株式投資をしている方は、投資する企業について調べるとき財務諸表を分析することはありますでしょうか?
テクニカル分析をメインにおこなっている方は、あまりチェックをしないかもしれません。
しかし、企業に投資して株主になる以上は、その企業のビジネスモデルや経営状況を理解することも大切です。
そこで本記事では、企業を理解するのに欠かせない「財務諸表」について解説していきます。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
この記事でわかること
- 財務諸表とは何か
- 貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書の概要
- 財務諸表から企業を分析する方法
財務諸表とは?
財務諸表とは、株式を発行している企業が、株主や従業員、取引先といったステークホルダーに対して、作成・開示が義務付けられている書類のことです。
開示する内容は、簡単にいうと企業の業績や経営状況などです。
開示することを「ディスクロージャー」ということもあります。
株式投資において、投資する銘柄を選ぶ方法にはさまざまな方法があります。
テクニカル分析をおこなうという方も、せっかく投資するのであれば、その企業について詳しく知るとさらに面白くなってくるはずです。
貸借対照表
企業が開示する財務諸表にはたくさんの種類がありますが、なかでも株式投資において重要とされる書類が3つあり「財務三表」と呼ばれています。
まず1つめが、貸借対照表です。
貸借対照表を見ると、企業がどれだけの資産と負債(借金)、純資産(返済義務がない)を持っているのか、その内容が詳しく分かります。
左側に資産、右側の上部に負債、下部に純資産について記載されているのですが、必ず資産=負債+純資産となります。
貸借対照表で企業を判断する
貸借対照表を利用した企業の判断方法はいくつかありますが、本記事では1つ例をご紹介していきます。
自己資本比率
「自己資本比率」とは、中長期で見る企業の安定性を判断する指標です。
下記の式で算出することができます。
- 自己資本比率(%)=純資産(自己資本比率)÷純資産(負債+純資産)×100
返済義務がある借入金などの負債の割合が小さく、返済義務がない株式などの純資産で経営が効率よく回せていることが分かります。
負債で大幅に資金調達していると、それを原資として利益が出せればよいのですが返済義務があることには変わりありません。
よって、負債ではなく純資産という安定した土台の大きさを測る指標から、経営効率を判断する必要があります。
一般的には、35%~40%以上だと優良企業として判断されます。
損益計算書
2つめは、損益計算書です。
損益計算書を見ると、企業の一定期間(3カ月や1年)での経営の成績がわかります。
企業が得た「売上高」から、売上高を生み出すために発生した費用や本業以外で発生した利益や費用等を加減するなどして、最終的な利益である「当期純利益」を導き出すという構造です。
損益計算書で企業を判断する
損益計算書を利用した企業の判断方法はいくつかありますが、本記事でも1つ例をご紹介していきます。
売上高利益率
損益計算書では、売上高に対して利益(全部で3種類)がどれくらいの割合なのかを判断する売上高利益率を用います。
その3つの利益は、売上総利益(粗利益)・営業利益(本業で得た利益)・経常利益(税金や配当金を考慮したあとの利益)の3つです。
下記の式で算出することができます。
- 売上高総利益率{粗利率(%)}=売上総利益÷売上高×100
- 売上高営業利益率(%)=営業利益÷売上高×100
- 売上高経常利益率(%)=経常利益率÷売上高×100
このように、非常に直感的な指標となっています。
もちろん数値は高い方が望ましいです。
株式投資においては、売上高利益率そのものの高さよりも、その伸び率(成長率)に目を向けてみましょう。
キャッシュフロー計算書
3つめは、キャッシュフロー計算書です。
キャッシュフロー計算書を見ると、貸借対照表や損益計算書を見ただけではわからない“現金の流れ”がわかります。
貸借対照表に資産の記載がありますが、このなかにはすぐに現金化することが難しいような資産も含まれています。
これでは、企業の手元にあってすぐに使える現金の量を把握したことにはなりません。
つまり、損益計算書にていくら売上高が大きくても、貸借対照表を見ただけでは手元の現金は十分にあるかはわかりません。
財務諸表を分析するといって貸借対照表や損益計算書をチェックするだけという方もいらっしゃるかもしれませんが、キャッシュフロー計算書も非常に大切です。
まとめ
- 財務諸表は、企業がステークホルダーに向けて開示する業績や経営状況に関する書類のこと
- 貸借対照表とは、企業が事業資金をどのように保有・調達しているかを示す書類
- 損益計算書とは、売上高からさまざまな費用を差し引いて当期純利益を算出する書類
- キャッシュフロー計算書とは、貸借対照表や損益計算書ではわからない現金の流れを示す書類
いかがでしたでしょうか?
本記事では財務諸表について解説してきました。
株式投資において、財務諸表をチェックすることはとても重要なことです。
企業の安全性や経営効率性を把握して、失敗のない投資を心がけていきましょう。
著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。