「リセッション(景気後退)」という言葉を聞くと、多くの投資家は「資産が減ってしまうのではないか」と不安を感じるものです。
しかし、リセッションの本質を理解すれば、それは決して恐れるだけのものではなく、むしろ将来の大きな利益に向けた準備期間であると気づけるはずです。
本記事では、リセッションの定義から発生する原因、そして暴落時に初心者が取るべき具体的な投資戦略までを詳しく解説します。
読み終える頃には、不透明な相場でも自信を持って投資を続けられる知識が身についているでしょう。
リセッションとはどういう意味?
リセッションとは、景気後退局面のことです。

景気の山から谷までのことを、リセッションと呼びます。
リセッションの定義は、国により様々です。
日本では、内閣府が毎月公表する「景気動向指数」が50%を下回ることが1つの定義とされます。
欧米では、GDPが2四半期でマイナスになるとリセッションと判断されます。
GDPは、前期比で伸びていれば国の経済は好景気。
前期比で減少しているなら、不景気になっているという見方ができます。
GDPは四半期ごとに公表されますが、2四半期連続で減少していると不景気と判断されリセッション入りと捉えられる場合が多いです。
基本的にリセッションは、景気後退に陥って半年~1年がたって発表されます。
もし事前にリセッションのタイミングが知りたいなら、自分で情報収集して判断しなくてはいけません。
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リセッションの主な原因は2つ
ここでは、リセッションがおこる原因について解説します。
リセッションは、主に以下の2つが原因になる場合が多いです。
- 景気循環
- 金利の変動
それぞれ解説します。
景気循環
リセッションの原因として、景気循環があげられます。
景気循環とは、好景気と不景気を繰り返す景気の波のことです。
好景気ではモノが売れるため、企業は借金をしてでもモノを生産します。
そうなると、従業員の給料も上がり景気はさらによくなるでしょう。
ところがモノの生産を続けると、消費者の需要を満たすため次第にモノが売れなくなります。
すると企業の業績も下落するため、事業規模の縮小やリストラを行うようになり景気が悪化します。
この業績悪化で不景気になり、リセッション入りする場合も多いです。
金利の変動
リセッションがおこる原因として、金利の変動もあげられます。
金利とは、お金を借りるときのコストです。
景気循環の解説で、好景気のとき企業はお金を借りてでもモノを生産するようになることを紹介しました。
お金を借りるときは利息を払わないといけませんが、金利が上がると借金をして設備投資など行わなくなるため生産が落ち込みます。
すると、企業の売上は減少し景気は悪化するためリセッション入りします。
リセッションを判断するための3つの方法
リセッションをリアルタイムで知りたいなら、自分で判断するしかないことを前節で述べました。
ここからはリセッションを自分で判断するために、アメリカの景気に注目する必要があります。
アメリカの景気の判断をする際に観察する経済指標は以下のとおりです。
- ISM製造業景況指数
- 米国雇用統計
- FF金利
なぜアメリカの景気を押さえておかなければならないかというと、アメリカは世界経済の中心であり日本のお得意先だからです。
日本の車や電化製品を大量に買ってくれるアメリカがリセッション入りすると、日本も大きく影響を受けます。
そのためリセッションの判断をするなら、まずはここで紹介するアメリカの経済指数を観察してアメリカの景気を把握することが重要です。
その上で日本の事情を足し引きします。
ISM製造業景況指数
ISM製造業景況指数とは、ISM(全米供給管理協会)が発表する製造業の景気を示す指数です。
米国の製造業仕入れ担当者にアンケートを行い、結果を数値化したものが発表されます。
アンケートで問われているのは、景気の現状や今後の予想などです。
ISM製造業景況指数の数値が50を超えていれば好景気で、50を下回っていれば不景気であると見られます。
ISM製造業景況指数は調査から公表までの期間が早く速報性があるため、多くの投資家に注目されています。
毎月第一営業日に発表されるので、ぜひ注目してリセッションを判断する材料にしてみてください。
米国雇用統計
米国雇用統計は、雇用情勢を表した指標です。
リセッションを判断するのに重要なのが、非農業部門雇用者数と失業率です。
非農業部門雇用者数の数値が下落すると、雇用者が減少していて不景気であることがわかります。
反対に数値が上がっていると、雇用者が増加していて好景気であるとわかります。
また失業率が高いほど景気が悪いことを表しており、リセッション入りした可能性も考えられるでしょう。
雇用統計は、毎月第一金曜日に発表され米国の経済指数の中でも発表が早いです。
毎月第一金曜日に雇用統計を確認する習慣をつけておくのもいいですね。
FF金利
前節でも解説したとおり、金利はリセッションの原因になります。
FF金利はアメリカの短期金利で、アメリカの金利のすべての基準となるためとても重要です。
金利が上がれば景気は落ち込みますし、金利が下がれば景気はよくなる傾向にあります。
リセッションに入ったのか気になる方は、FF金利が前回と比べてどうなったのか注目しておくようにしましょう。
アメリカの金利水準を常に把握しておくと、景気動向を掴みやすいです。
リセッション時期の株式市場はどうだった?
リセッションの時期には景気が冷え込み、株式市場では弱気相場になることが多々あります。
リセッションの時期に起こった近年の歴史的暴落は以下の通りです。
- ITバブル崩壊
- リーマンショック
- コロナショック
リセッション時期に起こった暴落を知っておくことで、今後景気後退時でも落ち着いて投資できるようになります。
ここで歴史を振り返っておきましょう。
ITバブル崩壊
ITバブルの崩壊とは、1990年代後半から2000年はじめにかけてハイテク企業の株価が実体価値以上に大きく上昇しその後暴落した金融危機です。
利益をだしていない会社でも、ドットコムと名前がついている会社なら株価を上げる異常事態でした。
もちろん利益をだしていない会社のため、買い手が続くのは時間の問題でバブルは弾けてしまいます。
日本でも、ITバブル崩壊の影響を受けています。

