「移動平均乖離率とはどんな指標?」と疑問に思っていませんか?
テクニカル分析をはじめたばかりの人にとって、移動平均乖離率は聞いたことがあるものの、具体的にどのようなインジケーターなのかわからないという方が多いようです。
そこで今回は、移動平均乖離率の概要から計算方法、実際の使い方まで詳しく解説します。
本記事を読むと、初心者の人でも移動平均乖離率がどんな指標なのか理解できるようになります。
また、移動平均乖離率を使う際の注意点や、他の指標との組み合わせ方についても紹介しました。
ぜひ本記事の内容を参考に、ご自身でも移動平均乖離率を活用した投資を検討してみてください。
移動平均乖離率とは
移動平均乖離率は、現在の価格が移動平均線からどれだけ離れているかを示すテクニカル指標です。
買われすぎているのか、売られすぎているのかを客観的に判断できるのが特徴です。
チャートでは、画像の赤枠のように表示されます。

終値が移動平均を上回ればプラス下回ればマイナスとなり、プラス乖離が大きいほど買われすぎ、マイナス乖離が大きいほど売られすぎの状態を表します。
乖離率が極端な値を示したときは、価格が移動平均線に回帰する可能性が高まります。
移動平均乖離率を使う投資家は、その特性を活かして売買タイミングを判断するのに活用する場合が多いです。
なお、移動平均乖離率は日足ベースで使われるのが一般的です。
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移動平均乖離率の計算式
移動平均乖離率の計算式は、以下のとおりです。
- {(現在終値 – 移動平均線の値)÷ 移動平均線の値}× 100
上記の計算により、現在の終値が移動平均線から何%離れているかがわかります。
たとえば、終値が1,000円で移動平均線が900円の場合、乖離率は(1,000-900)÷900×100=約11.1%です。
なお、プラスの値は株価が移動平均線より高い状態を示し、買われすぎの可能性を表します。
マイナスの値は、株価が移動平均線より低い状態で売られすぎの可能性を示し、0の場合は株価と移動平均線が一致している状態です。
実際に投資で使う際は、証券会社の取引ツールが自動的に乖離率を計算して表示するため、投資家が手動で計算する必要はありません。
チャート上で数値を確認するだけで、現在の相場状況を瞬時に把握できます。
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移動平均乖離率のインジケーターの使い方
移動平均乖離率の主な使い方は、以下のとおりです。
- 買われすぎをみる
- 売られすぎをみる
- ダイバージェンスをみる
それぞれ解説します。
買われすぎをみる
移動平均乖離率のプラス値が大きくなるほど「買われすぎ」の状態を示すため、株価の反落を予測するシグナルとして活用できます。
株価が移動平均線から大きく上方に離れている状態は、相場が過熱していることを意味し、市場参加者の心理が強気に傾きすぎている可能性が高いからです。
一般的な判断基準として、乖離率が+5%以上に達した場合に買われすぎと判断される場合が多いです。

しかし、+5%というのはあくまでも目安であり、銘柄の特性や市場環境によっては+10%〜+20%を基準にする場合もあります。
移動平均乖離率を実践で使うなら、過去のデータから反落が発生した乖離率の水準を確認して、その銘柄に適した基準値を設定するのが重要です。
売られすぎをみる
移動平均乖離率がマイナスに大きく乖離している状況では「売られすぎ」の状態と判断します。
現在の株価が移動平均線を大きく下回っている状態は、市場が一時的に過度な売り圧力にさらされていることを示しているためです。
判断基準として、乖離率が−5%以下に達した場合を「売られすぎ」と判断するのが一般的です。

ただし、買われすぎの場合と同様に−5%という値にとらわれず、過去のデータを参考に銘柄固有の特性を考慮して適切な基準値を設定するようにしましょう。
ダイバージェンス
ダイバージェンスは株価と移動平均乖離率の動きが逆行する現象であり、トレンド転換の前兆を示すシグナルです。
ダイバージェンスには、強気のダイバージェンスと弱気のダイバージェンスの2つのパターンがあります。
強気のダイバージェンスは、価格が安値を更新しているのに移動平均乖離率は上昇している状況で、下降トレンド終了の可能性を示唆します。

