NISAをはじめたものの、調べれば調べるほど「投資信託ばかり」が目に入り「個別株って選んでいいのだろうか?」と立ち止まってしまったことはありませんか?
「周りと違う選択をして失敗したら怖い」「でも仕組みもよく分からないまま流されるのも不安」そんな感覚を持つ人は少なくありません。
そこで本記事では、NISAと個別株の関係を整理しながら、投資信託との違いや考え方の軸を丁寧に解きほぐしていきます。
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NISAと個別株は「別の話」だと理解する
投資をはじめる際に多くの初心者が混同してしまうのが、NISA制度と個別株投資の関係性です。
実際には、NISAと個別株投資は全く別であり、分けて理解しなければいけない概念です。
具体的には以下の3つのポイントを押さえる必要があります。
- NISAは「枠」であり「商品」ではない
- 同じNISAでも投資信託と個別株が選べるケース
- NISA=安全、個別株=危険という誤解
それぞれみて解説します。
NISAは「枠」であり「商品」ではない
NISAは投資商品そのものではなく、税制上の優遇措置を提供する「器」の役割を果たす制度です。
たとえば、NISAは投資商品を入れるための「特別なお弁当箱」のようなものです。
お弁当箱自体に味や栄養があるわけではなく、中に入れる具材(投資商品)によって価値が決まります。
NISA制度という枠の中では、株式・投資信託・REIT(不動産投資信託)など様々な商品に投資できます。
NISA制度は投資商品を選ぶ前段階の仕組みであり、商品選択とは完全に独立した概念として理解しましょう。
同じNISAでも投資信託と個別株が選べるケース
同じNISA内でも、投資対象が異なる場合をみていきましょう。
たとえば、同じNISA口座を使っているAさんとBさんがいるとします。
Aさんは毎月一定額で投資信託を積み立てて、Bさんは気になる企業の株を1社ずつ購入しています。
使っている制度は同じでも、選んでいる投資対象と投資判断は全く異なる状態です。
この違いを理解していないと、「NISAだから安心」といった極端な捉え方になりやすくなります。
NISA=安全、個別株=危険という誤解
「NISAは安全で個別株は危険」という認識は大きな誤解です。
NISAは単なる税制優遇制度であり、投資リスクとは全く関係がないからです。
たとえば、NISA枠で購入した投資信託でも市場全体の下落により元本割れするリスクは存在します。
逆に、財務状況が健全で成長性の高い個別株は、リスクを適切に管理すれば安定した投資対象になり得ます。
そのため投資する際は、制度(NISA)と商品(投資信託・個別株)の特性を分けて理解 しておくのが重要です。
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なぜNISAでは投資信託が勧められやすいのか
証券会社や金融機関でNISA口座を開設すると、投資信託を勧められることが多いのは偶然ではありません。
投資信託がNISA枠での投資において頻繁に推奨される背景には、初心者にとって合理的な理由が存在します。
理解すべきポイントは以下の3つです。
- 投資信託が「無難」といわれる理由
- 分散・判断回数の違いを比較
- 「楽=理解しなくていい」ではない
それぞれ解説します。
投資信託が「無難」といわれる理由
投資信託は分散投資効果により個別銘柄リスクを軽減できるため、初心者にもおすすめの投資商品として位置づけられています。
投資信託の種類にもよりますが、専門の資産運用会社が何百もの銘柄や資産へ同時に投資を行うため、個人投資家には難しいレベルのリスク分散を手軽に実現できるためです。
たとえば、日経平均に連動するインデックスファンドなら、一回の購入で日本を代表する225社に同時投資できます。
仮に投資先企業の一社が倒産したとしても、他の企業でその影響を薄められるため、全体への影響を抑えられます。
個別企業の倒産リスクや業績悪化リスクを分散でき、相対的に安定した運用が期待できる点が「無難」と評価される理由です。
分散・判断回数の違いを比較
投資信託と個別株では、分散に必要な手間と判断回数に圧倒的な差があります。
それぞれの違いは、以下のとおりです。
| 投資信託 | 個別株 | |
| 分散投資の手間 | 自動的に分散 | 手動で複数銘柄に分散 |
| 初期の判断回数 | 1回(ファンド選択のみ) | 10回以上(複数銘柄の選択) |
投資信託では分散投資が自動的に行われ、初期の判断もファンドを選択する際の1回のみで済みます。
一方、個別株では手動で複数銘柄に分散する必要があり、初期に10回以上の銘柄選択判断が必要となります。
そのため、投資信託の方が時間的・精神的負担が軽く、仕事や家事で忙しい方や初心者により適しているといえるでしょう。
「楽=理解しなくていい」ではない
投資信託が手軽だからといって、投資商品について理解せずに購入するのは危険です。
投資信託にも運用方針・手数料(信託報酬)・投資対象地域などの特性があり、購入前に十分理解しておかなければ予想外の損失を招く可能性があるからです。
たとえば、手数料が年2%を超える高コストなアクティブファンドや、新興国だけに投資する地域特化型ファンドには特有のリスクが存在します。
