「自分のやり方で資金が尽きる確率はどのくらい?」――その問いに答える指標が、バルサラの破産確率です。
勝率・損益率(ペイオフレシオ)・1回あたりの許容損失率の3つから、資金がゼロになる確率の目安を把握できます。
本記事では、概念の整理、正しい表(チャート)の読み方、リスクを抑える設計手順、よくある勘違いまでをわかりやすくまとめました。
ぜひ、最後まで読んで手法の見直しやルールづくりの基礎に活用してください。
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バルサラの破産確率とは
バルサラの破産確率とは、フランスの数学者ナウザー・バルサラが考案した数学理論です。
勝率や損益率などから、どのくらいの確率で破産するかを計算できます。
バルサラの破産確率を使えば、「今の投資手法に破産する危険があるかどうか」がわかるわけですね。
破産確率が高ければ、投資手法を見直す必要があるのです。
数学理論の一つ
バルサラの破産確率は数学理論の一つです。
そのため計算式で破産する確率を求められるのですが、非常に複雑で難解な式となっています。
破産確率を求める式は以下の通りです。
破産確率:Q
資金:n
勝率:p
損益比率:k
条件:0<x<1
x=px^(k+1)+(1-p)
Q=x^(n/b)
上記の複雑な式を覚える必要はありません。
バルサラの破産確率表を使えば、自分の状況と照らし合わせるだけで破産確率がわかります。
破産確率=資金0になる確率
バルサラの破産確率における破産は、「資金が0になること」です。
いわゆる人生レベルでの「破産」ではありません。
例えば10万円で投資をしているなら、その10万円が0になったら破産というわけですね。
破産確率100%はもちろん、10%でも「資金が0になる」と考えれば十分高い数値です。
トレード方針の参考にできる
バルサラの破産確率を知ることによって、トレード方針の参考にできます。
現在の投資手法が間違っていないかの確認になりますし、破産確率が高ければ「どこを見直すべきか」考えられますね。
トレードのルールを決めているのであれば、そこから修正する必要があるかもしれません。
自分の資金率の場合、破産しないためにはどれくらいの勝率が必要になってくるのか、バルサラの破産確率で確認できるわけですよ。
バルサラの破産確率表
自分の破産確率を知りたいなら、バルサラの破産確率表を確認してみましょう。
注意したいのが、バルサラの破産確率表にはリスクにさらす資金率次第で内容が変わるということ。
「1回のトレードでどれくらいの損失を出してもいいか」という基準で、表が変わってくるのです。
破産確率表の見方から、どの資金率設定の表を見ればいいかまで解説します。
表の見方

バルサラの破産確率表では、主に3つの指標を確認します。
勝率・損益率(ペイオフレシオ)・リスクにさらす資金率の3つです。
それぞれどのような指標なのか、自分に置き換えて確認してみましょう。
勝率
バルサラの破産確率では、勝率がどれくらいか確認する必要があります。
例えば100回やって60回勝つなら、勝率は60%です。
自身のトレードを振り返り、勝率がどれくらいか確認してみましょう。
勝率が低ければ低いほど、破産確率は高くなりやすいです。
損益率(ペイオフレシオ)
損益率(ペイオフレシオ)も、バルサラの破産確率では重要な指標です。
平均利益が平均損失の何倍かを示す数値であり、高ければ高いほど、利益が出せていることになります。
例えば、平均利益が10,000円、平均損失が5,000円だとすると、損益率は2です。
もしも平均利益が20,000円なら、損益率は4になるわけですね。
リスクにさらす資金率
リスクにさらす資金率とは、1回のトレードでどれくらいの損失を出してもいいかという割合のことです。
例えば総資金が100,000円として、1回のトレードで許せる最大損失が1,000円とします。
すると、1,000÷100,000で0.01、パーセントにすると1%となります。
この場合、100回連続で損失を出すと、手元の資金がなくなり破産するわけですね。
リスクにさらす資金率が高くなるほど、破産する確率も高くなります。
資金率2%で考えるのがオススメ
一般的に、リスクにさらす資金率は2%がオススメです。
資金率2%の場合のバルサラの破産確率表を見てみましょう。
つまり、100万円の資金で投資しているとすれば、1回のトレードで2万円を最大損失のラインとした場合が、資金率2%ですね。

