気配値(板)とは?最良気配・スプレッド・特別気配まで基礎からやさしく解説

気配値とは?株初心者でもわかる基本的な仕組みと見方を解説

 ネット証券の画面で見かける「気配値(板)」は、いま市場でどの価格帯に関心が集まっているかを把握する手がかりになります。

本記事では、気配値の定義、板の読み方、特別気配やストップ高安などの表示の意味を、初心者の方にもわかりやすく整理します。

断定や推奨は行わず、一般的な見方と確認ポイントもまとめました。

   
目次

気配値とは何か

気配値は、いま「買いたい/売りたい」と希望されている価格帯を一覧で示す情報です。

まずは板のどの数字が気配値に該当し、どこが重要ポイントかを視覚的に押さえると理解が早まります。

 一般的に、板は「売数量|価格|買数量」の3列で表示され、各価格帯での希望数量が並びます。

最も安い売りの価格は最良売気配、最も高い買いの価格は最良買気配と呼ばれ、この二つの差をスプレッドといいます。

スプレッドが狭いほど、取引が成立しやすい状況と受け止められることがあります。

価格帯には呼値(値段の刻み)があり、注文はその刻みに沿って並びます。板は「どの価格にどれだけの希望が集まっているか」を一覧で示すため、現在の需給の雰囲気をつかむ補助になります。

ただし、板は刻々と変化し、すべての価格で実際に約定しているわけではありません。

見える情報は「希望」であり、約定の事実は別途“歩み値”等で確認されます。

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気配値(板)の考え方

気配値(板)の説明

上図を見てください。

これが気配値(板)と呼ばれているもののデータです。

一体どうやって見るのでしょうか?

まず、「売数量」とは株を売りたい人の株数、同様に「買数量」は株を買いたい人の株数です。

それに対応する値段が同じ列に書いてあります。

例を見てみましょう。

・売数量2200,値段156

156円で株を売りたい人の株数の合計が2200株ということを示しています。

 

・売数量1100,値段152

 文字色が青色になっている部分です。

152円で株を売りたい人の株数の合計が1100株ということを示しています。

 

・買数量1900,値段151

文字色が赤色になっている部分です。

151円で株を買いたい人の株数の合計が1900株ということを示しています。

 

青色になっている152円は株を売ってもいいと思える1番安い値段であり、赤色になっている151円は株を買ってもいいと思える1番高い値段です。

また、売数量の数値が表示されているのは、その気配値での売数量>買数量であるときなので、売り注文が多いということから「売り気配」と呼ばれます。

同様に買数量の数値が表示されているのは、その気配値での売数量<買数量であるときなので、買い注文が多いということから「買い気配」と呼ばれます。

売り気配が多いときは株価が下落する傾向にあり、買い気配が多いときは株価が上昇する傾向にあるというのが原則です。

例の場合の気配値では、152円の場合買いたい人よりも売りたい人が多く、151円の場合売りたい人よりも買いたい人が多いという状況を表しています。

つまり「151円だと売るには安すぎて、152円だと買うには高すぎる」というのがこの株を売買している人の総意です。

つまりこの銘柄は151円と152円を中心に売買が行われています。

この結果から、現在はこのような気配値(板)になっています。

この後、もし「152円でもいいから買いたい」という人が大量に出てきてどんどん買い注文が増えていくとどうなるのでしょうか。

気配値(板)は変化する(153円が青色、152円が赤色になる)のが想像できるでしょう。

つまり、この銘柄は152円と153円を中心に取引されるようになります。

実際は取引時間中に新しい注文が入ると、その値段の板が点滅します。

そのため、板の点滅回数が多い場合その銘柄の値動きは激しいということを表しているのです。

このようにして現在の株の需要と供給や最新株価を予測するのが、気配値の考え方です。

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気配値は必要なのか

 気配値は、どの程度まで見るべきかが悩みどころです。ここでは、用途ごとに一般的な活用観点を整理し、板をどの位置づけで捉えるかを中立的にまとめます。

 気配値は、直近の需給の偏り最良気配/スプレッドの変化を把握する手がかりになります。

短期志向では、板の厚みや入れ替わりの速さ、直後の約定状況などを参考観点とするケースが見られます。

一方、中期〜長期の視点では、業績やニュース、日足・週足のトレンドなど他要素の方が重視され、板は補助的に確認されることがあります。

いずれの用途でも、板だけで判断を完結させるのではなく、時間軸・価格帯・出来高・材料などとの整合性を確認することが重要とされます。

板は「いまの希望の並び」を示す情報であり、将来の値動きを保証するものではありません。

位置づけを明確にしたうえで、他の基本情報と組み合わせて参照すると、理解の安定につながります。

気配値に出てくる表示

 板を見ていると、通常の数字以外に記号やラベルが表示されることがあります。

ここでは、特別気配やストップ高安など、代表的な表示の概要を整理します。

 特別気配(「特」など)は、買いまたは売りに注文が偏り、通常の連続売買では適切に価格形成しにくいと判断された際に、板寄せによって気配を見直す場面で表示されることがあります。

市場の過度な混乱を避ける趣旨で運用され、買い集中なら買方側、売り集中なら売方側に表示されます。


ストップ高・ストップ安(「S」等)は、値幅制限の上限・下限に達した状態を示します。

その日は原則として当該範囲を超える値段での約定は行われません。ストップ水準では板の並びが独特になり、翌営業日の状況に影響する場合もありますが、個別事象により見え方は異なります。


