株の執行条件をわかりやすく解説|寄付・引け・指成の基礎と注意点

条件付き注文「寄付・引け・指成」とは?初心者向けにわかりやすく解説

株の注文画面を見ると、「執行条件」「寄付」「引け」「指成」といった項目が並んでいて戸惑うことはありませんか。

これらは、いずれも「いつのタイミングで注文を有効にするか」を決める設定です。

本記事では、株の執行条件付き注文の中でも代表的な「寄付・引け・指成」について、仕組みと使われ方、共通する注意点を解説します。

株式の注文方法は?売買の流れや「成行注文」・「指値注文」について詳しく解説!

   
目次

株の執行条件付き注文「寄付・引け・指成」とは?

株の注文方法には、価格の決め方を指定する「指値注文」「成行注文」に加えて、注文をどのタイミングで有効にするかを決める「執行条件」があります。

寄付・引け・指成といった条件は、まさにこの執行条件の一種です。

ここでは、まず執行条件付き注文の位置づけを整理したうえで、「寄付」「引け」「指成」の3つについて、それぞれの仕組みと具体的なイメージを確認していきます。

執行条件付き注文とは?

執行条件付き注文は、「いくらで注文するか」に加えて「いつまで有効にするか」「どのタイミングで執行するか」を指定する考え方です。

指値注文や成行注文は、基本的に価格の指定方法に関する設定です。

一方、執行条件は、前場・後場のどの時間帯で注文を成立させるかといった時間軸に関わる要素を追加します。

たとえば、同じ指値注文でも、「寄付」で執行するように指定した場合と、「引け」で執行するように指定した場合とでは、約定のタイミングが変わります。

結果として、同じ価格を指定していても、執行されるかどうかや、最終的な約定価格が異なる場合があります。

このように、執行条件付き注文は「価格の指定」と「タイミングの指定」を組み合わせることで、1日の中でどの場面で取引を有効にするかを調整するための設定といえます。

注文画面では、価格欄とは別に「執行条件」「有効期間」といった項目として表示されることが多いです。

寄付注文の基本と仕組み

寄付注文は、「前場または後場の寄付(その時間帯の最初の取引が成立するタイミング)でのみ有効になる執行条件」です。

寄付は、前場では午前9時の最初の取引、後場では12時30分の最初の取引を指し、その時点での需給をまとめて価格が決まります。

寄付注文を出すと、指定した時間帯の寄付でのみ注文が有効になります。

具体例としては、次のようなイメージです。

  • 前場が始まる前に寄付注文を出す → 前場の寄付でのみ有効。寄付で条件が合わなければ、その時点で失効。

  • 前場終了後〜後場が始まる前に寄付注文を出す → 後場の寄付でのみ有効。後場の寄付で条件が合わなければ失効。

いずれの場合も、寄付以外の時間帯では自動的に注文は執行されません。

寄付注文は、「始値付近の価格で取引したい」「寄り付きのタイミングだけを対象にしたい」といった場面で利用されることがあります。

その一方で、寄付で約定しなかった場合は注文が失効し、同じ銘柄を他のタイミングで取引したいときは再度注文を出す必要があります。

この「寄付以外では執行されない」「約定しなければ失効する」という点を、あらかじめ意識しておくことが大切です。

引け注文の基本と仕組み

引け注文は、「前場または後場の引け(その時間帯の最後の取引が成立するタイミング)でのみ有効になる執行条件」です。

前場引けは11時30分ごろ、後場引けは15時ごろの最終取引を指し、その時間帯の取引状況を反映した価格でまとめて売買が行われます。

引け注文を出すと、指定した時間帯の引けでのみ注文が有効になります。

具体的には、次のようなケースがあります。

  • 前場引け前に出した引け注文 → 証券会社の仕様に応じて、前場引けまたは後場引けを指定して注文する。指定した引けで条件が合えば約定し、合わなければ失効。

  • 後場引け前に出した引け注文 → 後場引けのみ有効。大引けのタイミングで条件が合わなければ失効。

引け注文は、「その時間帯の終値付近で取引したい」「1日の取引の締めくくりの価格を基準にしたい」といった場面で利用されることがあります。

寄付注文と同様に、指定した引けで約定しなければ注文は失効します。

別の時間帯で再度取引したい場合は、改めて注文を入力する必要があります。

前場と後場で有効となるタイミングが変わるため、どの引けを対象にしているのかを注文時に確認しておくと整理しやすくなります。

指成注文の基本と仕組み

指成注文は、「指定した価格で約定しなかった場合に、その日の引け時点で成行注文に切り替わる執行条件」です。

名称のとおり、「指値」と「成行」の要素を組み合わせた注文方法で、まずは指値として扱われ、条件が合わなかったときに引けで成行注文として執行されます。

