日計り売りとは?初心者向けにメリット・デメリットや注意点をわかりやすく丁寧に解説します

日計り取引とは?初心者向けにメリット・デメリットや成功のコツを解説

「日計り売り」という言葉を、SNSや証券会社のサイトで見かける機会が増えてきました。

「当日中に売買を完結させる取引らしいけれど、普通の売買と何が違うのか」「デイトレードと同じなのか」「ルール違反にならないか不安」──そんなモヤモヤを抱いている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、日計り取引・日計り売りの基礎知識から、特徴としてのメリット側面・注意すべきデメリット、そして差金決済ルールなど実務上のポイントまでを整理して解説します。

特徴を理解したうえで、自分の投資スタイルや生活リズムとどう付き合うかを考えるための土台づくりに役立ててください。

   
目次

日計り取引とは?

日計り取引(日計り商いと呼ぶこともあります)とは、株式投資においてトレーダーが買った株をその日のうちに売る、または信用取引を利用して、空売りした株をその日のうちに買い戻すといった取引のことです。

すなわち、1日の間に同じ銘柄を売買することをいいます。

ちなみにデイトレーダーがおこなっているのも、この日計りという取引です。

また、証券会社で働くディーラーも日計り取引で利益を得ることもあります。

具体的には、1日という短期の取引時間内で株価の変動を予測して売買をおこなうことで、利益をあげることが可能になります。

日計り取引はもともと、個人トレーダーにとっては手数料がかさんだり対面証券を仲介する必要があったりしたことから、おこないにくい取引でした。

しかし、1999年10月以降、投資における売買委託手数料が自由化され、価格引き下げ競争がスタートしました。

とくにここ1~2年のネット証券の手数料引き下げ競争は、非常に目まぐるしいものです。

こういった動きからも、近年は昔よりもずっと、日計り取引がおこないやすくなっています。

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日計り取引のメリット

日計り取引についてお分かりいただけたでしょうか?

次は、日計り取引をおこなうメリットについて解説していきます。

これまでデイトレードのような短期的なトレードをしたことがないという方も、ぜひ参考にしてみてくださいね。

大きな損失が発生しにくい

1つめは、大きな損失が発生しにくいというメリットです。

上記でご説明したとおり、日計り取引ではその日のうちに売買を完了させます。

長期的に株式を保有するよりも、株価に影響を与えるイベント(材料や景気交代、決算など)が少ないため急激な株価変動が起こりにくくリスクが小さいと考えられるのです。

たとえば日計り取引ではなく2日以上株式を保有する場合、取引時間外に悪材料が出ることがあるかもしれません。

最悪の場合、翌日にストップ安となり、売りたくても売れなくなる可能性もあります。

こういった意味で、その日のうちに売買を終えられると損失リスクを回避できるというメリットがあるのです。

【信用取引の場合】コストを下げられる

2つめは信用取引での日計りにのみ該当するメリットなのですが、取引に必要なコストを下げられるという点です。

通常、信用取引をおこなう場合は現物取引だと発生しないようなコストが発生します。

たとえば、金利・貸株料・逆日歩などです。

売買手数料だけで見ると現物取引よりも信用取引の方が安いことがほとんどですが、その分上記のようなコストがかかります。

これらは、信用取引において株式を借りる期間が長ければ長いほど高くなるので、日計り取引ならそのコストが1日分だけで済みます。

信用取引では、素早い取引が大切になってくることがわかりますね。

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日計り取引のデメリット

上記では、日計り取引のメリットについて解説しました。

次に、デメリットについて解説するので、しっかりと理解したうえで日計り取引をおこなっていきましょう。

チャートをこまめにチェックしなければならない

1つめは、チャートをこまめにチェックしなければならないというデメリットです。

日計り取引は1日のうちに売買をおこなうため、チャートを見てそのタイミングをしっかりと見計らう必要があります。

さらに、もっと利益を大きくしようと思うと、売買の回数を増やしたり銘柄の種類を増やしたりと、その1日にしなければならないことがもっと増えていきます。

その結果チャート画面に張り付いておかないといけなくなる可能性があるので、兼業トレーダーの方には少し厳しいトレードスタイルかもしれません。

身体的・精神的にも不安が大きくなってしまうので、注意が必要です。

くれぐれも無理はしないようにしましょう。

ギャンブル要素が強くなる

2つめは、ギャンブル要素が強くなるというデメリットです。

良くも悪くも日計り取引は、超短期的なトレードになるので、ギャンブル要素が長期的なトレードよりはどうしても高くなってしまいます。

何も考えずに売買するのではなく、テクニカル指標などでしっかりと株価の変動を予測して取引していくことが大切です。

日計り取引の注意点

日計り売りを含む短期取引を考えるうえで、忘れてはいけないのが取引ルールと法令上の制約です。

特に、「差金決済」と呼ばれる決済方法に関する規制や、現物取引と信用取引の違い、証券会社ごとのサービス仕様などは、あいまいなままにしておくと、意図せずルールに抵触してしまうリスクがあります。

