マーケットプロファイルとは、どの価格で多くの人が売買したのかをグラフで見えるようにしたチャートのことです。
相場はいつも動いていて、値上がりや値下がりを見ているだけでは不安になることもありますよね。
でも、マーケットプロファイルを使えば「この価格帯は買いたい人が多い」「このあたりは売りたい人が多い」といった市場の心理をつかみやすくなります。
この記事では、マーケットプロファイルの基本と使い方を解説していきます。
マーケットプロファイルの基礎知識
まずは、マーケットプロファイルの基本から見ていきましょう。
マーケットプロファイルとは

マーケットプロファイルは、アメリカのトレーダーであるピーター・スタイドルマイヤーが考えた分析方法です。
値動きの中でどの価格帯にどれくらいの時間いたかを記録し、横に広がる形で表示します。
30分ごとの値動きをアルファベットで表して並べることで、市場の流れを読み解きます。
たとえば最初の30分を「A」、次の30分を「B」、その次を「C」というように、1日の取引時間を文字で区切っていきます。
ある価格帯にたくさんの文字が重なっていれば、その場所で多くの時間取引されていたということです。
つまり、マーケットプロファイルは価格の動きだけでなく、市場のどこに人が集まり、どこで勢いがついたのかをアルファベットの分布で読み取るテクニカル指標なのです。
他のチャートとの違い
ローソク足は時間ごとの値動きを見るのに対し、マーケットプロファイルは価格ごとの人気度を見るチャートです。
どの価格帯で売買が多かったかがわかるため、「このあたりが買い支えられやすい」「ここが売られやすい」といった目安を見つけられます。
移動平均線のようなテクニカル指標はトレンドを示しますが、なぜその価格が意識されるのかはわかりにくいことがあります。
マーケットプロファイルはその理由を示すヒントになる、行動データに基づく分析方法です。
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3つの基本要素
マーケットプロファイルを理解するうえで大切なのが、次の3つの要素です。
1つ目は「TPO」です。
TPOとは、その時間に、その価格に、どれだけ市場がとどまったかを表す単位です。
1日の取引を30分ごとに区切り、時間帯ごとにアルファベット(A、B、C…)を割り当てて、その時間に通った価格帯に文字を記録していきます。
2つ目は「POC」です。
その日の中で最も多く取引が行われた価格帯を指し、いわば1日の中心価格となります。
POC付近は翌日も意識されやすく、サポートやレジスタンスになりやすい傾向があります。
TPOが多く重なっている価格ほど、多くの投資家がその価格を意識していたということになります。
3つ目は「バリューエリア」です。
日中の約70%の売買が行われた中心ゾーンのことで、市場が妥当と感じた範囲を示します。
この範囲から大きく外れたときは、新しいトレンドが始まるサインになることもあります。
代表的な形とその意味
マーケットプロファイルには、いくつか代表的な形があります。形によって市場の心理を読み取ることができます。
もっともバランスが取れた形は「D型」です。
中央がふくらみ、上下が細くなっている形で、買い手と売り手の力が拮抗している状態です。
相場が落ち着いているときに多く見られます。
「P型」は上側がふくらんだ形で、強い買いが入って上昇していくときに現れます。
買い手が優勢のサインです。
反対に「b型」は下側がふくらんだ形で、売りが強く、上値が重いときに現れやすいパターンです。
形を見るだけで買いが強いのか、売りが強いのかがわかるため、トレンドの変化をつかみやすくなります。
マーケットプロファイルから見る市場心理とトレンド優位性
ここからは、マーケットプロファイルを使って市場の心理やトレンドの強さを読み取る方法を見ていきましょう。
TPOから見るバイヤーとセラーの動き
TPOとは、ある時間に、どの価格にどれだけ市場がとどまっていたかを表す単位です。
マーケットプロファイルでは、30分ごとにアルファベットを使ってその時間帯の動きを記録します。
多くのアルファベットが並んでいる価格帯は、それだけ多くの人がそこで売ったり買ったりしていたということです。
つまり、そこは投資家たちが安心して取引できる人気の価格帯とも言えます。
逆に、TPOがほとんどない価格帯は、すぐに通り過ぎてしまった場所です。
買い手か売り手のどちらかが勢いよく押し切った部分だと考えられます。
TPOを見ると、どこで売りが強く、どこで買いが強いかが自然と見えてきます。
たとえば、上の価格帯にTPOが集中しているなら買い手が優勢、下の価格帯に多ければ売り手が優勢です。
TPOはどのあたりで人々が安心して売買していたのかを示してくれます。
オープニングパターンからわかる当日の優位性
マーケットプロファイルでは、1日の最初の動きをオープニングパターンとして特に重視します。
朝いちばんの取引は、前日の流れを引き継ぐのか、それとも新しい方向に動くのかの分かれ道になるためです。
たとえば、取引が始まってすぐに価格が上がり、その後も高い水準で動くときは、買い手が積極的で今日は上昇トレンドになりやすいと考えられます。
逆に、始まってすぐに価格が下がり、低いまま動くときは、売り手が強く下落トレンドになりやすい状態です。
オープニングの値動きをTPOで見ると、どの価格帯に取引が集まり始めたかが分かります。
最初の1時間ほどの動きだけで、その日が強い日なのか様子見の日なのかを見極めるヒントになるのです。