また「毎月分配型」のファンドは元本を取り崩して分配金を支払う場合があり、見た目の利回りに惑わされるケースもあります。
投資信託は確かに個別株より手軽ですが、最低限の商品理解は必須です。
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個別株投資とは何を判断する行為なのか
個別株というと、どうしてもチャートや値動きが目に浮かびますが、重要な判断ポイントは他にもあります。
本章では、以下の内容に沿って個別株投資について整理します。
- 個別株は「会社を選ぶ」行為
- 同じ金額でも判断回数が増える理由
- 値動きだけで考えはじめるとズレる
それぞれみていきましょう。
個別株は「会社を選ぶ」行為
個別株投資をするなら株価の値動きだけでなく、企業そのものの価値と将来性を適切に判断して投資しなければいけません。
株価は企業の業績や成長性、市場での競争力を反映した結果として形成されます。
そのため、投資家は企業の本質的価値を理解し、長期的な成長性を見極めるのが重要です。
たとえば、売上成長率・利益率・財務健全性・競合他社との差別化要因など、総合的に分析して投資判断を行います。
トヨタ自動車に投資するなら、電気自動車への対応や海外展開の状況など、企業を経営者の視点で評価しなければいけません。
個別株投資では、「この会社は将来成長するか」「この会社の商品やサービスは競争力があるか」を見極める企業分析能力が求められます。
同じ金額でも判断回数が増える理由
個別株投資では同じ投資金額でも、投資信託と比較すると多くの判断機会が発生します。
個別株は銘柄選択・買いタイミング・売りタイミング・ポートフォリオの調整など複数段階での判断が必要だからです。
たとえば100万円を10銘柄に分散投資する場合は、10社の企業分析やそれぞれの売買タイミングの判断、その後の継続的な業績モニタリングなどが求められます。
投資信託なら運用会社がこれらの判断を代行してくれますが、個別株では投資家自身がすべての判断を行わなければなりません。
値動きだけで考えはじめるとズレる
個別株投資を株価の値動きだけで判断すると、本質的な投資判断から大きく逸脱してしまいます。
株価は長期的にみると、企業の実際の価値に収束する性質がありますが、短期的には投資家の感情や需給バランスで動くからです。
たとえば、業績が順調に成長している企業でも、市場全体の下落に巻き込まれて一時的に株価が下がることがあります。
逆に、話題性や期待感だけで株価が急上昇したものの、実際の業績が伴わずに後から大幅下落するケースもよくみられます。
目先の株価チャートの動きだけをみて「上がっているから買う」「下がっているから売る」という判断は、投資ではなくギャンブルに近い行為です。
企業の本質的価値を重視した投資判断こそが、長期的な資産形成につながる王道のアプローチです。
NISAで個別株を選ぶ人が向いているケース
個別株投資に適している人には精神的な資質があり、知識量だけでは判断できない適性が存在します。
そこで本章では、自分が個別株投資に向いているかどうかを以下の3つの観点から確認してみましょう。
- 向き不向きは知識量では決まらない
- 投資信託が合う人/個別株が合う人
- 「興味がある=向いている」とは限らない
それぞれ解説します。
向き不向きは知識量では決まらない
個別株投資を行う上で投資知識の多さも大切ですが、向き不向きという観点からみると心理的な適性も重要になります。
たとえば、財務諸表の読み方を熟知していても、株価が下落した際に感情的になって慌てて売却してしまう人は、個別株投資に向いていないかもしれません。
逆に、投資の基礎知識は少なくても、企業分析を楽しめて市場の変動に動じない冷静さを保てる人の方が良い成果を上げやすいです。
長期的な視点を持って継続的に学習する姿勢も大事ですが、感情に左右されずに投資判断できるメンタルの強さも個別株投資の成功を左右する重要な要素となります。
投資信託が合う人/個別株が合う人
ご自身が投資信託と個別株それぞれどちらに向いているかは、以下の表を参考にしてみてください。
| 投資信託が合う人 | 個別株が合う人 | |
| 銘柄選択 | プロに任せたい | 自分で企業を選びたい |
| 時間的余裕 | 忙しく時間が限られている | 企業分析や情報収集に時間をかけられる |
| 感情管理 | 値動きに一喜一憂しがち | 冷静に判断できる |
投資信託は銘柄選択をプロに任せたい方や、忙しくて投資に時間をかけられない人などに適しています。
一方、個別株は自分で企業を選びたい方、情報収集に十分な時間を割ける方、そして市場の変動に対して冷静な判断ができる自信がある人に向いています。
自分の生活スタイルと投資への関心度を客観的に評価して、無理のない商品を選択することが長続きする秘訣です。
「興味がある=向いている」とは限らない
個別株投資への好奇心と実際の適性は必ずしも一致せず、興味だけで投資すると失敗するリスクが高まります。
株式投資に魅力を感じていても、実際に継続的な企業分析を行う根気や、損失が発生した際の冷静な判断力がない場合は個別株投資では良い結果を得られないためです。
