「空売りをしたら、思わぬ手数料(逆日歩)が発生して利益が吹き飛んでしまった……」そんな経験はありませんか?
逆日歩は信用取引の「売り方」が負担するコストですが、その発生条件や計算方法は複雑で、特に連休を挟むと思わぬ高額請求に発展するリスクがあります。
結論から言うと、逆日歩の仕組みを正しく理解し、日数計算のルールを把握すれば、こうした損失は未然に防げます。
本記事では、初心者の方が迷いやすい逆日歩の計算式から、土日を跨ぐ際の注意点、リスクを最小限に抑える方法まで徹底的に解説します。
逆日歩(ぎゃくひぶ)とは?信用取引で発生する「隠れたコスト」の正体
「逆日歩」とは、一言で言えば「信用取引で空売りをしている人が、株を借りるために支払う追加のレンタル料」のことです。
通常、証券会社からお金を借りて株を買う(信用買い)ときには金利が発生しますが、逆日歩はその逆で、株が不足した際に発生します。
最大の特徴は、「取引をする前には、正確な金額がわからない」という点にあります。
逆日歩は需給のバランスによって毎日変動し、翌営業日にならないと確定しません。
そのため、知らずにポジションを持ち越すと、予想外のコストを支払うことになります。
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誰が払う?:信用取引の「売り方(空売り)」をしている人
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誰がもらえる?:信用取引の「買い方」をしている人(※一部例外あり)
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いつ発生する?:市場全体で株が不足したとき
信用取引はレバレッジをかけて大きな利益を狙える魅力的な手法ですが、逆日歩のようなコストを正しく把握していないと、せっかくの利益を削ってしまうことになりかねません。
まずは、なぜこのコストが発生するのか、その舞台裏を見ていきましょう。
なぜ逆日歩は発生する?株不足が引き起こすメカニズム
逆日歩が発生する背景には、証券会社と「日本証券金融(日証金)」とのやり取りがあります。
信用取引において、投資家が空売りをする際、証券会社は投資家に貸し出す株を用意しなければなりません。
しかし、空売りが殺到して証券会社の在庫がなくなると、証券会社は日証金から株を借ります。
さらに日証金でも株が足りなくなった場合、日証金は銀行や保険会社などの機関投資家から「手数料を払って」株を借りてきます。
この「機関投資家へ支払うレンタル料」こそが逆日歩の正体です。
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売り長(うりなが)状態
買い残高よりも売り残高が多い状態。逆日歩が発生しやすいサインです。
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入札方式で決まる
逆日歩の価格は、株を貸し出す側が提示する金額によって、オークション形式で決定されます。
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需給のバランス:
空売りが増えれば増えるほど、株不足が深刻化し、逆日歩は高騰します。
このように、逆日歩は「みんなが売りたい(空売りしたい)」と思っている銘柄に集中的に発生します。
特に、株主優待目的の「つなぎ売り」が急増する権利確定日直前などは、株不足が顕著になりやすく注意が必要です。
【実践】逆日歩の計算方法と「日数」の数え方
逆日歩の具体的な計算式は以下の通りです。
逆日歩の総額 = 1株あたりの逆日歩 × 株数 × 品貸日数(しなかしにっすう)
例えば、1株あたりの逆日歩が2円の銘柄を1,000株空売りし、品貸日数が1日の場合、支払う逆日歩は「2円 × 1,000株 × 1日 = 2,000円」となります。
ここまではシンプルですが、多くの投資家が失敗するのが「品貸日数の数え方」です。
初心者がハマる落とし穴!「受け渡し日」ベースでの計算
逆日歩の計算は、注文した日ではなく「受け渡し日」を基準に行われます。
現在の日本株は、約定日から2営業日後に受け渡しが行われる「T+2」というルールです。
土日・祝日もカウントされる?日数のカウント事例
ここが最も重要なポイントですが、逆日歩は土日や祝日などの市場が休みの日の分も発生します。
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火曜日に売って水曜日に買い戻した場合: 受け渡し日は「木曜」と「金曜」になり、逆日歩は1日分です。