これらの表示は、あくまで「いまの取引制度上の状態」を知らせるものです。

表示のみで方向を断定せず、価格帯・出来高・材料や全体地合いと併せて状況を把握するのが中立的な見方といえます。

 

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板の見方・チェック項目

 はじめて板を見るときは、どこから確認すればよいか迷いやすいものです。

一般的に役立つ観点を5つに絞り、順番に点検できるチェックリストとしてまとめます。

①最良気配とスプレッド

最良買気配と最良売気配の差を確認します。

極端に広い場合は成立が進みにくいことがあります。

②板の厚みと偏り

特定の価格帯に数量が厚く並ぶと、そこが一時的な抵抗・支持として意識されることがあります。

厚みの入れ替わりも合わせて見ます。

③出来高・約定の進み

板は希望の並びであり、実際の約定は“歩み値”などの履歴で確認します。

成立のペースや偏りを把握すると、板との整合性が見えます。

④主要ニュースの有無

決算やIR、業界ニュース、指数の動きなど材料の有無を確認します。

材料の有無で板の動的な意味合いが変わることがあります。

⑤時間帯(寄付・引け)

寄付・引けは板寄せ方式で、ザラ場とは見え方が異なります。

時間帯により気配が大きく動くことがあります。

いずれも“単独での断定”ではなく、複数を組み合わせて整合性を確認する前提で活用します。

時間帯と板の見え方の違い

 同じ銘柄でも、寄付・ザラ場・引けでは板の見え方が異なります。

方式や時間帯の特性を把握しておくと、気配の動きをより中立的に理解しやすくなります。

 寄付・引けは一般的に板寄せで価格を決定します。

多くの注文を一度に突き合わせ、均衡する価格で約定を行う方式です。

このため、寄付直前や引け直前には気配値が段階的に見直され、表示が切り替わることがあります。

一方、ザラ場は連続的に注文が突き合わされ、最良気配が細かく更新されます。

同じ「窓」や「偏り」でも、板寄せと連続約定では見え方が大きく異なるため、時間帯を意識して比較することが有効とされます。


また、指数や先物の動きが寄付の気配形成に影響することがあり、引けにかけて指数連動の注文が増える場面も見られます。

時間帯の特徴を理解しておくと、気配の変化を落ち着いて捉えやすくなります。

まず迷わない!気配値(板)まわりの実践Q&A

Q1. エントリー前に板で“最低限”チェックしておくべきことは?


A. 板だけで完結せず、次の5点をセットで整合確認すると判断が安定します。

  1. 最良気配とスプレッド:急に広がっていないか(約定が進みにくいサイン)。

  2. 板の厚みと偏り:厚い価格帯が“移動”していないか(抵抗・支持の短期的な変化)。

  3. 入れ替わりの速さ:厚みが点滅するほど回転が速い=ノイズ増。自分の時間軸と合うかを再確認。

  4. 歩み値(直近約定):板の“希望”と約定の“事実”が噛み合っているか。乖離はだましを疑うサイン。

  5. 時間帯と材料:寄付・引け(板寄せ)かザラ場(連続約定)か、決算/IR・指数イベントの前後か。
    ※いずれも単独で断定しないのが前提。時間軸(短期/中期)とテクニカル(トレンド・出来高)を併読しましょう。


Q2. 特別気配やストップ高安を見たら、板はどう読み替える?


A. これらは**「制度上の状態」表示**。方向を断定せず、次のフローで落ち着いて把握します。

  • 特別気配(買い/売りの極端な偏り):板寄せで均衡価格を探る局面。

    • 見るポイント:提示気配の段階的な見直し、出来高の出方、ニュースの有無。

  • ストップ高・ストップ安(値幅制限到達):当日レンジの端で板が“固まり”やすい。

    • 見るポイント:板の並び(売買どちらが積み上がるか)、翌営業日の気配形成に影響しうる材料。

  • 共通の注意:板の表示は“いまの並び”。翌日の寄付は再び板寄せで再計算されるため、

    1. 材料の継続性、2) 先物・指数の地合い、3) 需給(信用残など)を横断確認すると解像度が上がります。

  • 発注面の基本:価格飛びやすい局面は指値の基準を明確化し、約定優先か価格優先かを事前にルール化。

どちらのQ&Aも、「板=希望の並び」「歩み値=約定の事実」「時間帯=方式の違い」を軸に、
複数情報の整合で読むという記事本編のスタンスに沿って運用してください。

まとめ

     気配値(板)は、価格ごとの「買いたい/売りたい」の希望を一覧化した情報で、最良気配・スプレッド・板の厚みといった観点から、現在の需給を相対的に把握する手がかりになります。

    特別気配やストップ高安は制度上の状態を示す表示であり、時間帯や材料、出来高と併せて読み解く姿勢が大切です。

    基礎を押さえた上で、自分に合う確認手順を整え、複数の情報を組み合わせて理解を深めていくことが大切です。

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    この記事の監修者

    監修者プロフィール

    トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
    20歳で株の売買を始めてから20年間、
    「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
    その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

    現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
    日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
    どの市場でも大きな利益を生み出している。

    ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
    東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

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    この記事を書いた人

    著者プロフィール
    根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
    1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。

    地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。

    その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。

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