新NISAの普及に伴い、「オルカン」こと「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」への関心が高まっています。
世界中の株式に低コストで分散投資できる一方、「実際、年利は何%くらい期待できるの?」と気になる方も多いでしょう。
過去データを見ると、オルカンのベンチマークとなる全世界株式インデックスは、長期では年率7〜10%程度のリターンとなった期間があります。
ただし、これはあくまで過去の実績です。
毎年同じペースで増えるわけではありません。
この記事では、オルカンの年利実績、S&P500との違い、長期投資で注意したいポイントを順番に整理します。
数字だけに振り回されず、自分の投資方針を考えるための材料として活用してください。
オルカンの年利はどれくらい?
まずは、オルカンの年利を大まかに把握しましょう。
大切なのは、「平均年利」と「毎年のリターン」は別物だと理解することです。
最新の平均年利は約8.27%
オルカンは、日本を含む先進国・新興国の株式へ幅広く投資するインデックスファンドです。
ベンチマークは「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(日本含む、配当込み)」で、直近15年間の平均年率リターンは、おおよそ7〜8%程度とされています。
この期間には、リーマンショック後の回復やコロナ後の株価上昇など、さまざまな相場環境が含まれています。
そのため、「毎年7〜8%ずつ増えた」という意味ではありません。
実際には、大きく上昇する年もあれば、マイナスになる年もあります。
年利を見るときは、平均値だけでなく値動きの幅もセットで考えることが重要です。
オルカンの過去実績を紹介
ここでは、短中期と長期の両面から、オルカンの過去実績を見ていきます。
期間によって見え方が大きく変わる点に注目してください。
直近の年別リターン(1〜5年)
2025年6月末時点での、オルカンの直近1~5年のリターンは以下の通りです。

直近の成績は好調で、特に5年平均で年率20%という数字は魅力的に見えます。
ただし、この期間にはコロナショック後の急回復や米国株の上昇といった要因も含まれています。
今後も同じペースが続くと考えるのは避けたほうがよいでしょう。
「最近よく増えているから、これからも同じように増える」とは限りません。
高い年利だけを見るのではなく、下落した年も含めて判断することが大切です。
長期保有で見た年利の推移(20年・30年)
長期で見ると、短期の上下動がならされ、オルカンがどの程度のリターンを積み上げてきたかを確認しやすくなります。
myINDEXが公表している「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(円ベース・配当込み)」のデータでは、以下の数値が示されています。
20年保有時の年率リターン:約10.2%(標準偏差:約18.5%)
30年保有時の年率リターン:約10.2%(標準偏差:約18%)
20年・30年という長期では、年率10%前後となった実績があります。
ただし、この数字も将来の成果を保証するものではありません。
また、「標準偏差」は値動きの大きさを表す指標です。
たとえば年利10%、標準偏差18%なら、年によってリターンが大きく上下する可能性があると考えます。
平均年利が高く見えても、途中では大きな下落を経験する可能性があります。
長期投資では、この値動きに耐えられるかどうかも重要です。
S&P500との違いは?リターンとリスクを比較
オルカンとS&P500のどちらを選ぶべきか、迷う方は少なくありません。
両者の違いは、単純な年利だけでは判断できません。
投資先の地域、値動きの大きさ、リターンの出方をあわせて見る必要があります。
リターンの比較
S&P500は、米国を代表する大型株500銘柄で構成される指数です。
過去数年間は、オルカンを上回るリターンとなった期間があります。
2025年6月末時点での、S&P500の直近1~5年のリターンは以下の通りです。
1年:年率約2.32%
3年:年率約21.23%
5年:年率約23.65%
直近数年では、S&P500のほうが高い成績となっています。
一方、オルカンは米国だけでなく、欧州や日本、新興国など世界各国へ投資します。
そのため、米国株が強い局面ではS&P500に劣ることがありますが、地域を広く分散できる点が特徴です。
「米国に集中するか」「世界全体に分散するか」という違いとして考えると、自分に合う方を選びやすくなります。
リスク・標準偏差の比較
リターンだけでなく、値動きの大きさも確認しておきましょう。
ここ数年のS&P500の標準偏差は、おおよそ16~20%程度とされ、上下に大きく動く場面があります。
一方、オルカンの標準偏差は14〜18%前後とされています。
ただし、期間や計測条件によって数値は変わるため、単純に「オルカンのほうが安全」とは言い切れません。
大切なのは、自分がどの程度の値下がりまで受け入れられるかです。
