トレードと投資は何が違う?資産を増やすコツと向き・不向きについて解説!

資産形成をするために、投資とトレードのどちらにチャレンジすればよいか迷っている方も多いでしょう。

どちらも聞いたことはあるかもしれませんが、違いや特徴については知らないこといったことが多々あるかもしれません。

そこで今回は、この2つの違いや具体的な手法、自分にどちらが向いているのかの見極め方について解説します。

 

目次

投資とトレードの違い

まずは、投資とトレードの違いについて解説します。

なお、本記事では投資を「長期投資」、短期投資を「トレード」と表現します。

投資とトレードの概要

投資では、将来的に資産を増やすため、株式や債券、不動産などの金融商品を購入し、長期保有して価値の上昇や利益獲得を目指します。

リスク許容度や資産状況などにあわせて、商品を選ぶことが重要です。

利益として、キャピタルゲインとインカムゲインを得ます。

トレードとは、短期的な価格変動を利用して利益を得る行為です。

数秒、数分、数時間、数日といった短期間で売買を完結させ、売買差益を中心に利益を得ます。

 

保有期間の違い

保有期間を比較すると、投資は中長期、トレードは短期です。

投資の場合、1年、10年、30年と長期にわたって持ち続けます。

運用中は売買を繰り返さず、長く保有していくスタイルです。

トレードは、数日や数時間など保有期間が短く、手法によっては数秒単位で売買することもあります。

投資の場合はずっと相場を監視する必要はありませんが、トレードの方が早期に利益を確定できます。

それぞれの目的と目標の違い

投資の目的は、長期的な視点で資産を形成して価値を増大させることです。

例えば、株式投資であれば、企業が成長して企業価値が高まり、株価が上昇していくことに期待します。

目標としては、「生まれたばかりの子供が18年後に大学に行く時のため、500万円の学費を準備する」「老後のため、この20年で資産を倍にする」といったような内容が設定できるでしょう。