勝率が50%の場合、損益率が1の場合の破産確率は99.4%です。
一方、勝率は同じままで損益率が1.5になれば破産確率は0%となります。
損益率はそのままで、勝率が55%に上がった場合でも、破産確率は0%です。
基本的に、破産確率が0%かどうかで見るようにしましょう。
1%でも十分小さく感じるかもしれませんが、破産する可能性がそれだけあると考えれば十分大きな数値ですね。
資金率が変われば破産確率も変わる
リスクにさらす資金率が変われば、破産確率も変わります。
100万円の資金に対して、1回のトレードで出る損失が10万円か1万円かでは、その後の破産確率に違いがあるのは明白ですよね。
資金率10%の場合、バルサラの破産確率表がどう変わるか見てみましょう。
100万円の資金で投資しているとすると、1回のトレードで10万円を最大損失のラインとした場合です。

資金率2%の表と比べて、0%でない部分が増えています。
勝率が40%の場合、損益率が3だとしても、破産確率は2.5%と高めです。
続いて、資金率30%の表を見てみましょう。

さらに0%の部分は少なくなり、破産確率100%の部分は多くなりました。
リスクにさらす資金率が上がれば上がる程、破産する確率は上がっていくことがわかりますね。
勝率や損益率も重要ですが、1回のトレードでいくらまで損失を許すかも非常に重要なのです。
リスクにさらす資金率は2%に抑えることを意識しましょう。
そのうえで、自分のトレードの勝率や損益率と照らし合わせて、破産確率を確認してくださいね。
バルサラの破産確率がすぐわかる計算ツール
表を見るのも面倒な方は、バルサラの破産確率がすぐわかる計算ツールを使いましょう。
オススメは下記の計算ツールです。
4つの項目を入力すれば、すぐに破産確率が求められますよ。
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すぐ使えるチェックリスト
・直近50〜100回で勝率と平均利益/平均損失を集計した
・損益率(平均利益÷平均損失)≥1.5を目標に出口を設計した
・1回あたり許容損失率=2%前後で固定した(必要なら1〜1.5%)
・月次で指標を更新し、表(または計算チャート)で位置を再確認した
・取引ルールは事前に書面化し、逸脱の有無を記録した
投資の技術を磨くのが一番大事
バルサラの破産確率でわかるのは、あくまでも確率だけです。
実際に投資で勝つためには、技術を磨いていくしかありません。
確率だけ見て満足するのではなく、そのあとの行動が何よりも重要なのです。
自分のトレードに何が足りていないのか、どうすればより勝てるようになるのかを追求していきましょう。
他の分析手法を取り入れる、練習を積み重ねる、方法はいくらでもありますよ。
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Q&A:バルサラの破産確率まわりの疑問
Q1. 勝率が高ければ破産確率は十分低くなりますか?
A. 一概にそうはなりません。
損益率が1.0未満だと、高勝率でも破産確率は下がりにくいケースがあります。
勝率と同時に平均利益>平均損失を保つ設計が必要です。
Q2. 許容損失率は何%が妥当ですか?
A. 口座規模・同時保有数・想定ドローダウンによりますが、表の性質上、2%前後が扱いやすい基準です。
変動が大きい銘柄や枚数を増やす運用では1〜1.5%への引き下げも選択肢です。
まとめ
バルサラの破産確率は、感覚的だったリスクを数値で可視化するための羅針盤です。
勝率・損益率・許容損失率という3つの指標を組み合わせることで、自分の手法がどれほどの危険をはらむかを客観的に判断できます。
特に意識したいのは、以下の3点です。
-
許容損失率を2%前後に固定する
資金を守ることを最優先にし、1回の損失で退場しない仕組みをつくる。 -
損益率を高める出口設計を持つ
「小さく負けて大きく勝つ」ルールを徹底し、平均利益を伸ばす戦略を磨く。 -
勝率よりも再現性を重視する
短期的な結果よりも、ルールを守り続けられたかを評価軸にする。
破産確率をゼロに近づけることは、単なる数字遊びではなく、「再現性のあるトレードを続ける力」を養うことです。
日々のトレードを検証し、数値の裏にある自分の行動パターンを見直す。
その積み重ねが、投資を“確率に支配されるもの”から“確率を管理できるもの”へと変えていきます。
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著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。







