みなさんは「株式併合」という言葉をご存知でしょうか?
株式併合は、株式を発行している企業がおこなう行為の1つなのですが、私たちトレーダーも株式市場に流通している株式を売買している以上、知っておかなければならない知識の1つです。
「保有株数が知らない間に減っていた!」、「保有株の株価が数倍に上昇している!」と驚くことのないように、本記事で株式併合の意味や株主への影響を学んでいきましょう。
この記事でわかること
- 株式併合の意味
- 株式併合をおこなう理由
- 株式併合が及ぼす株主への影響
株式併合って何?
まずは「株式併合」の意味についてご説明していきます。
株式併合とは、株式を発行している企業がいくつかの株を1株に統一(併合)するということを意味しています。
例として、「A社が3株⇒1株の株式併合を発表」したとします。
そのときA社の株式を300株持っていた株主の保有株数は、100株(=300÷3)つまり3分の1に減少するといった具合です。
また、株式併合前のA社の株価が500円だったとしましょう。
このとき、株式併合前の株主が保有している資産は15万円(=300株×500円)です。
株式併合がおこなわれると、株価はどうなるでしょうか?
このとき株主の保有株数が株式併合によって3分の1の100株に減少するため、株価は理論上でいうと1,500円にまで上昇します。
つまり、株式併合がおこなわれても株主が保有する資産額に変化はないということになります。
同じく企業価値についても「時価総額=株価×発行済株式数」で算出されるため、株式併合前後で変化はありません。
なぜ企業は株式併合をおこなうのか?
ここまでで、株式併合がどういうことを示しているのかについてはお分かりいただけたかと思います。
株式併合前と後とでは株価が上昇し発行済株式数は減少するものの、株主が保有する資産額や企業価値(時価総額)には何ら変化はありません。
それではなぜ、企業はこのような株式併合をおこなうのでしょうか?
1つずつご紹介していきます。
株価が上昇したと見せかけるため
株式併合をおこなうと実質的な企業価値に変化はありませんが、発行済株式数が減少することによって株価を上昇させることができます。
株式投資において、東京証券取引所が「必要最低投資金額(5万円以上)」を定めていることをご存知でしょうか?
株価が低いと必然的に最低投資金額は低くなってしまい(これを「低位株」と呼ぶ)、低位株は一般的にトレーダーからは投資の対象としてあまりいい印象を持たれることがありません。
ただし企業は資金調達を目的として株式を発行しているので、株主に株式を購入してもらう必要があります。
そのため株式併合によって株価を理論的に上昇させて最低投資金額を引き上げることで、トレーダーの投資意欲を刺激することができます。
単元株100株統一の動きに順応するため
現在では「単元株=100株」というのは私たちにとっては当たり前のこととなっていますが、実はこれが統一されたのは2018年10月と非常に最近の出来事です。
統一されるまでは1株から10株まで株式の売買単位はさまざまで、世界的にも株式の売買単位がいくつも存在することは非常に珍しいとされていました。
珍しいだけではなく、売買単位が複数存在していることで誤発注をしてしまう可能性もあり、トレーダーにとって利便性が低いという声もありました。
このような理由から2018年10月にかけて売買単位の統一が図られたのですが、かつて売買単位が1,000株だった企業の単元株が100株に変わってしまうと、調達できる資金額が小さくなってしまいます。
そのため単元株の統一に伴って株式併合をおこなって株価を引き上げることで、単元株が100株であっても十分な投資額となるように調整がおこなわれました。
株式併合は株主に影響を及ぼすの?
気になるのが、株式併合がおこなわれた企業の株式を保有していた場合に何か影響があるのかということですよね。
上記でもご説明したとおり保有資産額に変化はないので安心ですが、何かほかに影響があるなら知っておきたいものです。
気になる影響ですが、株式併合がおこなわれると株主としての地位を失うおそれがあります。
とくに保有株数が少数である場合は、株式併合によって株主としての権利を行使できる保有株数を下回ってしまったり、大株主との大きな格差が生じたりする可能性があるので注意が必要です。
売買益を目的に保有している場合はさほど影響がないものですが、もし保有している株式の株式併合がおこなわれる場合は、株式併合後の株主としての地位がどうなるのかについて確認しておくとよいでしょう。
まとめ
- 株式併合とは、複数の株式を1株にまとめること
- 投資対象として適切な株価まで引き上げるためにおこなわれる
- 株式併合によって株主の地位を失う可能性もあるので、権利については要確認
本記事では株式併合の意味やおこなう理由、株主への影響についてご説明してきました。
株式併合についての知識を身に着けておくことで、保有株数が激減したり株価が急上昇したりしたときでも誤った判断をせずに済みます。
もし保有している株式が併合されるといった場合には、企業の説明をしっかりと聞いて損をすることのないように慎重に動きましょう。
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著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。