また、自分の気に入っている企業を応援するために株式投資を行うといった目的を持つ人もいます。

トレードの目的は、短期的な価格変動を利用して利益を得ることです。

目標としては、「1日〇円の利益を出す」「勝率〇%以上を維持する」といった内容が考えられます。

利益源の違い

投資の利益源は、長期的な価値成長です。

例えば、株式投資では自分の保有する銘柄の企業が事業を展開し、どんどん成長していくことが利益につながります。

企業が育ち価値が高くなっていけば、株式を購入した時より売却金額が高くなり、キャピタルゲインを得られます。

また、株式の配当金や債券の利子などのインカムゲインもあります。

トレードの利益源は、市場における売り手と買い手の需給の偏りによる、短期的な相場変動です。

テクニカル指標などを活用して相場がどう動くかを予測し、価格が上昇する局面なら買いで参入、下落する局面なら売りで参入します。

必要なスキルと時間的負担の違い

投資に必要なのは、ファンダメンタルズ分析能力です。

GDP成長率や金利、インフレ率などからマクロ経済の動向を見極めます。

特定の企業の損益計算書や貸借対照表を読んで財務状況を理解したり、ビジネスモデルや競争優位性を分析して将来性を見極めたりしなくてはなりません。

また、業界ニュースや経済指標を集める情報収集能力や、複数の資産や銘柄を保有するリスク管理能力も必要です。

初期には市場調査や銘柄選定に時間がかかりますが、運用中の時間的負担はトレードと比較すればやや軽いと言えるでしょう。

トレードに必要なのは、テクニカル分析能力です。

相場の動きを読み解いて今後の動きを予測するには、移動平均線やRSI、MACDといったテクニカル指標の活用が欠かせません。

また、取引時間短いため、瞬時に情報を処理する判断力と、感情に流されず適切なタイミングでエントリーする決断力も求められます。

テクニカル分析の習得は一朝一夕でできるものではなく、運用中は常にチャートを監視するため、時短的負担は大きいです。

【初心者向け】ファンダメンタルズ分析とは?テクニカルとの違いや活用方法をわかりやすく解説

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よくある投資手法とは

投資手法の中でも、有名なものをピックアップして解説します。

高配当株投資法

高配当株投資法は、配当利回りが高い株式に投資し、配当収入を目的とする投資法です。

まずは、配当利回りが平均より高い銘柄をいくつかピックアップし、減配や無配履歴が少ない銘柄を選定します。

その銘柄を持ち続けることで、定期的にインカムゲインを得ます。

銘柄を選ぶときは、企業の財務状況が健全かどうかも確かめましょう。

また、減配や無配が決まったり、財務状況が苦しくなったときはエグジットするのも一手です。

パニック株投資法

パニック株投資法とは、経済危機や大規模災害、金融ショックなどをきっかけに、市場全体が大幅に下落した局面で買い付ける投資方法です。

購入対象となるのは、大幅下落の原因が一時的もしくは過剰反応によって引き起こされていると判断できる、優良銘柄です。

底値を完全に当てることはできませんが、大暴落したタイミングで購入し、株価が適正な水準に戻ったタイミングでエグジットすることで利益を生み出せます。

高いリターンを期待でき、市場の回復をゆっくり待って長期的に資産を形成できる方法です。

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よくあるトレード手法とは

トレード手法の中でも、有名なものをピックアップして解説します。

スキャルピング

スキャルピングとは、数秒から数分で売買を完結させる手法です。

1回のトレードでは数pips程度のわずかな利益しか出ませんが、取引回数を増やすことで最終的に大きな利益を狙います。

基本的にレバレッジを利かせ、多いければ1日に数百回の取引を行います。

数秒で正しい判断をする決断力と、繰り返し取引を続けるための集中力が必要です。

短期的な値動きを狙うので相場状況の影響を受けにくく、保有期間が極めて短いのでポジション中に大きなニュースが出て大きく変動するリスクも低いです。

FXのスキャルピングを徹底解説!利益を出すために必要な知識はコレ!

デイトレード

デイトレードとは、購入した日のうちに売却させて完結させる手法です。

保有期間は数分から数時間で、1日に数十回の取引を行います。

テクニカル指標を活用するスキルと、その日の市場状況を理解する力、取引を繰り返すなかで損失を出しても感情に流されない判断力が必要です。

ポジションは翌日に持ち越さないので「夜間の急なニュースにより、保有した銘柄の価格が暴落する」といったリスクはありません。

大きなトレンドに左右されにくく、資金効率が高いというメリットがあります。

初心者でもできる!デイトレードのやり方を5つのSTEPで解説

スイングトレード

スイングトレードとは、数日から数週間ポジションを保有し、売却する手法です。

移動平均線などからトレンドや反転するポイントを見つけ、その波に乗ることで利益を出します。

スキャルピングやデイトレードに比べると取引回数が少なく、常にチャートを監視する必要はありません。

取引回数が少ない分、手数料やスプレッドの負担は少ないです。

また、トレンドの波に乗れれば1回の取引である程度の利益を狙えます。

スイングトレードに適した銘柄の探し方!初心者でも利益を出すコツ

ポジショントレード

ポジショントレードとは、数週間から数か月にわたりポジションを保有する手法です。

長期保有をしながら、大きな時間軸チャートでトレンドを分析し、トレンドが継続している間は売却しません。

長い間持ち続ける忍耐力や、一時的なニュースに惑わされない精神的な強さが必要になりますが、時間的拘束が非常に少なく、大きな利益を狙えるというメリットもあります。

資金効率は他の手法に比べて落ちること、トレンドの転換を見誤り損失を出すリスクがある点は注意しましょう。

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投資とトレードで資産を増やすためのポイント

投資やトレードを通じて資産を増やすにはどうすればよいか、いくつかのポイントを解説します。

リスク管理を徹底する

投資においてもトレードにおいても、リスク管理は重要です。

まず、1回のトレードで失ってもよい損失許容額を決めましょう。

一般的には、資金の1~2%程度とすることが多いです。

損失許容額が決まったらエントリーする銘柄のポジションサイズを計算し、ストップロスを設定してください。

適切にポジション管理をすることで、「一度の失敗で資産の半分がなくなる」といった大きなミスを防げます。

また、初心者のうちはレバレッジは抑えめにして、経験を積んでからも慎重に設定してください。

取引コストと税務についてリサーチする

投資やトレードでは、以下のような取引コストがかかります。

また、税務知識も重要です。

株式投資やFXで得た利益は課税対象となり、所得税と住民税を合わせた約20.315%が課されます。

NISAを活用すれば一定の非課税投資枠を得るられるので、これから投資やトレードを始める方はぜひNISA口座を開設しましょう

また、投資やトレードで出た利益と損失を相殺する損益通算を行うことで、課税対象となる金額を小さくすることができます。

落ち着いたメンタルを保つ

価格変動により含み益や含み損を抱えると、「これだけの利益があるから今すぐ確定した方がいいのでは」「すぐに損切りして、その後に持ち直したらどうしよう」といった悩みや焦りが生まれるものです。

