投資初心者の方で「ローソク足にはどんなパターンがあるのかを知りたい」と思うことが多いようです。
本記事では、基本的なローソク足の基本パターンを網羅的に紹介し、取引時の注意点や資産形成の方法も紹介します。
初心者必見!ローソク足の見方を徹底解説!6つの代表的なローソク足も紹介
ローソク足とは
ローソク足とは株式や為替、先物などの値動きを視覚的に表すものです。
ローソク足からは、価格情報が読み取れたり相場に参加していた人の心理を捉えたりできます。
見た目はシンプルですが、ローソク足は多くの情報を発してくれる優れたツールです。
ちなみにローソク足は、江戸時代に米相場の分析のために考案されたもので、その後世界中で使われるようになった日本発の分析ツールです。
ローソク足は本当に意味ない?意味がある根拠を徹底解説
ローソク足の見方
ローソク足は始値・終値・高値・安値の4つの価格情報を一目で確認できます。
始値よりも終値が高い場合は「陽線」と呼ばれ、一般的に白や赤などで表示されます。
反対に終値が始値よりも低い場合は「陰線」と呼ばれ、黒や青などの色で表示されることが多いです。
ローソク足の始値と終値の間の部分にある、四角い部分を「実体」そこから上下に伸びる細い線を「ヒゲ」と呼びます。
上ヒゲは最高値(高値)、下ヒゲは最安値(安値)を示します。
またチャートを見るときの時間軸も重要です。
1日の値動きを表したものを「日足(ひあし)」、1週間は「週足(しゅうあし)」、1ヶ月は「月足(つきあし)」と呼びます。
取引スタイルに合わせて、適切な時間軸を選びましょう。
超初心者向け!ローソク足の見方とチャート分析の基本を徹底解説
6種類のローソク足を紹介
ローソク足には特徴的な形があり、それぞれが市場参加者の心理状態を表しています。
ここでは、代表的な6種類のローソク足の意味を紹介します。
ここで紹介するローソク足は以下のとおりです。
- 大陽線
- 大陰線
- コマ
- 十字線
- ハンマー
- 流れ星
それぞれみていきましょう。
大陽線
大陽線とは始値から終値まで大きく上昇した陽線のことで、実体が大きくヒゲが比較的短いのが特徴です。
大陽線は、相場が強気に転じている可能性を示す重要なサインです。
この形は、投資家の強い買い意欲と上昇への期待感を表していて、市場参加者の間で「このまま価格は上がるだろう」という強気な見方が多くなっていることを示しています。
特にトレンドに方向感がない横ばいの後に大陽線が出現した場合、トレンド転換の可能性が高まるため買いのチャンスと判断されることが多いです。
大陰線
大陰線は、大陽線と反対の意味を持つローソク足です。
寄り付きから引けまで大きく下落した陰線で、実体が大きくヒゲが比較的短いのが特徴です。
大陰線は投資家の強い失望感や売り意欲を表していて、市場が弱気に傾いたことを示しています。
上昇トレンドの途中に突然大陰線が現れた場合「もうこの銘柄からは手を引いた方がいいかも」という市場心理の変化を表している可能性が高く、トレンド転換のサインとして注意すべきです。
大陰線が出現したら「なぜ市場はこれほど売られているのか?」と冷静に考え、必要なら損切りを検討することも投資を長く続けるコツです。
コマ
コマとは、実体が小さくヒゲも短いローソク足のことです。
コマは相場の小休止を示していて、投資家の心理としては「迷い」を表しています。
小陽線や小陰線とも呼ばれます。
コマは、陽線でも陰線でもあまり意味に違いはありません。
値動きが活発だった相場でコマが連続して出現すると「相場が一服している」と考えられ、次の大きな動きの前の静けさである可能性があります。
初心者の方は、次の展開を冷静に待つ良い機会だと考えるようにしましょう。
十字線
十字線とは、始値と終値がほぼ同じになっているローソク足のことです。
別名「寄り引け同時線」とも呼ばれ、実体がほとんどなく上下にヒゲが伸びているのが特徴です。
このパターンは市場参加者の間で買いと売りの力が同じくらいであることを示し、強い迷いの状態を表しています。