動き方のイメージは次のとおりです。

  • 前場引け前に出した指成注文

    • 前場引けまで:指定した価格の指値注文として扱われる。

    • 前場引けの時点で約定していなければ、その引けで成行注文として執行される。

  • 後場引け前に出した指成注文

    • 後場引けまで:指定した価格の指値注文として扱われる。

    • 後場引けの時点で約定していなければ、その引けで成行注文として執行される。

このように、指成注文は「価格を指定しつつ、その日の引けまでに約定の機会を広げる」という性質を持ちます。

ただし、引けで成行に切り替わる部分については、約定価格を事前に確定できません。

また、指値としても成行としても条件が合わなかった場合には、その日のうちに注文が失効します。

指成注文を利用する際は、「どの時点までは指値として扱われるか」「引けで成行に切り替わったときには、板状況によって約定価格が変動しうる」といった点を、あわせて確認しておくことが重要です。

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執行条件付き注文を使うときの特徴とポイント

寄付・引け・指成といった執行条件付き注文は、1日のどの場面で取引を有効にするかをあらかじめ決めておきたいときに活用されます。

一方で、指定したタイミング以外では約定しない、成行に切り替わる部分では価格が読みにくくなる、といった性質もあります。

ここからは、執行条件付き注文の特徴と、よくある使い方の例、押さえておきたい注意点を整理して、全体像をつかみやすくしていきます。

執行条件付き注文の主な特徴

執行条件付き注文には、いくつか共通する特徴があります。

まず挙げられるのは、「売買のタイミングをあらかじめ指定できる」という点です。

寄付注文であれば始値付近、引け注文であれば終値付近、指成注文であれば引けまでの間の指値と引けでの成行を組み合わせる形で、取引の場面を限定することができます。

また、注文を出した後は、指定したタイミングまで自動的に待機させることができるため、画面を常に見ていなくても、一定の条件で取引が行われるように設定できます。

日中は仕事などで板情報を確認しづらい人にとって、時間帯の管理という意味では役割を持つ仕組みといえます。

一方で、指定したタイミング以外では取引が行われないという点も、特徴のひとつです。寄付や引けで条件が合わなければ、その日の注文は失効します。

また、指成注文では、引けで成行に切り替わる部分について約定価格が事前には分からず、市場の状況によって差が生じる場合があります。

このように、執行条件付き注文は「タイミングを決めやすくする」と同時に、「取引が行われる場面をしぼる」という性質も持っている点がポイントです。

よくある使い方の例

執行条件付き注文は、具体的にどのような場面で利用されることが多いのでしょうか。

代表的な例としては、まず「日中は取引画面をこまめに確認できない人が、寄付や引けのタイミングだけを対象に注文を出しておく」という使い方があります。

たとえば、前日の情報や夜間のニュースをふまえて、翌日の寄付で取引したい銘柄がある場合、前場開始前に寄付注文を出しておくと、始値付近のタイミングだけを対象にすることができます。

同様に、1日の取引を通じた価格の動きを見たうえで、その日の最後の価格帯を基準に取引したいと考える場合には、引け注文が利用されるケースがあります。

指成注文については、「一定の価格を条件にしつつ、その日のうちに約定の可能性を広げておきたい」という考え方から選ばれることがあります。

また、日中のどこかで指値がヒットすればその価格で約定し、条件を満たさなかった場合には引けで成行に切り替わります。

いずれの例でも、執行条件付き注文は「どのタイミングで取引を有効にするか」を事前に決めておくための手段として利用されます。

つまり、取引スタイルやライフスタイルに応じて、どの設定が自分にとって分かりやすいかを考える手がかりになります。

押さえておきたい注意点

執行条件付き注文を理解する際には、特徴とあわせて注意点も整理しておくと安心です。

まず重要なのは、「指定したタイミングで条件が合わなければ、その日の注文が失効する」という点です。

寄付注文・引け注文のいずれも、寄付・引け以外の時間帯では自動的に取引が行われません。

指成注文では、指値部分と成行部分の両方について条件が合わなかった場合、やはり注文は失効します。

また、引けで成行に切り替わった場合には、市場の状況によって約定価格が変わるため、事前に具体的な価格を確定することはできません。この点は、指値注文とは性質が異なります。