ここでは、日計り取引に関わる基本的なルールを、現物・信用・専用サービスという3つのレイヤーに分けて解説していきます。

差金決済の基本的な考え方

まず押さえておきたいのが、「差金決済」という考え方です。

差金決済とは、本来行われるはずの株式の受け渡しを行わず、売りと買いの差額だけで決済することを指します。

現物取引では、通常は「買った株を受け取り、売った株を引き渡す」という形で取引が完了しますが、差金決済では実際の株券の受け渡しを行わず、金銭の差額で決済する形になります。

金融商品取引法や取引所のルールでは、現物取引における差金決済が原則として禁止されています。

これは、元手となる資金以上の取引を繰り返し行ってしまうことを防ぎ、市場の健全性や投資家保護を図るための仕組みです。

たとえば、同じ銘柄を1日の中で「買う→売る→買う」あるいは「売る→買う→売る」といった形で繰り返すと、元々の預り金以上の取引になりやすく、差金決済に該当する可能性が出てきます。

そのため、現物取引では、

  • 預り金がどれくらいあるか 
  • その日の約定状況がどうなっているか 

によって、追加の注文が制限されることがあります。これが、「同一銘柄で何度も回転売買をしようとしても、途中で発注できなくなる」理由の一つです。

現物取引と信用取引での扱いの違い

現物取引と信用取引では、差金決済や取引ルールの扱いが異なる部分があります。

  • 現物取引の場合
    差金決済の禁止ルールが適用されるため、同一銘柄での回転売買には制限がかかることがあります。
    1回転(日計り買い/売り)を行った後、同じ銘柄で同日に再度大きな取引をしようとすると、預り金の状況によっては注文が通らないケースもあります。 
  • 信用取引の場合
    信用取引は、証券会社から資金や株を借りて取引する仕組みであり、建玉管理の仕方も現物とは異なります。
    一般に、信用取引では差金決済の考え方が現物と同じ形で適用されるわけではなく、建玉残高や委託保証金率など、別のルールでリスク管理が行われます。 

さらに、近年は「一日信用」「日計り専用信用」など、日計り取引向けのサービスを提供する証券会社も増えています。これらのサービスでは、

  • 当日中に建玉を解消することを前提にした料金体系 
  • 日計り専用の返済ルール 
  • 回転売買の条件 

などが定められていることが多く、一般の信用取引とは違う扱いになる部分があります。

このように、現物・信用・日計り専用サービスでは、適用されるルールや制限の考え方がそれぞれ異なることを理解しておくことが重要です。

証券会社ごとのルールを確認

日計り売りを検討する際に、最後に必ず確認しておきたいのが「自分が利用している証券会社のルール」です。

同じ「日計り」や「一日信用」という言葉が使われていても、証券会社によって、

  • 取引できる銘柄の範囲 
  • 金利・貸株料・手数料の条件 
  • 当日中に返済しなかった場合の扱い 
  • 回転売買の回数制限や警告の出し方 

などの仕様が異なることがあります。

たとえば、

  • 一日信用で建てたポジションを返済しなかった場合、自動的に強制決済されるのか 
  • その際の手数料やペナルティはどうなっているのか 
  • 日計り売りが可能な銘柄に条件があるか 

といった点は、事前に約款や商品説明ページで確認しておきたいポイントです。疑問点があれば、サポート窓口に問い合わせて、具体的な取引例を挙げながら確認しておくと安心です。

ルールを理解したうえで取引を行えば、「知らないうちに制限に引っかかっていた」「意図しない形でポジションが強制的に解消された」といった事態を、避けやすくなります。

まとめ

  • 日計り取引とは買った(空売り)した銘柄をその日のうちに売る(買い戻る)取引のこと
  • 短期保有のため損失リスクが小さい反面、利益をあげようと思えば思うほど、チャートをずっとチェックしなければならないというデメリットも
  • 日計り取引ができるのは、1日1回転のみ

いかがでしたでしょうか?

本記事では「日計り取引」の意味やメリット・デメリット、注意点について解説してきました。

売買委託手数料が自由化やネット証券の台頭などによって、昔よりも機動的にかつ安価に日計り取引をおこなうことができるようになっていることがわかります。

メリット・デメリットの両側面がありますが、短期的な投資の方が向いていると思う方はぜひ実践してみてはいかがでしょうか?

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この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

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この記事を書いた人

著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。

地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。

その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。

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