強いトレンドの途中で十字線が出現すると、トレンドの転換点になる可能性があるため注目すべきローソク足です。
「なぜこのタイミングで十字線が出たのか?」と市場の状況と合わせて考えることで、次の値動きを予測する手がかりになります。
ハンマー
ハンマーは実体が小さく下ヒゲが長いローソク足で、ハンマーのような形をしていることからこの名前がついています。
ハンマーは、下落トレンドの転換点を示す可能性が高い重要なローソク足です。
このローソク足は「一度大きく下げたものの、そこから買い戻され終値は始値付近で引けた」という状況で、売り優勢だった相場が買い優勢に転じたことを示しています。
投資家心理としては「もう十分下がった、ここからは上昇するだろう」という上昇期待感や強気の見方が表れています。
ハンマーは陽線でも陰線でも意味は変わりません。
注意点として、高値圏でハンマーと似た形が出現すると「首吊り線」と呼ばれ逆に下落を暗示することがあるため、出現する位置に注目することも重要です。
流れ星
流れ星はハンマーの反対の形をしたローソク足で、実体が小さく上ヒゲが長いのが特徴です。
流れ星は「一度大きく上昇したものの、そこから売られて終値は始値付近で引けた」という状況を表していて、強い売り圧力が働いたことを示します。
このパターンが表す投資家心理は、失望感や弱気です。
ハンマー同様、陽線か陰線かはあまり重要ではなく、全体の形が重要になります。
上昇トレンドの高値圏で流れ星が出現した場合は特に注意が必要で、トレンド転換の可能性が高まりますので、利益確定を検討する良いタイミングです。
2本のローソク足のパターン
一つのローソク足だけでなく、連続する2本のローソク足の組み合わせからも市場の動向を読み取ることが可能です。
2本のローソク足パターンは、単体のパターンより信頼性が高いとされていてトレード判断の重要な材料になります。
ここで紹介する、2本のローソク足のパターンは以下のとおりです。
- つつみ線
- はらみ線
- かぶせ線
それぞれみていきましょう。
つつみ線
つつみ線とは、前の足の値動きを完全に包み込むローソクパターンのことです。
つつみ線は、前日のローソク足の高値より高く、安値より低い範囲で動き前日の足を「包み込む」ように形成されるパターンです。
長期間下落を続けたあとに陽線によるつつみ線が出現した場合、買いサインとされています。
反対に、長期上昇後に陰線による包み線が出現した場合は売りサインと考えられ、トレンド転換の可能性を示しています。
「今が売り時か買い時か迷っている」時に包み線の出現を確認すると判断の助けになるでしょう。
はらみ線
はらみ線とは、直近のローソク足が1つ前のローソク足の値幅(高値と安値の範囲)に収まっているパターンのことです。
はらみ線も、相場の方向転換を示す可能性が高い重要なパターンです。
直近のローソク足が陽線の場合は、買いサインとされ「下げ止まりから上昇へ」という転換を示唆しています。
一方で直近のローソク足が陰線の場合は売りサインと考えられ、「上昇一服から下落へ」という展開を予測させるものです。
かぶせ線
かぶせ線は、大陽線の次に大陰線が出現し、その大陰線が1つ前の大陽線の真ん中より下で引けたローソク足の組み合わせのことです。
このパターンは「せっかくの上昇をすぐに打ち消してしまうほどの売り圧力が現れた」ことを示していて、強い売りサインとされています。
かぶせ線が示す市場心理は「上昇は続かない」という判断で、強い買い圧力を押し戻すほどの売り圧力が表れたことを意味します。
特に強い上昇トレンドの中でかぶせ線が出現した場合は、トレンド転換の可能性を示しているため、保有ポジションの見直しを検討する良いタイミングかもしれません。
初心者の方は、かぶせ線のパターンを見つけたら「なぜこのタイミングで売りが強まったのか?」という視点で相場環境を分析してみることをおすすめします。
3本以上のローソク足のパターン
さらに奥深いチャート分析のために、3本以上のローソク足パターンも押さえておきましょう。