さらに、証券会社ごとに、執行条件の名称や選択肢、どの時間帯までに出せばどの寄付・引けが対象になるかといった細かな仕様が異なることがあります。

同じ「引け注文」という名前でも、前場引けと後場引けの扱いが違う場合もあるため、自分が利用している証券会社のルールを確認しておくことが欠かせません。

これらの点を踏まえると、執行条件付き注文は「売買のタイミングを設定する手段」であり、その性質や制約を理解したうえで活用方法を考えると、注文画面の選択肢をより落ち着いて見られるようになります。

難しそう?条件付き注文をするメリット

ここまで、条件付き注文の3種類について解説してきました。

それぞれの違いや役割についてはわかったものの、とくに株式投資初心者の方にとっては難しい印象があるかもしれません。

ただし条件付き注文は「条件付き」というだけあり、自分に有利な条件で注文が約定するように設定をすることができます。

すべてが思い通りにいくというわけではありませんが、一部だけでも自分で条件を決めることができるというのは大きなメリットかと思います。

始めは難しいかもしれませんが、慣れていくとより機動的なトレードが可能になるため非常に便利です。きちんと理解することで、徐々に使いやすくなっていくでしょう。

また、難しくてどうも使いこなせなそうという場合は、当サイトの監修者である株歴38年以上のプロトレーダーである「相場師朗(あいばしろう)」先生も活用している成行注文でエントリーしておけば、チャンスを逃す心配もありません。

よくある質問Q&A

Q1. 執行条件とは、指値注文・成行注文とどう違うのですか?

A. 指値注文と成行注文は「いくらで注文するか」という価格の指定方法です。一方、執行条件は「いつのタイミングで注文を有効にするか」を決める設定です。

たとえば「1,000円の指値・寄付注文」のように、価格(1,000円)と執行条件(寄付)を組み合わせることで、「始値が1,000円以下なら寄付のタイミングで買う」といった形に整理できます。

Q2. 寄付注文と引け注文の一番の違いは何ですか?

A. 寄付注文は「前場・後場の最初の取引(寄付)」でのみ有効、引け注文は「前場・後場の最後の取引(引け)」でのみ有効という点が大きな違いです。

どちらも、それ以外の時間帯では自動的に執行されません。

始値付近の価格帯を対象にしたい場合は寄付、終値付近の価格帯を対象にしたい場合は引け、といったように、対象とする時間帯が異なるイメージです。

まとめ

    本記事では、株の注文画面でよく見かける「寄付・引け・指成」といった執行条件付き注文について、仕組みと特徴を解説しました。

    執行条件付き注文は、指値や成行といった価格の指定方法に加え、「いつのタイミングで注文を有効にするか」を決める設定です。

    寄付注文は前場・後場の寄付だけ、引け注文は前場・後場の引けだけで有効となり、指成注文は引けまでは指値として扱われ、その時点で約定していなければ成行に切り替わるという性質を持ちます。

    それぞれの執行条件には、売買のタイミングを決めやすくする一方で、指定した場面以外では約定しない、成行部分では約定価格が事前に分からないといった注意点もあります。

    内容を一度整理しておくことで、注文画面の選択肢を理解しやすくなり、ニュースや相場解説に出てくる用語も読み取りやすくなります。

    自分が利用している証券会社の仕様も確認しながら、執行条件の違いを知識として押さえ、今後の取引に役立ててみてください。

    相場格言「噂で買って事実で売る」とは

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    この記事の監修者

    監修者プロフィール

    トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
    20歳で株の売買を始めてから20年間、
    「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
    その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

    現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
    日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
    どの市場でも大きな利益を生み出している。

    ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
    東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

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    この記事を書いた人

    著者プロフィール
    根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
    1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。

    地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。

    その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。

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