「相続について無料で相談したいけどどこに相談すればいいかわからない」という声をよく耳にします。
また「自分にあった相談窓口があるのか知りたい」という方が多いようです。
そこで今回は、無料で相続相談ができる4つの場所について解説します。
また無料の相続相談を上手く活用する方法や、無料の相続相談で悩みが解決しなかったときの対処法についても説明します。
無料の相続相談で解決できること
1章では、無料相談で解決できることとできないことを説明します。
無料相談で解決できないことに関しては、悩み別の相談先を解説しています。
無料相談で解決できることとできないこと
無料の相続相談では、主に相続手続の方法や一般論など基本的なことが聞けます。
解決できる内容としては、以下のようなことが挙げられます。
- 相続の手続き方法は?
- 相続開始はいつから?
- 遺産分割の方法は?
- 相続財産の対象は?
- だれが遺産を相続できるの?
- 相続税はどうなるの?
- 必要書類はなにがあるの?
- 書類の書き方が知りたい
これらのような質問に答えてもらえます。
無料相談でできることは、主に行動指針のアドバイスがメインとなっています。
無料相談の注意点として、個別具体的なトラブルに対しての質問には答えてもらえません。
たとえば、以下のような悩みは無料相談では解決できません。
- 遺産を巡ってトラブルになっているから解決してほしい
- 相続税がいくらかかるか計算してほしい
- 相続登記を代わりにお願いしたい
このような悩みは無料相談では解決できないので、専門家に依頼する必要があります。
また他の注意点として、無料相談では相続の実績のある専門家に相談できるとは限りません。
専門家の中でもそれぞれ得意、不得意な分野があります。
相続を得意とした専門家にお願いしたいところですが、相談できる相手を選びたくても選べないことはわかっておきましょう。
個別的な悩みの相談先
無料相談で解決できる悩みは相続の基本についてがメインとなっていますが、個別の悩みに対しては相続に特化した専門家にお願いするのがおすすめです。
たとえば、以下のような問題にはそれぞれ得意な専門家がいます。
弁護士 | 税理士 | 司法書士 | 行政書士 | |
---|---|---|---|---|
相続遺産の評価 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
遺言書の作成指導 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
遺産分割協議書の作成 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
不動産登記 | 〇 | |||
相続放棄 | 〇 | |||
相続争い | 〇 | |||
相続税申告 | 〇 | |||
遺言認定の申立 | 〇 | |||
名義変更 | 〇 |
これらの専門家の中には初回無料で相談可能としている事務所もありますが、初回の相談で個別的な悩みが解決することはほどんどないです。
そのため、2章では無料相談先として4種類の専門家については紹介しません。
詳しくは4章で解説しますが、ここで紹介した問題についてははじめから相続に精通した専門家に依頼するのがスムーズです。
お金の勉強に資格は必要?プロが教える資格不要の理由と代替手段
相続相談を無料できる場所
2章では、無料相談できる場所を4か所解説します。
身近な公的機関を紹介するので、比較的相談しやすいです。
紹介する無料相談場所は以下のとおりです。
- 市役所・区役所
- 国税局電話相談センター
- 税務署
- 法テラス
それぞれ解説していきます。
市役所・区役所の無料相談
市役所・区役所では多くの専門家と提携しているので、相続に関する基本的なことを広範囲で質問することができます。
ここでは市役所・区役所でできる無料相談の概要や無料相談の手続きについて解説します。
市役所・区役所の無料相談の概要
相談できること | 相続全般に関する基本的なこと |
---|---|
相談に乗る人 | 弁護士、税理士、行政書士、司法書士 |
相談時間 | 30分程度 |
相談方法 | 対面・電話 |
