逆日歩とは?初心者でもわかるコスト発生の仕組みと計算方法を解説

逆日歩

株式投資をしている方の中には

「信用取引はリスクが高そう」

「仕組みが難しい」

と、信用取引を敬遠している方もいらっしゃるのではないでしょうか?

ただし、きちんと信用取引に関する正しい知識を身に付けて生かすことができれば、トレードの幅をぐんと広げることが可能です。

本記事では信用取引における知識の1つとして「逆日歩」というコストについて、ご説明していきます。

この記事でわかること

  • 逆日歩の意味
  • 逆日歩の発生メカニズム
  • 逆日歩の計算方法

信用倍率の目安は1倍?利益を出すためのトレード活用法を解説

目次

逆日歩とは?

「逆日歩」とは簡単にいうと、信用取引において売り方(空売りをする側)が負担しなければならない事前に予測することが難しいコストのことです。

逆日歩が発生するメカニズムを理解するためには、「信用取引」のしくみをきちんと知っておくことが大切になってきます。

信用取引について詳しくは、信用取引とは?リスクを抑えた上手な活用方法もご紹介の記事をご覧ください。

信用取引は私たちトレーダー目線からいうと、証券会社から投資資金もしくは株を借りて株式売買(信用買いまたは空売り)をする取引のことです。

つまり証券会社は、信用取引を希望しているトレーダーのうち売り方(空売りをする側))対して貸せるだけの株を保有しておく必要があります。

しかし、信用取引の取引量が活発になってくるとどうしても証券会社単体では抱えきれなくなり、証券会社は「証券金融会社」を通じて資金や株を調達してきます。

ここで証券金融会社という言葉を初めて聞いた方もいらっしゃるかと思いますので説明しておくと、金融商品取引法に基づいて免許を受けている証券金融専門の株式会社のことです。

主な業務内容は上記でも少し触れましたが、証券会社に信用取引の決済に必要な資金や株を貸し出す(貸借取引)ことです。

以前は証券金融会社と呼ばれる会社は複数あったのですが、証券取引所の統廃合によって2017年9月末に中部証券金融が解散しました。

そのため現在は日本証券金融(日証金とも呼ばれます)だけが残っていて、証券金融会社の業務が集約されています。

証券会社は、このような証券金融会社から不足している資金や株を調達してきます。

ただし信用取引における空売り残高が信用買い残高を大きく上回っている(株をたくさん貸している状態)「売り長」の状態が続いてしまうと、証券金融会社を通じても不足している株を調達しきれないという事態が発生してしまうのです。

つまり信用取引を維持するために、証券金融会社以外の機関を頼る必要が出てきます。

このとき発生するコストこそが「逆日歩」です。

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逆日歩発生のしくみ

証券会社が証券金融会社を通じても信用取引に必要な株を調達できなくなると、最終手段として証券金融会社は生命保険会社・損害保険会社といった機関投資家から株を調達します。

このように証券金融会社が機関投資家から株を借りるときには「品貸料」が1日につき発生し、負担するのは売り長の状態にある売り方で、受け取るのは買い方です。

信用取引においては、トレーダーが証券会社から信用買い(資金を借りる)をするときに「日歩」という1日あたりの利息が生じます。これは先ほどの品貸料とは違って、買い方が売り方に対して支払う必要があるコストですよね。

よって証券金融会社が機関投資家から株を借りるときに支払う品貸料は、日歩とは違って売り方が買い方に対して支払うコストであることから“日歩の逆”という意味合いで「逆日歩」と呼ばれています。

ここまでで逆日歩の意味がお分かりいただけたでしょうか?

ここからは、どのような条件下で逆日歩が発生するのかさらに詳しく見ていきましょう。

信用取引において証券金融会社はたいへん大きな役割を担っています。

そのため各銘柄の空売り・信用買いを毎営業日集計する必要があり、両者を比べたときに空売りが上回っていればその分だけ株が不足しているということになります。

ただし、厳密にはこの時点ですぐに逆日歩の支払いが確定するわけではありません。

株が不足していることが判明した証券金融会社は、翌営業日の10時まで信用買いを増加させるための「融資の追加申込み」と空売りの残高を減少させるための「貸株の返済申込み」を受け付けることで株不足の解消に力を注ぎます。

それと同時に、生命保険会社や損害保険会社などの機関投資家に対して、株が不足している銘柄の入札受付を進めておきます。

もし翌営業日10時になっても融資の追加申込みや貸株の返済申込みによって株の不足が解消しなかったら、その時点で逆日歩が発生することになるのです。

申込み受付と同時に進めておいた入札にて品貸料が提示されるので、安い順から株を割り当てていき、株の不足が解消した時点での品貸料こそがその日の逆日歩です。

売り方はこの逆日歩を負担することになります。

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逆日歩はどうやって算出するの?

では、気になる逆日歩の算出方法を見ていきましょう。

まず1株あたりかつ1日あたりの品貸料は「1日、1株あたり○銭もしくは○円」という表記のされ方をします。

品貸料は、売買単位と貸借取引における値段によって決定される最高料率を用いて算出できます。

注意点として、上記でも触れましたが逆日歩は1日あたりで表記されるので、逆日歩が発生する期間が1日では収まらなかったり株数が多い場合には、表記されているよりはるかに多い逆日歩が発生することもあるので注意が必要です。

そのため「こんなに逆日歩がかかるなんて知らなかった…」ということがないように、日数計算をして正しい逆日歩を算出しておくことが大切です。

重要なポイントとして、品貸の日数は土日祝日もカウントされますのでご注意ください。

では、例を用いて逆日歩を計算してみます。

Aさんは、5日(火曜日)に空売り注文を出して約定し、翌日の6日(水曜日)に買い戻し注文を出して約定しました。

株取引の受け渡しは2営業日後なので、この場合空売りが受け渡されるのは7日(木曜日)で、買い戻しが受け渡されるのは8日(金曜日)です。

このとき、受け渡しまでに発生した逆日歩が3円だったとするとどうなるでしょうか?

この“3円”は1株あたりの逆日歩なので、100株空売りしたのであれば300円(=3円×100株)の逆日歩が発生したことになります。

このように、逆日歩の計算は「受け渡し日」を基準として計算されます。

土日祝日は受け渡しがおこなわれないのにもかかわらず品貸の日数としてはカウントされてしまいますので、取引のタイミングには十分注意しましょう。とくに大型連休が控えている際は要注意です。

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まとめ

  • 逆日歩とは、信用取引において売り方が負担しなければならないコストのこと
  • 空売り・信用買いの残高を比べて、空売り残高が多いときに発生する
  • いつ発生するか、いくら発生するのかわからない不確実なリスク

本記事では信用取引における売り方が負担するコストである逆日歩の意味や発生のしくみ、計算方法についてご説明しました。

どのような状態のときに発生するのか、お分かりいただけましたでしょうか?

その銘柄を取引対象とした時点では逆日歩が発生するのかしないのか、はたまたいくら発生するのかというのは確実にわかるものではないという不安はありますが、信用取引をおこなうことで手元にある投資資金以上の取引をおこなえるといったメリットもあります。

本記事を参考に、ぜひ逆日歩というコストについて理解を深めてみてください。

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この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

この記事を書いた人

著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。

地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。

その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。

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