たとえば「株で儲けたい」という気持ちはあっても、企業分析を面倒に感じていると投資に値する価値のある企業を選択できません。
また、保有株の株価が下落した際にパニックになってしまったりする人は、誤ったタイミングで売買してしまう可能性が高いです。
興味を持つことは投資の出発点として大切ですが、それ以上に重要なのは継続的な学習意欲と精神的な安定性です。
そのため、ご自身の行動特性と性格を踏まえて投資商品を選択するのが重要です。
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初心者がNISAで個別株を考えるときの注意点
本章では、初心者がNISAで個別株を考えるときに気を付けるべき注意点として以下の内容を解説します。
- NISAと投資判断を切り離す視点
- SNS・ランキング情報との距離感
- 「非課税だからOK」という思考停止
本章で紹介する3つの注意点を押さえて、堅実な個別株投資を実践しましょう。
NISAと投資判断を切り離す視点
NISA制度と個別株の投資判断は、完全に分離して考える必要があります。
NISA枠だからといって、投資判断の基準が変わるわけではないためです。
よくある失敗例として「年間投資枠を使い切らなければもったいない」という理由での無理な投資があります。
投資枠の残りが20万円だからといって、十分に分析していない銘柄に投資するのは危険です。
NISA制度は税金の優遇措置であり、投資判断の質を下げる理由にはなりません。
非課税メリットとは切り離して、企業の成長性・財務健全性・適正株価などを冷静に分析し、納得できる銘柄にのみ投資することが重要です。
SNS・ランキング情報との距離感
SNSの投資情報やランキングサイトの銘柄推奨情報には、過度に依存しないようにしましょう。
多くの情報発信には、発信者の利益や広告収入を目的とした商業的意図があり、必ずしも投資家の利益を最優先にしていない場合が多いからです。
たとえば「今買うべき株ランキング」「急騰期待銘柄」といった煽り文句の情報や、著名投資家を名乗る人物の特定銘柄推奨情報には特に注意が必要です。
情報発信者が証券会社から手数料を受け取っている場合や、自分の保有株を高値で売り抜けるために推奨している可能性もあります。
SNSやランキング情報は投資のヒントとして参考程度に留め、最終的な投資判断は必ず自分自身の分析に基づいて行うのが重要です。
他人の意見に流されず、企業の決算資料や業界レポートなど一次情報を重視した投資判断を心がけましょう。
「非課税だからOK」という思考停止
NISA枠の非課税メリットがあっても、投資元本の損失リスクは通常の投資と全く変わらないことを理解する必要があります。
非課税制度は利益にかかる約20%の税金を免除するだけであり、投資元本を保護する効果は一切ないためです。
NISA制度の恩恵を受けるためには、まず投資で利益を出すことが大前提となります。
制度の限界を正しく理解し、損失を避けるための適切な企業分析と銘柄選択により一層注意を払うことが重要です。
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NISAで個別株はありなのか知りたい人によくある質問
NISAで個別株はありなのか知りたい人によくある質問は、以下のとおりです。
- NISAで個別株を買うときはどの枠?
- NISAで個別株はおすすめしないといわれるけど本当?
それぞれ解説します。
NISAで個別株を買うときはどの枠?
NISAで個別株を購入する場合は「成長投資枠」を利用します。
つみたて投資枠は対象商品が限定されており、個別株の購入はできません。
成長投資枠では年間240万円まで投資可能で、上場株式をはじめ幅広い商品に投資できます。
個別株投資を検討している方は、成長投資枠の活用を前提に投資計画を立てるようにしましょう。
NISAで個別株はおすすめしないといわれるけど本当?
NISA口座での、個別株投資に否定的な意見が多いのは確かですが、個別株が絶対にダメというわけではありません。
十分な企業分析ができ、リスク管理を理解している投資家なら、高い成長性を持つ企業への投資で大きなリターンを得る可能性もあります。
重要なのは自分の投資スタイルとリスク許容度を理解し、無理のない範囲で投資することです。
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まとめ
今回は、NISAで個別株投資を行う際の考え方と注意点について解説しました。
NISAと個別株は別々の概念であり、NISA制度は税制優遇を提供する「枠」に過ぎません。
投資信託が初心者に勧められる理由は分散投資効果と手軽さにありますが、個別株投資にも企業を深く理解できるという独自の魅力があります。
重要なのは、自分の性格や投資スタイルを冷静に分析し、継続的な企業分析とメンタルコントロールができるかどうかを見極めることです。
ぜひこの記事を参考に、自分に適した投資先を見つけて堅実な資産形成に取り組んでみてください。
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株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。