一方、弱気のダイバージェンスは、価格が上昇しているのに移動平均乖離率は下げてしまう現象で、上昇トレンドの終わりを予兆するものです。

ダイバージェンス分析の活用により、相場の転換点を事前に察知できるため投資の精度が向上します。
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移動平均乖離率を使うときの注意点
本章で紹介する移動平均乖離率を使うときの注意点は、以下のとおりです。
- 損切りを必ずする
- 1つの取引に全財産を投資しない
- 銘柄ごとの特性を無視しない
それぞれ解説します。
損切りを必ずする
移動平均乖離率のシグナルに従って投資をする際は、想定以上に価格が逆行したら必ず損切りするようにしましょう。
なぜなら、トレンドが強いと乖離がさらに拡大し続ける場合があるからです。
そのため、投資前に「購入価格から5%下落したら必ず売却する」などの明確なルールを設定し自分で決めた売却ルールを絶対に守るようにしましょう。
損切りの実行は心理的に難しいですが、資産を守るためには小さな損失で済ませるのが最善の方法です。
1つの取引に全財産を投資しない
移動平均乖離率を活用した投資では、1回の取引で全資金を投入することは絶対に避けなければなりません。
なぜなら、テクニカル指標は確率的な予測手法であり、100%の勝率は実現できないからです。
そのため、適切なリスク管理として資金を分散させるのが重要です。
たとえば、1回の取引で投資できる金額を総資産の10%程度を上限として、複数の銘柄に資金を分散するとポートフォリオ全体の安定性が高まります。
上記のような分散投資により、予測が外れても全体の資産への影響を抑えられます。
銘柄ごとの特性を無視しない
移動平均乖離率の基準値は銘柄により大きく異なるため、すべての銘柄に同じ数値基準を適用してはいけません。
銘柄のボラティリティや業種特性により、適切な乖離率の水準が大幅に変わるからです。
たとえば、値動きの激しいグロース株では乖離率10%でも正常範囲内の場合がある一方で、安定した大型株では乖離率5%でも大きな変動と判断されることがあります。
このように、銘柄によって同じ乖離率でも意味合いが全く異なる場合があります。
そのため、各銘柄の過去の乖離率推移を分析し、銘柄固有の基準値を設定して移動平均乖離率を使うのが重要です。
銘柄特性を理解した上で乖離率を活用すると、より精度の高い投資判断が可能になり、投資成績の向上につながります。
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移動平均乖離率のインジケーターについて知りたい人によくある質問
移動平均乖離率のインジケーターについて知りたい人によくある質問は、以下のとおりです。
- 移動平均乖離率とRSIの違いは?
- 移動平均乖離率を使うならほかの指標と組み合わせた方がいい?
それぞれ解説します。
移動平均乖離率とRSIの違いは?
移動平均乖離率とRSIは、共に買われすぎ・売られすぎを判断する指標ですが、計算方法と分析の視点が異なります。
それぞれの違いは、以下のとおりです。
| 移動平均乖離率 | RSI | |
| 意味 | 現在の価格が移動平均線からどれほど離れているかを%で示す | 一定期間の値上がり幅の割合から、買われすぎ・売られすぎを数値化 |
| 計算式 | {(現在値−移動平均値)÷移動平均値}×100 | {上昇幅合計 ÷ (上昇幅+下落幅)}×100 |
| 一般的な水準 | +5~10%:買われすぎ −5~10%:売られすぎ |
70%以上:買われすぎ 30%以下:売られすぎ |
このように、両指標は相場の過熱感をみるという同じ目的を持ちながらも、移動平均乖離率は価格と移動平均線の距離、RSIは値動きの勢いを重視するという違いがあります。
なお、両指標を併用すると、より信頼性の高い売買タイミングの判断が可能です。
移動平均乖離率を使うならほかの指標と組み合わせた方がいい?
移動平均乖離率は、他のテクニカル指標と組み合わせて使用するとより信頼性を高められるため併用した方がいいです。
単一の指標に依存した投資判断では騙しのシグナルが発生しやすくなるからです。
効果的な組み合わせとして、移動平均乖離率とRSIを同時に活用すると相場の過熱感をダブルチェックできます。

このように、両方の指標が同じ方向のシグナルを示した場合、投資判断の成功確率が単独使用時と比較して高まります。
まとめ
今回は、移動平均乖離率の概要から使い方まで解説しました。
移動平均乖離率は、現在の株価が移動平均線からどれだけ離れているかを数値で示すテクニカル指標で、買われすぎや売られすぎの状態を客観的に判断できるツールです。
移動平均乖離率を使用した投資で成功するには、乖離率のシグナルを過信せず必ず損切りを徹底し、資金を分散させるのが重要です。
また、銘柄ごとの特性を理解し適切な基準値を設定すると、より精度の高い投資判断が可能になります。
ぜひ本記事を参考に、移動平均乖離率を活用して、冷静で計画的な投資を心がけてみてください。
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株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。