これらのパターンは長期的な相場転換を示すことが多く、中長期投資家にとって特に重要です。
ここでは、5つのパターンを詳しく解説します。
- 三山(さんざん)
- 三川(さんせん)
- 三空(さんくう)
- 三平(さんぺい)
- 三法(さんぽう)
それぞれみていきましょう。
三山(さんざん)
三山とは、上昇相場の終わりを告げる可能性が高いチャートパターンです。
このパターンは株価が3つの高値(山)を作りながら徐々に下落に転じていく様子を表していて、欧米では「ヘッドアンドショルダーズトップ」と呼ばれています。
三山の特徴は、中央の山(頭)が左右の山(肩)よりも高くなる傾向があることです。
このパターンが示す投資家心理は「上昇への期待感が徐々に薄れ、売りへの意識が強まっている」という状態です。
長期上昇相場の後に三山パターンを見つけたら「そろそろ利益確定を考えるべきかも」と警戒シグナルとして受け止めることをおすすめします。
三川(さんせん)
三川は三山の逆のパターンで、下落相場の終わりと上昇への転換を示唆する重要なサインです。
三川は株価が3つの安値(谷)を形成しながら徐々に上昇に転じていく様子を表していて、欧米では「ヘッドアンドショルダーズボトム」と呼ばれています。
このパターンの特徴は、中央の谷(頭)が左右の谷(肩)よりも低くなる傾向があることです。
三川が示す投資家心理は「下落への恐怖感が徐々に和らぎ、買いへの意欲が高まっている」という状態です。
長期下落相場の後に三川を見つけたら、「買いのチャンスかもしれない」と前向きに捉えることができるでしょう。
三空(さんくう)
三空とは、トレンド形成中に「窓」を3回ほど開けることを指します。
「窓」とは前日の高値と当日の安値の間に、空白部分ができる現象のことです。
また「ギャップ」とも呼ばれ、相場に勢いが付いている状況です。
三空パターンはトレンドが加速しすぎていることを示し、トレンド転換が近いことを警告するサインとなります。
特に、陽線(上昇)の三空の場合は売りサイン、陰線(下落)の三空の場合は買いサインと考えることができます。
「なぜ急激に上昇(または下落)しているのか?」と冷静に考え、感情に任せた取引を避けるようにしましょう。
三平(さんぺい)
三平は同じ方向のローソク足(陽線または陰線)が3回連続で出現するパターンで、新たなトレンドの始まりを示唆する可能性があります。
陽線が3回連続で続いた場合を「赤三平(あかさんぺい)」と呼び、特に安値圏でトレンドが横ばいの時に出現すると注目すべきサインとなります。
このパターンは「新たなトレンドがはじまっているのか判断できない状況だが、上昇相場の初期段階かもしれない」ことを示し、新規買いのチャンスと捉えられるでしょう。
一方、陰線が3回連続で続いた場合は「黒三平(くろさんぺい)」または「三羽烏(さんばがらす)」と呼ばれ、特に高値圏で出現すると下落の可能性が高まるサインとなります。
三法(さんぽう)
三法には「上げ三法」と「下げ三法」の2種類があり、どちらもトレンドの一時的な調整後の継続を示す重要なパターンです。
上げ三法は、大陽線が出現した後に3回程度小幅な下落を示し、その後再び大陽線が出現するパターンです。
このパターンは「一度大きく上昇した後、利益確定の売りで小幅に下落したものの再度強い買いが入った」という状況を表していて、投資家は強気な見方を強めています。
上げ三法で2本目の大陽線が確認できれば、買い増しや新規買いのチャンスと考えることができるでしょう。
一方、下げ三法は上げ三法の逆で、下落相場の初期段階に出現することが多く「下落相場の流れが小休止していたところ再度大きく下落する」という展開を示しています。
下げ三法を確認したら、保有銘柄の売却を検討するのが無難かもしれません。
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ローソク足を使うときに注意しておくべき3つポイント