リターンの高さだけで選ぶと、下落時に不安になりやすくなります。
シャープレシオの比較
シャープレシオは、「取ったリスクに対して、どれだけリターンを得られたか」を見る指標です。
一般的には、数字が高いほどリスクに対する運用効率が高かったと考えます。
過去データでは、オルカンとS&P500のシャープレシオはどちらも0.2~1.4程度で、ほぼ同水準とされています。
ただし、シャープレシオも集計期間によって変わるため、ひとつの数字だけで優劣を決めるのではなく、投資先の違いや値動きへの耐性も含めて判断しましょう。
「S&P500」への投資法とは?複利効果を活用して効率的に資産を増やす方法
オルカンの年利を見るときの注意点
オルカンの年利を確認するときは、数字の高さだけに注目しないことが大切です。
特に、次の3点を押さえておきましょう。
あくまで過去の実績であり、未来の保証ではない
過去の年利は、将来のリターンを保証する数字ではありません。
市場環境は、景気、金利、為替、地政学リスクなどによって変わります。
過去に年率8%前後だったとしても、今後も同じ結果になるとは限りません。
そのため、過去実績は「将来を予測する数字」ではなく、「これまでどのような値動きをしてきたかを確認する材料」として使うのが適切です。
マイナスになる年もある
オルカンは世界中の株式へ分散投資しますが、株式である以上、マイナスになる年もあります。
たとえば2020年初頭のコロナショックでは、世界中の株価が急落し、オルカンも一時的に大きく値下がりしました。
今後も、インフレや金利上昇、地政学的な緊張などによって下落する可能性はあります。
「長期なら必ず回復する」と決めつけることはできません。
だからこそ、下落しても生活に影響しない余裕資金で続けられるかを考える必要があります。
長期運用の視点で積立を続けることが重要
オルカンのようなインデックスファンドでは、短期の年利を追いかけるより、長期で運用する視点が重要です。
10年、20年と運用期間を長く取ることで、短期的な値動きの影響をならしやすくなります。
ただし、長期投資でも元本割れの可能性がなくなるわけではありません。
日々の値動きに一喜一憂するより、「いつ使う資金なのか」「どれくらいの下落なら続けられるか」を先に決めておくと、判断がぶれにくくなります。
よくある質問
ここでは、オルカンに関心のある方からよく聞かれる質問にお答えします。
新NISAにオルカンは向いていますか?
はい、新NISAで長期・分散投資をしたい方にとって、有効な方法のひとつと言えます。
オルカンは世界中の株式へ分散投資する商品で、新NISAの非課税制度を利用しながら長期運用できます。
ただし、新NISAだから利益が保証されるわけではありません。
値下がりの可能性もあるため、投資目的や運用期間に合っているかを確認しましょう。
今から買っても遅くないですか?
「今が遅すぎる」と一律に判断することはできません。
将来の相場が上がるか下がるかは予測できないため、「今が買い時か」を当てることより、どれくらいの期間運用できるかを考えるほうが重要です。
近いうちに使う予定の資金ではなく、長期間使わない余裕資金で検討すると、短期の値動きに振り回されにくくなります。
毎月いくら積み立てれば良いですか?
家計に無理のない金額から始めるのが基本です。
たとえば、月3万円を年利7%で20年間積み立てるシミュレーションでは、将来資産は約1,500万円となります。
月1万円なら約500万円、月5万円なら約2,500万円程度が目安です。
ただし、これは年利7%が続くと仮定した試算であり、実際の結果とは異なる可能性があります。
オルカンは、長期的に見ると年利6〜8%程度のリターンが期待できる投資信託です。
直近の成績が良好な一方で、年によってはマイナスになることもあるため、短期的な動きに惑わされず、長期での積立を意識することが大切です。
S&P500と比較してもオルカンはリスク・リターンのバランスに優れており、新NISAとの相性も良好です。
これから投資を始めたい方や、不安を感じている方でも、少額から無理なく始めることで、未来の資産形成につなげることができますよ。
まとめ
オルカンの年利を見るときは、「平均で何%だったか」だけでなく、その数字がどの期間の実績なのかまで確認することが大切です。
過去データでは、長期で年率7〜10%前後となった期間があります。
一方で、短期ではマイナスになる年もあり、将来も同じリターンが続く保証はありません。
S&P500との比較でも、単純にリターンの高低だけを見るのではなく、「米国への集中」と「世界への分散」という違いを理解する必要があります。
オルカンを検討する際は、期待年利だけで判断せず、運用期間、家計の余裕、値下がりへの耐性を整理してみてください。
無理なく続けられる投資設計を考えることが、長期運用では重要です。

株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。