市役所・区役所では、市内在住の方向けに弁護士や税理士などの専門家と提携し無料相談を行っています。
相談できることとして、1章でも紹介したような相続の手続きや遺産分割の方法など相続全般に関する質問ができます。
市役所・区役所の無料相談のメリットは、相談できる範囲が広いことです。
相談に乗る人は弁護士、税理士、行政書士、司法書士が決まった曜日ごとに対応してくれます。
相続の基本的なことと個別の問題に対して悩んでいる方は、1章で紹介した表をもとにどの専門家に聞けばいいのか確認して予約するようにしましょう。
無料相談では、基本的な相談のみしか聞いてもらえませんが個別の悩みに合った次に起こすべき適切な行動は教えてくれるので有効利用しましょう。
また専門家により得意、不得意がありますが、必ずしも相続が得意な専門家に相談できるとは限らないことがデメリットだと言えます。
他にも時間制限があるため、準備を入念に行っていないと軽い相談で終わりかねません。
このことから言えるのは、前もって相談内容をまとめておくのが大事です。
市役所・区役所の無料相談は、相続の概要を情報収集してある程度頭に入れる過程でどうしてもよくわからない箇所があれば直接聞くという利用の仕方がおすすめです。
市役所・区役所無料相談の手続き方法
市役所・区役所無料相談の手続き方法は以下のとおりです。
- 自分が住んでいる市役所・区役所のHPを検索
- 受けたい無料相談の実施される日付を確認
- 市民相談室に予約の電話をする
- 電話か対面での相談をどちらか選ぶ
これで無料相談の予約が完了します。
国税局電話相談センター
国税局電話相談センターは、相続税の一般的な悩みについて質問することができます。
ここでは国税局電話相談センターの概要や無料相談の手続きについて解説します。
国税局電話相談センターの概要
相談できること | 相続税など税金に関する相談 |
---|---|
相談に乗る人 | 国税局の職員 |
相談時間 | 制限なし |
相談方法 | 電話 |
国税局電話相談センターとは、税金に関する一般的な相談に対して国税局の職員が無料で相談を聞いてくれるサービスです。
相談できることは、相続税など制度解釈や手続き方法など一般的な内容です。
たとえば以下のような内容が挙げられます。
- 相続税の基礎控除
- 相続税の申告期限
- 相続税の計算方法
- 計上する財産の種類
- 申告財産(有価証券・不動産)の基本的な評価方法
- 必要書類の収集方法
国税局電話相談センターは、予約や会員登録は不要で時間や回数の制限もありません。
そのため、わからないことがあったら気軽に聞けるのがメリットです。
ですが、相続税の具体的な計算や申告をサポートしてもらえなかったり2度目以降の相談は再度説明をしたりする手間がかかるというデメリットがあります。
国税局電話相談センターには、申告期限や必要書類の集め方などを質問して確実に要点を抑えていくためのツールとして利用するのがおすすめです。
国税局電話相談センターの手続き方法
国税局電話相談センターに相談するときの手順は以下の流れで行います。
- 住所地を管轄する国税局に電話をする
- 音声案内に従い(国税に関するご相談)を選択
- 音声案内に従い(譲渡所得・相続税・贈与税・財産評価)を選択
- 国税局電話相談センターに繋がる
- 無料相談
これら5つのSTEPを踏むと電話相談ができます。
税務署の無料相談
税務署での無料相談は、国税局電話相談センターでできなかった相続税に関する個人的な相談ができます。
ここでは税務署での無料相談の概要や無料相談の手続き方法について解説します。
税務署の無料相談の概要
相談できること | 相続税など税金に関する個人的な相談 |
---|---|
相談に乗る人 | 税務署の職員 |
相談時間 | 制限なし |
相談方法 | 対面・電話 |
税務署の無料相談では、電話や税務署職員との面談ができます。
相談できることは、国税局電話相談センターと同じ内容を網羅しています。
さらに書類をお互い確認しながら相談できるので、相続税申告の書き方があっているのかや相続税の計算があっているのかなど少し踏み込んだ質問が可能です。
ですが繫忙期は予約が取りづらかったり、担当者が変わるため2回目以降の相談では再度説明をしなければいけなかったりします。
