用した手法
5日移動平均線は短期の移動平均線として最も活用されている移動平均線の設定の一つです。
当サイトの監修者であるプロトレーダー相場師朗(あいばしろう)先生も移動平均線を活用して売買されていますが、相場先生の技術の中にも5日移動平均線を活用した売買シグナルがあります。
最もシンプルなものとして、「下半身・逆下半身」というものです。
これがチャート上で確認できた際は、売買ポイントの一つと考えることができます。
詳しくは、【相場式株技術用語】下半身・逆下半身とは? 株初心者にもわかりやすく解説しますの中で解説していますので、ぜひご覧になってみてください。
5日移動平均線は多くのトレーダーに意識されている移動平均線なので、ぜひこうした手法も活用しながら、トレードの精度を上げていってください。
3種類の移動平均線の特徴を理解した上でトレードをする
ここまで、3種類の移動平均線の特徴について見てきました。ポイントは以下になります。
- 加重・指数平滑移動平均線は直近の株価に重きを置いている
- どの移動平均線を使っても問題ないが、迷った時にはまず単純移動平均線から
- それぞれの移動平均線を実際に使ってみて合っているものを探す
移動平均線はシンプルなテクニカル分析ですが、使い方によっては十分に結果を出すこともできるツールです。
もし移動平均線を主力でトレードを行う予定の人であれば、3種類の移動平均線から自分に合っているものをみつけてみましょう。
同時に移動平均線を使うための株の技術もしっかりと磨くようにしておいてください。
相場先生のお言葉で「株は技術だ!」という言葉がありますが、移動平均線を正しく使いこなすためには、技術をしっかりと磨く必要があります。
もし移動平均線の使い方について悩んでいる場合には「【株技術】プロトレーダー直伝! 移動平均線を使いこなそう」を参考にしてみてください。
いくら素晴らしいツールを使ったとしても、自身の技術が上達していなければ使いこなすことができません。
株の技術に関しては当サイトの他の記事やプロトレーダー直伝の「株塾」で学習することができるので、よければ参考にしてみてください。
著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。