ローソク足チャートは非常に便利なツールですが、万能ではありません。
効果的に活用するためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。
ここでは、初心者の方が陥りがちな落とし穴を避けるための3つの重要なポイントを紹介します。
サイン通りの値動きをするわけではない
ローソク足はあくまで可能性を示すものであり、100%サイン通りの値動きをするわけではないことを理解しておくことが重要です。
株価は需要と供給のバランスで動いているため、チャートパターンだけでは説明できない動きをすることも少なくありません。
重要なのは「このパターンが出たから必ず上がる(または下がる)」と思い込まず、「このパターンが出たから上がる(または下がる)可能性が高い」という程度の認識を持つことです。
そのため、ローソク足を見てトレードする場合は「もし逆の動きになったらどうするか」を常に考え損切りラインを決めておくことが重要です。
複数のテクニカル指標を確認しながら使う
ローソク足の信頼性を高めるためには、他のテクニカル指標と組み合わせて使うことが重要です。
出来高などのツールとローソク足を組み合わせることで、より精度の高い分析が可能です。
出来高とは、取引された数量のことで多いと人気になっていることがわかります。
たとえば「大陽線が出現したときに出来高も大きく増えている」という状況は多くの投資家に注目されている可能性が高いため、そのトレンドが続く見込みがあると判断できます。
ローソク足だけで取引すると「ダマシ」という一時的な逆行現象にあいやすいため、複数の視点からの確認を心がけましょう。
時間軸を意識する
同じパターンでも、時間軸によってローソク足の重要度が変わることを知っておくのは大事です。
基本的に、時間軸が長いチャートほど信頼性が高いとされています。
たとえば、分足チャートで見つけたパターンよりも日足チャートで見つけたパターンの方が重要度が高く、長期的な相場の方向性を示す可能性が大きいです。
自分の取引スタイルに合った時間軸を意識することが大切で、デイトレーダーなら分足や時間足、スイングトレーダーなら日足や週足など目的に応じた時間軸選びが重要になります。
「同じパターンでも短期足と長期足で矛盾する場合はどうすればいいの?」という疑問が出てくるかもしれませんが、基本的には長期足を優先して考えるとよいでしょう。
ローソク足を使って資産形成をする方法
今回紹介した酒田五法のうち、定番である上げ三法を利用した取引方法をみていきましょう。
上げ三法は、現在フラッグ型として多くの投資家がエントリーして利益を上げています。
たとえば【7069】サイバーバズで上げ三法を利用して取引すると、3週間で20%の利益を得られています。
上げ三法でエントリーする際に、注目すべきポイントは以下の3つです。
- 三法パターンの高値の価格帯でエントリーする
- エントリーするタイミングで出来高が多くなる
- エントリーする株のEPS(1株純利益)が前年同期比と比べて大きく伸びている
これら3つの条件を満たした状態で上げ三法にエントリーできると成功確率が高いです。
注意点としては、「ローソク足を使うときに注意しておくべき3つポイント」の章でもいいましたが、エントリーするときは損切りラインを先に決めてに取引することが重要です。
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まとめ
今回は、ローソク足のパターンについて紹介しました。
ローソク足は見かけによらず多くの情報を受け取れるツールで、初心者から上級者まで多くの投資家に利用されています。
1本のローソク足からサインを読み取り売買する投資家もいるほどです。
当メディアでもローソク足の使い方を紹介しているので、ぜひ理解を深めて資産形成に活かしてみてはいかがでしょうか。

株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。