また、相続税の節税対策についての質問は答えてもらえないので注意が必要です。
税務署無料相談の利用方法としては、国税局電話相談センターの無料サービスを活用してある程度相続税について大枠を捉え自分で相続税の計算をしたあとその計算があっていて正しく記載できているのかを確認してもらうという使い方がおすすめです。
その際相続税の知識がないと、時間が大きくかかるので相続税の仕組みを自分である程度頭に入れておくのがいいですね。
税務署での無料相談の手続き方法
税務署での相談手続き方法は、以下のとおりです。
- 住んでいる街を管轄している税務署に電話
- 音声案内に従い(面談の電話予約)を選択
- 担当者に電話が繋がる
- 面談の意思と氏名、住所、相談内容を伝える
- 面談の日時が指定される
- 面談日当日、必要書類を持って税務署を訪問
この流れをたどると税務署で面談を受けてもらえます。
法テラス
法テラスの無料相談は、相続に関する争いやトラブルについて相談することができます。
ここでは法テラスの概要や無料相談の手続きを解説します。
法テラスの概要
相談できること | 死亡した親の借金、相続放棄の悩み、遺産トラブル |
---|---|
相談に乗る人 | 弁護士、司法書士 |
相談時間 | 30分 |
相談方法 | 対面・電話 |
法テラスとは「日本司法支援センター」のことで、法律トラブルの総合案内所です。
「借金」「離婚」「相続」などのトラブルを抱えた場合の手助けとして、問題に応じた相続窓口や法制度情報を無料で提供しています。
法テラスでは、以下のような悩みにも対応してもらえます。
- 親の借金を払わなくてはいけないのか?
- 遺言書の書き方を知りたい
- 認知症の親が騙されないか心配
このような悩みに対して、適切な相談窓口を紹介してもらえます。
また収入や資産が一定以下の場合、無料で弁護士や司法書士との相談が可能です。
さらに、弁護士や税理士に依頼した場合の費用の立て替えもしてもらえます。
ですが無料相談は1つの問題につき3回までという条件があったり、相談時間は30分といった時間制限があったりすることは注意しておかなければいけません。
法テラスの利用方法としては、相続争いが将来的に起こりそうな人は先に無料相談で話を聞いてもらうのがいいですね。
また、弁護士に意見を求めたいけど経済的な理由でできない人は法テラスで相談するのがおすすめです。
法テラスの無料相談の手続き
法テラスの利用方法は以下のとおりです。
- WEBで住所地の近くにある法テラスの確認(事務所は全都道府県にある)
- 自宅から一番近い法テラスに電話
- 無料相談の予約(この時点で無料相談利用可能か収入の確認あり)
- 認められると相談日時の調整
- 弁護士、司法書士との電話相談、面談
この5つのSTEPを踏むと、面談を受けてもらえます。
無料の相続相談を上手く活用するために気を付けておきたい3つのこと
無料の相続相談では、時間が限られている相談場所もあるので事前準備をしておかないと浅い相談で終わりかねません。
相続相談を上手く活用するため、事前に準備しておきたいことは以下のとおりです。
- なにを相談するのか明確にしておく
- 関係書類を準備しておく
- 早めに相続相談をしておく
それぞれ解説していきます。
なにを相談するのか明確にしておく
無料相談を上手く活用する方法として、相談したい内容を整理して優先順位を決めておくことが大事です。
たとえば、以下のようなことは最低でも整理しておきたいです。
- 相続の手続き方法
- 相続財産の対象
- だれが相続できるのか
- 相続税はどうなるのか
- 必要書類はなにがいるのか
これらを整理して相談する優先順位を考えておくと、時間を有効に活用できます。
考えをまとめる過程で、自分では解決できない問題も炙りだされるためどこに相談にいくのかなど次の行動にも繋がりやすいです。
関係書類を準備しておく
無料相談を利用する前に、関係書類を準備しておくことでも無駄な時間を短縮できます。
たとえば、まとめておきたい書類として以下の書類が挙げられます。
- 預金関連の書類
- 有価証券関連の書類
- 不動産関連の書類
- 死亡保険・死亡退職金関連の書類