優位性におけるイニシャル・バランス
イニシャル・バランスとは、その日の最初の1〜2時間の値動きの範囲を指します。
マーケットプロファイルでは、この時間帯がその日の相場の土台になると考えられています。
イニシャル・バランスの範囲を上に抜けていくときは、買いの勢いが強く、上昇トレンドが続く可能性があります。
反対に、下へ抜けた場合は、売りが優勢で下落トレンドになりやすいです。
イニシャル・バランスはその日、どちらの力が強いのかを判断する基準になります。
もし価格がその範囲内で止まっていれば、相場は落ち着いており、買いと売りが拮抗している状態と考えられます。
マーケットプロファイルの活用ポイント
ここからは、マーケットプロファイルを実際のトレードでどう使うかを見ていきましょう。
TPOと出来高の使い分け
TPOはどれだけの時間その価格に市場が滞在したかを示しますが、出来高はどれだけの量が売買されたかを表します。
どちらも似ていますが、意味は少し違います。
ある価格にTPOが多く、出来高も多い場合はその価格が多くの投資家に意識されているサインです。
逆に、TPOは多いのに出来高が少ない場合は、売買はあまり活発でなかった可能性があります。
TPOは市場の注目度、出来高は実際の勢いと考えられます。
初心者の方は、まずは最もTPOが集まった価格「POC」と出来高の多い価格帯を比べてみましょう。
両方が重なる部分は、市場の中心として意識されやすいゾーンです。
そこを基準に、上抜けしたら強い、下抜けしたら弱いと考えることができます。
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マルチタイムフレーム分析の活用
マーケットプロファイルは、1日単位だけでなく、週や月単位でも表示できます。
時間軸を変えて複数の期間を重ねて見るマルチタイムフレーム分析を使うと、より広い視点で相場の流れを理解できます。
たとえば、日足では上昇しているように見えても、週足で見るとまだバリューエリアの下の方にあることもあります。
その場合、短期的には上昇していても、中期的には戻り売りになる可能性があるのです。
時間軸を切り替えながら見ることで、今の動きが全体の中でどの位置にあるのかを把握でき、トレンドの方向を見誤りにくくなります。
ローソク足や移動平均との組み合わせ
マーケットプロファイルはローソク足や移動平均線と組み合わせることで精度が上がります。
たとえば、POCやバリューエリア下限が移動平均線と重なるときは、その価格帯が強いサポートラインとして意識されやすいです。
反対に、POCより上でローソク足が連続して陰線をつける場合は、売り圧力が強まっているサインになることもあります。
また、ローソク足の形とTPOの分布を組み合わせると勢いのあるブレイクか、それとも一時的な動きかを判断しやすくなります。
マーケットプロファイルに関するよくある質問
ここでは、マーケットプロファイルを使い始めた初心者の方がよく疑問に思うポイントを整理していきます。
デイトレードとスイングトレードのどちらで使えますか?
マーケットプロファイルは、どちらのスタイルでも活用できます。
もともとはデイトレーダーが1日の値動きを細かく分析するために使われていましたが、週単位や月単位でも表示できるため、スイングトレードにも応用可能です。
デイトレードでは、1日のTPOやPOCの位置を確認することでその日の強弱を判断します。
一方、スイングトレードでは、1週間のバリューエリアを見て、今の価格が全体の中で高いのか安いのかを知ることができます。
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D型、P型、b型などはどのような市場状態ですか?
D型は、真ん中がふくらんでいる形で、買い手と売り手のバランスが取れた状態です。
落ち着いた相場で、値動きが安定しているときに見られます。
P型は、上側がふくらみ、買いが強い状態。
下がったあとに買い戻しが入り、上昇トレンドへ転じるときに出やすい形です。
b型は、下側がふくらみ、売りが強い状態。
一時的に上昇してもすぐに売られ、上値が重いときに見られます。
形を覚えておくと、相場の流れや参加者の心理がつかめるようになります。
初心者でも活用したほうがいいですか?
マーケットプロファイルは、もともと先物やプロトレーダーが使う分析手法ですが、株式投資にも十分応用できます。
どの価格に人が集まっているかを知ることで、初心者でも焦らず冷静に判断できるようになります。
最近は証券会社やTradingViewなどで自動表示も可能ですが、仕組みを理解せず使うのは危険です。
ツール任せにせず、なぜこの形になるのかを自分の目で確認するようにしましょう。
まとめ
マーケットプロファイルは、どの価格に人が集まっているかを見える化したチャートです。
TPOやPOC、バリューエリアなどを通して、市場がどの価格を重視しているのか、買い手と売り手の力関係はどうかを読み取ることができます。
最初は専門的に感じますが、形の意味や中心価格を意識するだけで、相場の流れをより冷静に判断できるようになります。
市場全体の心理をつかむ練習として、ぜひ活用してみてください。

株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。




 
       
			 
			 
			 
			 
			 
			 
			 
			


