「テーパリングってどんな政策なんだろう?」と疑問に思っていませんか?
テーパリングという言葉はニュースなどで聞いたことがあるものの、具体的にどのような金融政策で、市場にどう影響するのかわからないから知りたいという方が多いようです。
そこで今回は、テーパリングの概要や各市場への影響について解説します。
また、投資家がとるべき対策もご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
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テーパリングとは
テーパリングとは、中央銀行が量的緩和(中央銀行が国債などを大量に買い入れて世の中へ出回るお金を増やし、景気を下支えする政策)として続けてきた国債などの資産買い入れ額を、段階的に縮小していく金融政策のことを指します。
たとえば、米国の中央銀行にあたるFRB(米連邦準備制度理事会)が、会合ごとに毎月の国債買い入れ額を減らしていく動きが代表例です。
これによって、市場に供給される資金の量が徐々に減少し、金融緩和の度合いが段階的に弱まっていきます。
テーパリングは、大規模な緩和から正常化へ移る過渡期の政策であるため、市場への影響が大きいことから注目を集めやすい金融政策です。
なお、テーパリングは「新たな買い入れのペースを落とす」政策であり、すでに保有している資産を減らす量的引き締め(QT)や、政策金利を引き上げる利上げとは別の段階にあたります。
一般に、テーパリング、利上げ、量的引き締めの順に進むことが多いです。
また、日本でも日本銀行が2024年に国債買い入れの減額計画を決め、毎月の買い入れ額を段階的に減らしています。
こうした動きも、ニュースなどでテーパリングと呼ばれることがあります。
テーパリングの影響
本章では、テーパリングが与える影響として、以下の内容について解説します。
- 株式市場への影響
- 為替への影響
- 金利への影響
- 投資家心理への影響
各市場で何が起こるのかを、それぞれみていきましょう。
株式市場への影響
テーパリングは株式市場にとって、株価の下落要因となりやすい政策です。
中央銀行が国債などの資産買い入れ額を段階的に縮小することで、市場に供給される資金が減少し、金利には上昇圧力がかかります。
そうなると、株式の相対的な魅力が低下するのです。
実際に2013年5月には、当時のバーナンキFRB議長がテーパリングを示唆しただけで、世界中の株価が急落しました。
株式投資をしているなら、テーパリングが株安につながる場面もあることを前提に、慌てず対応できる準備を整えておきましょう。
具体的な対策については、「テーパリングに向けて投資家がとるべき対策」の章で解説します。
なお、計画が事前に発表され、株価に反映(織り込み)された場合には、影響が小さくなることもあります。
為替への影響
テーパリングを実施する国の通貨は買われやすくなり、通貨高が進みやすい傾向にあります。
テーパリングは利上げに向かう第一歩であるため、市場は「次は利上げだ」と先読みし、金利上昇で有利になるその国の通貨を早めに買い始めるのです。
たとえば、米国がテーパリングを進める局面では、日本と米国の金利差が広がるとの見方から、ドル高・円安が進みやすくなります。
また、世界へ分散していた資金が米国へ戻る流れが強まるため、新興国からは資金が流出する傾向が強まります。
結果として、新興国通貨が急落するリスクが高まるので、新興国の資産へ投資している人は特に注意が必要です。
実施国の通貨高と新興国通貨の下落リスクをセットで覚えておくと、為替相場の動きを判断しやすくなるでしょう。
金利への影響
テーパリングによって、長期金利は上昇しやすくなります。
中央銀行による国債の買い入れが減ると債券の需要が低下し、債券価格の下落によって金利上昇につながります。
実際に2013年、米FRBのバーナンキ議長がテーパリングの可能性を示唆しただけで、米国の長期金利が急騰しました。
金利の上昇は、住宅ローン金利や家計の返済負担の増加にもつながり、株式市場だけでなく実体経済にも波及します。
そのため、テーパリングの進展は金融市場だけの話にとどまらず、家計に波及しうる問題として注視しておく必要があるでしょう。
投資家心理への影響
テーパリングは投資家心理を冷え込ませ、市場のボラティリティを高める要因になります。
「金融緩和による上昇相場が終わる」という連想が働き、株式などのリスク資産を手放して安全資産へお金を移す「リスクオフ」の動きが強まるのです。
2013年の例をみると、テーパリングが示唆された結果、株式や新興国の資産から資金が一斉に流出しました。
なお、中央銀行から計画や見通しが前もって丁寧に発信されていれば、投資家の動揺はある程度和らぐことがあります。
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テーパリングの過去の事例
