株式投資におけるチャートの動きは、上昇や下降など一方向のみの動きを繰り返しているわけではありません。いくつかのチャートパターンを読み取ることができます。その一つが「レンジ相場(そうば)」と呼ばれるパターンです。
株式投資の初心者にとって、チャートを読んで売買のタイミングをつかむことは難しく感じるかもしれませんが、実際に株式投資を行いながら実践で覚えるようにすると良いでしょう。
今回はレンジ相場の意味と、レンジ相場の見極め方や分析方法についてご説明します。
レンジ相場以外の状態として「トレンド相場」がありますが、トレンド相場については「株のトレンドについて知る! テクニカルにおける上昇・下降トレンドとは」の記事をご覧ください。
この記事でわかること
- レンジ相場の概要
- レンジ相場の見極め方
レンジ相場(そうば)とは?
レンジ相場とは、ある株式銘柄の値動きが一定の範囲の中で上昇及び下降を繰り返す、方向感のない状態を指します。
わかりやすく言うと、横ばい状態で需要と供給が拮抗している状態といえます。
ただ、方向感がないといっても、ある値幅の中で上下を繰り返す相場をレンジ相場と呼びますので、乱高下する値動きは含みません。
一定の範囲で上下を繰り返すことから、箱に見立てて別名「ボックス相場」と呼ばれることもあります。ほかに、「往来相場」「持ち合い相場」という呼び方もあります。
レンジ相場は株に関する材料がない場合に発生しやすい
株式投資でレンジ相場が発生する主なタイミングは、株式を発行している企業や景気に関するニュースや好材料が特にない、いわゆる閑散期に発生しやすい傾向にあります。
個別銘柄に関する材料は毎日出てくるものではありませんし、先行きが不透明になることもあります。そのような時にレンジ相場が発生しやすいといえるでしょう。
レンジ相場で株の売買タイミングをつかむことができれば、利益確定のチャンスも増えると考えられます。
チャートからレンジ相場を読み取る
上記のチャート画像を用いて、レンジ相場の見方についてご説明します。
上値抵抗線は、その価格で上げ止まる価格を指し、主に過去の上値と上値を結んだラインのことです。下値支持線はその逆で、その価格で下げ止まる価格を指します。
この上値抵抗線と下値支持線で挟まれている部分は、ある価格で反発・反落する価格帯になり、重要なポイントの一つです。
抵抗線と支持線を引いた際に、特定のチャートの動きが形成されていて、かつ上昇・下落傾向のどちらともいえない状況になっていれば、レンジ相場といえるでしょう。青い枠で囲った部分がレンジ相場と見ることができます。
売りや買いのタイミングはチャートパターンから判断する
チャートからレンジ相場と判断しただけでは、株の売買タイミングまで見極めることはできません。
今回ご紹介しているチャート画像では、チャート画像左から、一般的な株式投資の用語として以下のチャートパターンが形成されていることがわかります。
- トリプルボトム:レンジ相場で買いサインとして用いられている
- ヘッド&ショルダー:現在のトレンドが終了するサイン、売りサイン
- 三角持ち合い:次のトレンドが始まる直前、どちらともいえない
トリプルボトムは、3回下値抵抗線を触れた場合に、買いタイミングとして考えることができます。一方ヘッド&ショルダーは、2回目の小幅な上昇時に上値抵抗線を触れますと、下落サインを示しています。
三角持ち合いも比較的株のレンジ相場で出てくるパターンですが、どちらの方向に向かうかまでは分からないチャートです。
トリプルボトムとは?だましに合わないための売買タイミングを徹底解説
レンジ相場の特徴
レンジ相場は上昇・下落トレンドと関係があります。
以下のように、レンジ相場からトレンドの変化を見ることができます。
- レンジ相場は上昇、または下落する前の相場
- 大きな上昇、または下落後はレンジ相場に戻りやすい
- 株式市場の各銘柄はレンジ相場になることが多い
- レンジ相場は力を蓄えている時期
特に大切なポイントは、4番目の力を蓄えている時期という部分です。
上昇や下落には、各投資家の「エネルギー=資金」が必要です。しかし、どちらかのトレンドが継続すると売買のバランスが偏り、いずれ買い・売りどちらかの方向性に偏ります。
そして1つのトレンドが終了すると、各投資家は次のトレンドが発生するまで待つため、レンジ相場という形で準備期間が発生します。
つまり、レンジ相場の後は上昇もしくは下降トレンドを形成するため、売買タイミングを見極められるメリットがあるのです。
まとめ
- レンジ相場の見極めが大切
- レンジ相場から抜けるタイミングが狙い目
レンジ相場とは、ある値幅の間で値動きを繰り返す相場のことで、次のトレンドを形成する前に発生します。
また、株式市場の大半はレンジ相場になることから、レンジ相場の売買タイミングを見極めることができれば、それだけ利益を得られるチャンスも増やすことができます。方向感の乏しい相場であっても、次のトレンドがどちらに動くか分析したり、レンジ相場内で売買したりすることは可能といえるでしょう。
著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。