2000年4月から暴落が始まり、下げ止まるまでに3年以上かかりました。
その間の下落率は64%で、悲惨な大暴落だったと言えます。
リーマンショック
リーマンショックとは、アメリカのリーマンブラザーズが経営破綻しその影響が波及したことで起こった金融危機です。
リーマンブラザーズは、当時高騰していた不動産を担保に低所得者でも組める住宅ローン「サブプライムローン」を提供していました。
ところが時間が経つと、高騰した不動産バブルが弾けてしまいます。
サブプライムローンの顧客は元々信用力が低い人を対象としていたので、リーマンブラザーズは資金を回収できずに共倒れとなり経営破綻しました。
その影響が波及することを危惧して、株式市場から資金が引き上げられ大暴落がおこりました。
日本も影響を受けています。

2008年6月から2008年10月にかけて、4ヶ月間株式市場は下落を続けました。
その間株価は52%下落し、元の株価に回復するまでに4年以上かかりました。
コロナショック
コロナショックでは、2019年中国の武漢からコロナウイルスが広がりました。
その結果、世界中の経済が停滞しリセッション入りします。
2020年1月から暴落がはじまり、2020年3月までの2ヶ月間下げ続けて結果32%下落しました。

ワクチンなど治療薬開発の目処が立ったことで、短い期間の暴落とはなりましたが下げ幅はかなり大きなものだったと言えます。
リセッション時におすすめの3つの投資戦略
前節では、リセッション時の株式市場の様子について解説しました。
リセッション時には株式市場は大きく下げるため、投資の仕方に注意が必要です。
ここでは、リセッション時でもお金を儲けられる投資を紹介します。
リセッション時におすすめの投資は以下のとおりです。
- 投資信託に投資する
- バリュー株に投資する
- 空売りする
それぞれ解説します。
投資信託に投資する
リセッション時は、投資信託への積立投資がおすすめです。
なぜなら、リセッションを予想して的中させるのはかなり難しいからです。
リセッションだったことが報じられるのは、景気後退に陥って時間が経ってからというのは1章でも解説しました。
そのためリセッションを活かした投資をするなら自分で分析して予想し、発表前に行動する必要があります。
ですが投資信託への投資なら、購入するタイミングを計る必要がありません。
選んだ商品に、同金額を等間隔で長期間購入するだけです。
またコンスタントに積み立てることで、リセッション時は普段より安く投資信託を購入できます。
このことから、リセッション時でも投資信託への積立投資が有効だと言えるでしょう。
インデックスファンドに積立投資をするのが、成功率が高くおすすめです。
バリュー株に投資する
リセッション入りが予想できたら、バリュー株をコツコツ購入するのもおすすめです。
バリュー株とは、割安株のことで実際の価値よりも安く放置された株のことを指します。
リセッション時は、実際の価値よりも安く株が放置される傾向にあります。
そのため、リセッション入りが予想できたらバリュー株に決まった金額を等間隔で購入していく方法がおすすめです。
狙うバリュー株としては、以下の条件を満たす株を選ぶようにしましょう。
- 時価総額が大きい会社(5,000億以上)
- PERが低い会社(15%以下)
- 配当利回りが高い会社(3%以上)
これらの条件を満たした株を買って配当をもらいつつ、リセッションが終わった時に売却して値上がり益を狙うのがいいですね。
空売りする
リセッション入りしたことが予想できたら、空売りをするのも1つの手です。
上級者向けになりますが、空売りもリセッション時におすすめの投資だと言えます。
空売りとは買いとは逆で、高いときに売って安くなったときに買い戻して利益をだす投資です。

空売りをする際の注意点として、以下のことは守りましょう。
- 必ず損切りをする