FRBによる代表的なテーパリングは過去に2回実施されており、市場の反応は対照的でした。
同じ政策でも進め方しだいで結果が大きく変わった歴史を知れば、今後の局面でも落ち着いて行動しやすくなります。
- 2013年~2014年
- 2021年~2022年
それぞれの経緯をみていきましょう。
2013年~2014年
2013年~2014年のテーパリングは、リーマンショック後に実施された量的緩和を縮小した事例です。
2013年5月にバーナンキ議長が議会証言で縮小を突然示唆すると「テーパータントラム(かんしゃく)」と呼ばれる混乱が起きました。
具体的には、米国の長期金利の急騰や株価の下落、新興国通貨の急落などが起きています。
突然の示唆が混乱を招いたことをきっかけに、中央銀行が市場と事前に対話する大切さが広く認識されるようになったといえます。
なお、実際のテーパリングは、2013年12月のFOMC(米国の金融政策を決める会合)で正式に決定されました。
2014年1月からは、会合ごとに100億ドルずつ(最終回は150億ドル)買い入れ額が縮小され、約10ヶ月後の2014年10月に完了しています。
2021年~2022年
2021年~2022年のテーパリングは、コロナ禍で実施された量的緩和を縮小した事例です。
2021年11月のFOMCで開始が決定され、当初は毎月150億ドルずつ買い入れ額が減らされていきました。
ところが、インフレの加速を受けて減額ペースは毎月300億ドルへ倍増され、2022年3月に約5ヶ月という短期間で完了しています。
2013年の教訓を活かして、FRBが早い段階から繰り返し市場へ予告していたため、タントラムのような大きな混乱は起きませんでした。
同じテーパリングでも、事前の情報発信しだいで市場の反応が大きく変わるという事実がよくわかる事例だといえます。
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テーパリングに向けて投資家がとるべき対策
テーパリングに備えるうえで重要なのは、「分散投資の徹底」と「余裕資金の確保」という2つの基本です。
具体的な備えとしては、次の5つの対策が有効です。
- 株式や債券など複数の資産へ分散して投資する
- 現金の比率を高めておき、相場が急落した場面で買い増しできる余力を残す
- レバレッジ(借入などで投資額を増やす仕組み)の高い取引を控え、急変動に耐えられる量に抑える
- FOMCの声明・議事録やFRB高官の発言を確認し、政策転換の兆しを早めに察知する
- 金利上昇の恩恵を受けやすい金融セクター(銀行など)への投資を検討する
テーパリングは突然実施されるのではなく、FRBの声明や議事録などを通じて事前にアナウンスされます。
テーパリングの方向性がみえた時点でこれらの対策を速やかに講じると、実際に市場が変動し始めても慌てずに対応しやすいでしょう。
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よくある質問
テーパリングと利上げはどちらが先に行われますか?
一般的には「テーパリングが先、利上げがあと」という順番で実施されます。
実際に2013年~2014年の事例では、2014年10月のテーパリング完了後、2015年12月に利上げが始まりました。
2021年~2022年の事例でも、2022年3月の完了直後に利上げがスタートしています。
テーパリングはどれくらいの期間で完了しますか?
過去の事例をみると、テーパリングは開始から完了までおよそ5~10ヶ月程度で終わっています。
FRBが実施した過去2回の事例について、完了までの期間と特徴を表で比較してみましょう。
| 事例 | 完了までの期間 | 特徴 |
| 2013年~2014年 | 約10ヶ月 | 会合ごとに100億ドルずつ、緩やかなペースで縮小 |
| 2021年~2022年 | 約5ヶ月 | インフレの加速を受け、途中で減額ペースを倍増 |
完了までの期間は一律ではなく、経済情勢しだいで前倒しや延長があり得る点を押さえておきましょう。
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まとめ
今回は、テーパリングの仕組みと各市場への影響、投資家がとるべき対策について解説しました。
テーパリングは中央銀行が資産の買い入れ額を段階的に縮小する政策で、株価や為替、金利など幅広い市場に影響を与えます。
過去の事例をみると、事前の情報発信しだいで市場の反応が大きく変わる点に注意が必要です。
ぜひ本記事を参考に、テーパリングの局面でも冷静な投資判断を心がけてみてください。
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株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。