- その他財産関連の書類
また、以下の事実関係を明確にしておくと話は早いです。
- 誰が亡くなったのか
- 相続人は誰なのか
- 遺産はどのくらいあるのか
これらを整理しておくと、短い時間でも無料相談を有意義な時間にできます。
早めに相続相談をしておく
相続には、申告期限が設けられているものもあるため早めに相続相談をしておくのがおすすめです。
たとえば、相続税の申告期限は被相続人の死亡を知った日から10ヶ月以内となっています。
また準確定申告は、相続開始があったことを知った日から4ヶ月以内に申告と納税をしなければいけません。
中には、遅れると罰金が課されるものもあります。
早めに無料相談を利用することで、落ち着いて相続問題に対応できるので焦らず手続きを終わらせることができます。
早めといっても、どのくらいがいいのかというと思い立ったらはじめるのがいいですね。
無料の相続相談で悩みが解決しなかった時の対処法
4章では、無料相談では対処できない悩みを解決してくれる専門家について解説します。
紹介する専門家は以下のとおりです。
- 弁護士
- 税理士
- 行政書士
- 司法書士
それぞれ見ていきましょう。
弁護士に相談する
弁護士に相談するのがおすすめな人は、相続争いに関する相談や対策をしたい人です。
相続人の間でおこる揉め事の問題解決や和解交渉、裁判の代理といった問題は弁護士に有料相談するようにしましょう。
他にも、弁護士の専門分野として以下の内容が挙げられます。
- 遺言の検認の申立
- 相続放棄
- 相続争いに関する対策
弁護士に相談する際の相場は以下のとおりです。
相談料:30分5000円~
着手金:10万円~
日当:5万円~
相続人の間で問題が起こって解決する目処が立たない場合は、初回は無料で相談してくれるところもあるので一度弁護士に相談してみるのがおすすめです。
税理士に相談する
税理士に相談するのがおすすめな人は、個人それぞれにあった相続税の節税対策や損をしない適切な遺産分割方法を知りたい人です。
税理士の専門分野としては以下のようなものが挙げられます。
- 相続税の申告書作成
- 相続税の節税、減額
税理士相談にかかる料金の相場は、遺産総額の0.5%~1%となっています。
相続税の計算は難しいので、税理士に相談するのも1つの手です。
費用はかかりますが、無駄な税金を抑えられるため税金で損をしたくない人は税理士にお願いするのがおすすめです。
司法書士に相談する
司法書士に相談するのがおすすめな人は、贈与登記、相続登記について相談にのってほしい人です。
司法書士の専門分野は、不動産登記です。
不動産登記申請手続きに関する業務を、ほぼ独占で行っています。
登記手続きとは、不動産の贈与や相続を受けたとき権利関係の情報などを登録するために必要となる手続きです。
司法書士に相続登記をお願いする料金は、だいたい6万円~となっています。
相続登記は義務化されており、申請期限までに登記しないと罰金が発生します。
そのため相続登記を確実に済ませたい方は、司法書士にお願いするのがおすすめです。
行政書士に相談する
行政書士は、書類の作成が専門分野となっていて相続関係説明図の作成や財産目録(概要)の作成をお願いできます。
相続関係説明図は必ずしも必要な書類ではありませんが、求められることもあるためあった方がスムーズに相続が進みます。
行政書士にお願いする際の相場は、だいたい3万円~となっています。
またそれほど複雑な作業ではありませんが、株式や自動車の名義変更などを得意としているため依頼する人も多いです。
書類関係の作業で悩んでいる場合、行政書士にお願いしてみるのもいいですね。
まとめ
今回は無料の相続相談がどこでできるのかについて解説しました。
相続の内容は複雑で難しいですが、自分の悩みにあった相談先を把握しておくとスムーズに相続の手続きを終わらせることができます。
そのためにも、やはり早めに準備しておくことが重要です。
この記事を参考にしながら、自分が抱える悩みにあった無料相談をまずは受けて見るのがおすすめです。
超ドケチ節約術で毎月5万円節約!【楽しみながらお金が貯まるテクニック集】
株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。