- 少額で空売りする
- 時価総額が小さすぎる会社を選ばない
空売りする際は、これらのことに注意してリスクを抑えるのが重要です。
リセッションの前には何倍にも大きく成長した個別株があるため、そのような銘柄を空売りするのがおすすめです。
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リセッションに関するよくある質問(Q&A)
Q1. リセッションはいつまで続くのが一般的なのでしょうか?
A.過去の統計を見ると、リセッションの期間は概ね「数ヶ月から1年半」程度続くことが多いです。戦後のアメリカでは、平均して11ヶ月前後で景気の底を打ち、回復に向かう傾向があります。ただし、リーマンショックのような構造的な問題が背景にある場合は、数年にわたって低迷することもあります。
Q2. 初心者がリセッションで最もやってはいけないことは何ですか?
A. 最も避けるべきは「狼狽売り(パニック売り)」です。株価が急落する恐怖に耐えきれず、底値圏ですべての資産を売却してしまうと、その後の回復局面で得られる利益をすべて逃してしまいます。投資の目的が長期的な資産形成であれば、一時的な評価損は「バーゲンセール」と割り切る心の余裕が必要です。
Q3. リセッションが来るとわかっているなら、一度全部売ってから買い直すべきですか?
A. 理論上は正しいですが、実践するのは極めて困難です。なぜなら、「いつが本当の底か」を正確に当てることはプロでも不可能だからです。売った後にさらに上がってしまう、あるいは買い直すタイミングを逃して上昇相場に取り残されるリスク(機会損失)の方が大きいため、基本的には持ち続けることをお勧めします。
Q4. リセッションに強い資産は株式以外にありますか?
A. 一般的に「ゴールド(金)」や「国債」はリセッション時に買われやすい資産です。株式とは逆の動きをすることが多いため、ポートフォリオ(資産の組み合わせ)にこれらを組み込んでおくと、リセッション時の資産全体の目減りを抑えることができます。
まとめ
リセッション(景気後退)は、経済が健全な成長を続けるために必要な「デトックス期間」のようなものです。
一時的な痛みは伴いますが、永遠に続く不況はありません。
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リセッションはGDPのマイナスや景気動向指数の低下で判断される。
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主な原因は景気循環の波と、中央銀行による金利の引き上げ。
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ISM指数や雇用統計、逆イールドの発生に注目することで予兆を掴める。
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過去の暴落も数年単位で見れば回復しており、過度な恐れは不要。
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積立投資を継続し、優良なバリュー株を拾う絶好の機会と捉える。
投資初心者にとって、リセッションは最大の試練かもしれません。
しかし、多くの成功した投資家は、こうした逆風の時期にこそ種をまき、後の好景気で大きな花を咲かせています。
最も危険なのは、知識がないために恐怖に負けて市場から退場してしまうことです。
この記事で学んだ指標や歴史を武器に、冷静な判断で資産を守り、育てていきましょう。
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株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。






