モメンタムとはどんな指標?モメンタムの使い方も紹介

モメンタムとはどんな指標?モメンタムの使い方も紹介

投資の世界では、市場の動きを予測するために様々なツールが使われています。

その中でも「モメンタム」は、多くの投資家が活用している指標の一つです。

株価チャートをみているだけでは掴みにくい相場の勢いを数値化し、視覚的に把握できるモメンタムは、初心者から上級者まで幅広く使われています。

しかし「モメンタムとは何?」「どうやって使えばいいの?」と疑問を持つ方も多いようです。

そこで今回はモメンタムとはどんな指標なのか、計算方法から実践的な使い方まで、初心者にもわかりやすく解説します。

この記事を読めばチャート分析の幅が広がり、より的確な投資判断ができるようになります。

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目次

モメンタムとは

モメンタムとは、現在の価格と過去の価格を比較して、相場の勢いを分析するツールです。

チャートでは、以下の赤枠のように表されます。

モメンタムとはどんな指標?モメンタムの使い方も紹介

チャートをみると、株価が上昇しているのか下落しているのか比較的わかりやすいですが、価格変動の勢いはパッとみただけではわかりにくいです。

ですが、モメンタムを使うと価格変動の強さを可視化できるため、簡単に相場の勢いを判断できます。

また、モメンタムはトレンドの方向性の判断や転換点の見極めることも可能です。

モメンタムの見方に関しては、後で詳しく解説します。

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モメンタムの計算方法

モメンタムの計算式は、以下のとおりです。

  • モメンタム=当日の終値 – n日前の終値

たとえば、10日前の株価が1,000円で、今日の株価が1,200円だとすると、モメンタムは以下のようになります。

  • 1,200円-1,000円 = 200円

この計算により、導き出された値を繋げて表示したものがモメンタム指標です。

なお、上記の式で導き出された値がプラスなら「n日前より価格が上がっている」とわかります。

マイナスなら「n日前より価格が下がっている」ゼロなら「変化がない」ことを示します。

n日の部分は自分で設定可能ですが、一般的によく使用されるのは9日〜14日のうちのいずれかです。

この「n日」は投資スタイルに合わせて、調整しながら使うのがおすすめです。

短い期間に設定すれば短期的な変化に敏感になり、長い期間に設定すれば長期的なトレンドの勢いを捉えやすくなります。

そのため、短期トレーダーなら短めの期間、長期投資家なら長めの期間が適しています。

なお、チャートソフトやトレーディングアプリを使用すれば、自動的にモメンタムを計算して表示してくれるため実際に計算する手間はかかりません。

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モメンタムの見方

モメンタムの見方は、大きく分けると以下の2つです。

  • トレンドの勢いを確認
  • トレンドの方向を確認

これらの見方をマスターすれば、相場状況の判断がより的確になります。

それぞれ解説します。

トレンドの勢いを確認する

モメンタム指標では「値」と「傾き」に着目すると、トレンドの勢いを判断可能です。

基本的に、モメンタムの数値が0ラインから離れれば離れるほど、トレンドの勢いが強いと判断できます。

モメンタムとはどんな指標?モメンタムの使い方も紹介

たとえば、モメンタムが+50よりも+100の方が上昇トレンドの勢いが強く、-30よりも-60の方が下降トレンドの勢いが強いということになります。

また、モメンタムの傾きの角度も重要なポイントです。

グラフ上でモメンタムの線が急な角度で上昇または下降している場合は、相場の勢いが急激に強まっていることを示しています。

逆に、角度が緩やかになったりモメンタムが横ばいになったりしている場合は、トレンドの勢いが弱まってきているサインです。

このように、モメンタムの「値」と「傾き」の両方を観察すると、相場の勢いを把握できます。

トレンドの方向を確認

モメンタム指標が「0ライン」を境に、上にあるか下にあるかでトレンドの方向性が判断できます。

具体的には、モメンタムが0より上(プラス)にあれば、現在の価格がn日前よりも高いとわかるので「上昇トレンド」の可能性が高いといえるでしょう。

モメンタムとはどんな指標?モメンタムの使い方も紹介

反対に、モメンタムが0より下(マイナス)にあれば、現在の価格がn日前よりも低いことから「下降トレンド」の可能性が高いと判断できます。

モメンタムとはどんな指標?モメンタムの使い方も紹介

このように、モメンタム指標は「0ライン」を境にして、相場が上昇トレンドなのか下降トレンドなのかを一目で判断できる便利なツールです。

投資初心者でも、0ラインより上にあるのか下にあるのかを意識するだけで、相場の大きな流れを掴めます。

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モメンタムの使い方

ここでは、モメンタムを実際の取引に活用する方法を紹介します。

適切に使用すれば、売買のポイントをみつけたり、様子見に徹する時期を見極めたりするのに役立ちます。

モメンタムを使って投資判断をする方法は、以下のとおりです。

  • モメンタムが0ラインを抜けるときにエントリー
  • ダイバージェンスの確認

それぞれ解説します。

モメンタムが0ラインを抜けるときにエントリー

モメンタムが0ラインを抜ける瞬間は、トレンド転換の可能性があります。

たとえば、モメンタムがマイナスからプラスに変わるとき(0ラインを下から上へ抜ける)は「上昇トレンドへの転換点」だと読み取れます。