だからこそ、常に落ち着いたメンタルを保ち、合理的な判断をし続けることが重要になります。

いざというときに拙速な判断をしないためには、事前に設定したルールを厳格に守るしかありません。

また、過度な市場監視を続けると疲弊するので、集中力が持たなくなったらチャートから離れましょう。

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投資に向いている人の特徴

投資に向いている人の特徴を解説します。

長期的に資産を形成していきたい人

投資は、数年から数十年という長期運用を前提にしています。

そのため、将来のために資産をゆっくり形成していきたい方にぴったりです。

また、投資期間が長ければ長いほど、複利効果を得られるというメリットもあります。

特に意識したいのが、「72 ÷ 年利(%)」という計算で算出される、資産が2倍になる期間です。

例えば、年利3%であれば24年で資産が倍増します。

まずは資産を2倍にすることを目安に、老後のためなどに資産を増やしたい方は投資を選びましょう。

リスクはなるべく抑えたい人

投資をするにあたり、リスクへの恐怖感が強い方も投資に向いています。

トレードは市場の変動や災害などによって大きく価格が変動し、大損失につながることもあります。

しかし、運用期間が長い投資は時間が経つ中で収益のブレが小さくなり、安定したリターンを受けやすくなります。

例えば、投資した国の経済が一時的に低迷しても、5年、10年と待つことで回復し、より大きな利益を受け取れるといったことが起こります。

まとまった時間が取りにくい人

トレードは、取引中はチャートに張り付いていなくてはなりません。

しかし、投資は頻繁に売買するわけではなく、一度購入した後はしばらく放っておいても問題ありません。

日中は本業があって時間が取れない方や、家事育児の合間に運用したい方も、まとまった時間が必要ないので無理なく続けられます。

さらに、購入する時に決まった金額を自動購入する積立プランを選べば、銘柄選定や購入手続きの時間が取られません。

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トレードに向いている人の特徴

トレードに向いている人の特徴を解説します。

短期的に利益を出したい人

トレードは、数秒から数週間で利益を確定させます。

非常にスピーディに動くので、短期間で資産形成したい方におすすめです。

どんどん資金を回転させることで、効率的に利益を重ねられます。

日をまたいでポジションを保有するオーバーナイトリスクを避けたい方も、投資よりトレードの方が向いています。

テクニカル分析ができる人

トレードでは、いかにテクニカル分析ができるかで運用成績が変わります。

移動平均線やRSI、MACD、ボリンジャーバンドなどを駆使して、現状のトレンドが続くのか、反転するのかなどを見極めます。

買い時や売り時を逃せば利益は出せないため、トレードを始める前にまずこういった分析方法について勉強できる方におすすめです。

市場の変動を逐一追いかけられる人

トレードの場合、取引中はチャートを観察してリアルタイムで変動を追いかけなくてはなりません。

特にスキャルピングでは、一瞬目を離した隙に価格が変動し、損失が生まれるといったこともあります。

また、チャートだけでなくニュースもチェックしながら、次々判断を下さなくてはなりません。

常に変化する市場をとらえ、トレンドの転換や思いがけない災害などに迅速に対応できる人はトレードに向いています。

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トレードと投資に関するよくある質問

トレードと投資に関するよくある質問に回答します。

トレードと投資の違いは何ですか?

トレードは、価格変動を利用して売買差益から利益を得るものです。

保有期間は数秒から数週間と短期で、テクニカル分析を活用して値動きを予測します。

具体的な手法として、スキャルピング、スイングトレード、ポジショントレードなどがあります。

投資は、保有する資産の価値上昇を元に、キャピタルゲインやインカムゲインといった形で利益を得るものです。

数年から数十年という、長期的な運用をしていきます。

具体的な手法として、モメンタム投資法、高配当株投資法、パニック株投資法などがあります。

自分はどちらを選ぶべきか、どのように判断したらいいですか?

トレードが向いているのは、短期的に利益を出したい方です。

短い期間で取引を繰り返し、数時間、数週間である程度のまとまった利益獲得を目指します。

また、移動平均線やRSIといったテクニカル分析ができる方、チャートに張り付いて観察できるだけの時間を確保できる方にもおすすめです。

投資が向いているのは、長期的にじっくり資産を形成していきたい方です。

「生まれたばかりの子どものために学費を準備したい」「安心して老後を過ごせる資産が欲しい」という方は、投資を選びましょう。

また、すぐに利益を出すことよりリスクを抑えることを重視する方、投資のためにまとまった時間が取りにくい方にもおすすめです。

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まとめ

今回は、トレードと投資について解説しました。

どちらも資産形成を目的としていますが、必要な期間や細かい目標、必要とされるスキルは異なります。

どちらかに優劣があるわけではなく、自分にあった方法を選ぶことが大切です。

まだどちらにするか判断しかねるという方は、投資から始めてみてください。

そこから、さらに短期的な利益も目指したいという段階になってトレードに取り組んでも、遅くはありません。

初心者が投資信託を始めるための知識を全解説!初心者でも利益を出すコツとは?

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この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

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この記事を書いた人

株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。

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