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木曜日に売って金曜日に買い戻した場合: 受け渡し日は「月曜」と「火曜」になりますが、その間に土日を挟むため、逆日歩は3日分(土・日・月分)発生します。
ゴールデンウィークや年末年始などの大型連休前に空売りポジションを持ち越すと、10日分以上の逆日歩が一度に発生することもあり、非常に危険です。
逆日歩はいくらまで上がる?「最高料率」の恐怖
逆日歩には、投資家を守るために「これ以上は高くならない」という上限、すなわち最高料率が設定されています。
しかし、この「上限」自体が非常に高く設定されていることが多く、安易に考えると大火傷を負います。
最高料率は、株価や売買単位(単元株数)によって決まりますが、需給が極端に逼迫すると「最高料率の4倍(倍率適用)」といった特別ルールが適用されることもあります。
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株価が低い銘柄ほど注意
低位株であっても、最高料率が適用されると株価に対して非常に重いコストになります。
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「逆日歩に買いなし」の格言
逆日歩が高騰すると売り方が買い戻しを急ぐため、株価が急騰(踏み上げ)することがあります。
コストを支払うだけでなく、含み損も拡大するダブルパンチのリスクがあるのです。
「たかが数円」と思っていても、それが数日分、数千株となれば数万円の出費になります。
空売りをする際は、その銘柄の「過去の最高料率」を調べておくこともリスク管理として有効です。
逆日歩を回避・予測するための3つのポイント
逆日歩は予測しにくいものですが、事前にチェックすることでリスクを大幅に軽減できます。
1. 信用倍率と貸借倍率をチェックする
証券会社の銘柄ページにある「信用倍率」を確認しましょう。
1倍を大きく下回っている(売り残が多い)銘柄は、逆日歩が発生する一歩手前かもしれません。
特に「貸借倍率」が0.1倍などの極端な数値になっている場合は要注意です。
2. 一般信用取引を利用する
信用取引には「制度信用」と「一般信用」の2種類があります。
逆日歩が発生するのは制度信用取引のみです。
一般信用取引であれば、どれだけ株が不足しても逆日歩は一切発生しません。
株主優待クロス取引など、コストを確定させたい場合は一般信用の活用が鉄則です。
3. 日証金の「貸借取引状況」を毎日確認する
日本証券金融(日証金)のウェブサイトでは、毎日19時〜20時頃にその日の逆日歩が発表されます。
また、昼過ぎには「株不足」の速報も出ます。
これらをこまめにチェックする習慣をつけることで、高額な逆日歩が確定する前にポジションを解消する判断が可能になります。
よくある質問(Q&A)
Q1. 逆日歩が発生する銘柄を事前に予測できますか?
完全に予測することはできませんが、ヒントはあります。
信用倍率(=信用買い残÷信用売り残)が1倍を下回る「売り長」の銘柄では、逆日歩が発生しやすい傾向があります。
特に株主優待の直前など、空売りが集中する時期は注意が必要です。
逆日歩情報は証券会社や日本証券金融のサイトで日々公表されているため、取引前に確認する習慣をつけましょう。
Q2. 逆日歩が発生しても取引を続けていいのでしょうか?
一概に「避けるべき」とは言えません。
短期での空売りや優待クロス取引では、逆日歩を支払っても利益が上回るケースもあります。
ただし、想定外の高額逆日歩が発生するリスクもあるため、ポジションを長期間持ち越さない・大型連休前を避ける・資金管理を徹底する、といったリスクコントロールが重要です。
まとめ
逆日歩は、信用取引の売り方にとって避けては通れないコストです。
しかし、その正体は「需給逼迫による株のレンタル料」であり、計算ルールさえ知っていれば、過度に恐れる必要はありません。
重要なのは、「逆日歩は受け渡し日ベースで計算され、土日祝日もカウントされる」という点です。
特に週末や連休を跨ぐトレードでは、日数が膨らむリスクを常に意識しましょう。
初心者が損をしないためには、まず信用倍率で需給を確認し、不安な場合は逆日歩が発生しない「一般信用」を選択するのが最も賢明な判断です。
正しい知識を武器に、リスクをコントロールしながら、信用取引のメリットを最大限に引き出していきましょう。
株の勉強は絶対にやるべき!オススメ勉強ステップや失敗しないためのコツ

著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。






