株式投資をしていると、「打診買い」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。
打診買いとは、確信を持てない局面で“試しに少量だけ買ってみる”行動のことを指します。
多くの投資家はチャートや指標を分析して売買を判断しますが、常に100%の確信を持てるわけではありません。
そんなとき、あらかじめ小さなポジションで市場の反応を確認し、今後の動きを探るのが打診買いの目的です。
本記事では、打診買いの基本的な考え方から、活用する理由、向いているタイプまでをわかりやすく解説します。
リスクを抑えながら市場の流れをつかむための第一歩として、ぜひ参考にしてみてください。
打診買いとは?
まずは「打診買い」がどのような行動を表しているのかについて、ご説明していきます。
打診買いとは、株価が下落局面にあるときに「そろそろ底値をついて下落が止まるのではないか?」と思ったところで買いを入れることをいいます。
多くの場合は、市場の反応を探るためにおこなわれる小規模な注文であることがほとんどです。
打診買いをする理由
では、トレーダーはどのような理由から打診買いをするのでしょうか?メカニズムを見てみましょう。
株価が下落局面にあるときは多くのトレーダーが「できるだけ底値で買いたい」と思っているため、もう下落が止まるだろうと判断した者によってどんどん買いが入れられていきます。
ただし実際には底値をついたことを明確に見極めることは、プロのトレーダーであっても難しいといわれています。
「これが本当の底値だ!」、「もう売りつくされただろう」と思って買いに入ったのに、さらに株価が下落するということもざらにあります。
こうなると底値で買おうとしたはずが思いがけない含み損を抱えてしまうことになるので、できれば防ぎたいですよね。
このような「底値かもしれない」、「今後上昇の局面に向かうのではないか」といったような100%明確に判断することが難しい状況のときに、1つのテクニックとして登場するのが、打診買いです。
上記でも少し触れましたが、打診買いは投資資金すべてを投じて買いに入るというよりはその一部である小口の資金を投じておこなう「とりあえず試しに買ってみよう」という小規模な買いであることがほとんどであり、この場合も同様です。
このとき投資資金すべてではなく一部を投じておくことで、もし予想に反してさらに株価が下落したとしても残りの資金でさらに安値で株を買い足して平均取得単価を下げたり、一時撤退で手仕舞ったとしてもそれほど損失は大きくならないでしょう。
このように、保有している銘柄の株価が下落したときに、さらに同じ銘柄を買い増して平均取得価格を下げることを「ナンピン買い」と呼びます。
ナンピンについてはナンピン買いはダメじゃない!使いこなして含み損を減らすコツの記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧にください。
また、市場の反応がよく株価が上昇したのであれば、上昇局面に乗って残りの資金で強気に買い増すことも可能になります。
ちなみに江戸時代の米相場では「買い米を一度に買うには無分別、二度に買うべし(投資をするときに1度に投資資金をすべて投入するのは賢明ではない。少しずつ何回かに分けて仕掛けてリスクを分散させよう)」という相場格言が誕生したほどです。
実際に当時打診買いのことを「千天元」、「萬天元」、「枕米」などと呼んでいたようで、打診買いの考え方は江戸時代から存在して現在まで引き継がれていると思うと、非常に重要な思考であることが感じ取れますよね。
打診買いの成立・不成立の判定基準(可否チェックと停止条件)
成立の最小セットと、否定シグナル出現時の停止/縮小ルールを先に固定しておきます。
基準が曖昧だと、根拠の薄い平均化や「打診のはずが常時フルサイズ」に流れがちです。
【成立の目安(最小セット)】
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① 前日高値の終値超え(ヒゲ抜けではなく終値基準)
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② 出来高の前日比増(5日平均比でも可)
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③ 短期MA回復(5〜10日線の終値上)
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④ 足型の改善(下ヒゲ+陽線、またははらみ陽線の上放れ)
【否定の目安】
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① 直近安値の終値割れ(終値ベースで明確化)
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② 出来高の中立化〜細り継続(連続2日以上を目安)
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③ 地合い悪化(主要指数の続落、リスクオフ指標の拡大など)
【アクション(分岐の順番を固定)】
- 否定に到達 → 新規停止 → 既存ポジションを段階縮小(例:半減)
- 成立を満たす → 追加の可否を審査(ボラ・板の安定も確認)→ 設定比率で段階増
【運用メモ】
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成立・否定は紙(またはノート)に事前記載して運用。
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終値基準を原則にすると判定ぶれが減り、追随の速度も一定化します。
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目安にATR等のボラ指標を併用する場合は、「直近安値−ATR×nを否定」といった形で数値化しておくと検証がしやすくなります。
打診買いはこのような方におすすめ
打診買いはだれでもできるトレード方法ではありますが、なかでもおすすめしたいのは以下のような方です。
株式投資初心者の方
まずは、株式投資初心者の方です。
打診買いはリスクを分散させることが1番のメリットなので、いきなり大きなポジションをとることに抵抗があったり、始めたばかりでなかなかうまくいかなかったりといった株式投資初心者の方におすすめです。
1度に投資資金すべてを投じて失敗してしまうと、一瞬で資金を失ってしまう可能性もあるので注意してくださいね。
中長期的なトレンドを狙っているがなかなか結果が出ない方
中長期的なトレンドを狙っていて、なかなか利益が結果として表れないという方にもおすすめです。
打診買いは小口の買い注文のため、1回の注文のリスクが小さいという点があります。
そのため余裕資金によってまだ数回注文のチャンスがあるので、トレンドの転換点をしっかりと見極めてそのタイミングで注文を出すことができます。
なかなか結果が出ないという場合はどこかでリスクをとりすぎている可能性があるので、リスクを抑えながらトレードができる打診買いはたいへんおすすめです。
よくある質問Q&A
Q1. 打診買いとは何ですか?
A. 下落局面などで「そろそろ下げ止まりかもしれない」と仮定し、様子見として資金の一部だけで小口の買いを入れる行為を指します。
市場の反応(値動き・出来高)を確認する目的があります。
Q2. どんなときに使われますか?
A. 底値の確信が持ちにくい局面、材料の真偽や影響度を観測したい場面、トレンド転換の初動確認をしたいときなどに使われます。
Q5. エントリー判定の目安はありますか?
A. 一例として、①前日高値の終値超え、②出来高増(前日比や5日平均比)、③短期移動平均線(5~10日)上回り、④足型の改善(下ヒゲ陽線・はらみ上放れ)などを複数合致で用いる方法があります。
まとめ
打診買いは、明確な根拠を持てない局面でも市場の反応を確認しながら、リスクを最小限に抑えて取引を進めるための有効なアプローチです。
全資金を一度に投入するのではなく、あくまで「試し」に一部資金を使うことで、結果に応じて柔軟に対応できるのが特徴です。
もし予想に反して下落しても損失を限定でき、逆に上昇に転じれば追加投資で利益を伸ばすことも可能になります。
このように、打診買いは「様子を見る余裕」を残す取引法です。焦らず段階的に判断することで、感情に左右されにくい冷静なトレードがしやすくなります。
初心者にとってはリスクを抑えながら市場を学ぶよい訓練となり、中上級者にとってもタイミング確認の補助手段として役立ちます。
市場の動きを探りつつ、少額から一歩ずつ経験を積み重ねることが、安定した投資判断につながっていくのです。
株の勉強は絶対にやるべき!オススメ勉強ステップや失敗しないためのコツ

著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。