このタイミングで、買いを入れると値上がり益が期待できるでしょう。

モメンタムとはどんな指標?モメンタムの使い方も紹介

逆に、モメンタムがプラスからマイナスに変化するとき(0ラインを上から下へ抜ける)は「下降トレンドへの転換点」の可能性があり、売りを検討するタイミングです。

このような0ラインの突破は、トレンドの転換点を示す重要なシグナルとなるので、チャートをみるときは注目すべきです。

ダイバージェンスの確認

モメンタムの活用法として、ダイバージェンスの確認も挙げられます。

ダイバージェンスとは、価格の動きとモメンタムの動きが逆行している状態です。

たとえば、株価は上昇を続けているのに、モメンタムは下降しはじめている状況を「ネガティブダイバージェンス」と呼びます。

ネガティブダイバージェンスは、上昇トレンドが弱まっている可能性を示唆しており、近い将来価格が下落する可能性があるサインです。

モメンタムとはどんな指標?モメンタムの使い方も紹介

ネガティブダイバージェンスが起こっている場合は、株の追加購入をやめて様子見するのがおすすめです。

反対に、株価は下落しているのに、モメンタムは上昇しはじめている場合は「ポジティブダイバージェンス」といいます。

ポジティブダイバージェンスは下降トレンドが弱まっており、価格が上昇に転じる可能性が高い状況です。

ダイバージェンスを検出できれば、トレンド転換の予兆をより早く察知できるため有利に投資できます。

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モメンタムを使うときの3つの注意点

モメンタムは、トレンドの勢いと方向性を判断するのに優れたツールですが、使用する際はいくつか注意点も存在します。

本章で紹介するポイントを押さえておけば、より効果的にモメンタムを活用できます。

モメンタムを使う際に気を付けておくべきポイントは、以下のとおりです。

  • 損切りを徹底する
  • レンジ相場では機能しにくい
  • 他の指標と組み合わせる

それぞれ解説します。

1.損切りを徹底する

モメンタムを使って取引するときは、損切りすることも視野に入れて売買するようにしましょう。

どのテクニカル分析ツールにもいえることですが、モメンタムが発するシグナルでもダマシが発生する場合があるからです。

ダマシとは、一時的にモメンタムが0ラインを超えたようにみえても、すぐに元の方向に戻ってしまうケースのことを指します。

このようなダマシは、相場の仕組み上避けられません。

そのため、エントリーする際は損切りしなくてはいけない場合があることも考えて取引するようにしましょう。

「モメンタムが再び0ラインを越えたら損切りする」などのルールを事前に決めておけば、ダマシによる大きな損失を防げます。

2.レンジ相場では機能しにくい

モメンタム指標はトレンド相場では効果を発揮しますが、レンジ相場では機能しにくいため注意が必要です。

レンジ相場とは、株価が一定の範囲内で上下を繰り返す状態のことを指します。

このような相場では、モメンタムは0ライン付近でプラスとマイナスを行ったり来たりして、正しいシグナルが出にくくなってしまいます。

ですので、モメンタムを使う際はまずレンジ相場ではないことを確認して使うようにしましょう。

3.他の指標と組み合わせる

先ほど、モメンタムも他のテクニカル指標と同様に、ダマシが発生することを解説しました。

ダマシにあう可能性を下げるためには、ほかのテクニカル指標と組み合わせてモメンタムを使用するのがおすすめです。

ほかのテクニカル指標と組み合わせると、シグナルの精度が上がりダマシにあう可能性が低くなります。

たとえば、相場の過熱感を示すRSIと併用すればよりシグナルの精度がより向上します。

RSIは70%以上で買われすぎ、30%以上で売られすぎを示すツールです。

モメンタムとはどんな指標?モメンタムの使い方も紹介

モメンタムからトレンド転換のシグナルがでたときに、RSIから売られすぎのサインがでるとトレンド転換の可能性がさらに高まります。

複数の指標が同一のサインをだすとさらにシグナルの精度が上がるため、テクニカル分析は単体ではなく複数の指標と組み合わせて総合的に判断するのが重要です。

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まとめ

モメンタム指標は、トレンドの勢いと方向性を読み取るためのツールです。

現在の価格と過去の価格を比較すると、トレンドの強さを数値化し視覚的に理解できます。

また、モメンタムが0ラインを上回れば上昇トレンド下回れば下降トレンドと判断でき、その数値の大きさからトレンドの勢いの把握も可能です。

ほかにも、0ラインの突破やダイバージェンスの発生は、トレンド転換の重要なシグナルとなります。

ただし、ダマシに注意しレンジ相場では機能しにくいことを理解しておきましょう。

モメンタム単体での判断には限界があるため、RSIなど他のテクニカル指標と組み合わせて総合的に判断するのがおすすめです。

モメンタム指標をマスターすれば、相場の流れをより正確に捉え、適切なタイミングでの売買判断に役立てられるでしょう。

ぜひ、ご自身の投資戦略にモメンタム分析を取り入れ、より効果的な資産形成を目指してください。

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この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

この記事を書いた人

株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。

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